May 26, 2005

本当は忙しくて気の毒な人々

JR福知山線の脱線事故から一ヶ月が経ちました。


あれだけの大事故でしたし、メディアでもずっと取り上げられているので、私も時々ふと考えるときがあります。ネットで見ても、多くの人が事故について書いています。当然のことながら、jmseulさんのようにJR西日本対する怒りの声から、その企業体質を批判するものが多いのは言うまでもありません。

事故後の対応についても、森永卓郎さんのように非難する声が多いですが、六等星さんのように本質から外れる恐れを指摘する声、R30さんのように、もっと他の部分への考察もあります。意外と多く感じられたのは、藤代裕之さん団藤保晴さんのように、一連のマスコミ報道に対する疑問でした。

多くの方が指摘するように、原因解明と再発防止、教訓を生かした安全対策を求めるべきなのは言うまでもありません。この件については、私が今さら同じような事を書いても仕方ありませんので、ほかに感じたことを書いてみます。

考えてみると電車って、顔の見えない交通機関だと改めて思います。一旦発車してしまえば、乗客はトラックの荷台の荷物と同じような扱いになってしまいます。バスやタクシーなら運転者の顔も名前もわかりますし、いざとなれば文句も言えます。飛行機や船でも乗務員がいます。

ところが電車の場合は、普段より運転が乱暴だろうが、冷房を入れ忘れていようが、まず意思の疎通は出来ません。逆に運転する人も、乗客の眼を意識していないのではないでしょうか。小売業や他のサービス業のように、問題があっても他に選択肢がなく、競争原理が働きにくいことも災いしていると思います。

日々ペダルをこぎながら、ふと思うのは、なぜ自分も含めて、こんなに皆急ぐようになってしまったのかということです。いつからか、エスカレーターは片側を開けて、急ぐ人が登っていきますが、外国人から見ると奇異に映るという話も聞いたことがあります。

駅で、いくらやめるようアナウンスがあっても駆け込み乗車をする人は絶えません。どなたかが書いていましたが、この事故が起きる前に、ゆっくり安全運行などしていたら、気の短い関西の客に怒鳴り倒されるというのも、さもありなんという気がします。

一分遅れたら遅延という、世界一正確な鉄道は日本の自慢だと思っていましたが、自信がなくなってきました。鉄道に限らず、日本人の生活は、世界の人々から見たら世界一せわしなく、世界一気の毒な人々なのかもしれません。

クルマだって、人を轢いたりする大きなリスクを犯してでも、たかだか数分の為に猛スピードで細い抜け道を飛ばしていきます。日本人の悲しい性と言ってしまえば、それまでですが、経済合理性や効率一辺倒でなく、環境のことを考えたり、スローライフというような考え方も出て来ています。

我々日本人の生活にしても、人々の意識にしても、歴史を見れば今までだって大きく変えたり、変わったりして来ました。必要であれば、こうした風潮だって変えられるはずです。そのあたりを我々一人ひとりが考えてみる必要があるのかも知れません。



亡くなられた方やご遺族の方には言葉もありません。いまだ入院されている方も多いと聞きます。あらためて亡くなられた方のご冥福をお祈りすると共に、怪我をされた方の、一日も早い回復をお祈り申し上げます。


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