July 31, 2005

既にあるブッククロッシング

ブッククロッシング「ブッククロッシング」ってご存知でしょうか。


ブッククロッシングとは、「街中を図書館に」というアイデアのもと、読み終えた本をわざとカフェや駅に放置し、偶然手にした人にまた読んでもらうという活動で、世界中に広がりつつあります。最近日本でも一部ネットやメディアで取り上げられることがあるようです。

本には専用のIDがついていて、ネットでその本がどのような経緯でたどりついたか確認できる仕組みになっています。2001年に米国で始まり、150カ国以上、35万人の読書家たちが参加。約200万冊の本が、世界を旅していると言います。

私は以前、偶然アメリカで見たことがあるのですが、ごくローカルな話かと思っていました。この、「本が旅をする」というところに、ロマンを感じる人も多いでしょう。だいだいブッククロッシングについて言及するよう人は、おしなべて本好きですから、日本でも流行ると面白いという人がほとんどのようです。

でも、よく考えてみると、似たような仕組みはすでに日本にあります。そう、電車の中で読み終わった雑誌などを網棚に置いていく人がいます。おそらく短期間で限定的だと思いますが、雑誌は電車を乗り継いで、あちこち旅をしているに違いありません。

男性向け雑誌が多いようなので、あまり女性が手にするのを見たことはありませんが、誰しも、そこに暗黙の了解があるらしいことは想像がつきます。それらを手にして読む人ほど、また律儀に置いて行きます。学生時代にお世話になったからと、今は買って恩返しをしていると言うビジネスマンもいます。

ならば、ブッククロッシングも日本に根付きやすいかと言えば、私はいささか懐疑的です。網棚の雑誌クロッシングにしても、10年前の地下鉄サリン事件以後、網棚に新聞や雑誌を放置しないようにアナウンスされていた時期に減ってしまったようです。

ブッククロッシング地域や路線によって
も違うのかもしれませんが、最近のテロの警戒などの影響で、ゴミ箱を撤去する動きもあり、雑誌の放置も見られなくなりつつある気がします。

網棚や、駅のゴミ箱から雑誌を拾い集めて、繁華街などで売っている人の存在もあります。当日発売のものすら売っているようです。以前、その縄張り争いから殺人事件まで起きたことがありますから、それなりの需要もあるようです。

そんな状況下、ブッククロッシングに似ていて、網棚という特定の場所が確立しているにもかかわらず、網棚雑誌クロッシングは、これからあまり拡大は見込めないでしょう。電車内で携帯メールなどをしたり、音楽を聴く人が増えた分、雑誌を読む人も減りました。

最近は一気にカフェになったところも多いですが、それ以前、喫茶店と呼ばれていた頃には、結構本や雑誌が置いてありました。むろん流通はしていませんでしたが、近年は、携帯やノートパソコンが増え、暇つぶしにそれらの本を読む人が減少しているのも事実でしょう。最近のカフェに、ブッククロッシングの本が置かれれば、新鮮な感じはしますが、あまり利用されない気もします。

おびただしい種類の出版物が刊行される中で、ただでさえ興味のある本に遭遇する確率は低く、その場の少ない冊数では、まず稀でしょう。ビジネスマンは、それでなくても情報量が増え、他に読まなくてはならないものもたくさんあります。「文字活字文化振興法」が成立するくらいですから、若い世代の活字離れも深刻です。

また、公共の図書館ですら、新刊ベストセラーをまとめて購入すると、出版側と揉めるくらいですから、これが普及すると、書店や古書店も含めて、様々な反発は必至です。世界中で広がっているとは言え、ほとんどは日本語以外の本です。自分の専門分野なら多少いるとしても、原書を読む人が果たしてどれくらいいるでしょうか。

日本語の本にしても、古書買取店に売れない、人気のない本しか流通しない可能性もあります。地域によっては、駅や公共施設などに、何々文庫などと銘打って、自由に借りれる本棚を設置する試みが無数にありましたが、結局は蔵書が散逸して存続できず、あまり成功したという例は聞きません。

ただ、私も経験ありますが、海外に長く滞在して外国語の文字ばかりで生活していると、無性に日本語、日本の文字を読みたくなることがあります。日本語の普及率を考えるまでもなく、世界では日本語の本は手に入りやすいとは言えません。ですから、日本の本がもっと海外に出て行くと、海外にいる日本人は喜ぶかもしれません。

ブッククロッシングの仕組みやコンセプトについては、とってもいいと私も思います。ロマンがありますし、文化的な香りもします。デジタル化のすすむ社会の中での現象としても面白いと思います。ただ、ブッククロッシングの日本での定着、拡大は難しそうな気がします。




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この記事へのコメント
はじめまして! のぶと申します。トラックバックありがとうございました。

私も正直、当分の間は日本では難しいかなと思っています。

やっぱり同じようなことを考えました。
だって最初に浮かんだイメージは電車の網棚の雑誌でしたし、海外での長期滞在の経験で活字に飢えたことを思い出してましたし。(←ひどいホームシックで、おみそ汁とおにぎりの夢を匂いつきで見ました)

でもまあ、楽しめればいいかなと。

ブログを通じてコメントやトラバをいただいて嬉しかったり、次を考えてワクワクしたりしてます。
ボトルメールをワクワクしながら海に流したり、図書館の本の履歴に知人の名前を見つけて妙に嬉しかったりするのと近いかなと。
Posted by のぶ at July 31, 2005 16:27
はじめまして。水谷と申します。
TB有り難うございました。

電車の網棚の雑誌のことは、こちらで初めて知りました。
無知ですみません。(苦笑)
そんな意味があったのですね…

日本でもブッククロッシング、行われたら素敵ですよね。
海越えて、地球上が図書館になるっていう発想、無理かも知れませんが夢があってとても好きです。
自分の送り出した本がアフリカあたりで月明かりの下で読まれるかも、なんて考えるとワクワクします。
日本でもっと定着、して欲しいものですね。
Posted by 水谷 at July 31, 2005 23:23
のぶさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ボトルメールは、やったことがありませんが、図書館の本の貸し出しカードに名前を発見する、ありましたね。感覚的にはわかります。
今はネットで履歴を追う時代なワケですが、リアルな本とネットの組み合わせがいいですよね。
Posted by cycleroad at August 01, 2005 06:56
水谷さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
いえいえ、無知だなんて。地域にもよるようですし。雑誌といっても、少年漫画も多いようです。流通する寿命は短いでしょうね。私はあまり漫画誌は読まないので、実際のところは詳しくありません。
ネットでダウンロードするeブックになろうか、という時代に、ロマンがありますよね。私も、いろんな国の言葉がスラスラ読めるといいと思いますが、そこがネックですね(笑)。
Posted by cycleroad at August 01, 2005 07:08
こんにちは。どぜう、と言います。トラックバック有り難うございました。

記事、読ませてもらいました。読んでいて、なるほど、と思いました。確かに現実的に考えていくと、日本で根付くには難しい問題が多いようですね。哀しいですが。
でも、ブッククロッシングのアイディアそのものには、きっと共感する人が多いと思いますし、共感する人が多ければ、案外思いがけないカタチで実現することだってあるかもしれません(と、希望的に願います)。

もっとも、ぼくはつい最近、ネットの本屋さんになった人間なんで、ひょっとすると、ブッククロッシングとは、ライバル関係になるのかしらん?
うーむ。
Posted by どぜう at August 01, 2005 18:08
どぜうさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
日本で推進されている方も、古書店経営の方ですし、本が好きな人ほど、面白いと感じると思います。私も読書好きなので、決して否定するものではありません。
ただ、面白そうですね、では一行で終わってしまうので(笑)、ゴタクを並べていますが、ロマンを感じる話ですよね。
Posted by cycleroad at August 02, 2005 07:53
cycleroadさん、はじめまして!TBありがとうございました。とても興味深く拝読させていただきました。記事が面白かったです。考えれば考えるほど無理かもしれないアイデアですが、何よりも本のリサイクル、見知らぬヒトと一つの本でつながる楽しさというものに、とてつもなく浪漫を感じる私です。もっと世間にこういう運動があるということが広く知れ渡っていって欲しいなと思います。
Posted by simamama at August 02, 2005 21:04
simamamaさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
お褒めいただきありがとうございます。無理かもしれないという書き方をしたわけですが、私も魅力は感じています。
始まった当初に話題になった後、数年を経て最近また、一部で話題になりつつあります。こうしてネットでジワジワ広がり、知られていくことにより、また違う動きも出てくるかもしれません。案外ゆっくり浸透し、そのうち立ち上がってくるかもしれませんね。
Posted by cycleroad at August 02, 2005 21:53
トラバありがとうございます。
といっても書いたのは私ではなく後輩ですが。

私の場合は、本=貴重なものという意識があり、勝手に持ってかえるというのはなじめないような気がします。
とはいえ、予備校時代、寮の資源ごみ置き場につんであった本や漫画を持ち帰って読んだりはしていましたが。もっとBCが浸透していなければ、捨てたものと、おいていったものの差が、一般に分かりにくいですよね。
知らない人から見たら、拾得物隠匿?のようにも思えます。IDをつけるのもいいアイデアですが、それだと偶然の出会いというロマンが、仕組まれたもののように感じられてしまい・・・。

私は、手に取るにせよ、おいていくにせよ、んー、知っている人に渡していって、mixiみたいに、友達(知り合い)に手渡していけたら、そのほうがつながってて好きだと思いました。
Posted by さっちゃん at October 05, 2005 01:23
さっちゃんさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
それは言えてますね。新刊本でもなければ、本が置いてあっても見向きもしない人も多いでしょう。もっとブッククロッシング自体が知られて行かないと、なかなかスムーズに流通していくこともないでしょう。
おっしゃるように、捨ててあったと勘違いする人もいるでしょうし、忘れて死蔵されてしまうかもしれません。
なるほど、それはいい考えかもしれませんね!より確実に伝わって行きそうですし、街角に留まっている時間も少なくなるかもしれません。
ソーシャルブックネットワーク、SBNですかね。けっこう戻ってきたりするかも知れませんけど(笑)。
Posted by cycleroad at October 05, 2005 07:06
はじめまして。ブッククロッシングについて調べていたらこちらにたどり着きましたのでトラックバックさせていただきました。
わたしもブッククロッシングをはじめたのですが、なかなか拡がるのは難しいな、と感じています。
何しろ日本語のサイトが未だ存在していないのですもの。
まあ千里の道も何とやらといいますので地道にこつこつやっていこうとは思いますが。
Posted by innerculture at November 20, 2005 20:29
innercultureさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
TBありがとうございました。実践されているんですか。やはり、まだまだ認知度が低いのがネックですね。
地味ですが、そのコンセプトに共感する人は、大いに共感するようです。ジワジワ浸透していけば、ある時大きくブレイクするような気もするんですけどね。
そうですね、やはり最初は地道にコツコツなのでしょうね。
Posted by cycleroad at November 21, 2005 07:17
はじめまして
最近bookcrossingに登録をしましてまだリリースはしていないんですが
当方、小学生の子供を持つ親です。
子供が幼児期に読んでいた絵本が家にはたくさんあります。
思い出深い本で子供自身、成長した今も手放したくないものはいくつかあるようですが
全ての本がそうというわけではなく、もう何年も手にとることすらしない本もあります
そういった本たちを近所の公園のベンチに放流しようかなと考えてます
無作為に放流された場合、確かに興味のある本に遭遇する確率は限りなく低いと思いますが
絵本と公園のようにリリースする本とリリースする場所をあわせて行く事で
流通の可能性は多少広がるのかなとも思います
まぁ、無作為だからこそ無限の可能性があってロマンがあるのだとは思いますが・・・
とりあえずはゴミや忘れ物と間違われないようにすることが課題でしょうか。
Posted by sakana at March 01, 2006 17:00
sakanaさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
絵本や児童書には、たまに大人が読んでもいい本があったりしますね。ただ子供は、一度読んでしまえば、わりとすぐ飽きたり見向きもしなくなるものも多いでしょうし、かさばる本が多いのは、保存するには欠点ですね。
どういう公園かわかりませんが、忘れ物と思われなくても放置されて、雨や汚れるのが心配ですね。出来れば屋内のほうがいいのではないでしょうか。
確かに年頃の子供をもつ親御さんが手に取るようなところだとベストでしょうけど、まず知らない人も多いでしょうね(笑)。
公園のベンチが必ずしも悪いというわけではありませんが、もしかしたら、スーパーのキッズスペースとか、小児科の待合室とか、屋内でマッチするところもあるかもしれません。うまい場所を見つけるのも楽しみの一つかもしれませんね。
Posted by cycleroad at March 02, 2006 11:50
 
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