August 02, 2005

共用自転車の裏にある考え方

ベンチャリ時々、思い出したように「共用自転車」を始める自治体があります。


市民で自転車を共有する「共用自転車」の導入の理由は、昨日とりあげた洲本市の「ベンチャリ」の例で言えば、自転車盗の抑制と、放置自転車の処理対策となっています。典型的な理由でしょう。もちろん洲本市は真面目に考えたのだと思いますし、ネーミングにあるように、便利に使って欲しいと言うことだと思います。

自治体にもよりますが、駅前の放置自転車に悩まされているところは少なくありません。市民からの苦情も多く、その対策に頭を悩ませ、撤去に莫大な費用をかけている場合も多々あります。そうした中で、共用自転車という発想が出てくるのは理解できます。

対策の担当者はこう考えるでしょう。つまり、『自転車に乗って駅に来る人が多すぎるから、駅前に自転車があふれるのだ。自転車は、みんなで共有すればいいではないか、そうすれば絶対数を減らせる。共用自転車を提供して、自転車に乗る人に使ってもらうようにしよう。放置自転車を利用すれば一石二鳥だ。』と。

ただ放置自転車を撤去するだけでなく、その解消への名案に思えるのでしょう。行政として積極的に問題に取り組む姿勢もアピールできます。しかし実際にはうまくいくとは限りません。むしろ、今までたくさんの自治体が取り組んできましたが、うまくいったという話を聞いたことがありません。

どこかの市町村で成功しているという話を聞いた気がするかも知れません。しかし、よくよく調べてみると、行政側のメンツもあって、多額の運営費をかけるなどして、しばらく体裁を整えているだけだったりします。そしていつの間にか立ち消えになっている場合がほとんどです。

駅前に自転車を放置するマナーの悪い者人たち、あるいは一部の身勝手な者の行動のために、貴重な市民の税金を投入しなければならないのは悔しいと考えるのは健全です。市民のマナーを向上させるのも必要だと思いますが、公共の秩序を優先するために、自転車の私有まで我慢してもらうのは、やはり無理があります。

一部の市民が自発的にグループを作って自転車を共有するならともかく、昨日も述べた理由から供用自転車はうまくいかないでしょう。かと言って、放置自転車をそのまま撤去移動させるだけの対処療法を続けるというのでは、根本的な解決には至らないのも事実です。

自転車が迷惑駐輪される理由には、駐輪場が遠い、少ない、高いなど理由があると思われます。一部のマナーの悪い人が放置駐輪するだけだったら、それほど大きな問題にはならないでしょう。やはり、大勢の人が放置するのは、自転車が困るほど集中してしまう状況があるに違いありません。

ならば、その根源的な発生原因を改善するのが行政の役割ではないでしょうか。当り前の話になってしまいますが、少しでも安く、出来れば無料で駐輪できるスペースを多く確保し、市民の便宜をはかるのが根本にあるべきです。もちろん、そんなに簡単な話ではないことも分かっています。

ベンチャリマナー違反の自転車を撤去移動し、その費用がかさむため、撤去自転車の返還手数料を高額に設定する場合が少なくありません。懲罰的な意味合いもあるでしょう。でも、今どき自転車も安くなっています。市民が、引き取りに行かずに新しい自転車を買うかもしれないくらいの額なら、いたちごっこです。

結局引き取り手のない放置自転車が増え、余計に処分費用がかかることになってしまいます。そんな悪循環に陥っている例も少なくないと思われます。東京などの都心部の自治体では何十億円という単位の対策費が計上されるといいます。その分で駐輪場を造ってほしいですが、現状を放置するわけにもいかないのでしょう。

なんとかこの悪循環を断って、対策費を駐輪場整備に使えるようにして欲しいものだと思います。しかし、起死回生の逆転ホームランの策は見つかっていません。少しずつでも地道に進むしかありません。共用自転車などという何度も使い古されて、しかも効果のない奇策を用いるのは無駄だと思います。

例えば、埼玉県桶川市の例を挙げます。桶川市では、放置自転車を転用して、「代替自転車」として市民に貸し出しています。通勤や通学などに自転車を使っている市民が、パンクなどのアクシデントにあった場合に、修理など復旧するまで10日ほど無償で、スペア用に自転車を貸してくれるものです。

もちろん条件があり、自転車駐輪場を契約して使っている人に限られます。これにより駐輪場利用のメリットを少しでも高め、市民の駐輪場の利用を促進しようという狙いだと思われます。結果として駅前放置を減少させようというわけですが、このほうが放置自転車の利用としては優れているでしょう。

もちろん、これだけで問題が解決するとは思いません。自治体によって状況も違うし、答えも一つではないでしょう。私は、桶川には住んだことがないので、詳しいことはわかりませんが、少なくとも担当者が、より自転車に対して理解があるような印象は受けます。

全国の撤去自転車の返還手数料は、自治体によってかなりの開きがあります。財政状況も違いますから一概には言えませんが、その自治体のスタンスを表しているのかもしれません。共用自転車か、撤去と高い返還手数料か、安い駐輪場整備か、それぞれの地方自治体の姿勢や考え方があらわれるような気がします。




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『ベンチャリ』廃止へおそらくこうなるであろうことは予想されてはいましたが、ここまでヒドイ状況だったとは・・。“人情味あるれる田舎”だからこそ成功して欲しかった試みですが、逆に「淡路時間」という習慣もあるほどルーズさに麻痺している地域性が災いしたのでしょう....
森を見て木を見ていない【淡路島のブログ情報≪あわじ愛らんど≫】at August 15, 2005 01:03
 
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