October 22, 2005

本当は凄い自転車の実力とは

昨日は、本当に省エネルギーを考えるなら自転車に乗ろうと書きましたが、どのくらい省エネルギーなのか比較してみたいと思います。


自転車は、ガソリンなどの化石燃料を、エネルギーとしては全く使いませんから、節約分が省エネになるわけですが、ここでは、エネルギー源の違いを超えて、1gを1km動かすのに必要なエネルギー量で、その効率を比較してみます。馬や牛とも比較できますし、大きさの違いも、1gあたりの比較なら関係ありません。単位は、全てcal/g/kmです。下がその比較グラフです。



動物と比べると、ねずみの15に対して、人間は0.75と20分の1です。さすがというべきか、人間は動物としても非常にエネルギー効率に優れているのです。ねずみの種類によっては、38とか90という種類もいて、幅があるそうです。ウサギは4.5、犬が1.5、牛が0.9であり、動物の種類もよって大きく違っています。

人間よりエネルギー効率に勝るのは、ここで比較した中では、馬が0.7と多少上回るのと、鮭の0.4だけです。鮭は水中ですので単純には比べられませんが、流線型ですし確かに効率はよさそうです。人間は、走る速さにしても、持久力にしても馬にかないませんが、エネルギー効率ということでは、結構いい線いっています。もちろん人間は、速さや持久力で劣る分、様々な乗り物を発明することによって克服してきました。

その乗り物と比べますと、ヘリコプターは3.9、ジェット戦闘機は1.6、クルマは0.8です。クルマも含めて、エネルギー効率で言えば、人間の筋肉より効率が悪いことになります。戦闘機より運動性能が高くないかわりに多くのものを運べるジェット旅客機は0.6と人間を上回っています。旅客機は、ジェット燃料を大量に消費して燃費が悪いイメージがありますが、実は効率よく人や貨物を運んでいることになります。

ところが、人が自転車で移動するなると、0.15と5倍もエネルギー効率が良くなるのです。自転車は人間の作った乗り物の中でも断トツのエネルギー効率を誇るのです。ここでは鉄道の数字が出ていませんが、クルマのように排気ガスは出さないものの、その場でエネルギーを取り出す内燃機関と比べると発電所の発電効率は4割以下ですし、送電効率も考慮すれば、エネルギー効率としてはさほど良くありません。

自転車に乗る場合、歩行するのと比較してエネルギー効率が高くなる理由は、サドルにまたがることで足の筋肉が体を支える役割から開放され、そのぶんエネルギーが節約されること、身体の中で最も強い足の筋肉が、移動のために効率よく使われる形になっていること、他の筋肉の消耗は極力少なくなる形になっていること、などが挙げられます。もちろん、ベアリングやチェーンなどの機械の精度や、タイヤの性能、重量を軽くする素材の進歩なども大いに貢献しています。おまけに速度まで数倍になります。

こうして比べてみますと、クルマは徒歩や牛馬とエネルギー効率的にはたいして変わらないわけです。人や牛馬と違って獣道は通れませんから、道路の敷設や舗装、保守という形で莫大なエネルギーも使われています。もちろん、そのスピードや航続距離は、人や牛馬の及ぶところではありませんし、交通や流通という形で現代文明を支えていることも否定しません。しかし都市部では渋滞で、平均速度も馬車並みと言われているので、その意味ではあまりメリットが生かせないことになります。

今さら馬や馬車というわけにはいきませんが、自転車を都市交通として利用しない手はありません。自転車で移動する人間は、どんな動物、どんな乗り物よりも、エネルギー効率的に優れているのです。ふだん何気なく乗っている身近な乗り物ですが、改めてその凄さに驚きます。人類が今までに発明してきた中で最高の乗り物と言われるのは、こういう理由なのです。



私は行きませんが、奇しくも今日から東京モーターショウの一般公開だと言うのに、こんなことを書いてると、単なる偏屈野郎みたいですね(笑)。

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Green Car【D2 Blog】at October 24, 2005 00:35
自転車はあらゆる動物や機械の中で1番エネルギー効率がいいらしいです。 難しい話なので僕は説明できませんが、分かりやすく説明してくれているサイトはたくさんあるので、 詳しく知りたい人は検索してみてください。(例「自転車 エネルギー 効率」とか なんでも 「自...
自転車ってすごい!!【48694062のブログ】at October 25, 2008 21:46
この記事へのコメント
この手のグラフは自転車のエネルギー効率を説明するためによく出てきますね。

ただし、ちょっと疑問に思うのは、「電車」が比較対象に入っていないことです。

1両30トン以上もある鉄道車両は、一旦加速すると惰性運転に入ってもなかなか速度が落ちません。鉄のレールの上を鉄の車輪で走っているだけに、摩擦係数が極めて少ないためです。

ですので、1km1gあたりの消費エネルギーは自転車以上に効率がいいと思います。

前にかなり粗い計算で試算したら0.012とかいう数値になったのですが、詳しく試算できなでしょうか?
Posted by やっしー at February 07, 2009 23:01
やっしーさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
電車の場合、その電力が外部から供給されるという点で、他と同列に比較することが出来ません。つまり、電車の消費電力からエネルギー効率を計算したのでは、正確とは言えません。
供給される電力の発電された方法、火力とか原子力とかによってもエネルギー効率は変わってくるでしょう。また、送電線で送られる間の送電ロスなどもありますし、それは距離によっても変わってきます。そのため、単純には計算できないのではないでしょうか。
電車に限らず加速時と一定の速度を維持した状態とではエネルギー効率は変わってくると思いますが、いずれにせよ、電車のデータがないので不明です。
人間の生物としてのエネルギー効率は多くの機械を上回っていますし、自転車を使うとさらに向上します。少なくとも、私の知る限り、人間の作った機械の中では、自転車が圧倒的に効率がいいと書かれている文献は多いですが、自転車より電車のほうが効率がいいとされている記述は見たことがありません。
電車の数字がわからないので断言はできませんが、発電効率や送電ロスなどを含めて電車のエネルギー効率を計算した場合に、必ずしも自転車よりいい数字にはならないのではないでしょうか。
Posted by cycleroad at February 08, 2009 00:20
確かに、電車は発電効率や送電ロスを加味しないと正確な試算はできませんね。その点は見落としていました。
そしたら、気動車(ディーゼルカー)ですと計算しやすいと思います。
新型気動車の燃費は、リッター3キロとも5キロとも言われています。仮にリッターあたり3キロとすると、1キロあたり約0.333リットルの軽油を消費することになります。
それが、どれくらいのカロリーのエネルギー消費かを計算できれば、あとは簡単に求められます。
とりあえず、気動車の車体重量を30トンとすると、

消費エネルギー(単位カロリー)÷30000000(g)

で求めることができると思います。
Posted by やっしー at February 08, 2009 05:07
やっしーさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね、ディーゼルカーなら比較出来るでしょう。
手元に正確な燃費や重量などのデータがないのでわかりませんが、同じ内燃機関のクルマと同程度のレベルになるのでしょうか。
ご指摘の摩擦係数などの面で多少は有利かも知れませんね。
Posted by cycleroad at February 09, 2009 21:19
始めまして、自転車が好きで乗ってるなんぱくといいます。
移動に必要なエネルギーの計算の元データをなんとか見つけようとしてます。
自転車の場合は消費エネルギーは心拍計などから算出できました。車は実測の距離当たりの燃費を乗った人で割れば良い。
飛行機は文献を探せば案外と出てきました。
あとは、電車とバスが残ってます。
バスは燃費をどっかで聞けばすみそう。
あとは電車かぁ・・・どっかこの電車でこの距離小の定員で走ったら、何キロワットアワー消費したとか無いでしょうかねーと探し回ってます。

いろいろ基礎計算して遊んだ結果はこちらです。
ネタになるような数字を集めまくってますので御参考になれば幸いです
http://d.hatena.ne.jp/nanpaku/searchdiary?word=%2a%5b%bc%ab%c5%be%bc%d6%a5%a8%a5%b3%5d

これからも時々見にきますのでよろしくお願いします。
Posted by なんぱく at April 08, 2009 11:34
なんぱくさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
いろいろ計算されてらっしゃいますね。私も別のいくつかのエントリーで、温暖化ガスの削減効果などを計算したりしていますが、数字にして比較すると、意外な面が見えて来たりして、案外面白いことがありますね。
今どき、巷には省エネやエコの度合を比較する数字があふれていますが、よくよく気をつけないと騙されることも少なくありません。
家電の宣伝などでよくありますが、年間いくらお得などと出しておいて、実は算出根拠があまりに非常識な設定だったりします。当社比とか小さく書かれていて、比較の対象があまりに恣意的なこともあるようです。
以前、日本消費者協会が行った商品テストで、検査した冷蔵庫すべての消費電力量がカタログ表示の約2〜4倍もあったという酷い例も報告されています。
ふだん何気なく見ていたり、疑うことなく鵜呑みにしがちですが、数字を、きちんと条件を合わせて検証してみる姿勢は必要かも知れませんね。
こちらこそ、よろしくお願いします。
Posted by cycleroad at April 09, 2009 21:06
cycleroad さん
コメントありがとうございます。数字遊びかもしれませんが、それなりに計算して、あとはわかりやすく、ネタにできないかってやってます。
電気も最後は、電子レンジで何かをあっためる時間とか、テレビを動かしたらとかで換算したら身近でわかりやすいですね。・・冷蔵庫は条件ばらつくので自分らのレベルじゃ計算ギブアップですね。

これからも いろんな情報を楽しみに見に来ます。
では、また!。
Posted by なんぱく at April 13, 2009 09:16
なんぱくさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
わかりやすいというのがポイントですね。せっかく数値を集めても、実感がわくような形にしないと、なかなか伝わらないというのもあるでしょう。
ご覧いただき、ありがとうございます。
またお越し下さい。
Posted by cycleroad at April 14, 2009 22:13
古い記事に質問で恐縮なのですが、もし宜しければお教えください。

表の計算に用いられた数字の資料を知りたいと思っています。
Posted by まるちゃん at May 10, 2011 12:52
まるちゃんさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ネット上であればリンクしているはずですが、数値を自分でグラフにして載せているので、物理か何かの本から数値を拾ったのではなかったかと思います。
本の中でも引用されたデータだったような気がしますが、きちんと根拠のある数字だったはずです。
自転車関係の本ではなかったと思いますが、なにぶん古い話なので、よく覚えていません。蔵書をいろいろ探してみたのですが、見つけられませんでした。
お役に立てず、申し訳ありません。
Posted by cycleroad at May 10, 2011 23:08
 
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