October 23, 2005

腕一本で殺人者になる可能性

先月、駐車しているクルマの開け放たれたドアに自転車が激突し男性が死亡するという事故が起きました。


大きく取り上げられることは、ほとんどなかったと思いますが、ふだん自転車に乗っている方なら目にとまったかも知れません。事故の概要は、先月23日午後6時45分ごろ、兵庫県伊丹市の市道で、70歳の男性がワゴン車を路肩に止め、運転席側のドアを開けたところ、後ろから来た56歳の男性の自転車がドアに接触。この男性は転倒して頭を強く打ち、約9時間後死亡したというものです。

伊丹署の調べでは、クルマを運転していた男性は取引先に向かう途中、通行人に道を尋ねるため車を降りようとしたところだったといいます。同署は、この男性が後ろをよく確認しなかったと見ています。現場には幅約2メートルの歩道があったものの、別の自転車が歩道をふさぐような形で止めてあった、となっています。

別のソースによれば、接触ではなくドアに激突して路上に投げ出されて頭を強打となっていますが、どちらにしてもクルマを運転していた男性が後方を確認しないまま、漫然とドアを開けたのが直接の原因のようです。自転車に乗る人なら、想像すると背筋が寒くなるのではないでしょうか。

歩道に止めてあった別の自転車というのも気になります。やむなく車道に出て、迂回したのであれば、間接的にはこの止めてあった自転車も問題ですが、運悪くまことに気の毒としか言いようがありません。いずれにせよ、まさに避けきれないタイミングでドアが開け放たれたのでしょう。普段から車道を通行している人なら、常にその危険性と隣り合わせです。

実際には歩道を通る人が大部分でしょうから、自分には関係ないとお思いかもしれませんが、歩道のない道路を通行する場合はどうでしょう。道路交通法上は、路側帯とその駐車方法について細かく決められていて、歩道がない場合は道路の左端に余地を空けて駐車しなければならないことは教習所でも習います。しかし実際にはそんなクルマなど、あまり見る事はありません。歩道のない道路は狭いのが普通ですので、当然とも言えますが..。

駐車する場合、クルマのドライバーは他のドライバーには気を使っても、自転車に気を使うことは、ほとんど無いでしょう。例えば狭い道ならば、歩道に乗り上げてでも他のクルマの邪魔にならないようにしますが、おかげで自転車や、時には徒歩でも歩道を通れなくてもお構いなしというクルマも見かけます。

そうした例でなくても、歩道のない道路では、どんな自転車も止まっているクルマの右側を通らざるを得ません。突然ドアが開く危険は常にあるわけです。明らかに長時間駐車しているクルマでも人が乗っている場合はありますし、最近はスモークガラスが多くて、外から見えにくい場合も多いです。

私も、停車したばかりの車の横を通り抜ける時には気をつけるようにしていますが、延々と続く駐車車輌がある場合には、そういうわけにもいきません。距離をとって離れて走行すれば、走行しているクルマから左に寄るようクラクションを鳴らされるでしょう。突然タイミング悪くドアが開けば、まず避けられません。

こういった危険を防ぐためにも、理想を言えば歩道と車道の間に自転車道が欲しいですが、現実として、現状のようにクルマと歩行者と自転車が混然となって通行せざるを得ない状況では、自ら出来ることをするしかありません。

この事故の場合、かなり暗くなりかけていた時間と思われます。自転車がライトをつけていたかは不明ですが、早めの点灯がいかに大事かということも認識すべきです。昼間でも、視認性を高めるために目立つ色を着ることも必要かも知れません。そして投げ出された時のために、出来ればヘルメットも着用したいところです。

もちろん、常にそういった危険があることを念頭においておくのも重要です。なるべく回避できる距離やスピードを保つこと、後方から来るクルマの状況を把握しておくこと、駐車車輌内の人影や、ドアが開いた場合、少しでも速く反応するため、常に注意を払っておくなど、出来る限り気をつけるしかありません。

クルマを運転する方にも気をつけていただきたいものです。自転車の場合、車道左側によって走行してくるので、サイドミラーに直前まで映らなかったり、バックミラーの後方の死角に入りやすく、気がつかないこともありえます。もちろん景色に溶け込んでの見落としもありえます。見えていても意外と速度が早いものです。自転車に乗る人も運転する側にまわった場合、加害者にならないよう是非気をつけたいものです。

こういう事故が起きる可能性があることは、誰でも理屈としては理解していますが、ふだんその可能性を忘れているときに限って事故は起きるものです。現状において、これを完全に回避する方法は見当たりません。誰でもわかっている事だとは思いますが、この機会に注意を喚起するために記事にしました。自分でも気をつけようと改めて思っています。




◇ ◇ ◇

今日は、早朝から出かけて朝飯前に一汗かいて来ました。ここのところ関東では、非常に貴重になっている晴れ間ですので。その後、食事してから更新してます。なんだか晴れてきてますね。今日は天気良くなりそうです。もちろん、また出かけるしかないですね(笑)。では、行ってきます。

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Posted by cycleroad at 11:00│Comments(7)このBlogのトップへ前の記事次の記事
この記事へのコメント
初めまして。
ブログランキングから飛んできました。

記事タイトルを見て!と思ったのですが、
違いました。
実は同様の事故が最近名古屋市緑区地内で起こったのです。
出勤途中のサラリーマン氏がママチャリに乗って最寄の
駅まで向かう途中に路駐のトラックの運転手が後方確認を
せず、いきなりドアを開けたのです。
サラリーマン氏は頭部を強打し、意識不明の渋滞だそうです。
その後、報道が無いのでわかりませんが…

自転車乗りとして考えさせられる事故です。

Posted by RAV4J at October 23, 2005 18:23
誤字でした。
意識不明の“渋滞”→意識不明の重体
Posted by RAV4J at October 23, 2005 18:25
RAV4Jさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですか..。全国紙や全国ネットでは、たぶん出なかった事故だと思いますが、やはり大きく扱われないだけで、各地で起きているのでしょうね。
トラックの大きさにもよりますが、人影はまず見えないでしょうし、開いたドアは頭部を直撃する高さでしょうし、乗用車より、ある意味危ないかもしれません。どのくらいのスピードが出ていたのかわかりませんが、考えるだけでも痛ましい事故です。
全国的にどのくらい起きているのか不明ですが、ほかにも多くの交通事故は起きていますし、不謹慎な言い方ですが、重傷や重体だと報道としては取り上げられないのかもしれません。
ドライバーや自転車に乗る人全てに、広く注意を喚起するためにも、出来ればニュースなどで取り上げて欲しいものです。
Posted by cycleroad at October 24, 2005 12:27
こんにちは。
身近な問題ですね。
駐車場の無いコンビニ前の路上駐車とかも朝の出勤前の買出しで、時間的な余裕が無いのか、止まって後方確認しないですぐにドアーを開ける人が結構います。
何回か私も危ない目に遭いかけました。
それと大阪府松原市で3日ほど前、早朝4時過ぎにやはり、路上駐車中のトラックのドアーが開いて30代の男性が死亡しています。
詳細は分かりませんが今の季節早朝4時だとまだ暗いし、自転車も無灯火が多いですしね。
いづれにしても運転者の後方確認を怠ったと言うのが問題になるでしょうし、道幅5mの歩道の無い道路ですから自転車も車道を走らざるを得ないでしょうし。
自ら自転車で車道を走って分かること、2輪車で高速を走って分かることがそれら2輪車がどのような挙動をするか、自分自身4輪車を運転するときに役立てようと思っています。
Posted by ousayt at October 24, 2005 16:14
はじめまして。
トラックバックありがとうございます。

メッセンジャーをやっていて「ドア開け」には、かなり注意しながら走っていますが、
前の信号が赤になり気をゆるめた瞬間タクシーのドアが開いて激突したことがあります。
<A HREF="http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/4253075">その日のブログ</A>

突然の事だったので、ぶつかった瞬間は何が起きたのか理解できませんでした。
その時はたいした怪我はありませんでしたが、このような事故は大怪我になる可能性が高い事故パターンですね。

それと、ウチのブログのアクセス解析を見ると「自転車 ドア 衝突」の検索フレーズで来る人が週1くらいでいるので、結構頻繁にドア開けの事故が起きているのかもしれません。
Posted by 大三坂のぼる at October 25, 2005 00:33
ousaytさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
大阪でもありましたか。時間の余裕のなさもあるでしょうけど、見えているのに、乗り込む時に自転車の迷惑顧みず、ドアを開け放って乗り込む人なんかもいますね。
よく右折車が自転車だと曲がってくるとか、自転車が見えていても脇道から合流してくるとか指摘されることがあります。クルマしか運転しない人なのか、自転車なら止まるだろうと思い込んでいる人もいるようです。
実際には、自転車に乗ることもあるだろうに、ousaytさんのように、相手の立場にたって考えようとする人は少ないのでしょう。
私も決定的なタイミングではありませんが、つい先日も無神経にドアを開けた人に遭いました。危ないですよね。まかり間違えば死ぬところですから、場合によっては殺意を覚える人もいるでしょうね。
Posted by cycleroad at October 25, 2005 01:40
大三坂のぼるさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
経験されましたか。ケガが軽くて幸いでしたね。そうでなくてもタクシーは、客を見つけて急停車したり、急に車線変更したりと、身勝手な運転をする人もいますよね。客を乗せたり降ろしたりするためなら、他車、後続車が通れないようなとめ方をして平気な人もいますし..。私も何度もタクシーには危ない思いをさせられています。頭にくるようなこともあります。
タクシーに限りませんが、書かれてらっしゃるように、後列右側の客が無確認に降りるときは危ないですね。私も感じています。
そうですか。小さい事故やトラブルも含めれば、かなりの件数が起こっているのかもしれません。起きていてもおかしくないですね。
Posted by cycleroad at October 25, 2005 01:56
 
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