November 04, 2005

フライングスタートは危ない

歩車分離式信号最近増え始めている信号機があります。


発光ダイオードを使った新しいタイプの信号機もそうですが、歩車分離式信号というものも増えています。おそらく一度はどこかで見たことがあるのではないでしょうか。歩車分離方式の信号は平成17年3月末現在、全国で約3,500基しかないそうですから、全国の信号機の数、約19万からみると2%程度でしかありません。

しかし、都道府県ごとにバラつきはあるものの、徐々に整備され始めているようです。歩車分離信号は、簡単に言うと、歩行者とクルマが交差することのない信号で、横断中の歩行者を巻き込む右左折事故が激減すると言われています。一番わかりやすいのは、スクランブル交差点です。歩行者が横断している時に、クルマが右左折してくることはありません。

スクランブル方式歩行者専用現示方式右左折車両分離方式

上の説明図、左からスクランブル方式、歩行者専用現示方式、右左折車両分離方式です。歩行者専用現示方式というのは、スクランブルのように斜めには渡れませんが、やはりクルマが完全に停車している間に歩行者が横断するので、道路上で人とクルマが交わることはありません。右左折車両分離方式は、右左折車線のとれる太い道路でないと導入が難しいです。

普通の交差点今まで導入されて来なかった理由は、クルマが渋滞すると思われていたからです。単純に考えると、十字に交差する交差点の場合、交差点を通過できる時間は各方向1/2です。

それがスクランブルになると、歩行者の横断の時間がとられますので1/3になります。もちろん実際は等分ではないでしょうが、今までより短くなるのは確かです。当然渋滞するという考え方でした。

ところが、歩車分離式が渋滞をひどくするとは限らないことがわかってきました。横断者の多い交差点では、右左折車が横断者を待つためにクルマの流れが滞って渋滞することがあります。

しかし、歩車分離式にしたところ、かえって流れが良くなる場合もあることが、実験の結果わかってきました。右左折車が横断者がいないぶんスムースに曲がれて滞留しないため、時間が短くなっても、かえって渋滞しない場合もあるのです。

交差点ごとの信号方式を決定するのは各都道府県警察で、クルマ優先の考え方、渋滞回避優先の考えから、導入に消極的だったわけです。しかし、渋滞も少なくなるなら導入しない手はありません。そもそも、歩行者が事故に遭う可能性の高い方式が普通というのは、よく考えてみるとおかしいわけです。

歩車分離式だと導入された場所では、もちろん人身事故の発生件数は大幅に減少しています。実際に左折巻き込み事故などで、子供を失った親御さんが中心になった活動などもあって、住民の声が後押しした地域もあったようです。

こうした子供たちの尊い犠牲を無駄にしないという熱意と努力のお陰で広がってきた部分があることも忘れるべきではないでしょう。

ただし、全く問題がないわけではありません。都道府県によって導入の進捗ペースにも差がありますが、交差点ごとに歩車分離式と非分離方式が混在しているので、混乱が起きる可能性があります。

分離の方式もまちまちです。もちろん交差点一つ一つ、形状や交通量など事情が違うので、一律に行かない面もありますが、誤認や混乱による飛び出しなどの事故も起こりえます。

自転車にとって危険なのは、歩車分離式の交差点で、右左折するクルマが「歩行者が横断していない」と思い込んで、自転車に対する注意を怠ってしまう可能性があることです。その面では、右左折車両分離方式が、比較的安全そうです。(もちろん、歩道を通行し、完全に歩行者と同じ行動をとった場合にはこの限りではありません。)

まぎらわしい


どのくらいの交差点が歩車分離方式に変わっていくのか、各警察の判断もあるので明らかではありません。しかし今後、徐々に導入されていくものと思われます。今まで通っていた交差点が、いつの間にか変わっているなんてこともありえます。

ふだん通らない場所、知らない場所では、左折信号だけ先に出たりする、変則的な交差点に戸惑うかもしれません。気づかずに、あるいはうっかり事故に巻き込まれたりしないよう、少なくとも、いろいろなタイプの交差点の存在と、その危険性を頭に入れておきたいものです。




◇ ◇ ◇

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この記事へのコメント
こんにちは
今日、東京サイクルショー2005に行ってきました。
さまざまなイベントやブースがあり、見ごたえ十分でした。また、試乗コーナーもあってそっちの方も楽しんできました。

地元にも歩車分離方式の信号がありますが、歩行者、車両ともに少ない交差点なのでなぜ設置したのかがわかりません。
その交差点の3つ手前の交差点は歩行者、車両ともに多いので、そっちに導入すればいいのにといつも思っております(何を考えて設置しているのか?と思ってしまうほどです)

また、そういった交差点を自転車で通過するときは、通過する際に平行(もしくは、ちょっとでも先)に走っている車に先に行ってもらうようにしています。
Posted by road fun at November 04, 2005 16:26
road funさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
おお、行かれましたか。私も時間を作って同じ日に、ちょっとのぞいて来ました。私は遅い時間だったので、コメントの時間を見ますと、おそらく入れ違いくらいの時間かもしれません。
面白かったですね。先に記事の方をアップしてしまいましたが、私もいろいろ試乗して来ました。
歩車分離信号は、まだまだ実験的な導入が多いようですね。あまり主要な交差点は、混乱を避けるためか、まだ様子見なのでしょうか。詳しくはわかりませんが、他と連動する信号制御のシステムを使っていたりするところもあるようですから、そういった関係や、機器の耐用年数とか更新時期の問題もあるのかも知れません。
そうですね。そういう交差点では、右左折車などに今まで以上に注意を払う必要がありますね。
Posted by cycleroad at November 05, 2005 17:42
トラックバックありがとうございました。
私の住む札幌でも少しずつ、歩車分離式信号機が都心部を中心に増えてきました。歩行者としても、ドライバーとしてもメリットの多いシステムだと思っています。だた、まだまだ慣れない人/ドライバーが多いですけれど(笑)。
Posted by はねださん at November 19, 2005 23:00
はねださん(さん)、こんにちは。コメントありがとうございます。
そのようですね。確かに、慣れるまでの問題はありますね。混在しているのも混乱の元です。
やはり、効果があるから導入され始めてるのでしょうから、全国的に1ヶ月くらいで一気に変更しちゃえばいいような気もしますけどね。
Posted by cycleroad at November 20, 2005 01:05
トラックバックありがとうございます。
私もはねださんと同じ、札幌在住です(^^)
全国的に1ヵ月でって凄いでしょうね。
警察に聞くと1箇所でかなりの予算が必要なんで、年間でもそんなに出来ないとのことですが、必要な場所から早くやって欲しいと思います。
が!どこでも効果があるって訳ではなく、札幌駅前通りと大通りの交差点は分離式にしたことによって、右折する車が前より流れが悪くなり、歩行者信号が青になっても右折車が歩道に進入する場合もあって、難しいなと感じています。
ちょっとローカルな話ですが(^^;
Posted by BEM at November 21, 2005 15:02
BEMさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
いや、予算があることは充分承知してるのですが、徐々に導入することが混乱と事故を招くのであれば、政治判断ですが、国政レベルで予算化することは充分可能ではないでしょうか。
都道府県の通常予算では無理ですが、国家予算の中なら、そのくらいの財源は必要であれば手当てできます。財政の健全化の問題はありますが、建設国債のような形を取らずとも、実は今なら道路特定財源の一般財源化を先送りするだけでも充分可能でしょう。理解も得られやすいと思います。
確かに、交通量や道路の幅との兼ね合いがあるでしょうし、簡単に道路の拡幅なんて出来ませんから、場所によって微妙な問題はありますね。
Posted by cycleroad at November 22, 2005 07:26
 今晩は。初めまして。「歩車分離交差点を自転車で通過」で検索して、こちらに参りました。
 表題について、思うところがありましたので、書き込みさせて頂きたいと思います。
 分離式交差点を観察していると、なぜか歩行者用信号機に従って、進行している自転車が多いのです。
 それとは別に、「自転車歩行者専用信号機」の標識がついたまま、分離式になっている所もあり、これでは「自転車」
で交差点を通過できないのではないかと思ったりしました。
 まずは、自転車は車である、と言う意識を、自転車のライダーに、持ってもらうことが先決だと思います。
Posted by ニコ大監 at May 05, 2006 21:22
ニコ大監さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ご指摘の件は、私も感じることがあります。歩車分離信号ではないのですが、歩行者用信号が先に赤になっても、しばらくクルマ用信号が青の信号もありますよね。タイミングもありますが、歩行者信号が赤の場合、自転車で横断するのは私のみで、他の自転車の人は止まっている、なんてことがあります。私だけ信号無視してるように思われてしまいます(笑)。
やはり歩行者のつもりでいる人が多いのでしょうね。ただ、クルマも自転車が止まると思って左折してくる人が多いので、気をつけないと危ないことも確かです。
自転車のことを全く考慮していないかのような標識や交差点なども、たまにありますね。間違ったことを言う警察官もいるようですし..。結局、自転車に対する認識不足、自転車の歩道走行などの交通行政などから来る立場の曖昧さの所産なのでしょうね。
Posted by cycleroad at May 06, 2006 23:49
 
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