November 30, 2005

きっかけになる自転車の形は

ハンドサイクル昨日は、ハンドサイクルを取り上げました。


ハンドサイクルは、必ずしも競技や運動のためのものばかりではありません。車イスを使う方が、日常の移動に使っても、大きな機動力が得られます。

ハンドサイクル着脱式 

左の写真は、スポーツ走行向けのハンドサイクルです。車高も低く、いかにも速そうです。そしてこの製品は簡単に分解できて、競技会に出場するための輸送にも便利に出来ています。さらに、前輪の駆動部分を着脱して、通常の車椅子に装着して、右側の写真のように組み合わせて使えるというのです。

着脱

通常に近い姿勢で乗れるわけです。もちろん、前輪の駆動部分だけの商品も販売されています。むしろこちらの方が一般的です。これでしたら、ハンドサイクルの完成車と違って保管に場所もとりませんし、必要なときに装着して出かけられます。車椅子の前輪は通常ご存知のようにキャスターですが、ハンドサイクルを装着することによって、格段に走行性が上がるわけです。

装着する駆動部分

こちらの販売会社のページをスクロールすると、一番下にテレビ放送という動画へのリンクがありますので、ご覧になるとわかりますが、ふだん乗りなれないアナウンサーの人が簡単に走行出来ています。着脱も簡単そうです。同じページの写真の下の「VIDEO」をクリックしても短い動画が見られますが、簡単に着脱して利用する様子がわかります。

ハンドサイクル

ドイツの会社のものが多いようですが、ほかにも電動アシストタイプ、砂浜などでも使えそうなタイプ、そして2輪に補助輪付き(コマつき)のタイプもあります。タンデムもありました。前の人は足で漕いで、後ろの人は手で回すタイプです。ちょっと楽しそうです。

電動アシスト2輪補助付

タンデム

基本的にハンドサイクルでは、足のように互い違いでなく、両手を左右揃えて回します。逆に回すとブレーキがかかるタイプ、別にVブレーキやディスクブレーキを備えるものなど、ユーザーにあわせたシステムやオプションを選択出来るものが多いようです。

オフロードリハビリ用

ほかにも、上の右の写真、フランスベッドで出しているリハビリ用のハンドサイクルは、クランクを回すのではなく、前に倒したり起こしたりすることによって進むものもあります。ロウバイクに似ています。以前取り上げた、障害者用自転車製作二十六年の堀田製作所の踏み込み式自転車もそうですが、必ずしも回転運動でなくてもいいわけです。

先ほど出てきた、テレビ放送のリポートでは、2004年の前半の段階で、日本での普及はまだ40台というようなナレーションもありましたが、競技用の方は、もう少し普及が進んでいるのかもしれません。同じ年の自動車会社の主催する、マウンテンバイクフェスタというイベントでは、オフロード用のハンドサイクルでの競技も行われています。

競技会

競技会

競技会

一方で、福祉機器としての位置づけですが、車椅子つき自転車というのも作られつつあるようです。こちらは、ありそうで、まだほとんど無いようです。ハンドサイクルと違って、普通の自転車に簡単に装着、とはいきません。普通自転車ではないので、走行できるところも限られます。すると当然のことながら、個人での購入は難しいでしょう。

車椅子つき自転車を公的な機関が購入して、例えばサイクリングロードなどでレンタルしたらどうなのでしょう。車椅子の方が来て、好きな時にサイクリングを楽しめます。なんならボランティアが、後ろで漕いでもいいと思います。サイクリングロードにいるサイクリストに声をかければ、トレーニング代わりに漕いでくれる人は見つかるのではないでしょうか。希望者がいる時にたまたま通りがかったら、どうせ走るわけですから、自転車を乗り換えたっていいでしょう。

車椅子付き自転車車椅子付き自転車

最近、バリアフリーがよく言われるようになって来ました。駅などにエレベーターが設置されたり、建物の入り口にスロープが作られたりしています。しかし、既存の道路や構造物などを含めた社会基盤には、まだまだ改良されていない部分も多いのが現状です。実際に車椅子の方が単独で出かけようと思ったら、行程を細かく調べて、段差や障害物の回避を検討しなければなりません。

街のすみずみまで、バリアフリーの工事が進むには長い時間がかかるでしょう。構造的にどうしようもない傾斜なども残ると思われます。それでも、車椅子の方が積極的に外出できて、健常者も気軽に手を貸すような世の中になればいいと思います。日本人はまだ慣れないこともあって、手を貸したほうが親切なのか、注目しない方がいいのか、戸惑いもあるようです。

欧米の国々に行けば、ごく当たり前に見られる光景ですが、車椅子の方が、もっと外出されるようになって、当たり前のように見られるようになってくれば、おのずと慣れてくると思います。確かに日本人は一般的にシャイかも知れませんが、欧米人に比べて不親切とは思えません。そうした意味からも、ハンドサイクル等の普及が、車椅子の方の外出を助けるだけでなく、外出する「きっかけ」になればいいなと思います。




◇ ◇ ◇

ハンドサイクルについては、記事が長くなりすぎたので2日間に分けました。それでもリンクの写真がいっぱいになってしまいました。お使いのブラウザや、表示フォントの大きさによっては、レイアウトが崩れて、見にくくなっているかも知れません。すいません。なるべく大きめのフォントにしていただいた方が見やすいと思います。

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この記事へのコメント
あぁ〜それなら排気ガスもないし環境によさそうですね。タンデムのやつなんかも面白そうだし、いろんな種類があってどれに乗ろうか迷いそうですね。それにしてもあの片輪上がってる写真はあぶないですね〜ww
Posted by 沖縄の人 at November 30, 2005 18:50
沖縄の人さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
タンデムも含めて、一度乗ってみたいですよね。オフロードタイプの前傾姿勢のものなど、目線が低いぶん、かなりスピード感がありそうです。
片輪上がりのは、角度的に、どちらか上がってしまうんじゃないでしょうか。カーブ以外では両方接地しないのかも知れません。ちょうど、補助輪なしでも走れるようになる間際の幼児車みたいに..。
Posted by cycleroad at November 30, 2005 22:03
なかなかイカしたハンドバイク達ですなぁ。例の片輪上がってるやつなんかリカベントに補助輪付けただけって感じですね。
道路のバリアフリーに関しては、段差の解消を待つより、容易に乗り越えれる乗り物に乗ったほうが早そうですね。
ところでこのハンドバイクって、どれくらいの体力が必要なんでしょうね?私の頭の中では、障害者の体力は健常者より劣ると考えているのですが。まぁ、スポーツを普段からする障害者は別としてね。ママチャリなんかは、普段運動してないおばちゃんでも乗れるわけだから、それを考えると、このハンドバイクたちに乗るためのハードルはどれくらいの高さなのだろうと思いました。
Posted by maksim727 at December 02, 2005 15:45
maksim727さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですよね、楽そうだし乗車姿勢もサマになってますし。
歩道の段差に関してはそう思いますが、日本の法律では普通自転車でないと違法になってしまうのが難点です。実際の運用上は、取り締まられないとは思いますが。
本文中のリンク先の動画を見ますと、軽々乗ってますね。障害のタイプによって、いろいろなオプションもあるようです。
もちろん電動カートの方がいい人もいると思いますが、下肢だけの障害であれば問題ないようです。車椅子で移動する方がよっぽど力が要るようです。自転車でもそうですが、ギアがあるぶん、直接車輪を回すより、力は要らないでしょうね。
Posted by cycleroad at December 03, 2005 11:46
 
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