December 29, 2005

スリムにすれば多いメリット

現状以前から注目して記事でも取り上げている大分市ですが、来年新たな社会実験を行うようです。


と言っても、大げさなものではありません。ローカルな話題ですし、ほとんど注目されないような記事ですが、大分駅に近い道路を300メーターに限って一方通行にし、そのぶんで自転車通行レーンを設置するというものです。期間はたったの5日間です。5日間で何がわかると言われそうですが、それでも自治体の取組みとしては、一定の評価に値するでしょう。

イメージ

他の地域でも、臨時の一方通行規制はあるでしょうが、自転車通行帯を設置するためと言うのは、あまり聞いたことがありません。大分市の場合は、かねてから推進している「バイシクルフレンドリータウン〜自転車が似合うまち」創造事業の一環としての実験です。市は「自動車、自転車、歩行者を分離することで道路を安全・快適に利用できるようになる。」と、その目的を明確にし、「自転車レーン社会実験」と呼んで、自転車レーンの実験であることを明示しています。

しかも、多くの自治体でやるような、歩道を色分けして自転車通行帯にするようなものではありません。まあ、実施場所を見ると歩道が狭いこともあるかも知れませんが、車道を狭め、一方通行に規制しているところが評価できるポイントです。もっとほかの地域でも、こうした取組みは出来ないものでしょうか。ヨーロッパの先進都市では、すでに都市部へのクルマの流入を規制し、自転車を見直して有効活用できるようにし、渋滞や大気汚染、炭酸ガス排出を抑制するのは、当たり前の考え方になっています。

長い年月と莫大な買収資金をかけて都市部の道路を拡幅しても、すぐそのぶん交通量が増えて、かえって渋滞につながったりします。都市部では、その費用対効果はお話になりません。結局、路駐のスペースを増やしているだけとの結果も出ています。むしろクルマの通行を制限したり、車線を減らしても、路駐のスペースがなくなるだけで、クルマの通行量には影響のない場所も多いはずです。

通行の規制を増やすことは、都市全体へクルマの流入を減らす効果にもつながります。都市全体で言っても、苦労して道路を拡張するよりクルマの流入を制限したほうが、環境面や渋滞対策からもよっぽど効果的なのです。また慢性化しているので感覚も麻痺しているところがありますが、人々が受ける渋滞による経済的損失と大気汚染による健康へダメージは、甚大なものがあります。金額も膨大ですが、目に見えない健康被害も深刻です。

まだ明らかになっていない部分も多いですが、喘息などの呼吸器系疾患ばかりでなく、有害物質の体内への蓄積により、花粉症やアトピー、ガン罹患率の上昇など、看過できない被害を被っている可能性も高いのです。騒音や振動にさらされる症状や、精神的なストレスもあります。もちろん交通事故によって死傷する直接的な被害や、家族を失うことによるストレスも大きなものがあります。

クルマのナンバーによって曜日の規制をしたり、乗車人員によって流入を制限する都市も増えています。中心区域内に乗り入れたら監視カメラによって一定の通行料が課せられるようなロードプライシング制をとる都市もあります。都心の道路に駐車しようものなら、20分もかからずに確実に駐車違反を取られる地区もあります。全部モニターで監視しているのです。日本のような路上駐車の多さは、むしろ後進国並みになりつつあります。

路上駐車は、我々の公共財産である道路を一個人が不法に占拠していることにほかなりません。道路としての本来の経済効果が失われるばかりか、本当なら駐車料として発生すべき売上が減少し、その分税収も減ります。公共の駐車場の収益も減ります。二重三重に経済的損失なのです。あまり駐車を規制すると、周辺地域への経済効果が阻害されるように言う人もいますが、むしろ一部の人の長時間駐車が増えるだけで効果は薄いとの指摘が正しいようにも思います。ごく一部の人を利する結果になるくらいなら、駐車禁止を徹底し、公共交通や駐車場、その他の輸送手段の利用を促進すべきでしょう。

「いや、俺もたまに路上駐車するし、そんなに駐禁とられても困るな」と言う人もいるでしょう。気持ち的にはわかります。しかし、そういう人が駐車するのは、路上駐車の、のべ駐車量から言ったら微々たるものでしょう。圧倒的に、路上を車庫代わりにしている限られたごく一部の人に簒奪されている部分が大きいわけです。自分もたまにやるから強く言えないと思っている人は、その僅かな駐車料金と引き換えに、ごく一部の人に大きな利益を与えているようなものです。しかも、それは本来、税収や公共料金、あるいは道路の生み出すはずの経済効果という莫大な社会的利益を盗まれているようなものなのです。

誰だって駐禁を取られるのはイヤですし、大勢が路駐しているのに、わざわざお金を払って駐車場に入れるのもバカバカしいと思います。しかし、その状態が慢性化しているのが、市民感情として駐車禁止の取締りに反発する原因でしょう。もちろん取締りの不公平さなどの要素もありますが、誰も停めていなければ文句も出ません。都市部に駐車場が不足しているから仕方がないと考える人も多いでしょうが、ここは発想を転換したらどうでしょう。道路は通るためのものです。駐車禁止の徹底のために有効な手段として、路上駐車スペースを無くしてしまったらどうなのでしょう。

路駐出来ても、集客より弊害が大きくなっています。それなら、路駐のぶんは一方通行にでもして、自転車通行帯にしてもいいではないですか。クルマは周辺部に止めてパークアンドライドにする手もあります。ライドは公共交通機関でもいいですし、自転車でもいいでしょう。結果として都市の中心部へのクルマの流入は減り、環境にも、健康にも大きな効果が得られるでしょう。そして、唯一問題視されてきた経済的効果も、かえってプラスになるのではないでしょうか。

都市計画と都市交通の問題は単純ではありません。しかし、諸外国の例を見ても、国土交通省や警察庁の基本的な方針を見ても、このような方向に向かいつつあるのが趨勢かと思います。都市部ではクルマを制限したぶんで、歩行者と自転車を分けた方がよっぽど意味があると思いませんか。今までの状態が先入観になって、クルマのみを便利にする方向が当たり前に思えていませんか。クルマの人だって歩くし、健康被害は受けます。結局どちらの方向が自分自身の為か、考えてみませんか。



お正月は、都市部のクルマの通行量も激減して、自転車でも走りやすくなりますね。普段は通らないけど、走り初めに街の中心部を流すなんて手もありそうです。ただ今年は、お正月も寒そうですね。走り納め、走り初め、決まってます?

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 79キロ、14000円。  正月の準備をする者、実家に帰る者・・・都内のメッセンジャーの稼働人数も減り、都心を走るクルマも減り、まるで自分一人だけが東京を走っているかのような錯耮
そして誰もいなくなった〜メッセンジャー仕事納め〜【なんちゃってチャリダー自転車始末記】at December 31, 2005 11:50
この記事へのコメント
路駐は自転車に乗ってる人はかなり困りますよねw車を止めてる人のためになぜ命を懸けて右によって走らないといけないんだろう?とかほかにもいろいろ疑問があります。でも自転車通行帯をいきなりつくってもただ危ないだけだと思います。実際ぼくは国道を走っているときにたまたま工事で100mくらい車線減少して1車線しかなかったところを走ってたらいきなり横から4トントラックらしきとてもデカイトラックが2台も追い越しました、しかもスピード違反で・・・100mくらい待ってくれればいいのにって僕らが思っても彼らは違うようですね。
Posted by 沖縄の人 at December 29, 2005 15:52
まぁわからないこともないです、相手はこっちをひいても自分は死にはしないからなぁ〜。その場所も大変なことで少し上り坂になってて制限速度が40kmだったところを僕は粘りに粘って、迷惑をかけないように35km程度でのぼってましたw左のほうのペダルをあげたままにしないと段差にあたって落車・・・正直、死ぬかと思った。まぁ、こういうこともあって、車の運転手のみなさんが自転車の安全も考えるようになってから自転車通行帯を作るべきだと思います。それにしてもcycleroadさんはナイスなアイデアであふれてますね、9月から小泉さんに代わったほうがいいのでは?wコメント2つ分になってごめんなさい(>_<)
Posted by 沖縄の人 at December 29, 2005 15:53
沖縄の人さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
いやー、ずいぶん危ない経験をされたようですね。確かにハード面だけ整備されても、人々のモラルやマナーが伴わなければ、秩序や安全はもたらされないと思います。おっしゃるように、交通弱者への配慮が足りないドライバーも多いですし、人を轢いてもいいとは思ってないにせよ、あまり深刻に考えているとは思えない人がいるのも確かですね。また自転車に乗る人のマナーも、全体としては決して褒められたものではないわけです。
逆に言えば、そうした人にマナーやエチケットを説いても効果が無いこともたくさんあるわけで、やはり通行帯などの整備も求められるのだと思います。通行帯にしても、安全のために車道や歩道との間にガードレールか柵を設けるようなことも必要でしょうね。
(続く)
Posted by cycleroad at December 29, 2005 23:28
(続き)
過分なお褒めをいただき恐縮です(笑)。私にそんな実力が無いのは確かですが、自転車振興とか自転車道整備なら是非やらせて欲しいものです。交通安全などにも貢献できるし、自転車を取り巻く環境も改善できると思うんですけどね(笑)。
コメント欄は、2つでも3つでも全然構いませんよ。むしろ文字数少なくてお手数おかけしてます。
Posted by cycleroad at December 29, 2005 23:34
 私は自転車に乗り始めるまで正直ロードで車道を走ってる人の気持ちは分かりませんでした。「自転車レースの選手のトレーニング」としか思ってなくて、自転車が車道と歩道のどっちを走るのが正しいのか知りませんでしたし。ただ「なんか危ないよね。」とは思ってました。どうやって車族に自転車族の気持ちを理解してもらいましょう?車と言ってもトラックからVIPカー、自転車と言ってもママチャリからロードまで様々。実際ママチャリのおばちゃんは実に自由に走り回っておられるわけで(汗)。難しいですね。駐禁に関して言えば大阪はエゲツナイ(すさまじくヒドイ様)でっせ。警察も困り果ててるハズ。車イスの人も自転車族もまさに命がけです。悲しい。cycleroadさんに本当に立ち上がって欲しいと思います。「自転車党」なんて恥ずかしい事は言いませんけど(笑)もし将来全国レベルで整備する段になって1番難儀なのはまちがいなく大阪です。申し訳ない。
Posted by キルワニ at December 30, 2005 13:43
東京でメッセンジャーをやっていますが、12/30まで走っていました。29、30日は都心の交通量も激減でした。クルマの交通量はもちろん路駐も少なく、「え?この道路ってこんなに広かったの?」とビックリしたり。また、路駐がないと「自転車本来のスピード」で走れるので驚くほど早く配達が終わりました。以前は漠然と「自転車レーンを作ってくれー」と思っていましたが、仕事でも乗るようになってからは、構造物でレーンを設けるより先に、超徹底した取締り!が先じゃあないのか?と思うにいたりまして…(せめて行政自ら路駐を認めるコインパーキングの撤去だけでも)6/1からの取締り業務の一部民間委託に期待しています。
Posted by kakugeta at December 31, 2005 12:00
キルワニさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですよね、世間一般からみればロードで車道を走っている人なんて圧倒的少数派に間違いありません。車道を通ってはいけないと思っている人も大勢います。そうした人やクルマの人に理解してもらうのは困難でしょうね。やはり安全のため、都市部では物理的に分けるしかないような気がします。
大阪のエゲツなさ(笑)は私も何度も見ています。あの何重にも駐車できる根性はとても真似できません。
私に出来ることなら何でもやりたいくらいですが、残念ながら一人では、駐車一台減らせないでしょう。でも、自転車党とは呼ばないまでも、せめて自転車に乗る人の声だけでも結集されれば、変わる可能性はあると思います。9月21日に記事にしたような動きもあります。そうした可能性に向けて訴えて行きたいですね。
Posted by cycleroad at December 31, 2005 16:02
kakugetaさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうでしょうね、都心のお盆や正月のクルマの少なさは、人類絶滅かと思いますよね(思わないって・笑)。
おっしゃるように、通行帯として構造物を造るとかえって走りにくくなったり、自転車の渋滞など問題もあるだろうなと思います。取締りによって違法駐車が一掃されれば、もちろん文句ないですし、自転車レーンが無くて済めばそれに越したことはありません。しかし現状を見るかぎり、その方が非現実的に思えてしまいます。
むしろ違法駐車を一掃するために、車道と歩道の間を自転車レーンで分断して、車道にクルマを停めて、そこからすぐ歩道へアクセス出来なくするのも効果的なのでは?と思います。クルマを停める余地を物理的になくす構造も有効かと。コインパーキング廃止は同感ですが、無料開放になる恐れもあります。民間委託もいたちごっこのいたちの交代に過ぎない気もしてしまいますが、どうなるでしょうね。
Posted by cycleroad at December 31, 2005 16:30
なるほど、そもそも物理的に「止めさせない」という作戦ですね〜。僕自身も、いずれはレーンの建設へと向かわなければならないと思います。最後には、徹底した路駐取締りと、レーンの建設の両方がメニューとして必要なんですよね。ただ、順番の問題です。ところで路駐の害って、交通問題や環境問題がまず思い浮かびますが、もっと直接的に、緊急車両の通行を大きく妨げているのがヤバイです。救急車が急行するも路上は大渋滞。一般車が脇へよけようと思っても、路駐のせいで物理的に身動きできない。こんな風景にもう何度も出くわしてきました。救急車や消防車の到着が遅れ、間接的に命を落とした人って、絶対いると思います…。
Posted by kakugeta at December 31, 2005 20:40
kakugetaさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
レーンは正直言って、我々のような非ママチャリ派には走りにくくなる面も大きいかもしれません。ただ、街中はそれでも仕方が無いと思います。レーンによってもたらされるものは、ヨーロッパの先進都市の例を見ても、渋滞や環境以外にも、いろいろある気がします。
緊急車輌の問題は、おっしゃるとおりですね。交通事故も誘発しますし、大地震発生時の救援や物流にも障害になることも問題にされてます。いつ、私達の命取りになってもおかしくないワケですよね。
Posted by cycleroad at January 02, 2006 15:16
 
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