February 06, 2006

リカンベントと自転車の未来

ペダルが手前日本では、リカンベントの知名度は高くありません。


昨日も出てきたリカンベントですが、これまでにも取り上げた話題の中で何度も登場しています。でもよく考えるとリカンベントそのものは記事にしていませんでした。あまりご存じない方も多いと思いますので、改めてまとめておこうと思います。

リカンベントは、実際のところ日本ではあまりポピュラーではありません。リカンベントという単語も他であまり使われないので、どちらかと言えば聞きなれない単語だと思います。趣味のサイクリストなら知っている人も多いですが、一般の人は名前すら聞いたことがないでしょう。そのせいか、単なる変り種自転車と思っている方も少なくないようです。しかし、そんなことはありません。

ペダルが前方

簡単に言えば、サドルにまたがるのでなく、シートに座って足を前に投げ出した形でペダルをこぐ自転車ということになります。そもそもリカンベントの単語の意味は「寝そべる、もたれかかる、横になる」といったような意味ですが、まさに居間のソファでくつろいでいるような姿勢で乗れるわけです。普通の自転車を見慣れていると、違和感を感じますが、意外にも、理にかなった姿勢なのです。

トレーニングジムなどにある、背もたれにもたれた姿勢でヒザの屈伸でオモリを持ち上げるマシンを想像してもらうと解かりますが、背中を固定することにより、脚が大きな力を出しやすい形なのです。脚力を効果的に駆動力として使えることになります。

違和感が少ない

そのため、一般的にはアップライトな姿勢で乗車する普通の自転車と比べて速いスピードが出せます。スピードを出す上では大きな要素となる空気抵抗が格段に少なくなるという利点もあり、実際のところ、地球上の全ての人力による乗り物のスピード記録はリカンベントによるものです。

この姿勢のもう一つの利点、もしかしたら最大の利点は快適さと言えるかも知れません。自転車に本格的に乗り始めると経験する人が多いお尻の痛み、体重を支えるための腕や手首の痛みとも無縁です。前傾姿勢に慣れないことから来る首や肩の痛みも同様です。むしろリカンベントのほうが、より自然な姿勢と言えるかもしれません。長く乗っていても、より疲れにくいのも利点です。

ペダルが手前

一方、難点として指摘されるのは、立ちこぎが出来ないぶん、登りに弱いこと、ライダーを含めた車高が低くなるため、クルマからの視認性に劣ることでしょうか。そのため実際にリカンベントでは、クルマなどから目立つ高さに旗を掲げて乗る人が多いようです。あまりに寝そべった姿勢のタイプだと、走行中に振りかえって後方を確認しづらいので、バックミラーなどが必要になることもあります。普通の自転車より入手しにくい、割高というのもあるかも知れません。

リカンベントも注意してみると、幾つかのタイプに分けられるのがわかります。ロングホイールベースで、前後輪の間にペダルがくるものもあれば、ショートホイールベースで、前輪より前方にペダルがあるものもあります。ハンドルが通常のようなタイプと、腰の位置についているものの違いもあります。タイヤの大きさにもよりますが、より高い位置に乗車するものや、なるべく低く路面ギリギリに座るようにデザインされているものもあります。

風防付きもちろん2輪ばかりでなく、3輪や4輪のものもあります。3輪は後ろ2輪のデルタと呼ばれるものと、前2輪のタドポールと呼ばれるタイプがあります。ちなみにタドポール(tadpole )はオタマジャクシの意味です。オフロード用やタンデムもあります。こうした基本的な違い以外にも、普通の自転車以上にカスタマイズされる場合が多いようです。

写真のような風防をつけると、多少の雨は気にならないというのも大きなメリットではないでしょうか。アップダウンやストップアンドゴーの多い街乗りには、あまり向かないかもしれませんが、長距離をツーリングするなら快適です。私も短い時間借りて乗ったことしかないのですが、広い大陸を行き来するような欧米のサイクリストの間では、日本とは違ってかなりポピュラーな存在です。

リカンベントの歴史は案外古く、19世紀にはすでに考案されていました。かと言って過去の自転車ということではありません。現在に至るまで、根強いファン層が存在します。19世紀後半から20世紀前半にかけてリカンベントは確実に進化、普及しつつありましたが、自転車競技のスピード記録を塗り替えてしまうようになったため、1934年に国際自転車競技連盟(UCI)によって禁止になってしまいました。

歴史このことが、決定的にリカンベントを表舞台から追いやることになります。その後の数十年間はリカンベントにとって、まさに暗黒の時代となりました。やはり、自転車の販売や普及にとってスポーツやレースといった面は無視できません。

現在でも規制されている競技は多いですが、ようやく近年になって、そのポテンシャルが注目され、様々なタイプが開発され、普及するようになってきました。日本でも最近、上の写真のような、より形状的な違和感の少ないタイプや、価格の手ごろなものなども出回るようになってきています。

欧米では、日本で感じるよりメジャーな存在になりつつあります。従来の感覚からすると、どうしても違和感がある人も多いでしょうが、そうした固定観念を捨てれば、その速さと快適さは魅力です。海外のサイトなどを見ていると、その形状から、さらに空気抵抗を減らすため、車体全体をカーボンファイバーなどのフェアリングで覆った、ストリームライナーなどと呼ばれるリカンベントを自作する人もいます。

自転車にとって、風の抵抗は大きな悩みのタネですし、スピードを出したいという根源的な欲求もあります。重さとの兼ね合いはありますが、雨や風にも強く、速くて長時間楽にこげます。少なくとも自転車の進化の方向の一つと言えるのではないでしょうか。

もし自転車競技で禁止され、現在も使えないという規制がなければ、数々の面で優れたリカンベントが自転車の主流になっていた可能性もあると思います。今ごろ私達も当たり前のようにリカンベントに乗っていたかもしれません。今後、主流となるかどうかは別としても、まだまだ潜在力を秘めた、発展が期待される自転車と言えそうです。



時期外れの休暇の旅行で、昨晩は疲れて爆睡してしまいました(笑)。さて、今日から通常モードに戻さねば..。

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