February 07, 2006

自転車の行く手を阻む厚い壁

フェアリング風の強い日、風上に向かって自転車をこぐのはつらいものです。


日常的に自転車に乗っている人なら誰でも経験すると思いますが、ペダルが重くて、泣きたくなる時もあるのではないでしょうか。そんな時は乗らない、という人も多いかも知れません。例え強い風が吹いていなくても、自転車に乗る上での最大の物理的な障害と言えば空気抵抗です。

その面で、寝そべった姿勢で乗るリカンベントの優位性は昨日も書きました。実際リカンベントに乗るとそのことに思いが至る人が多いようです。昨日も触れたように、海外のサイトなどを見ていると、さらに空気抵抗を減らすため、冒頭の写真のような車体を覆うフェアリングを取り付ける人をよく見かけます。

フェアリング

フェアリング(fairing)と言うのは、空気や水の抵抗を減らすために航空機や船、クルマなどの表面を流線形にすること、またはその流線形の覆いのことを言います。風防に近いかも知れませんが、単なる風除けではなく、乗り物として風の抵抗を少なくするように工夫されたものです。

ある程度スピードの出る乗り物なら、当たり前のように考慮して設計されているわけです。リカンベントに乗っている人が最初に考えるのは、上のようなカウルとかカウリングと呼ばれるような流線型のカバーを取り付けることかもしれません。

フェアリング

そのうちに、あきたらなくなって上のような風防を自作し始める人もいるでしょう。全体として流線型に近づけて少しでも空気抵抗を減らせば、より速いスピード、より楽に走行できるわけです。

フェアリングフェアリング

そのうちにエスカレートする人もあるでしょう。

フェアリング

結局こんな形に行き着くことが多いようです。流線型のカプセルにスッポリ入り込んだ状態なら、空気抵抗は限りなく小さくなるわけです。

フェアリング

なんとなく、新幹線やレーシングカーの一部、そのほか流線型の他の乗り物に似てくるのは必然て゜しょうか。

フェアリング

こちらなどは完成度が高い見事な出来です。一般のメジャーなメーカーが市販している例は、ほとんど聞かないのでみな自作です。さまざまなものから、パーツを流用したりもしているようです。

フェアリング

こちらも究極に近いデザインです。欧米には工房や部品を売っている店もあるようですが、ほとんどプラスチック成型などの技術を駆使して、ひとつひとつ、一からハンドメイドする場合が多いと言います。それぞれ必然的に似てくるのも確かですが、一つ一つみな違います。

フェアリング

これなど確かに速そうですが、前が見えているのでしょうか。

フェアリング

あまり形にこだわると重量が増えてしまいます。使う材料も、プラスチックやアクリル樹脂から、金属、カーボンファイバーなどの先端素材まで様々です。カヌーなどは、木材で出来ていても驚くほど軽いものがありますので、木工という選択肢もあります。

フェアリング

実際に、こうしたフェアリングをつけたリカンベントの競走など、多くの大会やイベントが開かれています。技術を競ったり、情報交換をするようなサークルや団体も数多く存在します。普通の自転車に乗っている人よりも、その活動をウェブで公開したくなるからか、実に多くの愛好者のサイトが目につきます。

フェアリング

素材や形も様々なら、アイデアも様々です。これなど、ちょっと欲しくなるくらい実用的に見えます。

フェアリング

こちらもかなりの技術力です。視界も良く、究極のフェアリングかもしれません。ただ温室効果で夏は暑そうです。換気も考えられているのでしょうが、見ていると息が詰まりそうな気もしてきます(笑)。

フェアリング フェアリング

実際問題として、空力的なデザインのほかにも視界や換気、強度や耐久性、重さや加工のし易さ、耐水性やバランスなど様々なことを考慮しなければなりません。もちろん乗り降りの方法も問題です。

フェアリング

こんな具合にフェアリングをかぶるスタイルばかりではありません。

フェアリング

こちらは乗り降りに、「こだわり」が見えます(笑)。

フェアリング

上の形のように、開口部があったほうが乗り込みやすそうです。

フェアリング

実用的なことを考えれば、全て覆わない選択肢も充分あります。スッポリかぶっていると、ちょっと滑稽な感じも出てしまいますが、これなどはデザインも未来的な雰囲気があってカッコいいです。

フェアリング

こちらは、透けていて何となく素材が想像つきます。

フェアリング

子供でも片手で持ち上がるくらい軽いというわけです。

フェアリング

後ろ半分だけフェアリング成形したタイプも良く見ます。乗り降り以外にも視界の点では有利です。この方、水泳キャップのようなものをかぶっているのも空気抵抗を考えてるのでしょうか(笑)。

フェアリング

こちらの方、タイヤのブレを見ているわけではありません。

フェアリング

後ろから見るとこんな姿勢です。リカンベントで空気抵抗を減らす為に、より寝そべる形にすると、どうしても前方視界が悪くなります。そこで、うつぶせで乗るタイプを考えているわけです。

フェアリング

補助輪は、走行中、航空機のように格納されるのでしょうか。

フェアリング

どれも自由な発想やこだわりがあって、見ていても楽しいものがあります。単に、向かい風の影響を最低限にしたいとか、極力空気抵抗を減らしてラクにこぎたいという実用的な理由だけでなく、こんなフェアリングをつけたリカンベントに乗ってみるのも、ちょっとシャレた感じで楽しそうです。



そう言えば、参加できるか話題になったボブスレーにも形が似ているものがあります。と思えば、いつの間にかトリノオリンピックもあと3日ですね。

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この記事へのコメント
だんだんと、停車中に足をどこから出すのか気になるデザインになっていくのが面白いですね。
Posted by maksim727 at February 08, 2006 10:28
maksim727さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ホントですね(笑)。完成するまで足をつくことを忘れていた!なんてことは無いのでしょうけど、足をほとんど真下につくしかないように見えるものもありますから、その辺はかなり犠牲にされてるのでしょうね。
Posted by cycleroad at February 08, 2006 12:54
すっぽり、体を覆うタイプのは傍から見ると、とってもかわいい〜〜ですね(笑)

これらは確かに、空気抵抗は減らせますが、同時に操作性を失っていますね。

2番目の写真の自転車の前面に付けるタイプは、サイクルショーにも出ていましたし、一番実用的なタイプではないでしょうか
Posted by road fun at February 08, 2006 16:21
road funさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ホントに、コンパクトでかわいくなってしまいますね。ユーモラスですし..。
確かに、延々と大陸横断するような道ならともかく、日本の道では厳しい面もあるでしょうね。
アクリルの風防ですね、私もサイクルショーで見たのを覚えています。たしかそのブースの商品は風防だけだったような..。リカンベントなら、これだけでもずい分違うのでしょうね。
Posted by cycleroad at February 08, 2006 23:14
こんにちは自称発明オジサンを生涯現役を目指しているシニア(75歳)です。風防の形 色々あるのですね。興味があります。昨年から風雨でも乗れる自転車を開発中です。先週、試作機は出来たのですがここサッポロは積雪年間6メートルと云う土地柄。雪が解けたら一番に実地テストをしてみたいです。高齢者の自動車免許返納はいつかは来る 自転車がクルマ並みとはいかないけどせめて雨でも乗れる自転車風防を考えたております。
Posted by バリアフリー研究会 小原 實 at February 13, 2017 09:32
バリアフリー研究会 小原 實さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ここにあるのは、主に2輪のものですが、他にもトライクをベースにしたものや4輪のものなど、世界にはもっと多種多様なものが開発されています。よろしければ、ほかの記事も探してみてください。
誰もが気軽に乗れる乗れる全天候型自転車が出来たら、日本の自転車シーンが一変するくらいのインパクトがあると思います。
今年の札幌は例年になく雪が多いようですが、春のテストが楽しみですね。
Posted by cycleroad at February 15, 2017 23:18
試作機3台くらいこさえました。工場無し手工具資金なしでですが。昨年秋、実用新案登録第
Posted by 小原 實 at January 10, 2018 18:26
風雨ででも乗れる3面風防付自転車の実用新案登録取得しました登録第
Posted by 小原 實 at January 10, 2018 18:30
小原 實さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうでしたか。計画は進んでいるようですね。
Posted by cycleroad at January 14, 2018 22:03
 
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