February 13, 2006

古きをたずねて新しきを知る

温故知新、「故きを温ねて新しきを知る」という言葉があります。


下の写真は、現在の部品を使って昔のオーディナリー型自転車を復元したものです。わざわざ、こんな古い自転車を製作してみたのは、昔のこと、自転車のルーツをよく調べて研究し、そこから新しい知識や見解を得るためということなのでしょう。



博物館のほかにも、たまに展示会などで見かけたりします。年代によって多少違いますが、下の写真がもとになった実際のオーディナリー型と呼ばれる自転車です。以前にも取り上げましたが、自転車の歴史と言うと、ルーツとして必ず出てくるタイプです。

オーディナリー

昔の自転車として、多くの人がイメージされるタイプかも知れません。現在の自転車と比べてかなり前輪が大きく、下の図のように勢いをつけて後ろから乗らなければならないものだったようです。前輪に直接ペダルが付いており、チェーンはありません。つまり前輪が大きければ大きいほどスピードが出ました。したがって足の長さ限界まで前輪が大きくなってしまったようです。


乗り方


温故知新はいいとして、そのオーディナリー型自転車を本当に現代に復刻させてしまったのが「Q−bike」です。大胆と言うかユニークです。タイヤの大きさは26インチとそれ以下のようですので、上のオーディナリーのような乗り方はしなくていいものの、本当にチェーンがありません。幼児用の3輪車と同じです。幼児用よりはタイヤが大きいので、徒歩よりは速いとしても、やはりスピードは出ないでしょう。

QバイクQ-bike

サイトで主張されているようにチェーンのトラブルもありませんし、メンテナンスで油まみれになることもありません。確かにコンパクトで持ち運びに優れるのは利点と言えるでしょう。しかし、果たしてどのくらい実用的なのでしょうか。そう考えると、むしろ見た目よりもずっと独創的な気もします。さすがに、サドルの位置やサスペンションなどによって乗り心地や操作性には配慮されています。真正面から見ると普通の自転車のようにも見えますし、乗りにくくはなさそうです。

Q-bikeQ-bike

私も実際に乗ったことがないので何とも言えませんが、わざわざ商品化するくらいですから、それなりの良さがあるのだろうと推察します。古きに倣っても、実際に乗ってみないことには解らない部分があります。考えようによっては、1輪車の補助輪付きとも考えられます。コンパクトですし、例えば建物内で乗るにはスピードもちょうどいいのかも知れません。いろいろな用途も考えられそうです。

オーディナリーが活躍していた19世紀は、きっと今よりは万事がゆっくりとして物事のテンポも遅かったに違いありません。自転車だって、ゆっくりのスピードで充分実用的だったのでしょう。目的地に急ぐより、ゆったり乗ること自体が楽しまれたのかも知れません。そんな風に考えれば、歩くより少し速いくらいのスピードで、オーディナリー型自転車に乗ってゆらりと街を行くのも案外悪くないかも知れません。現代社会に対するアンチテーゼとまで言ったら言いすぎでしょうか。

フラッシャー付き自転車

Qバイクが、そこまで考えて商品化したかは別として、昔の自転車を復刻させるというのは面白いかもしれません。最近はレトロブームでもあります。さすがにオーディナリーは古過ぎますが、例えば日本人だったら写真のような昭和40年代のフラッシャー付き自転車なんて懐かしい人が多いのではないでしょうか。売れるかどうかは責任がもてませんが(笑)、そんなレトロな自転車の発売、メーカーに検討して欲しい気もします。



昭和の頃の自転車の復刻なんて勝手なことを言っていますが、人それぞれ、こんな自転車が欲しいとか、こんな部品が欲しいなんて要望も結構あるのではないでしょうか。私もいろいろありますが、あまりに突飛なものはともかく、そんなワガママを前向きに検討してくれるメーカーがあると面白いんですけどね。

このエントリーをはてなブックマークに追加

 デル株式会社


Amazonの自転車関連グッズ
Amazonで自転車関連のグッズを見たり注文することが出来ます。



 楽天トラベル






この記事へのトラックバックURL

この記事へのコメント
最後の画像の自転車は、食玩で復刻されてますね。ブラインドパッケージ方式で700円近くするので買おうか買うまいか悩むところです。
Posted by maksim727 at February 13, 2006 16:30
Q−bike、面白いですね! キワ物好きとしましてはぜひ一度乗っかってみたいです。(^^)アマリヒトノイナイトコロガイイナァ

どうもフロントのエンドの部分にギヤを内蔵していて1:1.96のギア比で増速して駆動しているみたいです。
意外と速いかもですよ。(^^)

でも走ってて急ブレーキ掛けたら飛び込み前転しそうな。(^^;

Posted by KANAME at February 13, 2006 18:06
maksim727さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
「ジテンシャヒーローズ」ですね。実物を見たことはないのですが、人気あるのでしょうか。24分の1サイズで再現された全8種類ということですが、場所をとらないところはいいですね(笑)。

Posted by cycleroad at February 15, 2006 01:20
KANAMEさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
おお、見落としていましたが、本当ですね。ギアボックスと書いてあります。シンプルなわりには重さがあるような気もしますが、おっしゃるように意外と速いのかもしれません。
ちょっとタウンユースなんかに使ったらオシャレという気もします。本来のオーディナリーのような大きな前輪なら目立つでしょうが、意外と溶け込みそうです。
ブレーキはそうですね、そもそも後輪にブレーキ付いているのでしょうか(笑)。
Posted by cycleroad at February 15, 2006 01:33
オーディナリーはタイヤ直径があるので、スピードは出るはずです。
今の自転車はペダル回転と後(前)輪の回転比がほぼ約4倍程度?ですが、2倍程度はあるのでは?
そもそも、現在の自転車のスタイルは、減速器であり伝達器でもあるチェーンというすばらしい伝達システムが出来たから可能になったことです。ギヤやシャフトドライブやVベルトなんかでは、とてもこんなマネはできない。
Q-bikeはテレビで見て、このページに見に来ました。
昔、これに似たシステムをあそびで設計してみたことがあったので驚きました。前転の危険は、サドル位置と、前輪の接地点との角度の問題ですが、それほど違いがないので、まあ大丈夫かなと思います。
むしろ、前輪駆動の走行性能が、どんなものか、楽しみ。
こいつに内装の変速機とパワーアシストをつけたら、どうなるだろう。少しセグウェイ的かも?
Posted by YAMADA at May 16, 2007 12:43
YAMADAさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね、変速なしでは極限までに速さを上げるために、あのタイヤ直径にまでなったということのようですね。その意味では、おっしゃるようにチェーンが発明されなければ、足の長さで速さが決まってしまう(笑)わけで、チェーンが出来て良かったです。
ご自分で設計なさるとは、相当機械にお詳しいようですね。私には角度やバランスがどうだか図面だけでは、まるっきりピンと来ませんが、商品化されるくらいですから、そう簡単には前転しないのでしょう。
ほとんど後輪はおまけみたいに見えますから、一輪車に近い感覚なのかも知れません。前の車軸だけとという意味では、セグウェイと的なのかも知れません。内装の変速は前輪に内蔵されているみたいですよ。
Posted by cycleroad at May 17, 2007 00:34
 
※全角800字を越える場合は2回以上に分けて下さい。(書込ボタンを押す前に念のためコピーを)