February 22, 2006

パッと見にはわからない怪物

20インチあなたの自転車のサイズは?と聞かれたら何と答えますか。


普通は、タイヤのサイズを答えるでしょう。700Cとか、26インチなどと答えるはずです。20インチとか16インチの、いわゆる小径車に乗っている方もいるでしょうし、シティサイクルなら28インチという人もあるかも知れません。まず一部の場合を除けば、フレームのサイズを答える人はいないと思います。

初めて自転車を買うような人は、自転車の種類によってタイヤのサイズは大体決まっていて、そう選択肢があるわけではない場合が多いので、あまりタイヤのサイズを気にすることはないと思います。しかし、ある程度自転車について、タイヤについて知ってくると、その種類の多さに戸惑います。

検索サイトから初心者の方にもお越しいただいているようなので、少し基本的なことも書いておこうと思いますが、自転車のタイヤサイズは、世界各国の規格が違うために、こんなに多くなってしまっているのです。例えば、700Cとか650Cというのは、もともとフランスの規格です。

外径が700ミリ、Cはリムの幅の規格です。タイヤの幅はまた種類がありますので、あわせて700−23Cとか700−35Cなどと表記します。609とか623などもあるようですが、日本ではほとんど700で、一部トライアスロンや女性用モデルに650があります。

ロードバイクは、大体この表記だと思います。ちなみに、700Aとか700Dもあるのですが、日本で流通しているものは、ほとんど「C」です。一方26インチなどとインチで表すのは主にマウンテンバイクなどが多いですが、その中にも種類があって、26×1 3/8のような分数表示(1と8分の3インチ)と、26×2.0のような小数点表示があります。どちらも外径×幅で、単位はインチです。

リムとのはめ合わせ方法の違いで、クリンチャータイヤの種類はWO,HE,BEの3種類ありますが、分数表示は主にWOタイヤでイギリスの規格、ヨーロッパ系に多いようです。小数点表示は主にHEタイヤですが、マウンテンバイクはHEタイプのリムが多いので、MTBの発祥の地アメリカ系のものが多いようです。分数表示と少数表示で、仮に計算して同じ幅であっても、リムが違うので互換性はありません。この少数・分数表示も、海外に行くと日本の区別と違うので注意が必要です。

The Wheelman

700や26も正確には外径寸法と違っていますし、何だか非常に複雑です。日本のシティサイクルは、26型、27型などと呼ばれていたりしますが、これとも違います。こうした複雑な表記の違いを標準化するためにETRTO表記というものがあって、28−622とか54−559といった数字で互換性が判断できるようになっています。

普通は、一度自転車を買ってしまえば、あとはタイヤを買い換えるとき問題になるくらいで、あまり気にする必要はありません。タイヤを替える場合には、元のタイヤにも書いてありますし、わからなければ自転車屋さんに聞けばいいので、特に覚える必要もないでしょう。

フォールディング、いわゆる折りたたみ自転車などには、8インチとか6インチなどの小さなサイズのものもありますが、大きいタイヤは28インチくらいまでです。理屈的にはタイヤが大きくなればなるほど速くなります。以前に取り上げたオーディナリーは、そのために写真のように車輪が大きくなってしまったわけですが、現代においては、28インチより大きなサイズはありません。

Monster CruiserMonster Cruiser

というのが常識ですが、あるところにはあるものです。なんと36インチタイヤの自転車、その名もモンスタークルーザー(MONSTER CRUISER)です。タイヤサイズの常識を打ち破っています。36インチなんて、普通考えもしません。コーカータイヤ社というタイヤ屋さんだからこそ出せた自転車です。

一台だけ作るなら通称「悪魔おじさん」のような人もいますが、通常は互換性を考えて商品化しないでしょう。よく見ると、何だか自転車だけ近くにあるようで変な感じです。遠近法を無視しています(笑)。必ずしも速さを追求してタイヤが大きくなったワケではないようですが、何ともアメリカ的です。


The Big One

私も日本人としてなら小さい方ではありませんが、アメリカへ行くと本当に大柄な人も多いです。昨夏ニューヨークの自転車店に行った時に、フレームサイズも日本とたいして変わらないので、なんとなく不思議な気もしましたが、大きな欧米人なら36インチ位のほうが、むしろ合うかも知れません。

比べるものがないと判りにくいですが、左のオールドファッションの自転車も、右の1輪車もタイヤは36インチです。ちなみに前の写真のオーディナリー型自転車(前輪だけ大きい形の自転車)の前輪もコーカー社の36インチサイズのタイヤが使われています。

多少、前後のホイールの間隔が狭く見えるのと、サドルが低く見えますが、大柄な欧米人が乗っていたら、違和感はないかも知れません。逆に、タイヤは大きいものの、サドルまでの高さがこのくらいであれば、普通の日本人でも乗れるでしょう。

たまに小柄な女性で700Cの自転車だと大きくて乗れないと言う人がいますが、車輪のサイズよりも、むしろフレームの形の問題です。タイヤの大きさにかかわらず、サドルが低く出来る形状のフレームなら乗れるはずです。身体にあったフレームがあるかどうかの問題はありますが、小柄だからと小径車にする必要はないわけです。

そう考えると、サドルの高さを変えるわけにはいきませんが、フレーム形状によっては、もっと大きなタイヤでも問題ないわけです。サドルがタイヤより上に位置するというデザイン的な固定観念を捨てれば、今よりもっと大きなタイヤの自転車があってもいいのかも知れません。

小径車ならぬ大径車(笑)とは意表を突いていて面白いです。ただ現実問題としては、小径車を除くと重要なのはタイヤの大きさより、むしろ幅です。タイヤの幅を変えると乗り心地が大きく変わります。細いと転がり抵抗が減って、速くなりますが、グリップ面が小さくなるので当然硬く感じたり滑りやすくなります。

MTBを街乗りに使う場合、ブロックタイヤを外してスリックの細めのタイヤをつけると、断然走りやすくなったりします。大径車も面白いですが、タイヤのバリエーションが多く、選択肢が増えるという面から言えば、一般的なサイズ、普及したサイズのほうが、やはり有利なのは間違いなさそうです。





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この記事へのコメント
36インチにもなるとでかいですねー。
新市場を開拓しようとしているのか、それとも会社を挙げての遊び心か。いづれにしろ、自転車自作派(或いは改造派)には創作意欲をくすぐられること間違いナシなんじゃないでしょうか。
Posted by maksim727 at February 22, 2006 08:59
maksim727さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ちょっと笑えますよね。確かに作った理由は不明ですが..。
フレームを普通の形にして36インチに比例する大きさにしたら面白いでしょうね。普通の人は乗れないでしょうけど(笑)。
Posted by cycleroad at February 23, 2006 11:45
 
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