February 27, 2006

自転車先進都市に見習うこと

ミュンスタードイツのミュンスターという街は、知る人ぞ知る自転車の街です。


ミュンスターは日本人にも観光地として人気のある、ローデンブルグなどと同じ城塞都市です。中世の石畳と街並みの残る美しい街で、環境問題にドイツで最も積極的に取り組む「環境首都」としても有名です。また人口以上の台数の自転車があるとも言われ、「自転車首都」と呼ばれるほど自転車の利用が進んでいます。特に中心部では完全に自転車が優先で、クルマは締め出されています。

ミュンスター自転車が市民の主要な交通手段になっており、総延長3千キロ近い自転車道も整備されているミュンスターは、国連環境計画の主催した暮らしやすい街コンテストで、世界400以上の都市の中から金賞に選ばれました。

世界有数の暮らしやすい街であることは間違いありません。もちろん、市内随所に駐輪場も整備されていますが、ミュンスター駅前のど真ん中に立つこのガラス張りの建物も巨大な駐輪場です。さすが世界でも有数の自転車都市です。

ところで、昨日取り上げたように、日本でも今後都市部の立体駐輪場は増えていくでしょう。少しずつ駅前駐輪場の収容能力がアップすることにより、迷惑駐輪が解消されることを望みたいですが、そんなに簡単に解決する話ではありません。

せっかく多額の建設費をかけて設置された立体駐輪場も、利用されなければ意味がありません。建設しても必ず利用されるという保証はなく、利便性や利用料金などによっては、まったくの無用の長物となる可能性すらあります。実際に利用の低迷する駐輪場が出ています。

ミュンスターミュンスターミュンスター

利用の促進のためには、まず料金を下げることも重要です。でも、仮に低額だったとしても、わざわざ駐輪場にとめるのは面倒という人も出てくるに違いありません。そのへんはマナーや公徳心の問題です。個人個人のモラルに期待したいところですが、現状ではかなり難しいと言わざるを得ません。

ミュンスター市のこの駐輪場は、ただ自転車をとめるだけではなく、様々なサービスが受けられるようになっています。自転車の具合が悪いときは、預けるときに依頼タグを挟んでおけば、帰りまでに修理や調整をしてくれます。市の施設なので料金も格安です。洗車機(洗自転車機)などもあって、きれいに洗ってもらう事も出来ます。この街へやってくる人向けの、レンタルサイクルもあります。

ミュンスター

いわば自転車向けのサービスステーションです。我々の駐輪場の概念を越えていますが、日本でも有効なのではないでしょうか。パンクやトラブルがあっても、駐輪場にとめれば修理や調整をしてもらえるのは、時間や手間から言っても大きなメリットでしょう。

修理やメンテナンス、洗車で快適に乗ることが出来ますし、盗難も防げて自転車の寿命も延びますから、利用料を払っても得という判断にもつながります。会員サービスとしておけば、多少の料金を払っても駐輪場を使う動機づけになるはずです。

ミュンスター単に駐輪するだけなら道ばたにとめるのと変わりがなく、料金を払うのがバカバカしいと考える人もあるに違いありません。しかし、駐輪場に付加価値をつけるならば、駐輪場の利用を促進し、利用したほうが便利、利用するのが当たり前となっていく道筋をつけることにもなります。

直接自転車関連だけでなくとも、お店と提携した割引サービスとか、列車利用の優遇とか、自治体と連携した優先的な住民サービス、場合によっては駅までの送迎など、いろいろ検討できるでしょう。

駐輪場というハードを設置するだけでなく、その運用面の工夫なくしては利用も促進出来ません。その意味で、サービスというソフト面が重要になります。自転車先進国ドイツの自転車天国の施設に学ぶべきは、自転車利用者へのサービスという考え方、あるいはその運用の仕方です。

しかし、それだけではありません。そのもっと以前に、自転車を積極に活用することは、環境への負荷を減らす上で大きな効果があること、同時に渋滞や公害や事故をなくし、自分たちの街を住みやすくするための自転車利用だという認識が根底にあるのです。

日本では、通行の邪魔にならないため、放置自転車を減らすため、駐輪場を使えというスタンスです。仕方がないから駐輪場を建設し、利用者も、仕方がないから駐輪場を使います。ドイツでもそうした面がないわけではないですが、地球環境のためにも積極的に自転車を活用し、クルマの利用を減らすというコンセンサスがあります。

そのために、自治体は行政サービスの一環として自転車利用者へのサービス拠点、駐輪場を設置しているわけです。市民もサービスを利用して快適に自転車に乗るため、積極的に駐輪場を利用しています。いわば自転車を使うのが正しく、行政もそのおぜん立てをしているに過ぎません。

その意味で、彼我の差は小さくありませんが、日本も、仕方なく利用する自転車、あるいは駐輪場、といった意識から変えていく必要があるように思えます。自転車を放置するような行為が「恥かしい」のは当然として、自転車を活用しないのが市民として恥ずかしいくらいにしていく必要があるのかも知れません。



なんだかんだと言いながら寝不足の人も多かったのではないでしょうか。私もですけど(笑)。スケート場は大繁盛と言いますから、見てるとやりたくなる人も多いのでしょう。カーリングもちょっとやってみたくなります。終わってしまうと、すこし寂しいのはありますね。

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この記事へのコメント
はじめまして
サイクルロード様のブログは写真が多くてとても見やすくて素敵ですね。
私は最近ブログを始めましたが、どのようにしたら魅力的なブログを作れるか勉強中です。
もしお許しいただけましたら、相互リンクをお願いできませんでしょうか。
勝手かとは思いましたが、私のブログ「さわやかな自転車」にサイクルロード様のブログへのリンクを貼らせていただきました。
今後ともよろしくお願いいたします。
Posted by しゅう at February 28, 2006 00:37
はじめまして.いつも拝見しております.
自転車に関係する話題に豊富で感心しております.
リンクを張らせていただきましたので宜しくお願いします.
ミュンスターの駐輪場は,言われる通りサービスステーションですねえ.行政側に理解だけでなく,工夫する力があるんでしょうねえ.羨ましい限りです.
Posted by yanz at February 28, 2006 14:33
しゅうさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
お褒めいただき恐縮です。以前からリンクリストを作ろうと思いつつ、忙しさにかまけて実現できてません。以前からリンクしていただいている方も多いものですから、整理したいとは思っているのですが..。
リンクいただくのはもちろん構わないのですが、実はメール等で要望いただく場合も多く、関連以外のサイトなども多くて収拾のつかない状況もあります。
そういう訳で相互リンクという形ではご希望に添えていないのが実情です。まことに申し訳ないですが、あしからずご容赦ください。
Posted by cycleroad at February 28, 2006 20:36
yanzさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ミュンスターも、一朝一夕にこうした施設が出来たわけでなく、ここに至るまでの経緯やいきさつがあってのことのようです。行政の努力という点もありますが、市民レベルでもコンセンサスが出来ており、行政も市民も自転車都市としての自覚が出来ているようです。ですから、むしろ当たり前に近い感覚になっているようでもあります。いずれにしても羨ましい話ではありますね。日本でも、やって出来ない話ではないと思うのですけど。
いつもご覧いただきありがとうございます。
Posted by cycleroad at February 28, 2006 21:05
参考になる事例ですね。駐輪場で朝渡したら修理済みになって帰ってくるというのは素晴らしいことです。
取り入れる方法がないかなぁ。
指定管理者制度を使ってやれないか、課題が一つ増えました。
Posted by takeyan at March 01, 2006 04:16
takeyanさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね。しかし仕組みだけでは、うまく利用されなかったりします。利用する側も含めた意識改革も重要かもしれません。市民のコンセンサスやモラルも大事でしょう。
自転車に乗ることに積極的な市民ばかりとは限りませんし、町づくりや都市交通のあり方といった大きな枠組みの中でも考えていく必要があるでしょうね。
Posted by cycleroad at March 01, 2006 07:37
 
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