March 05, 2006

モラルやマナーの問題でなく

「反復運動過多損傷」という、耳慣れない言葉が少し前にニュースになりました。


反復運動過多損傷、RSIは、同じ動作を繰り返しすぎて、関節などの身体の一部が痺れたり痛みを感じる症状のことです。ニュースによれば、イギリスだけで年間380万人の人がRSIを患っており、その原因は携帯メールの打ちすぎです。日本だったら腱鞘炎と呼ばれるような症状でしょうか。それにしてもインパクトのある数字です。

もちろん私も携帯メールは使いますが、一日に発信するメールの数は大したことありません。しかし、多い人はビックリするような数を送っています。その打つ速さにも驚きます。メール以外にもブログを書いたり、小説や日記を書くのまでパソコンでなく携帯という人も増えているようです。

携帯電話は、この十数年くらいの間に急激に普及したわけですが、既にコンピューターのキーボードより前に、携帯から入るという世代も増えています。そうした世代は小さいときから携帯に親しんでいるわけですから、ケータイで文章を打つのは、むしろ自然なことなのでしょう。

ケータイで文字を打つのは苦にならないとしても、あまりに多くの文字をケータイで打つことで、こうした症状になる人が増える可能性があります。日本で携帯メールが使われだしたのはイギリスより早かったと思いますので、既に日本でも相当数の指の痛みに悩む人が存在しているのかも知れません。

好きでキーを打つなら、まだいいでしょう。しかし最近の学生は、携帯メールを使わないと仲間はずれになったり、コミュニケーションがとれずに人間関係がうまくいかなくなったりします。直接会っていない間も、断続的にメールを送受信してつながっていないと疎外感を感じる人が増えているというのも背景にあります。さらにそれは低年齢化しています。好むと好まざるにかかわらず、携帯のキーを打つ必要性に迫られているわけで、RSIになるリスクは身近になりつつあると言えそうです。

「反復運動過多損傷」にはならなかったとしても、いわゆる携帯依存症と呼ばれるような人も増えているようです。同じ家の中にいる家族とも携帯メールでしか意思疎通しない人とか、携帯が何より大事という人も少なくないと言います。常にメールが入ってこないと不安で、ビニールに入れてお風呂に持って入るくらいになると、かなり中毒に近いのかも知れません。

固定電話で違って、携帯になると場所も時間も選びません。人と会って会話している最中にも携帯を操作するのは、もはや普通に見かけます。またメールでなくても、携帯で常に情報をチェックしないと気がすまない人も増えています。起きている間は、一日中携帯を気にしながら過ごすようなことになります。

誰でも携帯を持つと連絡をとったり、情報チェックする時間が増えるのは、ある程度仕方がないとしても、あまりにも中毒、依存症的な人が増えているようです。そうした人は、ただ忙しそうに見えるだけで、アルコール中毒や薬物依存症とは違ってあまり害はないようにも見えますが、そんなことはありません。

だんだんケータイを使う行為が強迫的になり、依存してケータイから逃れられなくなり、精神的なバランスを崩したり、強いストレスやうつ病となって深刻な事態になる人もあるようです。すでに治療が必要な人も出ていると言います。親も、若い世代のスタイルと思って容認していますが、あまりにエスカレートするのを放置していると、新しい現代の心の病理として今後問題が顕在化してくるかもしれません。

携帯メールをもらうと、すぐ返信しないと気まずくなるという心理は理解できます。延々と相互に返信が必要な状況になるのもわかります。情報をチェックしたくなることもあるでしょう。しかし、そうした状態がエスカレートするのに無防備でいると、自分でもコントロール出来なくなり、携帯依存症となって身体の不調だけでなく生活や社会的立場にも影響を与えることになりかねません。

クルマを運転していての携帯の使用は禁止されましたが、自転車に乗りながらメールを打つ人は増えています。事故の裁判で、高額賠償の判決も出ています。ニュースにならない比較的小さな事故やトラブルなら無数に起きているはずです。私も今まで、単なるマナーやモラルの問題と思っていましたが、依存症に近い人が増えていることも背景にあるのかも知れません。周りの危険だけでなく、本人のためにも強く禁止を呼びかけるべき時期に来ているような気がします。



三寒四温ではありますが、だんだん暖かくなりつつありますね。

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この記事へのコメント
 私が若い頃にはコンビニも携帯もなかったわけで、デートの待ち合わせもうまくいかず、2時間待って会えずに帰った経験もあり、15歳の息子に話しながら、「不便ではあったが人を待つ時間って無駄なようでも想像力は働くしなかなか乙なもんである。」などと語ってみたりしてます。昔は別れ際に伝えたい事があっても電車に飛び乗ったら最後「あ〜・・・」なんて事も多々あり。今の若者はいつでも連絡できるので逆に「いつでも繋がってたい症候群」みたいです。「昨日○時に誰とドコにいたの?なんで呼んでくれなっかたの?」なんて。GPS機能なんて使われた日にゃ言い訳もたちません。また、携帯は相手に自分の名前が出ますよね。だから自分の名前を名乗らない癖がついちゃってます。待ち合わせも細かくは決めないで、「近くに来たら電話するね。」なんて。便利だけど、ルーズ。RSIか・・・。何事もほどほどに使い分けですね。
Posted by キルワニ at March 06, 2006 10:12
キルワニさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに待ち合わせは様変わりしました。駅の伝言板(もちろん黒板にチョークのリアルのものですが)に伝言書いたりしてましたよね。今となっては懐かしいですが、知らない世代はもう知らない話でしょう。
そうですねー、今から思えば何となくロマンチックだったと言える部分かもしれません。彼女の自宅に電話したって本人が出るとは限らないわけですし、ラブレターなんかも、ちゃんと紙でしたからね(笑)。
便利になった部分も多いですけど、一方で身体や生活、社会に歪みを生む部分もあるわけで、依存症やRSIだけとは限らりません。今さら戻れるものではないですから、うまくコントロールしたいものですね。
Posted by cycleroad at March 07, 2006 20:38
はじめまして
携帯電話で文字打つのが苦手なので、RSIになりそうもありません。
ところで、自転車も、反復運動の繰り返しですよね。
自転車の場合もやはり依存症で、RSIのような症状が出る方がいたり
するのでしょうか?聞いたことありませんが。
自転車の場合、依存しても健康になるので、よさそうな気もしますが
依存するとかえって悪くなりそうな気もします。
何事も限度を考えて適度にやることが大切なんでしょうけど。
Posted by あんぱんだ at March 09, 2006 22:09
あんぱんださん、こんにちは。コメントありがとうございます。
なるほど。自転車のRSIですか。確かにそういう見方もありますね。自転車に乗り過ぎている(笑)人の中にはヒザとかを痛める人もいますから、ある意味反復運動過多損傷かもしれません。まあ、スポーツ肘とか腱鞘炎とか、何のスポーツでも故障はつきものですので、自転車ばかりとは限りませんが..。
世の中には相当の自転車好きでマニアックな人も多いですから、ある意味で自転車中毒、依存症と呼べなくもないですね。でもRSIにならない程度の中毒なら、あまり害もないですし、健康や環境を考えても、やっぱり良しとしときましょうか(笑)。
Posted by cycleroad at March 10, 2006 12:45
 
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