March 26, 2006

小さくなることに意味がある

A−Bike世の中、小さくなったことで大きく変わったものはたくさんあります。


最近で言えば、ケータイやノートパソコンでしょうか。技術の進歩で小型化し、持ち歩けるようになった為に、全く新しいライフスタイルを実現しました。固定電話しか無かった時代や、コンピューターは大きくて高価だった時代には考えられなかったような生活が実現しているのは、あらためて考えると隔世の感があります。

考えてみれば、昔は携帯電話なんて夢の技術だったわけですが、今では誰でも当たり前のように使っています。薄くて軽いノートパソコンやPDAを街で使っている人など、今どき珍しくもありません。もちろん飛躍的な技術革新のおかげ、特に半導体の集積技術の進歩などによってもたらされたわけです。少し前までビル一棟分必要だったコンピューターと同等の性能が手のひらの上で実現してしまうのですから、その小型化の度合いたるや凄まじいものがあります。

それでも出始めの頃の移動型ハンディホンは、肩から提げても大きくて重かったわけですし、出始めの頃のラップトップは名ばかりで、机の上では省スペースになったものの、実際は据え置きで使うものでした。いきなり自転車の世界と比べるのは無理がありますが(笑)、小径車や折りたたみ自転車と言っても、かさばったり重かったりするので、実際に折りたたんで持ち歩いている人が少ないのと似ています。

A-Bike

A-BikeA-Bike

自転車の場合、半導体とは違って持ち歩くだけでなく、自分が乗らなければならないので単純には比較できません。飛躍的に小さくするには無理があります。それでも昨今、素材や加工技術も進歩していますから、そろそろ本当の意味での携帯型自転車の登場を期待したいところです。「本当の意味での、」と言うのは、ごく少数のマニアだけでなく、大多数の一般の人が普通に、何も考えずとも持ち歩いて使うようになるくらいのレベルです。今の携帯電話くらいの感覚でしょうか。

自転車が本当の意味で携帯出来るようになったら、少なくとも駅前の放置自転車問題は大幅に改善します。例えば誰でも雨の日、傘は電車にも持って乗ります。雨が降っていれば電車から降りてまた使います。自転車もそんな傘と同じよな使われ方をするはずです。誰も駅前に置いていかなくなるでしょう。スポーツで乗る自転車は別として、電車で出かけるにも、当たり前のように皆、自転車を持って出かけるようになるかもしれません。晴れたら自転車、雨なら傘、みたいに..。

A−Bikeデザイン上もスペック的にも、そんな期待を抱かせるのが「A−Bike」です。なんと重さは5.5キロ、形も大きさもアタッシュケースくらいで、0.03立方メートル未満と言いますから会社のロッカーどころか、机の引き出しにも入りそうです(笑)。折りたたみや展開も簡単で工具も不要、10秒で出来ると言います。

しかし、たたんだ時のこの小ささには驚きます。知らなければカメラの三脚か、鞄用の折りたたみカートかと思う小ささです。上の写真の人物も片手で軽々と持っています。ビデオを見た限りでは予想以上に走りも軽快です。携帯しても苦にならない大きさで違和感もありません。欲しくなる人も多いのではないでしょうか。

チェーンなどが外側に出ていないので、油で服を汚すことなくメンテナンスフリー、タイヤも小さい割にはゴムのローラーでなく、空気を入れるチューブ式のタイヤで乗り心地もいいようです。A−Bikeは世界的にも有名なイギリス人のクライブ・シンクレア卿の発明と書いてありますが、少なくとも発表当時は世界最小・最軽量の折りたたみ自転車で、Daka Designs社から299USドルで発売予定となっています。

広げるとたたむと

サイトを見ますと、日本とイギリスで2006年3月までにはリリースされるとアナウンスされていますが、私は寡聞にしてまだ発売されたという話は聞いていません。発表されたのは2004年の7月で、香港やシンガポールでは賞をとるなどもしているようです。

日本では一般的には注目されていませんので、ビジネス的に何らかの事情で遅れているのかも知れません。日本では似たようなコンセプトの自転車も少なくないことから、もしマーケティング的に見て発売が見送られたのだとしたら個人的には残念です。

確かにコンパクトさを追求する自転車は少なくありません。しかし、どうしてもタイヤが小さくなると走行性能が落ちますので、コンパクトさとの両立は非常に難しい問題です。実際に快適に走行出来なければ売れないでしょうし、乗り心地も重要です。これほどタイヤが小さくて、果たして実用性があるのかは乗ってみないことにはわかりません。

一方、本当に軽くてかさばらない大きさでなくては、持ち歩く気になりません。多くのものは軽くても10キロ前後、あるいはそれ以上です。このA−Bikeの5.5キロは、ちょっと期待させるものがあります。使う上では、数字以上にこの差は大きいはずです。

A−Bikeと言う名前は、似た名前のオートバイや電動自転車なども売られているようですので、その辺の問題もあるのかも知れません。ネーミング的には、斬新なようでいて実はありふれています。もちろん、性能については実際に乗ってみなくては評価も出来ません。

ただ動画を見る限り、もしかしたら携帯自転車の実現への大きな一歩になるかも知れない可能性も感じさせます。携帯電話だって、こんなに急激に普及するとは誰も予想していなかったのですから、案外誰もが携帯自転車を持ち歩く時代も、すぐそこまで来ているのかも知れません。

追記:その後、日本でも発売されました。どのような経緯があったのかは知りませんが、当初のリンク先サイトはなくなってしまったので、写真は通販サイトにリンクしてあります。そこから辿れるメーカーサイトが製造元のようです。2010年現在、安価な類似品も相当数出回っているとありますので、ご注意を。なお、この記事は発売前のものであり、どれほどの実用性なのか試したわけではありません。購入の際は、ご自身で判断して下さい。



私も1ヶ月以上前、2月の20日にPSE問題を取り上げましたが、やはり覆りましたね。以前も規制はあったし、しかも内容は殆ど変わってないわけですから..。規制が変われば昔の製品は自然に流通しなくなって消えゆくだけの話で、今回中古売買まで対象を広げたのは明らかに行き過ぎと言うか勇み足ですよね。素直に謝っちゃえばいいと思いますが、経済産業省の面子を保つ為のレンタル云々くらい許すべきでしょうかね(笑)。

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