April 18, 2006

結果が出てからでは遅すぎる

ニュース最近、数十年を経て明らかになってきていることがあります。


アスベストによる悪性中皮種、肺繊維症や肺がんなどの被害です。労災や公害としてのアスベスト被害が問題となっています。アスベスト製品の製造工場で働いていた人ばかりか、その作業服を洗濯していた家族、工場周辺の住民にまで被害が広がっています。昨日のニュースでも、大手機械メーカーが工場者周辺住民へのの補償を発表しました。

アスベスト(石綿)は建材や断熱材、様々な製品や部品の材料として、身の回りのいたるところに使われてきました。その意味では、決して他人事ではありません。たまたま勤めていた店の倉庫にアスベストが吹き付けられており、知らないうちにその曝露を受けていたのが原因で悪性中皮種を発病した人もいます。駅や学校の体育館などの公共の場所、大勢の人が行き交う場所で、吹き付けたアスベストが露出していたことが明らかになった例も多数あります。

アスベストは、その繊維が空気中に浮遊した状態にあると危険であると言われ、露出して吹き付けアスベストが使用されている場合、劣化等によりその繊維が飛散する恐れがあるわけです。今後、高度成長期に建てられて日本に大量に存在するアスベストの使用された建物の解体についても懸念されますし、実際に阪神大震災やその復興の際のビルの解体撤去作業時にアスベスト汚染が起きていたことが明らかになっています。

吹き付けアスベスト部品や材料として使われている固められたアスベストは、通常の使用状態で繊維が飛散する可能性は低いと考えられますが、学校給食の調理器具や、幼児用自転車のブレーキにも使われていて問題となり、使用中止や無償交換も行われました。理科の実験で使われていた石綿付き金網も、全ての学校で密閉保管された上、廃棄処分となっています。

身の回りからは姿を消しつつあるものの、吸い込んでから発病までの潜伏期間は20年から40年と言われているので、これから被害者が徐々に増え、十万人単位になることが予測されています。

しかしアメリカなどでは、既に1960年代にその危険性が指摘され、70年代には企業がその責任を追及され、80年代までに何万件と言う訴訟が起こり、多額の賠償金が支払われている事実があります。報道によれば、日本の政府や企業の担当者も、70年代に責任を問われたアメリカ企業や専門家のもとへ幹部を派遣して調査を行っており、その危険を充分に予見できる状況にあったとも言われています。

欧米各国が相次いで使用を禁止し、急激に使用を減らしていく中で、一人日本だけが使用を拡大していたのは統計からも明らかであり、大いに問題です。しかし、当時の政府は、「管理使用」、充分な管理の下で使用すれば問題ないという立場でした。

管理と言ったって、当事者に危険性の認識が無い中での管理に到底期待はできません。当然のように今となって各方面から、政府や企業の責任を問う声も上がっています。ちなみに日本で石綿を1%以上含む製品の出荷が原則禁止されたのは、2004年です。

しかし、政府や企業の責任の一方で、アスベストが「奇跡の鉱物」などと言われるほど安価で非常に有用な資源とされていたのも間違いありません。当時もその危険性を指摘する専門家はいたでしょう。でも、代替品の性能やコストを考えると、使用の禁止を積極的に求める声も少なかったのではないでしょうか。

むしろ、日本の家屋の弱点である耐火性を高め、火災によって亡くなる人を減らすなど、積極的に使用するほうが正しいという考えも多かったのでしょう。にもかかわらず、対岸の火事が日本でも深刻化した時点で、当時の行政責任だけを問うのは、よくあるパターンです。

もちろん、何も知らずに突然発病した被害者の怒りや悲しみは、察するに余りあります。責任の所在は明らかにされるべきですし、うすうす危険を予知できたにもかかわらず、未必の故意による不作為があったとしたなら問題です。薬害エイズ問題などでも追求されたように業界団体との癒着の構造が無かったのかも疑われるべきでしょう。

しかし、責任追及だけでなく、私たち自身、未来に向けた教訓にすることも大切ではないでしょうか。よく似ていると思うのは狂牛病、いわゆるBSEの問題です。輸入再開を遅らせては対米摩擦になると言う人も少なくありません。早く牛丼が食べたいと言う人も多いでしょう。

「管理使用」ではありませんが、何歳以下とか、特定危険部位の除去で輸入しようとしています。アメリカでは依然として肉骨粉が使われており、特定部位の除去作業の精度に疑問が持たれているにもかかわらずです。一部の専門家が食品安全委員会を辞任するという抗議も見過ごされています。

現時点で、イギリスなどで18万頭以上のBSEが確認され、少なくとも数百人が変異型クロイツフェルトヤコブ病と疑われています。アスベストと似ているのは、その潜伏期間が長いことです。もし将来、日本でヤコブ病患者が多数発生するような事態に陥ったら、あの時すでにその危険性が認識され、世界中でアメリカからの輸入を停止していたのに輸入を再開した責任を問う声が起きるでしょう。しかし、それでは遅すぎます。

こうしたリスクは市場原理では歯止をかけられず、政治の力でないと回避出来ません。そのためには、責任者の責任を問うだけではなく、我々一人一人が自分のこととして、こうした将来のリスクに対する長期的かつ客観的な視点を持つことが求められているのではないでしょうか。



実際になってみないとわからない事は多いですね。ある意味で想像力の問題かもしれません。まさに後悔先に立たずです。無関心な人も多いですが、こうした問題を真剣に捉える人が増えると違ってくると思うのですが..。

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この記事へのコメント
おはようございます。
実は私は建築の施工をやっています。
いや、若いときには現場に出ていたのですけど、
アスベスト蔓延の中で現場をやっていたと、思いますよ。
そのころの現場関係者は(日本全国)
皆鼻から口から〜体に入っていたのでは?と思いますけど・・・
吹き付けの中を歩いてくると>体中が痒くてなるべく避けてはいましたけども・・・
Posted by kazupon at April 19, 2006 08:08
kazuponさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね、施工関係者だけでなく搬入業者から近隣の住人から通行人まで多くの人が吸い込んでいたでしょう。もちろん大半は痰として排出されるわけでしょうけど、どのくらいの期間や量を吸い込んだら発病するのか不明な点も厄介ですね。
子供の頃、吹き付け塗装や石綿をほぐして遊んでたり、家の中や学校などに使われていて全く知らずに曝露を受けていたりと、誰にでも気づかないリスクもありそうです。逆に石綿工場などで働いていた人が全員発病するわけではないので、個人差も大きいのでしょう。
アスベストやBSE、血液製剤などに限らず、発がん性物質とか環境ホルモンとか、まだ未知のリスクもたくさんありそうですし、考え出したらキリがありませんね。
Posted by cycleroad at April 21, 2006 11:46
 
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