April 27, 2006

運ぶ自転車と運ばれる自転車

ゴールデンウィークも間近ですが、ふだんとは違うロケーションのもとでサイクリングを楽しもうと計画されている方もあるでしょう。


旅先でサイクリングするなら、通常はレンタサイクルの利用が考えられます。でも、レンタサイクルはママチャリという場合がほとんどですし、稀にママチャリ以外のものがあったとしても、当然汎用のものなので自分の愛車と同じような乗り心地は望むべくもありません。旅の一部としてのサイクリングならともかく、サイクリングが目的の旅行なら、やはり自分の愛車で走りたいものです。

近距離なら自走する手もありますが、遠い場合は「輪行」と言って、自転車を袋に詰めて持って出かけることになります。飛行機なら荷物として預けることも出来ますが、列車の場合はそうもいきません。連休や夏休みなどで混雑する列車に大きな荷物を持ち込むのは気がひけますし、泊りがけなら荷物は自転車だけという訳にもいきませんから、往復が大変です。
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そこで誰でも考えるのが、宅急便で自転車を送るという方法です。スキー宅急便とかゴルフ宅急便があるのですから、自転車宅急便があってもいいはずです。実際にスキーなどでは、事前に道具を送るのが当たり前のようになっています。しかし自転車を送る人というのは、かなり少ないのが実情のようで、ヤマト運輸のホームページを見ても「自転車宅急便」は載っていませんし、そう言えば聞いたこともありません。

サイクリング・ヤマト便でも実は存在します。日本各地のロードレースなどに出場するような人なら知っていますが、「サイクリング・ヤマト便」です。財団法人日本サイクリング協会がヤマト運輸と提携して行っているサービスで、写真のようなタグをあらかじめ同協会で購入すれば、ヤマト運輸に運んでもらうことが出来ます。ダンボールで梱包する必要はなく(逆に利用できない)、輪行袋のまま運んでもらえます。また、タグは一度購入すれば何度でも使えます。

さすがに近所のコンビニに持ち込むことは出来ません。営業所に持ち込むか集荷を頼むかするわけですが、営業所によっては扱った経験がないことも多く、料金も普通のヤマト便以上に請求されてしまう場合があるので注意が必要です。ちゃんと丁寧に運んでくれるとは思いますが、運転手も詳しいわけではありませんから、ディレイラー部分などパッキングにも工夫したほうが安心かも知れません。

ヤマト運輸他社のサイトにも自転車については明確に書かれていませんが、送れる場合もあります。佐川急便では不定形品として割増しになるようです。各社規定が違いますが、重さは問題ないでしょう。でも輪行袋に入れても大きさは微妙です。運輸会社によっては、自転車を引越荷物と分類している会社もあり、その場合の料金はぐっと高くなってしまいます。現場レベルでは意外と宅配便扱い運んでくれたりするようですが、経験は少なく、取り扱い的には不安が残る会社もあるようです。普通の荷物と違って日数がかかることも多いので、利用の際には注意が必要でしょう。

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ところで、ヤマト運輸と言えば、最近都市部でリヤカーを自転車で牽引して配達をする姿が目撃され始めているようです。日経ビジネス誌でも紹介されていましたし、先日読売新聞の夕刊紙上にも写真付きで掲載されていましたので、ご存知の方も多いかもしれません。この6月の道路交通法改正により、路上駐車の取り締まりが強化されることを見越しての苦肉の策との説が有力です。

宅配リヤカー運転免許が不要なので、要員確保が容易になるというメリットもあります。もともと、こうした宅配便のシステムは、担当ごとに配達エリアが分かれており、特に都市部では細分化されているので、そんなに長い距離を走るわけではありません。また、宅配便の集配トラックも大きな荷台の容量いっぱいに荷物を積んでいるわけではないので、うまく使い分ければ、小回りがきくぶん自転車も充分戦力になりそうです。

渋滞や一方通行なども関係なくなりますし、街中で駐車車輌が多くて荷降ろしの場所が近くに確保できず、台車を押して往復することを考えれば、かえって時間短縮にもなりそうです。そして、昨今の原油価格の高騰で、物流業者は価格の転嫁もままならず悲鳴を上げていますが、燃料費節約という経費的なメリットも少なくないのでしょう。

もちろん環境に優しいわけで、企業イメージのアップにも一役買っています。当然、排ガスを出さない自転車のほうが好ましいですが、なんだか自転車だと、より頑張っているイメージもあるようで、目撃した人の印象も概ね好意的です。その意味では期待以上の効果かも知れません。自転車は電動アシスト付きですが普通の色なので、カラーを統一すると更にいいと感じる人も多いようです。

宅緩便?確かにリヤカーと言うと前近代的な感じがします。私も昔、その当時ですら珍しかったのですが、リヤカーでの引越しを手伝ったことがあります。やってみると同じ町内で距離が近い場合などは、トラックに積み込むより、リヤカーでピストン輸送したほうが、かえって速くて便利だったりします。引越しに限らず、今でもよく使われている場所はありますし、場合によっては充分有用でしょう。

東京だけでなく、他府県でも使われ始めているようですが、宅配リヤカーを目撃して、急に退歩したかのような錯覚から驚く人も多いようです。しかし、地球環境のことや資源・エネルギーのこと、渋滞や排ガスなど都市と人の関係などを考えたとき、決して退歩ではないはずです。リヤカーで必要充分なら、むしろそれが適正かつ妥当な手段(アプロプリエイトテクノロジー)なわけです。駐禁が厳しくなるから宅配リヤカーと言うのではなく、必要充分な手段に替えていこうという考え方をしてもらいたいと思います。そして、そんな考え方を人々に気づかせ、広める存在としても活躍して欲しいものです。



実際には、写真のものより上に倍くらい高さを伸ばしたものが使われているようです。他社が追随するのかも興味があります。タクシーも宅配トラックも自転車になっていけば、都市部の大きな通り以外はクルマを進入禁止にしても困らなくなりそうです。事故も少なくなり、空気もきれいで「人間優先」の、本来当たり前の姿の都市の実現も夢ではなくなるかも知れませんね。

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猫電車さんの所で知ったんですが、荒川線に自転車を持ち込む実験がなされたそうです。確認したのが遅かったからなのか、東京都交通局のHPにはサイクルパスに関する記述を見つける事は出来ませんでした(見つけた人は教えて下さい。お願いします)。 参考:東京都交通局 地方
[自由研究]サイクルパスについて考える【趣味の吹き溜り】at June 07, 2006 11:02
この記事へのコメント
逆にこれで事故が増えなければ良いのですが・・

都市部でのリアカー使用が促進すれば
我家のトレーラーも都市部で活躍できるかな?

たまに都市部に良くと
自転車なら行けるのになぁ・・・と思うことも多いのですが、
幼児がいるとそういうわけにもいかず、
結局いけないということも多々ありますから(*´ー`) フッ
Posted by ats_ats at April 28, 2006 10:19
車・自転車双方の不注意による事故の増加が心配です。
少なければ追随するでしょうが、
多ければヤマトはバッシングを受けるでしょうね。

もちろん自転車乗りとしては成功して欲しいですね。
そうすれば私も都会にトレーラーを持ち込むでしょう。
Posted by ats_ats at April 28, 2006 13:15
初めまして!

電車での輪行は何度も経験しておりますが、他の方の
ジャマにならないためには幾つか簡単なコツがあるか
と思います。

まず第一に先頭車両(ないし最後部)の運転席の後ろ
のスペースを利用することが考えられます。

ここだと車両間を移動する人がいないので多少混雑し
ている時間帯でも迷惑を最小限にすることが可能な場
合が多いです。

第二に、対面式の座席の場合、センターの部分よりも
両端の座席を利用した方が見た目に収まりがよくなり
ます。

第三に、仕方のない場合は大型のビニール袋を入手し
て済ます場合もありますが、きちんと専用の輪行袋を
利用するのがやっぱり基本になるかと思います。

混雑する時間帯を避けられるようにスケジュールを調
整したり、あえて各駅停車に乗り込んだりすることも
トラブル回避のためには有効です。
Posted by 鉄下駄 at April 30, 2006 10:29
ats_atsさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
トレーラーをお持ちですか。私も一度牽いたことはありますが、意外と違和感は少ないですよね。
確かに、事故の問題はつきまといますね。歩道を通るような人が出れば、歩行者とのトラブルも出るでしょう。もちろん台数が増えていけば、クルマとの共存も問題になるでしょうし、自転車とは言っても、一定の場所をとるわけですから、違法駐輪の問題も起きそうです。
他社が追随しないことも考えられますが、いずれにせよ、どれだけ増えるのか、興味のあるところです。
Posted by cycleroad at April 30, 2006 23:05
鉄下駄さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね、GWと言っても、一部の幹線を除けば空いている列車もたくさんあるわけですし、迷惑のかからないような方法をとって輪行している方もいらっしゃいますね。
私も、混雑している時期に輪行するな、とか車内に自転車を持ち込むな、と言いたかったわけではありません(笑)。送るっていう選択肢もあると書きたかっただけなので、輪行を否定するつもりは無いんです。
ノウハウをいろいろありがとうございます。実際、先端や最後尾は同好の人に会う確率も高いですね。欧米などに比べれば、今ひとつ列車持込への認知は低く、気をつかう部分はあります。でも自分で運べれば、その分安心ですし、降りてすぐ漕ぎ出せるわけで、輪行の利点も少なくないですね。
Posted by cycleroad at April 30, 2006 23:24
ヤマトのリヤカーは駐車違反を回避する対策としても大いに使って欲しいですね。
Posted by maksim727 at June 07, 2006 10:34
maksim727さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
6月になって新制度が始まり、運送会社各社は台車で走り回ったり、大変なようですね。まだ現場は混乱しているのでしょうけど、駐車場や集積所を確保して、そこからカートやリヤカーで運ぶスタイルも増えてくるかも知れません。
Posted by cycleroad at June 09, 2006 00:54
cycleroad さん、はじめまして。

ピークオイルの問題からリヤカーによる配送を考えていたのですが、別の理由からもう実現していたのですね。初めて知りました。

バイクのポテンシャルは、スポーツバイクを乗り込んでいる人にしかなかなかわからないようですね。共感できるお話が満載で、読んでいて楽しいです。
ところで、つくづく感服するのですが、その幅広い情報収集は、一体どうやって? コツのようなものがあれば、教えてください。
Posted by Dr. K at December 22, 2007 13:52
Dr. Kさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
駐車場所の確保が難しい都市部の中心だけのようですが、道路交通法の駐車違反の罰則強化で、宅配便業者にとっては苦肉の策ということのようですね。
共感していただけたようで嬉しいです。おっしゃるようにスポーツバイクに乗っている方には理解していただけるか、とも思うのですが、世の中的には、そうでない方が圧倒的に多いわけで、なかなかピンと来ない部分もあるのでしょうね。
情報収集のコツですか。いや、今までそのように言われたこともないですし、自分でもそう思ったこともないので、コツと言われても、正直なところ、すぐには思いつきません。ネット以外で、本を読んだり、いろいろな人の話を聞いたり、何か見に行ったり、というところにあるのかも知れません。
Posted by cycleroad at December 23, 2007 23:17
 
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