September 03, 2006

後ろ向きの恐竜の背中を登る

世界の巨大恐竜博世界の巨大恐竜博2006」が、NHKや日本経済新聞社の主催で、もうあと少し、9月10日までですが、千葉県の幕張メッセで開かれています。


恐竜は何年かの間隔をおいて、繰り返し似たようなイベントが開かれたり、ブームになったりします。やはり、それだけ人気のあるテーマなのでしょう。遠い太古の昔に絶滅してしまった恐竜は、人々のロマンをかきたててやまない特別な存在と言えそうです。

世界の巨大恐竜博世界の巨大恐竜博2006

ところで、最近はロングテールという言葉を時々耳にするようになりました。もともとはビジネスの中の言葉ですが、流行語的に使われたりもしています。ロングテール、すなわち長い尻尾の持ち主も恐竜なわけですが、ただ単に恐竜の形に似ているだけで、直接恐竜とは関係ありません。

ロングテール理論、ロングテール現象などと使われたりするようですが、最初に言ったのは、アメリカのWired誌編集長のクリス・アンダーソン (Chris Anderson)という人だそうです。ご存知の方も多いでしょうが、簡単に説明すると次のようになります。

元々アンダーソンさんは、オンライン販売のアマゾンなど、特定のビジネスモデルを説明するために使ったようです。ビジネスにおいて売上げは、今までパレートの法則、あるいは80対20の法則が当てはまるなどと言われてきました。仮に100種類の商品を扱っていたとします。

その時、売上げの上位20種類の商品の売上げが、全体の80%になると言うものです。実際の比率はともかく、この20%の商品をいかに効率よく売るかが商売上重要だったわけです。例えば本屋なら、いかに売れ筋の商品を仕入れて、限られた店内に陳列できるかを考えるわけです。

ところが、アマゾンなどのオンライン小売店では、ウェブ上なので事実上いくらでも陳列出来ます。店頭のスペースが減るわけではありませんし、在庫も自由でそのコストも小さくなります。今まで店頭に並べることすら出来なかった、極端に言えばお客が存在すら知らなかった残りの80%の本も売ることが出来るわけです。

ロングテール

この新たなビジネスモデルを説明する時に使われるのがロングテールの理論です。図で言えば、事実上、赤い部分しか売ることが出来ないのが実際の書店というわけです。この図の形が、立ち上がった恐竜に似ているということから、黄色い部分をテール、尻尾と呼ぶわけです。

実際にはこの黄色い部分、高さは小さくなっていきますが、延々と右に続く形になります。つまりロングテールです。実はとんでもなく長く、正確な図に出来ないので、便宜上このような図になっています。高さは低いですが、あまりに長いので、それらの売上げを合計すれば、赤い部分の合計をも上回るほどです。

ところで、ビジネスを考える上では、延々と続くシッポもいいですが、我々の住んでいる地球を考えたとき、この恐竜の向きは全く逆になります。言ってみれば、逆ロングテール現象、あるいはハイヘッド現象とでも呼ぶべき状況が数多く現れているわけです。

06090305

例えば、世界の人口です。人類の誕生以来世界の人口は、現在と比べればごく少ない数、微増で長い間推移してきました。11世紀になってやっと3億、17世紀でもまだ5億に満たなかったのですが、19世紀で10億になり、今は65億を越えています。今も加速しながら毎日22万人増えています。

06090304今盛んに言われている、二酸化炭素の排出量も同じような形のグラフになります。石油をはじめとする化石燃料の使用量もそうです。人類の使う化学肥料の量も当てはまります。南極のオゾンホールの大きさも同じような形になると推定されています。探し始めれば枚挙にいとまがないほどです。

そして、生物の種の絶滅も同じではないかと危惧されています。絶滅危惧種に指定されている動植物がありますが、実はごくごく一部です。人類が知っている生物種は140万種ほどと言われています。しかし実際に存在する生物の種類数は、何千万、あるいは億単位とも言われていますが、まだよくわかっていません。

もちろん、原生動物とか藻とか細菌類とかも多いですが、ほとんどの生物を人類は知らないわけです。恐竜が絶滅してしまった、およそ6500万年前にも白亜紀末の大量絶滅と呼ばれる現象が起きています。これ以前に、この白亜紀末も含めて6度の大絶滅が起きたと言われています。

ところが、これら以上のスピードで現在、大絶滅が起きていることが疑われています。大部分の種を知らない以上、推定せざるを得ませんが、やはり逆ロングテールの形のグラフのような形で種の絶滅が起きていても、何ら不思議ではない状況なのです。急速に生命の多様性が失われていることになります。

私は決して終末論者ではありませんが、人口にしても、自然破壊にしても、数々の客観的データからプロットされたグラフを見る限り、まさに劇的な上昇カーブの中にいます。客観的に見れば破滅的な状況が近づいていると憂慮せざるを得ません。

06090307何のグラフにしても、このまま幾何級数的に増え続けられるはずはありません。資源にしても、地球の物理的許容量にしても有限です。一度絶滅によって失われた種は蘇りません。そう考えると、人類の未来、地球の将来に限りなく不安が募るのも事実です。

石油の使用量だったら、ピークになれば後は減るだけのことかも知れません。代替エネルギーも開発されるでしょう。しかし、減りゆく資源を巡っての国際的な争奪戦など、そのインパクトは決して小さくないでしょう。そして、グラフがただ下がるだけでは済まない問題もあるはずです。

人口問題にしても、自然破壊、地球温暖化にしても、これほど急激な上昇カーブの先に待っている事態を悲観せざるを得ません。現代に蘇って人気を博している恐竜も、実はほんの一部しかわかっていないことが明らかになっています。莫大な種類の恐竜や、同時代の生物が絶滅してしまったことは間違いありません。

当時の地球を支配していた恐竜達も、化石として痕跡が残るのみです。人類だって自然の摂理には逆らえません。もしかしたら今から遠い未来の地球では、「絶滅した大『ホモサピエンス』博」が開かれているかも知れません。果たして我々人類は、このまま逆ロングテールの曲線を、恐竜の背を登り続けるだけでいいのでしょうか。



今年は夏休みの自由研究のテーマを恐竜にした子供さんもいるでしょう。そして今日あたりが、夏休みの宿題の本当に最後の追い込みかも知れませんね(笑)。私も大変だったなァ当時は。今にして思えば懐かしいですけど。

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