October 18, 2006

自転車選びを混乱させる要素

最近、一般のメディアで自転車が取り上げられるケースがよくあります。


新聞やテレビ、自転車雑誌以外の雑誌、ネット上でも特集として、自転車にスポットを当てる例がよく見られます。日経BP社のサイトに載った記事、「カラダに優しく快適に、週末自転車最新トレンド」もそうしたものの一つのようです。

スポーツの秋に、忙しくてなかなか運動する時間がないビジネスマンにこそ、自転車がお勧めと書かれています。自転車通勤が増えていること、自転車店にもスポーティーな街乗り自転車が充実していることなどを挙げ、ストレス発散のためにも週末サイクリングから始めてみることを勧めています。

バッド・ボーイ・ウルトラ

すでに趣味で自転車に乗っている人にすれば、今さら、さして目新しい内容ではありません。最新トレンドと称してモデルや車種、自転車ショップの紹介をしています。メーカーや自転車ショップとタイアップした広告も兼ねた記事なのでしょう。

紹介されている中の60万円の自転車を入門者がどう思うかは別として、ママチャリを使っている一般的な人向けの、きわめてオーソドックスな内容です。中には、非ママチャリのスポーティーなモデルに乗ってみたくなる人もいるに違いありません。

タイヤを変えられる私が興味を持ったのは、この記事に対するコメント、つまり読者の反応です。タイヤの太さに関して、若干太めとか、クッション性が高い太さとか、またタイヤの大きさに対して、小径車のわりに大きめなといった表現が記事中にあり、比較対象が曖昧で解かりにくいと指摘されています。

ごく一般的な感覚だとも思いますが、言われてみれば確かに主観的で、意見や感じ方の分かれるところなのかも知れません。詳しい方でも異論はあるでしょうし、そもそも太さや大きさの知識がない人にとっては、タイヤの特徴を言われても、その違いはピンと来ないことでしょう。

この記者に、タイヤのサイズについて混乱があるのか、あるいは記述に誤りがあることも拍車をかけているようです。20インチと書くべきところが20Cとなっていたり、26インチのMTB用ホイールと書くところを700×26Cとなっています。

ただでさえ、MTBは26インチが普通であるとか、ロードバイクはインチでなく700Cなどと表記するとか、太さもいろいろあることを知らない入門者にしてみれば、混乱は避けられません。普通は出来ない、MTBのタイヤをロードに取り付けられると誤解されかねない点を指摘している読者もいます。

クロスバイクについての説明や、キャノンデール社の「Bad Boy Ultra」(上の写真)を紹介しているのが原因のようです。MTB用のフレームにロード用のタイヤを装備したクロスバイクと書かれていますが、タイヤを700Cから26インチのMTB用にも交換出来る、珍しいタイプの自転車だからです。

同じホイールに合うタイヤで、多少太目や細め、タイヤパターンを変えるなどは考えられますが、700Cと26インチでは、普通フレームエンドの幅が合いませんし、スプロケットのギア数やコンポなど部品も問題で、ブレーキがタイヤに干渉したり、位置も合わず、交換できないのがほとんどなのは言うまでもありません。

しかし、サイクリストならごく当たり前のことでも、知らない人は大勢います。初めての人にとっては、自転車の種類とタイヤのサイズ・太さの関係と互換性、あるいはその呼び方や単位、数字の意味など解かりにくい部分が多く、また誤解を生みやすいものだということを、改めて感じました。

29インチMTB

確かに規格も各種ありますし、タイヤの幅による違いなど、そうでなくても初心者が戸惑うのは無理もありません。持ち運ぶための小径車なら小さなタイヤを装着する意味も理解出来ますが、なんでマウンテンバイクとロードバイクで、幅はともかくタイヤの大きさが違うのか、という素朴な疑問も沸いて来そうです。

MTBのフレームの形とか足つき性のよさとか、もっともらしい説明がよくありますが、それらは後付けであり、本当はMTBを26インチにする理由は「無い」のです。これは、ブランドにもなっているMTBの生みの親、ゲイリー・フィッシャー本人が言っているのですから間違いないでしょう。

そもそも彼が1979年にMTBを作ったとき、たまたま26インチが手に入りやすかった、手に入る中で一番大きかっただけなのだそうです。80年代には既に小さいと考えていたそうですが、あまりに急速に普及したため、いつの間にかスタンダードになってしまったというのが真相だと語っています。

ご存知の方も多いと思いますが、ゲイリー・フィッシャー(上の写真)やビアンキ(冒頭の写真)などが29インチのMTBもラインナップしています。ホイールは700Cで、タイヤのサイズは700×52Cです。正確に言えば、26インチは660.4ミリ、27インチが685.8ミリ、28インチで711.2ミリです。

29インチは736.6ミリとなりますので、700Cを近似的に28インチと分類する例もあると思いますが、29インチと呼んでいるのは、タイヤを含めた外径が29インチということで、あくまで呼び方というわけです。700Cですから、ホイール部分については、ロードと同じ大きさということになります。

ゲイリー・フィッシャー社によれば、29インチホイールは26インチホイールよりも上り坂のコースでは6%速く、クロスカントリーコースでは3%速いことが実証されたとしています。ライダーの重心が相対的に下がるので、安定性が高くなることも指摘しています。

26インチと29インチ

同社のマウンテンバイクについての足つきは26インチと全く変わらず、26インチと比較して、障害物を乗り越えやすい、スピードが落ちにくい、接地面積が広がりタイヤが良くグリップし、加速は若干劣るものの走破性が上がるなどの長所を挙げています。

つまりMTBもロードバイクとホイールの径を同じにすれば、いいことだらけです。サイズは統一してタイヤの太さやパターンだけ変えてもいいようにも思います。ただ、今となっては、タイヤの大きさ以外にもサスペンションやフレームの形状、各所の部品など、様々な部分が違っています。

ロードにもMTBにもなる自転車があってもいいと思いますし、コストや保管場所のメリットもあるでしょう。しかし、全てが一つに収束していくとは思えませんし、MTBの29インチが一般的になったとしても、いずれ差別化のため、また、より性能を追求するため、サイズにバリエーションが出て来るのは必然でしょう。

走る場所や、用途、コンセプト、乗る人の体格など様々な要素に対応するため、今でもママチャリから特殊なものまで多くのタイプがありますが、これからも種々の自転車が生まれるとするなら、タイヤのサイズは減りそうにありません。それなら、せめてその呼び方を統一するなどして、もう少し解かりやすくすべきな気がします。



NHKの趣味の番組でも今、自転車がテーマになっていますね。
ところで、コメントしている読者の中に前立腺を患った方の書き込みもあります。完治しても医者に自転車に乗るなと言われる場合があるんですね。ちなみに、その方は自転車好きなので、いいサドルを探して乗ろうとしてらっしゃいます。こちらのページでクルクルまわっているサドルなんか、良さそうに思いますけどね。

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この記事へのコメント
同感です。自転車特集と銘打たれた記事の中には、広告と連動している記事も多くありますが、多くは何か常識的な範囲(と断定はできませんが)を取り上げていて、目新しさに欠けるような気がしていました。最近では百貨店の新聞折り込み広告にまで、自転車を前面に打ち出したものを目にするようになりましたね。ですが、もう少し安全面・危険性の意識向上を図るような特集もして欲しいと思う私です。

関係ありませんが、警察庁が車両の規制速度の見直し等の検討会発足をさせるという報道がありますね。これはやはり、最高速度を上げるというのが中心なのでしょうか。道路によっては、車の性能と規制速度のつりあいが取れていないかも知れませんが、ただでさえ暴走気味の自動車を、これ以上加速させて欲しくはありませんね。我々車道族も、よりいっそう危険を強いられる事になりかねません…。
Posted by nori at October 21, 2006 01:05
noriさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね、サイクリストならもちろん、そうでない人にとっても、もはやありふれた記事が溢れる状況になっているかも知れません。私も単にスタイルやファッション性などで見た目の興味を惹くためだけの記事ではなく、本当の自転車の良さと危険や問題点などの理解を促す記事にして欲しいと思いますね。もちろん格好良さも必要だとは思いますが..。
知りませんでしたが、なるほどそのようですね。議論の行方が気になります。速度の違う交通が混在する状況のまま速度を上げれば、確かに危険が増すでしょう。住宅街などの通過車輌の暴走が問題になったりしていますし、逆に制限速度を下げることも含めて、安全性を考慮してメリハリをつけるなら納得できます。通行帯を分けるなり、必要な措置をとった上で規制を検討して欲しいですね。
Posted by cycleroad at October 22, 2006 00:38
 
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