November 29, 2006

両手をはなして自転車に乗る

あなたはハンドルから手を離して自転車に乗れますか。


片手放しも無理という人は少ないと思いますが、両手放しなるとどうでしょう。離せる人もいれば、離せない、離さない、離したくない、歌の文句みたいですが(笑)、出来ない人、出来てもやらない人、危ないからやりたくない人、いろいろでしょう。小さい頃はよくやっていた、なんて人もいると思います。

一般的に言って、あまり径の小さい自転車、ホイールベースの短い自転車は直進安定性が低いぶん難しいかも知れませんが、普通の大きさの自転車ならそう難しくないと思います。ただ公道ではマナーの点からも望ましくないですし、思わぬ怪我の元となったり、最近では危険な運転として取り締まられる可能性もあります。

でも、このイタリア製の自転車、「ROTOBIKE(ロトバイク)」なら、注意しようとしたお巡りさんだって「お手上げ」です(笑)。この自転車、最初からハンドルがついていません。つまり両手放しで運転せざるを得ない自転車です。

Rotobike

日本で普通に道ばたに止めてあったら、「あー、ハンドル部分を盗まれたんだろうな。」としか思わないに違いありません。先日の記事に載せたリカンベントもハンドルが無いようにも見えますが、実は手元にちゃんとハンドルがあります。果たして今まで、ハンドルのない自転車なんてあったでしょうか。

発明したリボルタ兄弟に言わせれば、初めてでも簡単に乗れるらしいです。こぎ出せばバランスがとれ、1時間もあればスラロームやUターンも出来るようになると言います。クルマの通らない場所での競技なども提案されていますが、慣れれば街中でも普通に速度を出せるそうです。

このROTOBIKE、一見すると、ふざけた自転車のようにも見えますが、決してそんなことはありません。考えるまでもなく、普通の自転車だってハンドルをきると言うより重心を傾けて曲がっているはずです。慣れれば、ハンドルを持たなくたってカーブを曲がれますし、必ずしもハンドルは必要ないとも言えます。

ロトバイクROTOBIKE

でも、「ちょっと待ってよ、ブレーキはどうするの?」と言う声も聞こえてきそうです。確かに普通にイメージするような、いわゆるブレーキはついていません。しかしブレーキについて言えば、ヨーロッパ、特にオランダあたりに行くと、普通の自転車でもブレーキのないものは、たくさん走っています。

それらの自転車は、固定ギアでフリーホイールになっていません。フリーホイールと言うのは、ペダルを止めたり逆回しをするとペダルが空転する機構のことで、ほとんどの自転車には当たり前についています。逆にフリーホイールでない場合、止まる時はペダルを止め、逆回転させるような足の力で止まれるわけです。

もちろん、ドイツやオランダ辺りでも通常のブレーキがついた自転車も走っていますが、ブレーキの無い昔ながらの、いわゆるダッチバイクなども普通に走っており、街によっては割合的にも少なくありません。道に止めてあっても、注意して見ないので気づかない人が多いのですが、知ると日本人はたいてい驚きます。

ROTOBIKE

最近は、前輪だけ普通のブレーキがついたダッヂバイクもありますが、ブレーキが無い事もさることながら、最初はギアが空転しないほうが乗りにくく感じるでしょう。でも、私も乗ったことがありますが、慣れたら意外と楽しい自転車です。バックだって出来ます(笑)。

普通のブレーキだって、車輪の動きを止めて制動することを考えれば同じことです。日本でもピストレーサーとかトラックレーサーと呼ばれる競技用や競輪用の自転車は、同じような固定ギアです。ニューヨークあたりでは、街でもフィクシーと呼ばれる固定ギアの自転車が一部で人気になっているようです。

ロトバイクつまり、ハンドルだけでなく普通の形のブレーキも必須ではないわけです。ハンドルが無くなったら、両手は開放されます。ポケットに手を突っ込もうが、荷物を持とうが自由です。実際に走る様子は、リンク先のサイトのトップページに動画がありますので、興味のある方はどうぞ。

私は乗ったことがないのですが、一輪車に乗るような感覚なのでしょうか。ブレーキでなく、足の力で止まるところも似ています。ハンドルにもいろいろな形がありますが、自転車の発明以来今まで、どんな自転車にも当たり前のようにあったハンドルを無くすという発想はユニークで、ちょっと意表を突かれた感じです。

日本でもROTOBIKEが入ってきたら、案外ウケるかも知れません。最近、室内で乗馬のような動きをさせるダイエット器具が流行っていますが、両手を離してバランスを取りながら自転車に乗れば、体幹のインナーマッスルを鍛える効果が、より期待できるかも知れません。

このロトバイクなら、ケータイで話しながら走行しても警察に止められないと考える人もありそうです。が、実はそうも行きません。ブレーキ無しの自転車は道路交通法等で規制されていますので、日本での公道走行は違反になります。残念ながら「もろ手を挙げて」歓迎、というワケにはいかないようです。



「ロトバイク」とヤフーで検索すると、「ロードバイクでは?」と言われてしまい、「ROTOBIKE」を日本語のサイトだけ検索しても「MOTOBIKEでは?」と1件も出てきません(笑)。Googleでも探しましたが、日本で紹介しているサイトは見つかりませんでした。
以前から何度か日本初(?)かも知れない、変わった自転車の記事を書いていますが、こんな風変わりな自転車を見つけて喜んでいる物好き(=私)は少ないのかも知れませんね(笑)。

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この記事へのコメント
こんばんは。これはすごく面白いバイクですね。デザインも流石欧風!乗ってみたいです。タイトルの手離し運転と言えば、私も時折(周囲に誰も居ない見通しのいい場所等で)、両手を離してヘルメットの歪みを調整したり、肩をほぐしたり、ティータイムをしたりしますが、停まる時はもちろん、人や自転車が近づくとハンドルを握らざるを得ません。また、もし転倒してケガをしたら大馬鹿者ですもんね(といいながら先日、広めの車道を走っていると、交差点で信号待ちをしていたママチャリに引っ掛けられ、転倒してしまいました。その際、思い切り3車線の真ん中まで吹っ飛びましたが、幸い後続の車が来ず、切り傷と打撲で済みました・・・(汗))

ところで、道交法の改正案ですが、自転車から車道を奪うような内容が含まれてはいないようで、ちょっと安心しています。
Posted by nori at November 30, 2006 23:22
noriさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
よくこんなことを考えますよね(笑)。
たまに中高生などがふざけたり、メールを打ちながらなど、よそ見をしながら手を離していて危ないなぁと思う時はありますが、私も離しますし、手を離すこと自体が危ないとは思いません。ただ、そういう時に限って何かが飛び出すなど、突発的に不測の事が起きてドキッとすることもあります。何とかの法則ではありませんが..。noriさんも大事に至らなくて本当に良かったですね。
道交法は基本的におっしゃるとおりのようですが、警察庁の自転車対策検討懇談会が自転車の通行区分や運転マナーについて触れており、交通量が多く車道が危険な場合に限り、歩道での自転車通行を認めると改めて提言しているのが、ちょっと気になります。杞憂だとは思いますが、法律はともかく、政令や条例、あるいは通達などで窮屈な運用がされる例もないことはないので..。
Posted by cycleroad at December 01, 2006 23:39
子供に見せたら一輪車に乗れるので興味津々です

公道では乗れないので広い空き地(最近はあんまりありませんが)か公園だけに限定されるのが難点ですね

手放し運転はしません
飛出しが怖い。 平気で自転車だと直前を横切ったりするので油断出来ません 

Posted by ロードバイク初心者 at May 10, 2012 22:44
ロードバイク初心者さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
一輪車に乗れるなら簡単かもしれませんね。
ハンドルをなくすという発想は面白いと思いますが、公道で乗ることを許したら、収拾がつかなくなりそうです。
もちろん、街中で手放しで運転していたら危険がいっぱいですし、私もやりません。
Posted by cycleroad at May 11, 2012 23:37
 
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