February 15, 2007

ユビキタス時代の自転車基盤

自転車を盗まれた時、取り戻せる可能性はあるのでしょうか。


自分で捜せる範囲は限られています。警察に盗難届を出して、特徴や防犯登録番号などを伝えることになると思いますが、果たしてどのくらいの確率で発見を期待できるのでしょうか。自転車が貴重品だった時代ならいざ知らず、街に存在する膨大な台数を考えれば、悲観的にならざるを得ません。

一部には、盗難自転車の発見を呼びかけるサイトもあるようです。ロードバイクやMTBなどスポーツタイプの自転車は価格も高いですし、愛車を盗まれた悔しさや何とか見つけたいという気持ちはよくわかります。ただ、サイトで呼びかけたことによって発見されるかと言えば、やはり難しいものがあります。

なんと言っても、そうしたサイトを見る人は限られていますし、その限られた人が、たまたま当該車輌を目撃した記憶に思い当たる確率は、残念ながら限りなく低いはずです。サイクリストも普段から、それらのサイトを全て見るわけでもなく、普通に街中に停められている自転車をいちいち覚えていません。

こうしたサイトの趣旨には賛同しますが、残念ながら社会一般の意識からしても、盗まれたものを発見して持ち主に返してやろうという積極的な風潮もありません。親切な人なら、自宅前に放置してあった自転車の持ち主に連絡してくれるかもしれませんが、その為には連絡先を書いておく必要があります。

しかし、最近は個人情報が意識されて、自転車に名前や連絡先を書く人は激減しているようです。駐輪場まで尾行されて、自転車に書いてあった名前や連絡先をストーカー行為に利用されたりする事件も起きています。盗難の備えとは言え名前や連絡先を書くことは躊躇されるのではないでしょうか。

マイブーメランそんな中、ちょっと面白いサービスがあります。紛失物回収代理サービス、「ブーメランイット」です。方法はシンプルで「見つけてくれてありがとう!下記へご連絡ください」などと書かれたシールを貼るだけです。連絡先は、このサービスの窓口になっています。

つまり、落としたり忘れたりしたものを、親切な人が発見して連絡してくれた場合に、回収を代行してくれるわけです。発見者と直接コンタクトを取る必要もなく、個人情報を晒す必要もありません。アメリカ生まれのサービスですが、日本では同社の日本法人が昨年8月から営業しています。

ブーメランイット・ジャパンもちろん、発見してもらって連絡してくれるのが前提ですから、紛失物が必ず戻ってくるわけではありません。親切な発見者なら交番に届けてくれそうな気もしますが、あまり金目の物でなければ面倒ですし、棄てられてしまう可能性もあります。連絡先を目立つように貼っておく意味はあるのでしょう。

一方で今どき、個人情報をさらすのはリスクも多いので、こうしたサービスに対するニーズが生まれてくるわけです。財布や手帳、携帯電話、デジカメ、ノートパソコンといったものを想定しているようですが、例示の中には自転車も入っています。

見つけてくれてありがとうただ自転車の場合、道端に放置されていても、それが落し物か盗難車か、あるいは所有者が置いていったのか判断しにくいのが問題です。ノートパソコンが置き忘れてあればすぐわかるでしょうが、街には放置自転車が溢れていて、いちいち気にも留められません。

そもそも自転車には防犯登録があって、きちんと登録してあれば警察を通して所有者の情報がわかるようになっています。しかし、放置されている自転車は多く、いちいち警察に通報されません。警察官に偶然発見されて照会されない限り盗難とは判別できず、必ずしも盗難車の回収に効率的とは言えません。

自転車防犯登録自治体が放置自転車を撤去した場合でも、大量の自転車から盗難届の有無の確認をするだけで膨大な手間がかかるシステムになっているので、なかなか処理出来ないと言います。防犯登録制度は、まだ自転車が貴重品であった時代に制定されたこともあって、現状に合わなくなって来ていると言えるでしょう。

最近は、ロードバイクやMTBなど価格の高い自転車を狙い、分解してネットで売りさばく窃盗犯もいるようです。そうした犯行は別として、自転車はその用途から言って、盗難されても発見できる形で路上に存在している確率は高いわけですが、なかなか発見する方法がないのが悔しいところです。

振動して知らせる?例えば盗難にあった時、所有者が無線で操作すると、盗まれた自転車に装着された装置が点滅したり振動したりして周囲の人に知らせて通報を促す、なんてシステムも技術的には出来そうですが、コストとの兼ね合いもあります。その為にフレームが重くなったりするのも歓迎できません。

クルマが盗難された際、携帯電話やGPSなどを使って追跡するシステムもありますが、やはり費用や大きさなどの問題があります。出来れば、ICタグなどを利用したインフラを整備し、手軽で安価に自分の自転車の所在が判明するようなシステム、いわばユビキタス時代の防犯登録制度が欲しいところです。

ママチャリを含めれば、自転車を盗まれたことのある人は、おそらくかなりの割合になるでしょう。気をつけている人でも、うっかり鍵をかけ忘れるなどして持ち去られ、少し離れた場所にでも放置されれば、もう発見は困難です。放置自転車の中にも別の場所で盗んで遺棄されたものが相当数含まれているはずです。

自転車の盗難は犯罪であるだけでなく、迷惑駐輪問題を加速させ、撤去や廃棄費用として税金が使われ、資源の無駄です。そう考えれば、ママチャリを盗まれても簡単に捜せて、買いなおさずに済むシステムの価値は犯罪被害の回復に留まらないわけで、防犯登録制度を更新する社会的意義は小さくないと思います。

自転車の盗難保険で備える手もありますが、期間が限定されたり、保険料の問題は残ります。結局、盗まれたら戻ってくる可能性が低く、かと言って有効な手立てもない現状では、施錠を厳重にして、駐輪場所に気をつけるなど、未然に盗難防止に努めるしかないのが、残念ながら現実と言えそうです。



なんだか最近、冬の嵐が多いですね、どうなってるんでしょう。でも聞けば春一番だとか..。
東京では今シーズン雪も観測されていません。雪が降れば降ったで交通機関はマヒするし、転ぶ人も激増なので降らなくてもいいと言えばいいですが、本当に降らないとなると、何となく寂しいような、物足りないような...。

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この記事へのコメント
こんばんは。かなり以前に一度書き込みさせていただいた者です。
自転車にICタグ!という記事だったので思わずコメントしたくなってしまいました。いつかはそういう時代が来るだろうと思っていますので。。

もし自転車にICタグ等を付けられるのであれば盗難だけでなく放置自転車とかその他にも利用できるところは色々とあると思いますね!実験なんかもしてはいたみたいですけど実際に実現するとなるとそう簡単ではないのでしょうね。
でも、自転車って風雨に晒されたりもするし衝撃があったりもするしそこらへんは難しいのかなぁっていう気もしますね。
Posted by だばしゅ at February 16, 2007 22:51
だばしゅさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
今話題の東国原英夫宮崎県知事こと、そのまんま東さんの記事の時ですね。お久しぶりです。
私も以前、たしか三鷹市だったと思いますが、ICタグを自転車につけて実証実験などという新聞記事を読んだ時には、あまりピンと来ませんでしたが、よくよく考えると、様々な可能性が考えられますね。
タグは、おそらくシールに密封されるでしょうし、非接触で、大きさも最近は薄くて小さいようなので、衝撃や風雨にも比較的耐久性があるのではないでしょうか。
ただ、自転車の所在をリアルタイムに把握するためには読取装置のほうを街の各所に配置し、通過情報などを読み取る必要があるのでしょうから、そのインフラ整備が大変そうです。
おっしゃるように、技術的には可能な時代が来るだろうと私も思いますが、果たしてインフラ整備に社会的なコンセンサスが得られるかが問題のような気がします。
Posted by cycleroad at February 18, 2007 23:20
 
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