March 17, 2007

多くの人から期待される企業

若者のクルマ離れが言われています。


先日も、インターネットによる都市部の若者に対する意識調査の結果が新聞に出ていました。それによれば、クルマを欲しいと思わない理由について、今の生活に特に必要ない、維持費や税金が高い、他の交通機関で足りる、クルマ以外にお金をかけたい、といった声が多かったそうです。

以前から多くのアンケート調査などにも現れていたことであり、特に目新しい内容ではありません。もちろん経済的理由や都市部固有の要因もあるでしょうが、趣味やライフスタイルが多様化し、意識や考え方も変わってきているのは間違いないようです。

今や必須のコミュニケーション手段であるケータイ料金に可処分所得をとられているとか、クルマよりファッションや遊興費にお金をかける、あるいはクルマに乗ることを格好いいと思わず、魅力を感じていないなど、若者の意識の変化はいろいろ指摘されています。

クルマの所有が良いとか悪いとかの議論ではありません。言うまでもなく、クルマ好きな若者も多いでしょう。ただ、かつてのクルマを所有すること自体に価値を置いたり、ある種のステイタスと感じていた若者も多かった時代に比べれば、すっかり様変わりしたと言えそうです。

世界市場での動向を指摘するまでもなく、日本のクルマの魅力や競争力が落ちたとは思いません。当然、日本国内でもクルマの需要が高い地域も多いわけです。しかし、少なくとも公共交通の発達した都市部では、クルマは渋滞で不便、維持コストに見合わないと考える人が増えるのは、自然な流れでもあるのでしょう。

それでも買ってもらうためには、クルマメーカーは全く新しい価値を提案する必要に迫られているのかも知れません。すなわち、移動の手段として速いとか快適といった価値の延長線では、都市の若者には訴求しえないので、クルマの、移動ではない新しい使い方を提示する戦略も求められるわけです。

同じ調査で、「この企業・ブランドが車をプロデュースしたら買いたい」と思う企業・ブランドを若年層に尋ねたところ、ソニーやアップルが上位になったそうです。今でもクルマをプライベート空間、音楽のリスニング空間などと捉える人はいると思いますが、一つのヒントかも知れません。

一般的にも好イメージの企業が挙がっただけの可能性もありますので、必ずしも「VAIOカー」や「MacCar」が売れるとは限りません。でも、「この商品を、他のどんな企業やブランドにプロデュースして欲しいか」という視点は、マーケティングのヒントとなる切り口でしょう。

ところで、自転車だったら、どんな企業にプロデュースして欲しいでしょうか。人によって、いろいろな答えが考えられます。ただ、すでに様々な企業がプロデュースする自転車があるが、結局はロゴやカラーリングが違うだけで大して変わらないじゃないか、という指摘ももっともです。

例えばクルマメーカーがプロデュースした自転車も、多くは量販店で販売される普通の自転車だったりします。中にはクルマと共通のデザインテイストや一部共通の部品を採用するといったものもあり、そのメーカーのクルマのファンにはたまらない自転車もあるようですが、自転車として特別なものではありません。

やはり、わざわざ特定の企業にプロデュースして欲しいと考える中には、斬新なデザインや先進の技術、今までにないアイディア、商品としての魅力が期待されます。従来の商品のラベルだけ張り替えた商品ではなく、可能性を感じさせ、新たな価値を提案するものが欲しいところです。

ロードバイクやマウンテンバイクといった個々のタイプには、なかなか革新的な変化は期待できないでしょうが、自転車全体としてなら、新しい発想や変化の余地はあります。例えばクルマメーカーにしても、取組み方によっては、斬新な自転車の提案が生まれるはずです。

Extreme Gravity Competition

これは、スウェーデンの自動車メーカー・ボルボ社が、あるレース用に開発したものです。Extreme Gravity Competitionというチャリティーのレースですが、坂を下る勢いだけ、つまり重力(Gravity)の力のみで走行する車輌のレースです。

坂を下るだけと言うと大したことはないように思いますが、なんと最高速は時速86キロに達すると言います。同社は、このレースで2年連続で優勝しました。クルマの開発技術、空気抵抗の少ないデザインや車体の軽量化技術などが生かされています。

Extreme Gravity Car重力だけで走らせるクルマ

ボルボの重力車フォルムが美しい

クルマメーカーの作ったものとは言え、エンジンも何もない1人用の車輌は、限りなく自転車に近いものがあります。タイヤやホイールなどは、自転車の部品が流用されていそうですし、そう思った方も多いと思いますが、ギヤとチェーンとペダルをつければ、すぐにリカンベントタイプの自転車になりそうです。

寝そべった形でこぐ自転車・リカンベントにフェアリング、いわゆるカバーをつけた自転車を過去に取り上げたことがあります。ストリームライナーとかベロモービル、バイシクルカーなどと呼ばれる自転車で、知らない人にはオモチャに見えるでしょうが、意外に実用性が高く、未来の自転車の形と呼ばれることもあるくらいです。

そもそもリカンベントは空気抵抗が少なく、構造的にはロードバイクよりスピードが出ます。フェアリングをつけることで、さらにラクに高速を保てる上に、雨に濡れずにすむ利点もあります。環境面から、真剣にクルマの代替交通として考える人たちもいます。

そんなフェアリング付き自転車として見ても、軽量で空気抵抗が少なく速度が出ることも含め、そのデザイン性の高さ、完成度はさすが自動車メーカーです。単なる特殊なレース用やコンセプトモデルにしておくのはもったいない気がします。是非自転車に改良して発売して欲しいものです。

もっとも、実際に現在の日本の道路で乗るのは、安全面などから必ずしも現実的ではありません。路上のクルマや歩行者から見ても視認性が低く、下手をすればクルマに踏みつけられかねません。もちろん、レース用ではなく市販となると、製造コストや市場性も含め、数々の問題点が立ちはだかるでしょう。

ドライバーが完全に覆われないこちらは前年のタイプ
(こちらは更に前年のタイプ。)
(左は上から見たところ。)
(左下のように、こちらはうつ伏せになるタイプ。)

こちらはうつ伏せになるタイプ

すでに多くの自動車メーカーが自転車をプロデュースしています。自転車を販売したからといって、クルマの売れ行きとトレードオフになるわけではないからでしょう。イメージ戦略もあるかも知れません。ならば、もっと積極的に新しい都市交通のカタチを追及するところが出てきても良さそうなものです。

新しい試みが都市や交通の現状への疑問を提起し、新たな市場を切り開く可能性も無いとは言えません。自動車メーカーが全く新しい発想として、エンジンの無いクルマとして出すのも面白いでしょう。若者にウケるかは別としても、環境への対応の一つの答えとして、新しい都市での移動の形に挑戦して欲しいと思います。



偶然ですが、今朝のニュースでも、全体では伸び続けているクルマの保有台数が東京では減少に転じたと報道されていますね。
話は変わりますが、日本自転車振興会が、競輪の新しいファン獲得を目的とした“漢力検定”のサイトをオープンさせたそうです。なんで競輪が漢字検定?と思ってよく見ると、“漢力(おとこぢから)”の検定だそうです(笑)。興味ある方はこちらへ。

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