April 25, 2007

お客のいるところで商売する

海外の事情や生活ぶりを紹介するテレビ番組が時々ありますが、先日取り上げられていたのはインドネシアのジャカルタでした。


その中で、日本には無いユニークな商売として出ていたのが、自転車を使った子供向けの出張サービスです。現地語で何と言うのかわかりませんが、番組では出張遊園地と呼んでいました。遊園地と言うのも大げさですが、最少単位が自転車一台、時には何台か集まって移動する子供向けアミューズメント・サービスです。

ペダルをこぐと、前に設けられた馬の形の座席が揺れるわけです。日本でもコインを入れると一定の時間動く幼児向けの電動遊具がありますが、その人力版です。自転車を改造した手作りの遊具に乗って、子供たちのたくさんいる住宅街まで出向くわけです。

日本円にすると一人一回5円くらいで、子供達には人気があると言います。もちろん、この写真の人だけでなく同業者もいて、それぞれ馬の部分をクルマ型にしたり、キャラクターにしたりと創意工夫を凝らして人気を競い合うなど、充分商売になっているようです。

一人遊園地自転車

確かに日本では成り立たない商売でしょう。ただ、その番組に映し出されていた子供たちが本当に楽しそうな笑顔だったこともあって、なんだか昭和の日本を見るような懐かしさを覚えました。大人も子供も素朴な感じです。それでも、れっきとした商売なのですが、インドネシアには、日本では成り立たないような商売は少なくありません。

ロードサイドでのドライバー相手の様々な物売りやガラス拭きなどは当たり前です。交差点に立ち、右折したいドライバーのために一回10円程度で対向車を止めるとか、駐車スペースを確保するとか、ラッシュ時に都心に入るクルマは3人以上乗車という規制をクリアするため、同乗するだけの商売まであります。

creativecommons当然、自転車を改造しての商売の種類もいろいろあるわけですが、インドネシアの自転車商売に関して、なかなか適当なサイトが見つからなかったので、再利用や頒布を許諾したクリエイティブ・コモンズで提供されている写真から何枚か掲載してみようと思います。

ベチャ派手なものも多い

有名なのは、ベチャなどと呼ばれる3輪の自転車タクシー、ベロタクシーです。最近日本にも登場しつつあるものとは違い、お客が前です。

子ども乗せ自転車前が見えにくい気もするが

子供を専用に乗せる自転車は、子どもが喜ぶように改造されています。

売店自転車自転車屋台

人を運ぶだけではありません。自転車を改造して、食料品を売る売店や食事がとれる屋台になっています。

自転車ミルクスタンドアイスティーあります

もちろん、日本のように道端に自販機があるわけではないので、飲料を売る人も少なくありません。

このバナナの量!ケースごとまとめて

商品を運ぶのも自転車ですが、その量は日本の常識に当てはまりません。左のバナナも重そうですが、瓶詰め飲料のケースも半端ではないでしょう。

飲料水の移動販売氷はそのまま?

飲料水や氷だって運びます。

ゴミ回収車にも見えてしまうがスナック菓子

中身が軽いスナック菓子となれば、ケースは大きくなります。人が集まる場所と時間を狙うのは当然として、多くの路上で商売する人に向けても商売します。

溶けないうちにハンドメイドの自転車

アイスクリームもあります。

調味料やソースの量り売り自転車で油売り

瓶を多数載せた左は飲料ではなく、サンバルやマニスと呼ばれるインドネシア独特の調味料やソースを売りに来ているのだそうです。瓶ごとではなく量り売りです。右は文字通り油を売っています。

小鳥だって売りに来るお直し、承ります

ペットだって売りに来ます。面白いのは、ミシンを備えた、移動縫い仕事屋、仕立て直し屋とでも呼ぶべき商売です。住宅街を巡回し、呼び止める主婦や女中さんなどから簡単なミシン仕事を請け負います。ボタン付け、ほころび直し、丈や袖を詰めたり寸法を直すなど、ちょっとした需要がかなりあります。

腕はいい人が多いらしいミシン自転車

日本だったら捨ててしまうところを直して使うということもありますが、自分でやるのが面倒だったり出来ない人も多いのでしょう。わざわざ街の洋品店に持っていくのも大変ですし、持って行ったとしても、なかなか受け付けてくれないこともあって、こうした自転車針職人が無くてはならない存在だと言います。

街角でお直し作業用シートは別

みなオリジナルで改造するので、ミシン自転車もタイプがいろいろですが、作業用のシートは別にするのがトレンドのようです(笑)。

日本でも、昔は自転車商売がたくさんありました。いつ頃姿を消したのか正確には知りませんが、子供向けの紙芝居とか、住宅街にラッパを吹きながら売り来る豆腐屋、人通りの多いところでは、アイスキャンデーから金魚まで様々な物を売る人がいました。当時、心待ちにしていた子供だった人も多いでしょう。

今でもたまに、大きな公園の中とか行楽地など、人が集まるけど売店がなく、クルマが入れないような場所での移動販売に自転車を使っている例は見ることがあります。暑い日の飲料とか冷菓など、当たれば飛ぶように売れそうです。住宅地でも、針仕事は無理としても何かニーズが埋もれていないとも限りません。

ただ日本では、そうした需要はコンビニなどに集約され、人件費を軽減するため自動販売機などに置き換わっていった結果、こうした移動商売は、さすがにもう成り立ちにくいのは確かでしょう。好みなのでしょうが、インドネシアの商魂たくましい商売人たちとアナーキーな街の様子と比べて、ちょっと寂しい気がしないでもありません。



インドネシアの話題を書いていたら、アジアンフードが食べたくなって来ました。東南アジア系のエスニック料理は大好きなんですが、そう言えば最近食べてないな..。

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この記事へのコメント
初めてコメントさせて戴きます。
興味深く拝見させて頂ました。

記事の途中で、
私も同じように日本の懐かしの自転車移動商売を思い出しました。
紙芝居、キビ団子、風鈴・・・・

インドネシアの改造自転車は巨大といいますか、
面積が大きいですね。

これだけの物が路上を走れるというのもまた、
愉快というか気持ちよいというか、
楽しい感じが致します。


他の記事も興味深いものばかりで、
これからもお邪魔させてください。

リンクフリーと伺いましたので、
リンクをさせて頂きますね。
Posted by 金魚 at April 27, 2007 23:31
金魚さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
アジアの国々の風景の中に、なぜかノスタルジーを感じるというのはありますよね。
確かに自転車自体の改造は、こちらのほうがダイナミックです。これがクルマやオートバイと混然となって道を走っているわけですから、これもまたダイナミックと言うかエネルギッシュと言うか、雑然としつつも、おっしゃるように楽しげに見えてしまうのもあります。そんな熱気を帯びた感じも、ジャカルタに限らずアジアの街の魅力なのでしょう。
ご丁寧にありがとうございます。
Posted by cycleroad at April 28, 2007 23:14
自転車が生活にとけ込んでいる様子がよく分かります。
Posted by kenta-ok at April 29, 2007 10:18
kenta-okさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね、日本のように生活の足としてだけでなく、欠かせない商売道具、利用する側にとっても身近な存在として、まさに生活に密着した存在なのは間違いなさそうです。
Posted by cycleroad at April 30, 2007 19:43
 
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