June 21, 2007

カタチは自分で決めてみたい

xylonbike」という木製の自転車です。


木の自転車なんて意外に感じる方も多いと思いますが、今のように金属加工技術の発達する前、自転車の誕生当初は木製だったわけですし、今でも家具職人などが少量生産ですが木の自転車を作り、その質感を好む人などに愛用されている例は、日本でも世界でも、たまに見かけます。例えば下のような作品です。

木の自転車芸術的な木のロード

これらと比べるとxylonbikeのフレームはユニークです。さすがにタイヤや駆動系のパーツまで木製にするわけにはいきませんが、フレームは丸ごと木に置き換えることも出来るわけです。そしてフレームがみんな同じ形をしている必要もなく、木ですから溶接などと比べて加工も比較的容易なので、自在に形を決められるわけです。

細部の仕上げ木の荷台

こちらの4枚は工業デザイナーの作品ですが、細部もまさに熟練の技という感じです。でも、xylonbikeのように、フレームの形に捉われないなら、素人でも充分作れそうです。金属パーツとのジョイント部分さえきちんと加工すれば、通常のフレームと置き換えて自由な発想の木製自転車が誕生します。

デザインの完成度を別にすれば、中高生でも製作可能でしょう。学校の授業に取り入れても面白そうです。さすがに小学校の図画工作では無理ですが、中高生の技術家庭科や美術の時間などを使ってカリキュラムにし、時間をかけてコツコツ作らせたら生徒も楽しんで作るのではないでしょうか。

xylonbike

なかなか身の回りの物を自作する機会のない今の子供には、ものづくりの体験だけでも貴重です。単に買ってくるのとは違う手作りの楽しさを体験する貴重な機会になるかも知れません。ほかにも、わざわざ自転車を自作することに、いろいろな教育的効果が見込める可能性もあります。

軽さを追及するか、空気抵抗を減らすか、奇抜な形にするか、乗り心地優先か、自分の作った自転車には、一台一台個性が反映するでしょう。当然、愛着も湧いてくるはずです。彫刻をしてもいいでしょうし、芸術的センスを発揮する生徒や、固定観念を打ち破るような作品が生まれるかもしれません。

せっかく作った自転車ですから、自分で乗るようになれば、さすがに苦労して作った作品の盗難には気をつけるでしょう。いつもと違う自転車に乗っていたら、すぐ友達も気づきます。自転車盗は比較的心理的障壁が低いと言われますが、手作りの作品なら盗まれても発見しやすいなど抑止効果も見込めます。

木製自転車

中高生が集まるような場所の駐輪場には、同じようなママチャリがズラリと並んでいるなんて光景も珍しくありません。自転車を量販店で買うのが当たり前となって、おそらく地域の量販店の一番リーズナブルな売れ筋の自転車ばかりが並んでいるのでしょう。

自転車が安く買えるのを必ずしも悪いとは言いませんが、それこそ一万円未満で買えるようになって、使い捨ての道具のような感覚になっている生徒も多いはずです。値段も安いので、カギをキチンとかけずに、盗難を誘発する傾向も見受けられると言います。仮に盗まれても、似たような自転車に乗って帰ればいいと考えるわけです。

木の自転車

どこかの県警が作成した資料で、実際に自分の自転車を盗まれたことが盗難の動機の一つになっているとの調査もあります。例え盗まれたから盗み返したとしても、立派な犯罪です。非行の入り口となることも多く、決して見過ごせません。この犯罪の連鎖を防ぐためにも、自分の自転車に対する愛着はポイントになります。

たくさん並んでいる似たような自転車でなく、自分の一台となれば、駐輪にも気を使うようになるでしょう。放置自転車などのマナーについて考えるきっかけになるかも知れません。愛着を持って、きちんと整備しながら乗るようになれば、壊れたからすぐ捨てる割合も減りそうです。

自治体と連携して、大量に発生する撤去された放置自転車を使えば、材料も安くすみます。リサイクルについて考える機会となって、多かれ少なかれ、ゴミの投棄や環境問題にも関心が向くかも知れません。自転車の構造への理解も進み、多少の不具合なら自分で直せるようになるでしょう。

フレームの形は自在

意外に木という素材は、軽くて振動を吸収してくれるなど、フレーム素材としてもメリットがあると言います。自転車を木で作ること自体が、まだとても一般的とは言えませんが、加工もしやすく身近な素材として、もっと注目されても良さそうな気がします。

カーボンやチタンと言った先進素材もいいですが、金属に限る必要もないわけです。木の部分を自由に加工できるようなキットでも発売されれば、誰でも気軽に自作に挑戦できそうです。教育的効果は別としても、「自分で自由に形を決められる自転車」というコンセプト、ちょっと魅力的かも知れません。



結局、関東地方などでは梅雨入り宣言は空振りで、今日あたりから本当の梅雨入りのようです。フレームが木でない方は(笑)、錆にも気をつけたいですね。

関連記事

自転車を活かせる意外な素材
木で自転車のフレームを作ろうという人は、探せば意外といる。

いつかどこかで生まれる必然
日本で最初に作られた自転車、陸舟奔車も当然木で出来ている。

自転車の誕生から進化の背景
自転車の歴史をひもとけば、タイヤもすべて木で作られていた。



このエントリーをはてなブックマークに追加

 デル株式会社


Amazonの自転車関連グッズ
Amazonで自転車関連のグッズを見たり注文することが出来ます。



 楽天トラベル






この記事へのトラックバックURL

 
※全角800字を越える場合は2回以上に分けて下さい。(書込ボタンを押す前に念のためコピーを)