August 14, 2007

オーストラリアの不安と期待

先週オーストラリア統計局が発表したところによれば、オーストラリア人がますます太っているそうです。


AFPの外電から引用します。


AFPよりオーストラリア成人の半数が「肥満」、あるいは「太りすぎ」に分類される、こんな実態がオーストラリア統計局が7日発表した報告書で明らかになった。2004年から2005年にかけての国民データをもとに行った研究によると、「肥満」、「太りすぎ」のオーストラリア成人は1995年の45%から54%に増加した。

肥満や、肥満を原因とした疾病の対策のための政府支出や社会コストは、2005年の1年間で210億豪ドル(約2兆1500億円)にのぼったと見られる。特に肥満割合の増加傾向が著しいのは35歳から44歳の男性で、2005年までにいたる約10年間で倍増している。

肥満を原因とする健康障害も増加。1995年には成人の2.4%だった糖尿病患者の割合は、2005年には3.6%にまで上昇した。特に、先住民アボリジニの糖尿病患者の割合は非先住民の3倍以上、腎臓疾患率は10倍以上に達し、アボリジニがより深刻な健康問題を抱えている実態も明らかになった。(AFP)


この肥満の急増ぶりに、市民の間では健康への危機感が高まり、地球環境への意識とも相まって、豪州でも自転車の活用に関心が集まっていると言います。オーストラリアと言うと世界で6番目という広大な国土が思い浮かび、自転車とは縁遠いようにも感じますが、必ずしもそうとは限りません。

もちろんクルマ社会の部分もありますが、広大と言っても人口の多くは東海岸の都市部に集中しています。都市部では公共交通も発達していますし、全般に地形は比較的平坦なことが多く、豪州の都市生活者にとっても自転車は、公共交通と組み合わせた現実的な交通手段となりえます。

先日は、オーストラリアのサイト「Australian Design Awards」から、防塵マスク付きや、自発光式のハイテクヘルメットを取り上げました。オーストラリアでは法律で自転車乗車時のヘルメット着用が義務付けられており、例え観光客であろうと呼び止められて罰金を科せられます。ヘルメットは必需品という事情があるわけです。

その時には触れませんでしたが、同サイトにはヘルメット以外にも、昨今の関心の高まりを反映してか、自転車の活用を促し、そのための安全を積極的に確保するような提案など、自転車関連商品のデザイン・コンセプトがいくつか掲載されています。

VisoBicycle Lighting System

こちらの“Viso”と名付けられた作品は、サイクリスト自身の視認性をアップすると共に、夜間でも手信号が見えやすくする“Bicycle Lighting System”です。オーストラリアでは、日本と比べてはるかに、こうした視認性を高めるライトへの関心、総じて安全確保への意識は高いものがあります。

グローブも光る前後で色が違う

フラットバーハンドル用のグリップに前後色の違うLEDライトを配し、周囲からの視認性を高めています。一つのテールライトと比べ、その幅もアピール出来て、より目立たせる効果もあります。またバイクグローブにもLEDが装着されており、スイッチによって点灯するようになっています。

そのスイッチは、内臓の無線装置によりグリップとの距離を感知し、腕を広げることによって点灯するように設計されています。つまり、伝統的なハンドサイン、手信号を出そうとするとグローブのLEDが光って、後続車に注意を促すというコンセプトなのです。今までにない手法と言えるでしょう。

ハの字型の後輪V字型になる

こちらは、以前取り上げた「国際自転車デザインコンペティション」で大賞を受賞した作品「シフト」という自転車に似ていますが、障害のある方のための自転車だそうです。シャフトドライブによって駆動する二つの後輪の角度が変わるようになっていて、安定性と速度のバランスをとり、転倒を防いでサポートする仕組みです。

シャフトドライブ式安定して自立する

「シフト」は、高齢者や自転車に乗る技術を習得していない人向けを想定していましたが、こちらは脳性麻痺や後天性脳損傷などによって、通常型の自転車ではバランスの取りにくい人でも乗れるように設計されているそうです。こうした補助を必要とする人への配慮は、社会全体として日本より進んでいることも背景にあるのでしょう。

The Baskart運搬用カート

The Baskart”は、ネーミングもユニークですがバスケットのカートです。以前取り上げた“Bamboo Bicycle Trailer”と質感や考え方に共通するものがあります。単純な構造と加工のしやすさ、竹やヤナギや他の植物の茎など、その地域にある素材を編んで使えるように考えられています。発展途上国でも生産でき、維持も容易です。

簡単な構造用途は広い

移動や輸送に人力以外のエネルギーを使えず、運搬具を生産する手段も持たず、交通のインフラもないような途上国に暮らす人々にとって、乳母車から自転車救急車まで、農産物の輸送から露店での商売まで、自転車用カートが広く活用されることは、貧困の撲滅のための大きな力であるのは、以前取り上げたBEN Namibiaと同じです。

Everglideフォールディングバイク

Everglide”は、電車やバスなどの公共交通と連携して機動力として活用するフォールディングバイクです。単にリュックのように背負える折りたたみ自転車というだけでなく、走行時のペダルの力を利用したマグネット発電機によって携帯電話やiPodなどのモバイル機器に充電する機構も備えています。

考え方としては、バッグに折りたたみ自転車を含めた身の回り品の管理を統合したアイテムなのだそうです。自転車自体はバッグの外側に折りたたまれる形なので、もちろんバッグとしても使えます。モデルなので、その実用性のほどは分かりませんが、「身の回り品を統合するバッグとして持ち歩く」という新しいパッケージングの考え方です。

リュック型になるEverglide

都市は変貌しつつあり、地球環境や原油価格の高騰、渋滞に大気汚染など、その取り巻く状況や人々のライフスタイルも変わりつつあるのだから、人々の移動にも新しいスタイルが必要だと主張しています。つまり、公共交通を利用し、電車やバスを乗り継ぐための移動は、その背負った移動手段で、というわけです。

以前からオーストラリアの製品をいろいろ取り上げています(欄外の関連記事参照。)が、オリジナリティーと独創あふれる製品が少なくありません。次世代を担う学生デザイナーの作品を見ても、健康と環境に意識の高まるオーストラリアからは、今後もユニークな製品が生まれてくることが期待できそうです。



それにしても暑い日が続いています。25度以上の夏日、30度以上の真夏日だけでなく、いつの間にか35度以上の猛暑日なんていう言い方も定着していることに気づきます。今年の4月に制定されたそうです。35度以上は酷暑日とも言うそうですが、40度以上の呼び方が必要になる時代も来るのでしょうか..。熱帯日?、炎熱日?

関連記事

街角でもコミュニケーション
すでに製品となっているSafe Turn Indicatorも似た考え方によっている。

子どもをケガから守るために
オーストラリアでは子供の送り迎えなどに使う製品も少し違っている。

自転車に近づけるという方法
自転車とスケートボードを融合させた新しいスポーツも生まれている。

必要に応じて取り替えて使う
自転車にサーフィンにも通じるターンを楽しむという考えを持ち込んだ。



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