August 20, 2007

自転車専用道に足りないもの

高速道路にあるサービスエリアのような存在として、一般道へ「道の駅」の設置が進められています。


道の駅の制度は平成3年から検証が行われ、平成5年に第1回の登録が行われた時には全国で101か所でした。以来毎年追加され、国土交通省に登録された全国の道の駅は、今月新たに10か所が加わって868駅にもなります。場所による偏りはあるものの、ドライブ中にも目にする存在になったのではないでしょうか。

長距離ドライブの際、気軽に立ち寄れる休憩施設という側面だけでなく、沿道地域の特産物を販売したり、観光などの情報を発信し、その地域の活性化に役立つことから整備に力を入れる自治体は少なくありません。著名な観光地への単なる通過点であった地域でも、観光客などが滞留することで経済的な波及効果が見込めます。

道の駅のシンボルマーク利用者にとっても、思わぬ地元産品が購入出来たり、地域の観光案内がわかるのは悪いことではありません。もちろんクルマ向けの施設ですが、自転車でのツーリングの途中に、トイレ休憩などで便利に利用しているサイクリストも多いのではないでしょうか。

ところで、今月追加登録されたばかりで、来月から供用される予定の新しい道の駅に、岐阜県美濃市の「美濃にわか茶屋」があります。ここは、災害時の避難所にもなる機能と、自転車での地域の観光拠点としてサイクルステーションを設置していることでも注目を集めています。


自転車に乗り換えぶらり 来月8日、道の駅「美濃にわか茶屋」オープン (中日新聞

美濃にわか茶屋美濃市と国土交通省岐阜国道事務所が、同市曽代の国道156号沿いに建設した道の駅「美濃にわか茶屋」が、9月8日オープンする。市が進めるサイクルシティ構想に基づき、地域の交流拠点となるサイクルステーションを設置。県内の道の駅では初めて、防災設備も備えており、観光振興、防災両面から大きな期待が寄せられている。

道の駅は、総工費九億八千万円。約九千平方メートルの敷地に、長良杉を用いた中央棟と西棟(ともに平屋建て、計約千二百七十平方メートル)があり、車四十四台分の駐車場を備えている。中央棟では、地元の野菜や柿ジャムなどの特産品を販売。道路、気象情報も提供する。

西棟のサイクルステーションには、大人用八台、子ども用四台の自転車を置き、有料で貸し出し。シャワー設備もあり、自転車で長良川周辺や、うだつのあがる町並みなどに足を伸ばすことができる。市は、長良川左岸に自転車専用道を延ばす計画も立てており、「自転車をこぎながら美濃の歴史や文化、自然を肌で感じてスローライフを満喫する拠点になれば」と、期待している。

◆災害時は避難所に活用
 また、道の駅を災害時の避難所として利用するため、貯水槽に四十トンの飲料水、倉庫に毛布や歯ブラシ、三百人が一日過ごせる食料などを用意。数年かけて、約七百人が三日間生活できるだけの物資をそろえる。災害時には、重油を使って自家発電するほか、厨房(ちゅうぼう)で炊きだしもできるという。(後略)


近年、自治体が管理する大型の公園などにも災害時の機能を持たせるなどの対策がとられつつありますので、新設される道の駅が条件を満たせば、災害時を想定することもあるでしょう。長良川に隣接するという好立地や、市が進めるサイクルシティ構想に基づいてサイクルステーションを併設したのも当然なのかも知れません。

道の駅のイメージしかし私の知る限りでは、せっかく道の駅の近くにサイクリングロードがあっても、必ずしも積極的にアピールしたり、連携させているとは限りません。「道の駅」と言っても、道を通る「クルマ」とその利用者にしか目を向けていない施設も多いと推測されますが、ここは最初から自転車との連携も考慮しています。

確かに、自転車で道の駅に来る人は、お土産や地元の産品をたくさん買って帰るわけにはいかないでしょう。せっかくサイクリングロードの近くにあっても、駐輪場一つ設置されていない道の駅もあるのは、トイレだけ使って、あまりお金を使わない(使えない)サイクリストは眼中にないことを示していると言えそうです。

また、仮にその道の駅からのサイクリングに人気が出たとしたら、長時間駐車したままサイクリングに出かけられてしまい、駐車場が満杯になって道の駅としての機能を果たせないということも起こりうるでしょう。休憩施設としては、駐車場を順調に回転させない利用は困るのかも知れません。

しかし、地域全体としての観点から見れば、クルマと自転車の連携がメリットが生む場合もあるはずです。例えば、クルマを停めて自転車で周遊する人が増えれば、その地域全体へ観光客が滞留し、経済的な波及効果が広がることもあるでしょう。サイクリング自体も人を呼ぶ観光資源になり得ます。

場所によっては、途中から自転車でのアプローチを促すことで、観光名所などへのクルマの集中を減らすなどの効果も期待出来ます。長い駐車場待ちを解消し、渋滞によるイメージ低下を防ぐかも知れません。環境への負荷も減らせます。立地によっては自転車と連携させるのも、有力な選択肢と言えるのではないでしょうか。

最近、健康への関心から、中高年や団塊の世代などを中心に自転車の効用に注目が集まっています。そうした動きに対応して、貸自転車などを置くことによって自転車での観光を促し、優れた自然や景観を売り物にして観光客の拡大を図ろうとする地域もあります。


貸自転車の「新駅」設置 手取キャニオンロード 白山に18日 (北国新聞

手取キャニオンロードの新駅旧金名線軌道跡を利用した白山麓(ろく)の自転車道「手取キャニオンロード」に十八日、「新駅」が誕生する。同道のほぼ中間地点に位置する白山市吉野に貸自転車基地を新たに設置し、風光明美な自転車道の利用を促進するとともに、周辺を巡るサイクリングなども企画し、幅広い年齢層が手軽に楽しめる自転車の魅力を生かした白山麓観光の拠点を目指す。

手取キャニオンロードは、県が整備を進める大規模自転車道で、昨年十月に第一期区間(瀬戸―白山町)約二十キロが完成した。同区間の大部分は、鶴来と白山麓を結び、一九八七(昭和六十二)年に廃線となった金名線の軌道跡を利用している。

新たな自転車基地は、同市吉野の自転車道そばにある喫茶店「よーぜふの家」に設置される。十八日に「白山麓よくばりサイクリング」(本社後援)を企画するなど、同道の魅力発信を目指す白山麓サイクリング協会が運営する。同市河原山町の旧金名線白山下駅の駅舎を利用して貸自転車事業を行っている「白山下倶楽部(くらぶ)」と連携し、同倶楽部などの自転車五台を置く。両施設の自転車はどちらの施設でも返却可能とする。

また、白山麓地域のほぼ中間地点という地の利を生かし、新たな基地を出発点に地域の名所旧跡を自転車で巡るイベントなども行うことにしている。掲示板なども設置し、愛好家やサークル同士の情報発信、交換の場を目指す。


ただ自転車道があるというだけではなく、拠点などを設置して観光客の利便性を高めることが、集客の上で大切な要素と言えそうです。一方で、観光資源としての活用どころか、維持管理まで手が回らず、せっかくの自転車道が機能を果たさなくなっている場所もあります。


仙台―亘理自転車道荒れ放題 利用に急ブレーキ (河北新報

荒れた路面仙台市から、宮城県亘理町にかけての海岸沿いに設けられているサイクリングロード「仙台亘理自転車道」(総延長40.4キロ)が、管理が行き届かず荒れている。一部では路面に亀裂が入り、雑草も伸び放題。自転車愛好者の多くが「快適な走りが楽しめない」と、せっかくの専用道を敬遠しており、利用に急ブレーキがかかった状態だ。

1975年に一部区間が開通し、延伸してきた自転車道は、宮城野区岩切を起点に名取、岩沼両市を通って亘理町沖に至る。区間の一部が、自転車専用となっている。専用路線にもかかわらず、松の根などがアスファルトを持ち上げ、多数のひびが生じている所が目立つ。タイヤが細いスポーツタイプでは、走行に危険も生じかねない。道に覆いかぶさるように、雑草が生い茂った場所もある。

県内の自転車愛好家グループ「仙台サイクリストツーリングクラブ」の太田廸夫代表は、「造りっぱなしで改良の手が加えられず、快適に走れる状況ではない」と話す。管理の悪さに加え、信号がない一般道とも交差するなど、事故の危険性が高い場所もある。

自転車専用路線は、サイクリング大会でコースの一部として利用されることもあるが「路面が凸凹で、道幅も狭く、我慢して使っているのが実情」と、仙台サイクリングクラブの森昭事務局長は言う。自転車道の管理は、名取市―亘理町間が県、それ以外は仙台市が担当する。県は、業者に委託し月1度の巡回を行って応急補修などをしているが、「全面改修やコース設定の見直しなどは、財政難もあり難しい」(県仙台土木事務所)という。

日本サイクリング協会(東京)によると、ロードレーサーやマウンテンバイクなどスポーツ型自転車の販売台数が年々増加。団塊の世代を中心に、健康維持のためサイクリングを始める人も多いという。仙台サイクリストツーリングクラブの太田代表は「せっかく造った自転車道路を多くの人が利用できるよう、きちんと維持管理をしてほしい」と注文する。


雑草が生い茂るこの仙台の例については現地をよく知らないので、なんとも言えません。しかし、各地で荒れ放題で放置されている自転車道は少なくないはずです。私も旅先で、そうした例を何度も目にしたことがあります。せっかくの施設がもったいないですし、税金を投入して造成した地域の資産の劣化という意味でも問題です。

各地で環境が違いますので一概には言えませんが、自転車道を単に自転車道としてだけ捉えると行き詰ってしまうと思います。でも地元住民への行政サービスという面だけでは予算的に難しくても、うまく観光資源として利用するなら、商工関係の予算を投入するなどの可能性が探れるかも知れません。

景色などを生かした観光資源として考え、道の駅を使うなど拠点を整備し、交通量の多い道路と連携させることによって、自転車道としてのポテンシャルは何倍にも高まる可能性があります。その自転車道へ直接自転車で来られる地元の人だけでなく、クルマなどで通る観光客などにも利用してもらえば、その波及効果も見込めます。

大きな河川沿いや海岸沿い、廃線となった鉄道を利用したものなど、各地にサイクリングロードがあります。せっかくの自転車道をより活かすには、それらを単独で考えるのではなく、如何に道路や鉄道などと連携させるかがポイントのように思います。地元住民の利便性が高まるだけでなく、新たな可能性が開けるかも知れません。



予報によれば、まだまだ暑い日が続きそうです。サイクリングロードに沿って並木を整備し、涼しい木陰の自転車道にしてくれると、より得点は高いんですけどね(笑)。

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