October 22, 2007

なぜ折りたたみしかないのか

今月初め、国民生活センターが折りたたみ自転車について注意を呼びかけました。


日経の記事から引用します。


折りたたみ自転車、ペダル破損相次ぐ・ハンドル抜ける事例も

折りたたみ自転車で走行中、ペダルの破損やフレームの破断などが相次いでいることが国民生活センターの調べでわかった。折りたたみ機能があるため、一般的な自転車よりも不具合が生じやすいとみられる。ペダルが折れて転倒し、骨折した事故報告もあり、同センターは消費者に注意を呼びかけている。

同センターが今年6月、折りたたみ自転車を所有した経験がある191人に走行中の不具合についてアンケート(複数回答)を実施したところ、「ペダルが折れた、折りたたまれた」と答えた人は42人(22%)いた。また「ハンドルが車体から抜けた、ずれた」と回答した人も34人(18%)、「フレームが破断した、折りたたまれた」は21人(11%)いた。


テストの対象となった折りたたみ自転車は、ホームセンターなどで売られている1万円から3万円程度のものですから、スポーツ走行を目的としたサイクリストが選ぶような、信頼度の高い自転車メーカーブランドの、値段ももっと高いフォールディングバイクには当てはまりません。

国民生活センターのテストただ、通勤用とか、勤め先でのアシなど、ちょっとした用途に低価格の折りたたみ自転車を使っている方もあるでしょう。最近は、量販店で驚くような安さで自転車が売られていますが、当然のことながら粗悪な商品も混ざっているようです。構造的に弱くなる可能性のある部分を持つ折りたたみ自転車は、特に気をつける必要があるでしょう。

さて、その折りたたみ自転車、19世紀の終わりに軍用として考案されたのが最初と言われています。当時の重要な移動手段である「馬」に代わる機動力として使われたそうです。前線へ輸送する際に、大幅にコンパクトになりますし、餌や水も不要で、鳴き声もあげません。当時としては画期的なことだったのでしょう。

折りたたみ自転車としての歴史だけでも100年以上に及ぶわけですが、考えてみると明確に可搬性を優先させてきた自転車というのは、この折りたたみ自転車だけです。なぜ他の方式は存在しないのでしょうか。もっと違うやり方で小さくしても良さそうなものです。

単純なもの、例えばハシゴで考えると、折りたたんだり広げたりする方式以外にも、コンパクトにする方法はあります。分解したり継ぎ足して組み立てるものもあるでしょうし、ロッドアンテナのように伸縮するようなものもあります。縄梯子なら丸めることもあるでしょう。

前ブレーキのききすぎ自転車を丸めるのは難しいとしても、スポーツバイクは簡単にタイヤなどを外して分解・組立が出来ます。折りたたみもありますので、「伸び縮み自転車」なんて、あっても良さそうです。なぜ、「折たたみ自転車」があって「伸び縮み自転車」は存在しないのでしょう。少なくとも私は聞いたことがありません。

お察しの方もあると思いますが、前回取り上げた“Switchbike”を見て、ふと疑問に思いました。“Switchbike”のフレームの一部が伸縮するのは、フレームの形状を変え、ライディングポジションを変えるためですが、収納性能や可搬性を高めるために、フレームの一部に伸縮機構を使ってもいいはずです。

既にシートポストのような伸縮する部品もありますし、用途は違いますが、MTBのサスペンションフォークのような部品もあります。折りたたみ自転車には、いろいろな折りたたみ方がありますが、折り曲げたり畳んだりする代わりに、部品の長さを縮める形でコンパクトにする自転車があっても良さそうな気がします。

想像するに、おそらく今まで設計されたり、製作されたこともあったのだろうと思います。ただ、ハシゴのような単純な形ならともかく、自転車をコンパクトにするための手段としては、「伸び縮み」より「折りたたみ」のほうが有利そうです。実際問題として、伸び縮み自転車は普及しなかったのでしょう。

しかし、自転車をコンパクトにする機構としては生き残れなくても、伸び縮みすることで便利になる自転車もあるのではないでしょうか。例えば、日本のママチャリのフレームに、フレームを伸び縮みさせる部品や機構を採用したとしたら、どうなるでしょうか。

走行時のイメージ駐輪時のイメージ

駐輪する時、ワンタッチでフレームを縮められて、ホイールベースが数十センチ短く出来たとします。一台では僅かな違いですが、駅前の駐輪場の収容能力に貢献するかも知れません。仕方なく歩道上に整列駐輪させている駅前もありますが、僅かに歩道が広がるだけで格段に通行しやすくなるなど、省スペース化が役立つ可能性があります。

また、よく街で中高生が自転車で二人乗りをしている光景を見ます。もちろん道路交通法違反ですし、危険ですが、なかなか無くなりません。ならばいっそのこと、ふだんは一人乗りで、いざという時フレームが伸びて、二人乗りになる自転車を作ったらどうでしょう。

例えば、ふだんはこんな形

普通の自転車に二人乗るのは安定性が悪く、フラついたりしますが、二人乗り用にホイールペースが伸びれば安定します。乗車装置、すなわちサドルが備わった自転車なら、合法的なタンデム自転車です。都道府県によっては条例などで走行が規制されている問題はありますが、無理やり一人乗りに二人乗るより安全性は高まるでしょう。

伸びるとこんな形
(下手な合成で、細部は変ですが、あくまでもイメージということで..。)

日本では普及していませんが、写真のようなダッヂバイクも、ヨーロッパなど、国によっては普通に走っています。こうした自転車があることで、人だけでなく荷物もたくさん運べて、特に都市部でのクルマの代替も進められるわけですが、常に荷物を運んでいるわけではありません。

本来の形縮んだ時のイメージ

荷物がない時、荷台部分が縮まれば、小回りもきき、ぐっと乗りやすくなるでしょう。つまり、載せる荷物に合わせて荷台が広がる自転車なんていうのも作れるのではないでしょうか。もちろん車体の長い荷物載せ用のダッヂバイクなら、駐輪時に縮めて駐輪出来るのは、いろいろと便利です。

余談ですが、いろいろ調べていたら、伸び縮みするクルマがあることを知りました。残念ながらコンセプトカーなので市販はされていません。が、もしこの機構が普及したら面白そうです。駐車場の収容台数も増えるでしょうし、一台当たりの道路占有面積が減って、ひょっとすると渋滞も減るかも知れません。

後部座席部分が縮んでしまう

5人乗り以上でも、一人や二人しか乗っていないクルマは多いでしょうから、街を走るクルマの多くは短くなりそうです。タクシーだって、客がいないときは短くていいわけです。自宅の車庫のスペースも空くでしょうし、カーフェリーや自動車運搬船の収容台数も増え、輸送コストも下がるでしょう。

トラックの荷台も不要な時に縮めることが出来れば、さまざまな場所や場面で、大きくスペース効率が高まりそうです。ただ実際に、クルマを伸び縮みさせるのは、そう簡単なことではないでしょう。技術的には可能でも、安全性やコストなどの問題もあると思われます。

それに比べれば、自転車を伸縮させるのは容易です。最近の素材技術や加工精度の向上もあります。もちろんフレームの一部が伸び縮みすることによって安全性が損なわれ、、国民生活センターから注意を喚起されるようでは困りますが、伸び縮みする部品を作り、フレームなどに採用するのは、充分現実的な選択肢です。

なぜか今まで自転車は、折りたたむのが最適と考えて、それ以外の選択肢に、あまり目を向けて来なかったような気がします。収納や持ち運びは別として、必要な時に伸ばしたり縮めたりする自転車という発想は、自転車の新しい可能性を開くかも知れません。まだまだ開発の余地が残っているとも言えそうです。



しかし、赤福もひどいですね。黙っていても売れるほどの知名度がありながら、ずいぶん浅はかなことをしたものです。目先の利益に目がくらんで、老舗の信頼という大きな財産を失ってしまうとは..。

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