December 27, 2007

少しでも無駄にしないために

「戦帰虎災愛命」って何だと思いますか。


何か意味ありげな熟語に見えなくもありませんが、実は、毎年12月に発表される「今年の漢字」の2001年から昨年までの文字です。(財)日本漢字能力検定協会が、その年をイメージする漢字一字を日本全国から公募して、その中で最も応募数の多かった字が、その年の世相を表す漢字とされます。

今年の漢字毎年12月12日が「漢字の日」なのだそうですが、この日に京都の清水寺で発表されます。もはや年中行事となってマスコミでも報じられ、清水寺の奥の院舞台にて貫主によって揮毫される場面は、もうおなじみでしょう。現代の日本の世相を反映した一つのシンボルのようになっています。

ちなみに1995年に始まり、初代からの漢字は、「震・食・倒・毒・末・金」で、そのあと「戦・帰・虎・災・愛・命」と続きます。そして今年の漢字は、「偽」です。個人的には例年にも増して、マスコミなどで取り上げられることが多いような気がします。多くの人が納得したからかも知れません。

つまり、今年はそれだけ「偽」がイメージされるような事件が多かったということでしょう。今年1月の不二家の消費期限切れの材料での洋菓子製造の発覚に始まり、ミートホープの食肉偽装、「白い恋人」や「赤福餅」など食品に関する偽装が次々と表面化しました。

不二家テレビ番組の『発掘!あるある大事典』が捏造問題で打ち切られましたし、ガス湯沸かし器の重大事故が公表されていなかった事件もありました。力士の急死事件の真相解明や、渋谷スパ爆発事件も、その設計や住民への説明などに問題があり、介護報酬の不正請求ではコムスンが解体されました。

年金記録問題が発覚し、社会保険庁の隠蔽体質や職員の横領着服も明らかになりました。事務所費問題では政治家の疑わしい答弁が相次ぎ、大臣も次々と辞任しました。参院選で大敗した安倍首相の開き直りや、あの無責任極まりない政権の放り出しに至っては、安倍晋三という政治家の看板に偽りがあったと誰もが感じたことでしょう。

石屋製菓朝青龍は骨折のはずなのにサッカーをしていましたし、長井健司さんの死亡についてのミャンマー政府の説明は誰も信じないでしょう。英会話学校のNOVAも、その違法な営業手法や会社の私物化も含めて、虚偽と虚飾ばかりでした。沖縄戦の集団自決の教科書検定問題も起きました。

亀田問題は、ランク下位にも関わらず世界戦に挑戦出来るだけの実力という触れ込みに偽りがあったと感じた人も多いでしょう。赤福は謝罪会見でも大嘘をつきましたし、中国・北京の石景山遊楽園のディズニーや日本のアニメキャラクターの偽物が著作権侵害で訴えられるなんて事件もありました。

赤福防衛省の汚職問題に、底知れぬ疑惑を感じる人も多かったでしょうし、補給艦の給油量の隠蔽も明らかになりました。薬害C型肝炎の名簿問題などもありましたし、小沢民主党代表の大連立構想も国民に対する裏切りと感じた人もあったでしょう。辞意とその撤回、仲介した人たちの動きにも不透明な印象をぬぐえません。

比内地鶏の偽装もありましたし、船場吉兆に至っては、問題の発覚後もさらに嘘の説明を重ね、パート職員に責任を転嫁し事実を隠そうとしたことで、その信用は地に堕ちました。耐震偽装に端を発した建築基準法の改正でビルやマンションなどの着工が大幅に減少するなどの混乱も起きています。

船場吉兆高速道路の型枠強度の偽装も相次いで明らかになりましたし、建築用断熱パネルなどの耐火性能偽装も白日の下にさらされました。福田総理が年金問題に関しての公約を事実上撤回した発言は、公約が偽りだったと国民の不信と大きな反発を招き支持率を急落させました。三洋電機は有価証券報告書の虚偽記載が問題となっています。

賞味期限切れや表示の偽装は、ミスタードーナツやマクドナルドの大手だけでなく、細かいものを挙げればキリがないほど発覚しました。多すぎて目立たなくなったせいか、あるいは懲りないのか、つい最近でも、今年初めに問題を起こしたばかりの不二家がまた賞味期限切れの菓子を自主回収しています。

ミートホープダンボール肉まんなんてのもありましたし、北海道滝川市が、介護タクシー料金を計約2億3000万円もだまし取られるという呆れた事件もありました。もちろん詐欺事件や虚偽広告、疑惑などの事件を挙げればキリがありません。スポーツでも「中東の笛」や大リーグなどのドーピング疑惑がありました。

私も挙げてみて、あらためてその多さに驚きますが、まさしく「偽」のオンパレードの年だったという気がします。その中でも、やはり食品偽装が多かったことが特徴的ではないでしょうか。連鎖的に内部告発が相次いだという背景があるにせよ、ここまで消費者が欺かれていたことに驚かされます。

ニチアス今年、異物の混入や不適正な表示などが理由で、回収するために新聞広告が出された食品だけでも570点余りに上ると言います。政府も「食品表示特別Gメン」を新設して、食品の不正を厳しく取り締まる姿勢を打ち出しています。死者まで出した雪印食品などの例をあげるまでもなく、当然ゆるがせには出来ない問題です。

最近、技術の革新によりICタグなどを利用して食品の履歴や生産者の情報を見られるようにして、他との差別化を図ろうとする試みもあります。しかし、いくら技術や仕組みがあっても、その情報が本当かどうか、消費者に疑われるようになっては意味がありません。

NOVAいくらタグやバーコードをつけて、本物の商品だと証明してみせたとしても、その情報が本当だとは限りません。生産する企業や流通、情報提供するのが信じられない会社であれば、全く無意味です。企業にとっても、分かりきったことではありますが、いかに信用が大切か、あらためて確認する機会にしてほしいものです。

こうした偽装が発覚し、営業停止などの処分を受けるのは当然ですし、許されることではないと思います。不祥事報道を受けて、売上が落ちるのも当たり前でしょう。ただ、一部には不祥事報道があったから、むしろ気をつけるので大丈夫だろうと考えて買う人もいるようです。

石屋製菓実際に販売を再開して人気回復している商品もあるようですが、偽装を行ったら死活問題だと企業が考えるからこそ、食品の不正の抑止になり消費者が保護されます。その観点からは、問題のあった企業の不買などの行動も必要でしょう。消費者は不正を見抜く手段がないわけですから、よく考えて行動すべきなのではないでしょうか。

しかし一方で、あまりに賞味期限を気にするのも行きすぎではないかとの指摘もあります。産地偽装や原材料の偽装は詐欺としても、期限の書換えなどの不正は、あまりに気にすることで食品が無駄になるとの主張です。食料自給率が4割を切る日本にとって、あるいは世界でも食糧不足が懸念される中、考えるべき点ではあるでしょう。

赤福不正は許すべきではありませんが、廃棄される食品が全体の3割に上る日本にとって、重要な問題であるのも確かです。まだ食べられる食品を捨てることになり、その分資源や生産・流通などにかかるエネルギーも無駄になります。ただでさえ日本は、食品の輸入量に輸送距離をかけたフードマイレージは世界有数の高さです。

世界から食料を調達し、その分その国の環境破壊に手を貸している形にもなっています。莫大な燃料を使って輸送することは、環境負荷を高め、地球温暖化を促進することでもあります。個人レベルでの食べ残しも日本全国では莫大な量ですが、商品時点での廃棄も膨大でゴミ問題にもつながっています。なにより「もったいない」です。

亀田大毅こうした観点から言えば、あまりに賞味期限に対して神経質になることで、食品の廃棄率が高まる恐れがあります。決して食品の賞味期限の偽装を是認するわけではありませんが、賞味期限に神経質な消費者がいるから、賞味期限の偽装が起こりえるとの指摘は一理あります。

そもそも賞味期限は、その食品を生産・加工したメーカーや販売業者が決めています。メーカーは、さまざまなテストの結果を元に、品質が変化するリスクを考慮し、可能な期限の半分から3分の2程度に設定すると言います。つまり、充分な余裕があるので、食べられないわけではないのです。

朝青龍しかも、例え可能であっても、あまりに長い賞味期限を設定すると、防腐剤が多く含まれていると思われて売れないという事情があって、さらに短くする場合も少なくないそうです。十分な余裕があることもありますが、メーカーや販売側が、自ら決定した期限を自ら破っていることになるわけです。

消費者は、同じ商品で期限の違うものが同じ棚にあった場合、新しいものを選んで買う場合が多いと言います。すると、古いものが売れ残ってしまうという現象が起こり、これによって生じる大量の返品がメーカーを悩ませます。もちろん出荷を絞って売り切れにするわけにもいきません。

栗本鉄工所売り切れを起こして、商品を陳列してもらえなくなるリスクは何としても避けなければなりません。結局、売れ残りや返品も覚悟で大量の商品を出荷せざるをえないのです。でもメーカーとしては、売れ残りや返品を無駄にせず儲けたい、品質的にも問題ないと考えがちです。そうした流通の事情も偽装の背景にあることが指摘されています。

未来において、例えばネットで食品をあらかじめ全て予約して購入するようなシステムが出来ない限り、見込み生産は避けられません。つまり無駄の発生も避けられないわけです。将来食料需給が逼迫して配給制のようにならないとも限りませんが、全て受注生産になるというのは、あまり現実的な予測ではありません。

ユニマットビューティーアンドスパ市場経済の中では、商品が競うのは必然であり、無駄の発生は避けられないような気もします。廃棄食品を肥料や家畜の飼料としてリサイクルするシステムも始まっています。ただ、まだ多くの部分がリサイクルできずに産業廃棄物として処理せざるを得ないのも現状です。なんとか少しでも無駄を減らせないものでしょうか。

私は、段階的期限価格を取り入れたらどうかと考えます。よくスーパーマーケットなどで、閉店間際になると割引のシールなどを貼って値引きをすることがありますが、あれを最初から計画的に行うのです。大量の商品にいちいちシールは貼れないので、あらかじめ包装やラベルに期限別に価格を印刷しておくわけです。

船場吉兆例えば、1ヶ月期限のある食品だったとします。二週間前を過ぎると1割引、1週間前に2割引、3日前だと3割、前日に4割、当日5割といったように、あらかじめ割引率か価格を決めて印刷しておくわけです。これなら、古い商品も売れ残りにくくなり、廃棄される食品が減り、食品偽装の防止にも貢献するのではないでしょうか。

人にあげるなら新しいものを選ぶが、自分で食べるなら少し古くてもいいとか、今日食べるなら安くてお得なものと考える人もあるに違いありません。販売側にしても、売れ残って廃棄するよりはいいはずで、許容範囲の価格設定をすればいいわけです。返品の回収や廃棄のコストをかけるくらいなら、値引きしても売れたほうがいいでしょう。

コムスン近頃は、レジもPOSですので、価格情報を設定しておけば、面倒な期限の確認や価格の計算も必要ありません。こうすれば、賞味期限を偽装したり、隠そうとするより、目立つように表示して少しでも売れるようにする戦略も考えられます。期限偽装で消費者を欺くより、正直に段階的期限価格を設定しようというわけです。

家の冷蔵庫に入っている食品を、多少賞味期限が切れていても大丈夫そうなら食べてしまう人は少なくないと思いますが、売っているものを買う時に賞味期限を気にするのは自然な行動でしょう。同じ価格なら新しいものを選びたくなるのも理解できます。世界の食糧事情まで勘案しての購買行動までは期待できません。

それならば、法律で段階的期限価格の導入を義務付けたらどうでしょう。賞味期限の設定や価格を決定する自由は保証した上で、売り方を工夫させるのです。地球温暖化対策として、食糧自給や資源問題、あるいはゴミ問題として、そして食品の安全のため、単なる不正や偽装摘発から、一歩踏み出すべきなのではないでしょうか。



今年もいろいろありましたが、もうあと残すところわずかとなりました。今から来年の漢字は想像もつきませんが、いい年になるといいですね。

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