February 01, 2008

自転車が他でも必要になる時

芝刈り機は、アメリカの家庭では身近な道具です。


その芝刈り機、今どきアメリカではエンジン付きのものが当たり前です。動力のない手押しタイプもありますが、大きな面積を刈るのは大変です。広い庭を持つ家も多く、特に夏場は伸びが速くて芝刈りの頻度も増えるので、エンジン付き乗用タイプも広く普及しています。

よく言われるように、手入れされた芝がアメリカ人にとってのステータスシンボルであるのも間違いないでしょう。外からも見える自宅の庭の芝の手入れをすることは、その街の住人として隣人に対する重要なエチケットとされており、例え借家であっても、賃借人が芝の手入れをするよう契約で義務化されていることも多いと言います。

生活に密着していることもあってか、全米で年間8万人もの人が芝刈り機で何らかの怪我をしているそうですが、いずれにせよ、アメリカの家庭の必需品なのは間違いないところでしょう。日本人には馴染みが薄いですが、そんな芝刈り機と自転車、どちらも身近な乗り物、道具として、組み合わせてみたくなる人が時々います。

芝刈り自転車レースもできる?

トレイラー型
芝刈り機にはエンジン付きであっても、クルマのように厳しい排ガス規制は適用されることはありません。シンプルな構造で、排気をきれいにするマフラーや燃料噴出装置など先進テクノロジーが搭載されているわけでもありません。使えば大気を汚染するのも間違いなく、自転車を使った環境にやさしい芝刈り機というイメージが出てくるのも自然なのでしょう。

もともとの手押し型のスタイルからか、前輪部分を芝刈り機にする形がほとんどですが、トレイラータイプ、自転車が牛馬のように刈り取り機を牽引するものもあります。ただ、環境への配慮をイメージさせるものの、中には日曜大工の手作り作品に過ぎず、あまり実用的には見えないものもあります。

手入れされた芝生は、それが例え見栄やマナー、または契約で義務的になされたものだったにせよ、夏の強い日差しの照り返しを和らげ、周囲の温度上昇を緩和します。芝も植物ですから二酸化炭素を吸収してくれるでしょう。地球温暖化対策にも貢献するというわけです。


運動がてら..牽引するタイプ

見た目にも美しいカーペットのような緑の芝生にこだわるアメリカ人は少なくないので、環境にもいいなら言うことありませんが、実は芝生の維持に大量の水が必要となることが問題となっています。そしてアメリカ、特に中西部は深刻な水不足に陥りつつあるのも現実です。

長年、豊かな穀倉地帯を支えてきた川の水量が減り、地下水の水位が急速に低下して農業や工業用水、そして都市の生活用水の需要を満たすのが徐々に難しくなりつつあるのです。一方で全米12都市の家庭の平均的な水の使用量調査によれば、その6割が芝生への散水やプールなどに使われていると言います。

自作する人も多い芝刈りサイクル

先週も新聞の特集記事になっていましたが、アメリカ人の強烈な芝生へのこだわり、強迫観念は今すぐにでも転換すべきというわけです。芝生は二酸化炭素吸収量が小さい割には大量に水が必要です。雨の少ない地域では、その水を調達したり輸送するのに大きなエネルギーが必要となります。

基本的に雨の多い日本のような気候であればともかく、スプリンクラーを設置するなどして、大量に散水しなければならない場所での芝生の維持は、二酸化炭素の直接の吸収より、エネルギーの消費などによる排出が上回ってしまう可能性が高いわけで、節水のためだけでなく、温暖化対策としても芝生は減らすべきなのです。

後輪タイプ芝刈り自転車

アメリカでは自治体や水道事業者などが、市民や企業による芝生の除去に対し奨励金を支払うなどの削減策を始めています。民家や工場などの敷地の芝生を撤去し、水やりが不要で乾燥に強い植物などへの転換を奨励しています。条例で庭の水やりを厳しく制限する自治体も現れています。

芝生が、商売道具として必要不可欠なゴルフ場でも、グリーンとフェアウェイを残した残りの部分の芝を撤去するところが出てきています。奨励金は芝の撤去費用に消えますが、水道料金だけで年間20万ドル以上節約でき、芝の手入れに必要な人件費や肥料代も削減出来るというメリットもあります。

lawnmowerBicycle Lawnmowing

動力を使わない芝刈り機自体が環境にやさしくても、芝生の手入れ、維持が必ずしも環境に良くないのでは意味がありません。世界的に水不足が顕在化しつつある中、大量に水を消費する芝生そのものを問題視する傾向は強まっています。もちろんアメリカだけの問題ではありません。

昨年はオーストラリアでも大干ばつがありましたが、水不足で穀物の生産量が減れば、世界の食料需給に大きく影響します。家畜用飼料にも跳ね返り、食肉などの食糧の価格も押し上げます。食料や飼料の多くを輸入に頼る日本にとっては、世界的な水不足は決して他人事ではないのです。

子供の仕事?改造する人も多いようだ

日本の食料自給率は40%を切っていますが、コメをはじめ、日本で生産できる作物にしても、その栽培には耕運機や刈り取り機などの動力が必要です。原油も輸入に依存する日本では、自給できるとされる作物ですら、その栽培は原油に依存しているわけです。温室を温める燃料や、化学肥料も同じです。

魚を捕る船の燃料もそうですし、食料を産地から日本各地へ輸送するにも原油が必要です。その原油の依存を考えれば、食料自給率は更に低いと考えたほうがいいのでしょう。日本では今のところ世界から輸入された食品であふれ、人々の危機感は乏しいですが、世界では現在でも食糧が不足している国は少なくありません。

自転車芝刈機芝刈自転車

そして将来、水不足や食糧不足の深刻化が懸念されています。原油価格も高騰を続けており、新興国の旺盛な需要で今後、需給がひっ迫することも考えられます。食料自給率の改善も望まれますが、もしかしたら本当に自転車で動かせる刈り取り機や耕運機などを考えておいたほうがいいのは、日本なのかも知れません。



毒入りギョーザはショックですね。冷凍食品として知らずに買って、子供の弁当にでも入れていたらと思うとゾッとする方も多いでしょう。少なくとも今は食糧不足より食品の安全が身近な問題のようです。

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この記事へのコメント
「自転車で動かせる刈り取り機や耕運機など」、ホントにないものでしょうか。捜しています。
Posted by Dr. K at February 03, 2008 11:55
Dr. Kさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
農具については詳しくないのですが、アプロプリエイトテクノロジー(appropriate technology)という考え方に基づいて、ペダルパワーで動かす器具を研究している人たちもいます。もしかしたら、中には農具もあるかも知れません。
このコメントの右下にある、 cycleroad の部分にリンクしておきますので、参考までにご覧ください。
Posted by cycleroad at February 04, 2008 12:57
はじめまして。
自転車の農具を開発したいなぁと漠然と考えていまして検索したら凄いところにたどり着きました。
アプロプリエイトテクノロジーも面白いですね。
自転車の定義の広さにとても共感しています。

他の記事も大変参考になり今後も学ばせていただきます。
Posted by kuni at October 09, 2008 00:02
kuniさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
私は、農家の友人の手伝いをしたことくらいしかないので、自転車を使った農具が、果たしてどれほど現実的なものなのかわかりませんが、出来たらいいなとは思います。
環境に優しいのはもちろん、原油高の影響も受けずにすみます。食糧自給率云々と言っても、原油に依存しているのでは、本当に自給できることにはなりません。
共感していただけるところがあったなら、嬉しい限りです。こちらこそ、いろいろ勉強させていただきたいと思います。
Posted by cycleroad at October 09, 2008 00:31
 
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