April 07, 2008

自転車は寡黙な乗り物なのか

今年も春の交通安全運動がスタートしました。


4月6日から15日までの10日間、各地でいろいろな啓発イベントが行われると共に、取締りも強化されます。今年も飲酒運転の根絶やシートベルト、チャイルドシート着用の徹底などと共に、自転車の安全利用の推進にも重点が置かれています。

春の交通安全運動最近は、何かと自転車と歩行者の事故の増加が取りざたされることが多く、その原因となる自転車の法令違反や、マナーの悪さに対しても厳しい目が向けられています。自転車の危険な走行については、警察の街頭での指導の重点に置かれる傾向も強くなっています。

信号無視や無灯火、一時停止違反、二人乗りなど、法令違反を知りながら走行している人も少なくないでしょう。が、例えば自転車が車道の右側を通行するのは違反だと思っていない人も多くいます。歩行者を縫うように歩道でスピードを出すなど、歩行者優先の原則や安全運転義務違反についても違反意識が低いのが現状のようです。

併進も、その一つではないでしょうか。つまり2台以上横に並んで走行することです。道路交通法の第三章、第一節、第十九条には軽車両の並進の禁止が明確に規定されています。つまり、どこであっても原則として自転車は併進禁止、並走してはいけないのです。これを知らない人は少なくないと思います。

並進可唯一の例外が写真のような「併進可」の標識がある道路です。ただこの標識、私は見たことがありません。標識に詳しい方のサイトなどを見ても、かなりレアな標識、見ることの出来ない珍しい標識として有名だと言います。目撃談が話題になるくらいの標識ですから、全国的に見てもほとんど並走出来る場所がないのは間違いなさそうです。

ちなみに、この併進可の標識は、普通自転車のみに適用されます。幅60センチをこえるようなトライク(3輪車)だとか、トレーラーを牽引する場合など、普通自転車にあてはまらない自転車は、たとえこの標識があったとしても並走はできません。また、普通自転車であったとしても3台以上の併進は不可です。

車道やサイクリングロードだけでなく歩道でも当然並走は違反ですが、街では歩道上で並走する自転車もよく見かけます。特に中高生や主婦など、自転車に乗って二人でいっしょに走行する場合、可能な幅があれば、当たり前のように並走しています。お互いのほうを見ながら、おしゃべりに夢中になっている場合も少なくありません。

自転車の安全利用中には、前方から歩行者が来ても、歩行者のほうで避けろと言わんばかりの傍若無人な人も見受けられます。危険ですし、事故が増えるのも道理です。こうしたマナー違反、しかもそれがマナー違反だと気付いていない人の存在が、悪質な自転車として問題視される大きな理由となっていることは間違いないでしょう。

事故が起きたときにも法令違反があれば重大な過失となります。法律を知らなかったと言うのは言い訳になりません。クルマのような免許や違反金制度がないため、事実上野放し状態になっているわけですが、ここへ来てもはや見逃せなくなってきていることを事故の急増が物語っています。

残念ながら、こうした安全やマナーに意識が低い人達は少なくありません。マナーをわきまえたサイクリストにしてみれば、いろいろな意味でいい迷惑です。ただ、違反ではありますが、友人などと一緒に走行する時、横に並んでおしゃべりをしたくなる気持ちは、わからないではありません。

何んで乗る二人乗り自転車SIDE-BY-CYCLE

そんな時に持ってこいなのが、この“SIDE-BY-CYCLE”です。二人乗り用のタンデム自転車は、前後にサドルが並ぶものと相場は決まっていますが、前後ではなかなか会話もしづらいでしょう。このタンデム自転車はなんと横並びです。side-by-sideとの洒落もきいています。

以前、ウェブ上で見かけたことがあるのですが、誰かの自作かと思っていました。こうして売っている自転車だったとは驚きですが、古い歴史も持つようです。さすがに日本の法令の想定外のスタイルでしょうけど、これなら会話も可能です。実際には各都道府県条例などの規制にかかる可能性がありますが、少なくとも並走ではありません。

横並び型タンデム自転車

日本の法令に照らすと普通自転車にはならないので、歩道走行は出来ませんが、立派に二人分の乗車装置のついた軽車両であることには違いありません。話に夢中になって前方不注意にならない限り問題なさそうです。もちろん、2台並ぶよりずっと幅をとりません。

左右に乗る人の重量差は関係なく、一人でも乗れるそうです。いわゆる普通のタンデムより安価で操作もしやすく、駐輪機や運搬用のラックなど、普通の一人乗り用と共用できる場合も多いとしています。二人で乗るなら、夫婦や恋人同士、親子、一緒に通学する友達同士、いろいろ使い道がありそうです。

2cancycle並列式二人乗りリカンベント

欧米には、ほかに左右乗車タイプの2人乗りリカンベントなどもあります。気のあった者同士、のんびり、おしゃべりなどをしながら走行するのも楽しそうです。自転車と言うと、当然一人で乗るものというイメージが強いですが、会話が楽しめないという弱点を克服する自転車もあるわけです。

Just Two BikesSociable

ただ、自転車に与えられた走行空間が狭い日本では使いづらいものがあります。side-by-cycleならまだしも、都市部や幹線道路などで横並びリカンベントに乗ろうものなら、クルマから大ひんしゅくを買いそうです。将来、例えば温暖化対策として1車線を自転車専用に開放しようなんてことになれば別でしょうけど..。

二人でのんびりリカンベント

結局、原則として並走出来ない日本では、自転車に乗りながら会話を楽しむのは、ヘッドセット型のトランシーバーでも使わなければ無理そうです。でも、せめて河川沿いなどのサイクリングロードなどでは、これで充分走行できてすれ違えるくらいの幅が確保されるようになって欲しいと思います。



なんだかオリンピックの聖火リレーがすごいことになっているようです。天安門事件に比べて過激な映像はあまり流れなかったのに、これほど聖火リレーが妨害されようとは、オリンピックを控えた当局も予想外だったかも知れません。

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固定観念にとらわれない発想
当然ながら、前後の普通の二人乗りのリカンベントも存在する。

どうしても邪魔する常識の壁
ほかにも会話のできる、ちょっと変わった自転車はいろいろある。

一杯飲みながら自転車通勤を
会話どころか、お酒を飲みながら皆で楽しく乗れる自転車もある。



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