May 25, 2008

平和貢献か戦争に手を貸すか

食料の価格が国際的に高騰しています。


先進国でも原油や資源価格の高騰もあってインフレ懸念が広がっていますが、資源を持たない途上国の状況は深刻で逼迫しています。国連では約40ヶ国で動乱が広がる可能性があると見ており、G7(先進7ヶ国財務相・中央銀行総裁会議)は現在の国際資本市場の危機よりも、食糧価格上昇の方が大きな脅威だと警告しています。

世界的な穀物価格の高騰の背景には、原油価格の高騰による燃料や肥料の値上がり、干ばつなどの自然要因に加え、バイオ燃料の増産があると指摘されています。すでにハイチやソマリアなどでは暴動が発生し、死傷者が出たり首相が解任されたりする事態になっています。貧困国ではまさに飢餓の危機に瀕しています。

北朝鮮のような国では、人々が餓えても騒乱は起きないかも知れませんが、他の国では、市民のデモが暴動に発展し、略奪が横行したり、政情不安に陥る可能性があります。貧困から抜け出せない国々ばかりでなく、ようやく貧困を脱しつつある国でも、社会不安から治安が悪化し、内戦状態にでも陥ればまた貧困に逆戻りです。

モザンビークのアート武器を交換

アフリカの国々などでは、長らく内戦状態にあった国も多く、武器が大量に存在していますので、多くの死傷者が出る事態にならないとも限りません。特に列強の植民地として苦難を強いられてきたアフリカ諸国の中には、そんな泥沼状態、あるいは悪循環へと陥る瀬戸際の国もあります。

アフリカ諸国が貧困から抜け出せない、あるいは抜け出せなかった理由はいろいろあるでしょう。植民地支配と押し付けられた国境線、大国の代理戦争や民族紛争、虐殺と大量の難民、エイズや疫病の蔓延、インフラ整備の遅れ、人口爆発、衛生状態の悪さ、少年兵の問題、教育の不足、政府の腐敗など、挙げればキリがありません。

武器を回収する手段中でも内戦や紛争は大きな要素ですが、それが絶えない理由として武器の存在も見逃せません。大量の武器が人々に保有されていることで、直接人々が死傷するだけでなく、紛争を誘発し、治安を悪化させます。武器があることで戦争状態に移行しやすく、国を疲弊させ、また人々を飢餓と貧困に追い込む悪循環を起こりやすくしています。

イラク戦争後のイラクを見てもわかりますが、武装勢力の武装解除は容易ではありません。一般の人々も自衛のために武器を手放したがりません。事実、大量の武器が温存されたままになっている国は少なくありません。こうした武器・弾薬と政情不安や騒乱が結びつきやすい危険な状態なのです。

平時でも治安の悪化に直結します。凶悪事件が絶えないことは、さまざまな形で経済活動を阻害します。海外からの投資も増えませんし、産業の振興も進みません。犯罪が多発し、暴力が横行することで社会的コストも膨らみ、インフラの整備や福祉・教育に資金がまわりません。

そんな中、アフリカ南部の国モザンビークでは、こうした状況を少しでも改善し、武装解除を進める取り組みがNPOなどによって実施されています。「武器を道具に換える」という方法です。つまり銃などの武器を回収するため、武器との交換で生活に必要な道具を支給しようというものです。

銃火器が素材武器をアートに

回収した武器は廃棄するわけですが、写真は、その廃棄される武器を使ってつくられたアート作品です。「武器を芸術に換える」というわけです。モザンビーク発の現代アートは、武器の蔓延という状況を訴える社会的なメッセージにも満ちています。

交換される道具は農機具や仕事の道具、運搬具などいろいろですが、その中には自転車もあります。そして、それらの交換用の道具は先進国のNPOからも援助されています。愛媛県松山市のNPO法人「えひめグローバルネットワーク」もそんな団体の一つです。


えひめグローバルネットワーク放置自転車をアフリカへ 銃と交換、アートに変身

自転車を銃に、銃をアートに−。松山市の特定非営利活動法人(NPO法人)が、アフリカ東部のモザンビークに放置自転車を送る活動を続けている。自転車は内戦の影響で一般家庭に残されている銃と交換され、アート作品に“変身”した。

同国のゲブザ大統領は、28日から横浜市で開かれるアフリカ開発会議(TICAD)に出席するため来日予定。会議終了後の31日、活動に謝意を表すため愛媛県を訪問し、加戸守行知事らと懇談、地元の大学生とも交流するという。

NPO法人は「えひめグローバルネットワーク」。2000年1月から、松山市の商店街で撤去された放置自転車計500台を送った。商店街で問題となっている放置自転車の処理にも一役買っている形だ。

フェレイラ在日大使館公使は「愛媛の人々の連帯の精神に感謝している。今回の訪問をさらなる関係の発展につなげていきたい」と話している。(2008/05/25 共同通信)



ARMS into ART武器をアートに

BBCのニュースサイトで報じられた記事を見ると2002年の日付ですから、以前から行われている活動ですが、このNPO法人は、放置自転車をモザンビークに送って、武器と交換する道具として役立ててもらう活動をしています。放置自転車が武器の廃棄、さらには貧困の連鎖につながる紛争の抑止になるわけです。

ただ、廃棄されるはずの放置自転車が役立って一石二鳥のようではありますが、本来ならば、まだ十分に使える自転車を捨てる、あるいは所有権を放棄するという意味では、資源やエネルギーの無駄です。このNPO法人の方も、サイトでその部分を指摘されています。

銃鍬プロジェクト銃を鍬へ

放置自転車の大部分は、日本で最近大量に安く売られているママチャリでしょうから、あまり質の良いものではなさそうです。理想を言えば、無駄に自転車を捨てずに長く使い、節約できたお金を募金するなどして、モザンビークに合ったタイプの自転車を新品で送りたいところでしょうが、現実はそうもいきません。

現に放置自転車が大量に存在しているわけですから、放置自転車を減らすことは別として、有効利用出来ればベターです。これが北朝鮮にでも輸出されれば、修理・再生して途上国に再輸出され、同国の貴重な外貨獲得の手段になってしまいます。言ってみれば、ミサイルや核爆弾の開発資金になってしまうのです。

自転車で武器を回収同じ放置自転車でも、どこへ行くかによって間接的に武器にも変われば、武器をなくすためにも役立つというのも皮肉ですが、それが現実です。また、途上国では先進国から多額の支援を受ける一方で、政情不安や隣国との緊張状態などから大量の武器購入に資金を振り向けているのも事実なのです。

その武器を輸出しているのは先進国であり、特に国連安保理の常任理事国5ヶ国です。紛争の仲裁やPKO、援助などを行う一方で紛争を誘発する武器を売りつけているわけですから、同じ人がやっているわけではないにしろ、国としてはマッチポンプな気がします。

ここにも理想と現実のギャップがあるわけですが、少なくとも日本は、これらの国に武器輸出をしていません。更に、武器を売らないだけでなく、減らすことにも貢献しているわけです。放置自転車が増えていいとは言いませんが、どうせなら上手く活用することで、平和と貧困の撲滅に役立つなら有意義と言えるでしょう。



それにしても、ヒラリークリントン候補は大失言でした。オバマ氏の暗殺の可能性が頭にあったから出てしまったんでしょう。本音が出たと言うか..。中傷合戦はよくありますが、これではクリントン氏の人格が疑われても仕方ありませんね。

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