July 18, 2008

街の自転車屋さんの活かし方

自転車の活用推進を打ち出す自治体が増えてきています。


10年前に「地球にやさしい環境都市」を宣言し、4年前からは「市民とともに育む環境首都」を標榜する愛知県の安城市もその一つです。あの豊田市に隣接し、自動車産業を中心とする工業が盛んな市でもありますが、昨年には、CO2削減のためクルマから自転車への乗り換えを促すエコサイクルシティ計画を打ち出しています。

このエコサイクルシティ計画は、自転車を中心とした安全快適で環境にやさしい交通環境づくりを目指しています。自転車走行空間の整備や駐輪場の整備をはじめとする、さまざまな取り組みを進めていますが、その一つに自転車利用者に対するサポートがあります。


「まちの自転車屋さん」「まちの自転車屋さん」制度スタート 安城市が利用者支援へ14店指定

自転車の利用を進める安城市で、市内の自転車店を指定し、利用者をサポートする「まちの自転車屋さん」制度がスタートした。無料で空気入れを貸したり、自転車にかかわる困り事相談に応じたりして支援する。

CO2削減のため車から自転車への乗り換えを促すエコサイクルシティ計画の一環で、市が県自転車モーター商協同組合に加盟する14店舗を指定。店側は専用の楕円(だえん)形のステッカーを張り出し、まちの自転車屋さんをアピールしている。

市は本年度中に作る自転車マップにも自転車屋さんを掲載し、利用者の利便性向上を図る。マップには、車の通行が多い所や急こう配の所など、自転車で走る際の注意ポイントやレンタサイクル置き場なども書き込む予定。自転車屋さんの店頭にも置いてもらう計画で、自転車利用者が来店しやすくなるメリットが期待できる。

自身の店も指定を受けた同組合安城支部の近藤啓(あきら)支部長は「自転車に乗る人が増えるにこしたことはない。使いやすいようできるだけのお手伝いはしたい」と話している。(中日新聞 2008年7月15日)


地味と言えば地味な制度ですが、自転車に乗る人の利便性を高めようという考え方は悪くありません。昔ながらの「まちの自転車店」で、自転車の修理やメンテナンスをはじめとしたサービスをもっと利用してもらおうという訳です。自転車店の経営を支援することにもなるでしょう。

近年、ホームセンターやスーパーなどの量販店で自転車を買う人が増えた結果、自転車店は減少傾向にあると言われています。郊外型の大規模商業施設が展開した結果、駅前商店街などの個人経営の小売店が苦境に陥っているのは、何も自転車店に限ったことではありませんが、やはり自転車店は近くに欲しいものです。

趣味のサイクリストなら、パンクくらいは自分で直すと思いますが、ママチャリも含め、自転車に乗っている人全体で考えれば、おそらく大多数の人は自分で修理しないのではないでしょうか。何かトラブルがあった場合、身近に自転車店があれば便利、かつ心強いと思います。

市場経済の下で、個人経営の中小の自転車店だけを保護すべきと言うつもりはありません。量販店で安い自転車を買う人が増えるのも消費者の選好です。ただ、量販店は、廉価な自転車を大量販売する一方で、修理などを行わない店も少なくないのが問題です。

自転車も新品のうちはいいとしても、そのうち何らかのトラブルに見舞われるのは避けようがありません。その時、自分で修理出来ず、近くに修理を頼める店がなければどうするでしょう。修理するには遠くまで運ぶ必要があり、手間も費用もかかるとしたら、新しい自転車を買ってしまう人も出てくるに違いありません。

つまり使い捨てです。今どき、安いママチャリは本当に安くなっていますから、下手に輸送したり修理代をかけるより、かえって安いかも知れません。大して違わないのであれば、新しく購入した方が手間がかからないと考える人も出てくるでしょう。せっかくのエコ計画も、これではエコとは言えません。

修理サービスまた、そうした人が、わざわざ手間をかけ、粗大ゴミの処理費用を支払って捨てるとも思えません。駅前などに乗り捨て、放置自転車を増やすことになると思われます。他の利用者や歩行者にも迷惑ですし、撤去・移送費用に保管、通知、最後は処分と、行政のコストがかさむことにもつながります。

その意味で、自転車の修理やメンテナンスの面で利用者の利便を図り、修理しながら使ってもらうことで、簡単に放置自転車を出さないようにするのは意味のあることと言えるでしょう。補助金を助成してまで自転車店の存続を図れとは言いませんが、自転車店の活用は自治体や納税者としての市民にもメリットがあります。

前回取り上げた都市交通としてのレンタサイクルシステムは、実際にパリなどで稼働しているとは言え、日本にはまだ馴染みがありません。市民のコンセンサスをとったり、導入への意志決定のプロセスに手間や時間がかかりそうです。それと比べれば、こうした対策はすぐにでも出来ます。

さらに一歩進め、自転車の言わばサービスステーションを設置して、そこで地元自転車店に委託した修理サービスを提供することを考えてもいいのではないでしょうか。自転車店の場所を紹介するだけでなく、市内に有機的に修理スポットを展開するなら、さらに利用者の利便性は高まります。

修理スポット網が配置されれば理想的ですが、出来るところから始めてもいいでしょう。例えば、駅まで多少距離があるため、利用率の低迷している駐輪場なんて、けっこうありそうです。そこに修理ステーションを併設し、朝たのめば、帰宅時までに修理しておいてくれるサービスなんて実施したら人気が出そうです。

人気の低い駐輪場の稼働率を高め、混雑している駐輪場の緩和に役立つかも知れません。パンク修理だけでなく、メンテナンスや部品交換なども含めてサービスメニューを充実させれば、迷惑駐輪する人に、多少の料金を支払っても駐輪場へ駐輪してもいいと思わせるきっかけになる可能性があります。

私は以前から感じているのですが、駐輪場の配置はもっと考える余地があると思います。鉄道を利用する人にとっては、駐輪場が駅前や駅に隣接して設置されていれば便利ですが、到底収容台数の足りない場合が多く、駅前に迷惑駐輪が増える原因となっています。そして撤去と放置のいたちごっこです。

駅を中心に、放射状に広がる区域から自転車が一箇所に集まってくるわけですから、溢れるのも当然と言えば当然です。駅の周囲、例えば半径200m以内を自転車全面乗り入れ禁止にしたらどうでしょう。駐輪場は、その半径だけ駅から離れたドーナツ状の区域に複数配置します。出来れば無料にしたいところです。

つまり、円の中心に集中する自転車を、円周上に配置した駐輪場に分散するわけです。一点に集中させず、ドーナツ状に点在させれば当然混雑緩和になります。駅近くの駐輪場にのみ集中して満車となり、周囲に迷惑駐輪が溢れることも防げるはずです。実用上は難しい面もあるでしょうが、徹底すべきです。

駐輪場目的地まで乗って行ける自転車の長所が損なわれますが、公共の福祉のためには仕方ありません。都市部では、放置自転車対策に億単位の予算が必要と言います。イタチごっこを続けていても税金が無駄になるだけです。自転車はどこでも通れ、どこでも止められるとの常識を変えるしかありません。

多少歩く距離が増えますが、手前の駐輪場にとめて駅まで歩くことを徹底していけば、やがてそれが当たり前になるはずです。駐輪場を駅前の一等地に設置する必要もなくなり、財政的にもメリットがあります。誰も駅近くに止められないのであれば公平ですし、放置自転車が駅周辺に集中する事態は防げるはずです。

駅まで、ちょっと歩いてもらう代わりに、駅周辺にドーナツ状に配置された駐輪場では、上に述べたようなサービスを展開してはどうでしょうか。多少歩くのだって慣れれば問題ないでしょうし、迷惑駐輪や故障して捨てられる自転車を減らし、自転車交通に秩序が出来るような気がします。

と書いていて後から気が付きました。この安城市のエコサイクルシティ計画の詳細版にも、駐輪場の整備にあわせ、サイクルステーションの設置を検討することが書かれています。自転車利用促進の拠点として、自転車に関する情報提供、パンク修理などのメンテナンス、休憩所、更衣室などの機能を備えるものです。

残念ながら、他の項目と違って、まだ設置を検討する段階ということのようですが、こうした自転車向けのサービスステーション、欧米では一部出来始めています。うまく利用者を誘導する手段に使えば、放置自転車問題の改善などにも役立つ可能性があります。他の自治体の先駆けとして、もう一歩の踏み込みに期待したいところです。



大分の教育委員会の汚職もあきれますね。居酒屋タクシーとか相変わらずの産地偽装とか、あきれるのにも疲れた感がありますが..。

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この記事へのコメント
初めまして、管理人様。
いつも楽しく読ませて頂いております。
早速ですが、そして勝手なのですが、昨日愛車を盗難にあいました。。。
今できる限り手はつくしているのですが、自転車ブログランキング1位のブログ様の手をお借りすることができないかと思い、書き込みをしました。
手は貸せないというのなら、ほっておいてくれても構いません。

長々と失礼しました。
Posted by ハヤシ at July 20, 2008 14:55
ハヤシさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
愛車の盗難とのこと、お察しします。サドルとバーテープの赤がとても目立つ、SURLY LongHaulTrucker2008ですね。このブログを見た方が、偶然何か心当たりがあるとか、街で見かけるなどして情報を寄せてくれるといいですね。
自転車ブログの読者なら、心情を理解される方は多いと思いますが、大阪圏の方は限られると思いますので、大阪ローカルなサイトとか掲示板などにも書き込んでみてはいかがでしょう。オークションサイトに出品されているのを発見する例もあると言いますから、その監視も必要かも知れません。もうなさっているかも知れませんが..。
Posted by cycleroad at July 21, 2008 00:41
管理人様、ありがとうございます。

オークション、毎日チェックしてみます。
掲示板も書き込んでみます。

お邪魔してすみませんでした。
Posted by ハヤシ at July 21, 2008 14:50
ハヤシさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
客観的に考えてみますと、ネットだと広く告知出来るような気がするものの、必ずしも有用な情報が得られる可能性が高いとは言えないような気もします。
つまり、ほとんどの方は、余程の偶然(例えば家の前に見知らぬ自転車が止めてあるとか。)がない限り、情報は提供できそうにありません。普通なら、仮に目の前をその自転車が横切ったとしても見分けるのは困難でしょうし、気がつかない場合がほとんどでしょう。大阪界隈の人だったとしても、一日中、忘れずに気をつけてくれるとは限りません。
落ち込んでいるところへ、冷たいことを言いたいわけではなく、ネットもいいですが、発見のためには、むしろ近くの駅や駐輪場を見て回るとか、犯行現場近くの人に目撃情報を聞いてみるなど直接的な行動の方が効果的かも知れませんね。
Posted by cycleroad at July 22, 2008 00:02
なるほど。
何度もコメントして頂きありがとうございます。
何分、初めて盗難というものに遭ったので、大きく混乱しているところがあります。
一応周辺は毎日見ているのですが、聞き込みは・・・
やってみます。
あと、ポスターも作ったんで、貼ってみます。
協力してもらってうれしく思います。
Posted by ハヤシ at July 22, 2008 21:37
ハヤシさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
犯行現場周辺に、何か発見への手掛かりとなる情報を目撃している人がいないかなと思ったのですが、確かに、警察の捜査じゃないんですから、聞き込みというわけにもいきませんね。
最初から分解して売ろうと考える犯人ならわかりませんが、ちょっと拝借して、すぐ乗り捨てる人もいます。もし犯人が日常的に使っているなら、駐輪場などで発見する可能性もないとは言えないと思います。犯行と同じ曜日、同じ時刻に現場を通っている人の可能性も考えられます。
ネットやポスターを見た人が何か情報を寄せてくれるといいですね。
Posted by cycleroad at July 24, 2008 12:44
こんばんは。初めてコメントします。
今回の記事、街の自転車店を営む私としては興味深い内容でした。

エコな乗り物として、また、ガソリンが高騰している中、自転車が注目され、自転車店にとっては追い風にしたいのですが、なかなか現状は厳しいものがあります。

安城市のような取り組み、いいですね。自転車店にもっとお客様が気軽に寄っていただけるように私たちも努力しなければと思いました。

現実は量販店、スーパーにお客様が流れているのは歴然です。でも管理人さんが仰るとおりなんです。

>量販店は、廉価な自転車を大量販売する一方で、修理などを行わない店も少なくないのが問題です。

当店にもスーパーで買った方から自転車の修理を依頼されます。仕事ですから当然承るのですが、修理をするに当たって、パーツの値段とその修理をする工賃が発生します。

廉価自転車のお客様にとってはそれが高く感じられるのでしょうね。たとえば、タイヤとチューブを交換となって内容をご説明しても、「買ったほうが安いじゃん!」と。

ホント、悲しくなりますね。別にぼった食っているわけではないのですよ。

使い捨ての時代から、修理をして大事に使っていく自転車の時代になってほしいと思います。品質のいい自転車なら、消耗部品を交換すれば、何年も使えるのですよね。

この記事を読んで街の自転車屋も頑張る気になりました。長々とスミマセン。また、お邪魔します。
Posted by ママチャリ at July 24, 2008 20:57
ママチャリさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
自転車店ご経営でいらっしゃいますか。全般的な売り上げは好調の一方で、消費者の購買行動の変化に苦慮するお店も多いようですね。
私も自転車店は自転車にとって、広い意味で社会のインフラの役割を担っていると考えていますので、安城市のような考え方は、自転車の活用を推進する上でも必要不可欠なことだと思います。
修理代をボッタクっているわけでないのは、よくわかります。私などは、ママチャリの修理しにくさを考えれば、工賃だって安いくらいに感じます。一部の輸入ママチャリの価格が安すぎますね。
家電などでも、少し経つと修理するより新しく買ったほうが安いくらいになったりします。修理より新規購入が安いのは、産業の構造的な問題なのでしょう。(続く)
Posted by cycleroad at July 25, 2008 21:42
(続き)
しかし、それが廃棄物をも大量に生み出しています。大量生産、大量消費時代の産業構造は、一朝一夕には変えられないということなのでしょうが、エネルギー消費を抑え、温暖化ガスを減らさねばならないこれからの時代、変わっていかざるを得ないのは確かだと思います。
毎日使う自転車は、家電と違ってトラブルも多くなりますし、余計に修理や整備が必要になります。修理しながら長く使おうと思えば、自転車店で買おうと考える人も増えると思います。
私もそうですが、街の自転車店を利用している人、その存在をありがたいと思っている人も少なくないはずです。なくなったら困ると応援している人もいるに違いありません。是非とも頑張っていただきたいと思います。
いえいえ、長々なんて。またお越しください。
Posted by cycleroad at July 25, 2008 21:44
こんにちは。あたたかいコメントありがとうございます。
今日も気温がグングン上昇。パンク修理やタイヤ交換のお客様がたくさん来てくださいます。

昔の物を売る商店で○○屋というものはホント少なくなりましたよね。魚屋とか八百屋とか靴屋etcほとんど大型店やホームセンターにやられました。その中でも自転車屋が生き残っているのは売るだけでなく修理が伴う商売だからと思います。

長年やっているといろいろなお客様がいらっしゃいますが、悪意のある人ばかりではありません。顧客様を大事にして、また、新規のお客様に来ていただけるよう魅力ある自転車店を目指したいと思います。今後ともよろしくお願いします。
Posted by ママチャリ at July 26, 2008 12:47
ママチャリさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
今日も暑かったですが、東海地方は特に暑かったようですね。
確かに、全国的に商業施設の郊外化、大型化が進み、ドーナツ化現象で、従来からある駅前商店街がいわゆるシヤッター街となる空洞化が起きているところも多いようです。クルマに乗らない方や、それこそ自転車で行ける範囲で暮らしている方は困ることもあるでしょうね。
私も以前は、肉屋のおかみさんとか、定食屋のオヤジ、金物屋の二代目など、会えば無駄口をたたくような間柄の顔見知りが大勢いた時代がありましたが、今は本当に少なくなってしまい、寂しい限りです。
やはり常連客、贔屓のお客がいて地域に密着しているお店は強いのでしょうね。こちらこそ、よろしくお願いします。
Posted by cycleroad at July 27, 2008 00:16
 
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