August 14, 2008

ゆっくり歩くように自転車を

うだるような暑さが続いています。


気温だけでなく湿度も高いわけですが、同じ気温なら風がなくて蒸しているより、風が吹いてカラッとしているほうが過ごしやすいのは間違いありません。ただ、自転車にとって風は厄介です。追い風なら気持ちよくスピードが出ますが、強い向かい風だとつらいものがあります。横風も難敵です。

自転車にとっては、ときに有難くない「風」ですが、最近は風力発電でも注目されています。海岸沿いとか郊外などを走行していると、東京周辺でも風力発電の大きな風車が回っているのを目にすることがあります。そよ風くらいならともかく、あまり強いと何かと邪魔になる風ですが、利用が進みつつあるようです。

風力発電の風車言ってみれば、地球に大気が生まれた時から吹いていたであろう風ですが、いつ、どちらから、どんな強さで吹くか、それこそ「風まかせ」という理由もあって、これまで必ずしも有効に利用されてきたわけではありません。オランダにあるような風車が数少ない例でしょうか。それともう一つ、舟の帆、帆船があります。

ヨットなどは、かなりの角度の向かい風でも前に進めるそうですし、昔から舟では風が利用されてきました。素人考えですが、最近の原油高で苦しんでいる漁船に、帆は使えないものなのでしょうか。もちろん当座の解決策にはなりませんが、漁船でもエンジンと併用するようなタイプが出てきても良さそうなものです。

ヨットのように操船しながら魚を捕るのは無理としても、外洋で風向きが良いときには帆走するようにすれば、かなり省エネになりそうです。昔ながらの帆船では操船も大変でしょうが、今はスイッチ一つで帆が自動で張られるような船も造られています。言わばハイブリッド型の漁船が出てきても良さそうな気がします。

ところで、風の利用と言えば、芸術に風を利用する人がいます。いろいろなメディアでも紹介されたので、見たことのある方も多いのではないかと思いますが、テオ・ヤンセン(Theo Jansen)さんの作品は、まさに風を利用した芸術です。主にパイプ状の部品で作られた構造物ですが、風の力で動くのです。

風の芸術Strand beest

動画を見るとわかりますが、まるで動物のように動きます。風だけで動いているとはとても思えません。まさに生きているような動きが見るものを驚かせます。芸術家であり、発明家であり、物理学を専攻していたというテオ・ヤンセンさんならではの作品と言えるでしょう。



テオさんは、もう20年もの間、これらの動物を進化させ続けています。単に風で流されて動くのではなく、いろいろな工夫がこらされています。風の力を貯めて使ったり、なんと自ら地面の状況や、障害物を「触覚」によって感知したり、方向を変えたり出来るまでに進化していると言います。

単に動くのではなく、本当に動物を作り出そうとしているかのようです。実際にテオさんは、これらの作品群を「砂浜動物」」(オランダ語でstrand beest)と呼んでいます。そしてその設計も、最初こそコンピューターでシミュレートしていたものの、今はほとんどアナログ的に試行錯誤しながら改良を積み重ねているというから驚きます。



ほかに類を見ない、このテオさんの作品群に触発される人は少なくないようです。電動のロボットなどでも、一部似た動きをするものがありますが、風の力だけで、これほど滑らかに動くのであれば、人間の力で動かす乗り物にも応用できるのではないかと考えるのは、むしろ自然なことと言えるでしょう。

当然のように、このテオ・ヤンセンの作品を元にして自転車を考える人もいます。ペダルを漕ぐと、タイヤの代わりに「足」が動くようになっています。タイヤがないので果たして自転車と呼んでいいものか迷う部分もありますが、人の足でペダルを動かして進む乗り物であることは間違いありません。



考えてみれば、地球上の陸上動物のほとんどは足で移動します。少なくとも身体にタイヤがついている生物はいません。人類は車輪を発明したことで、速度と効率の良い移動手段を手に入れたわけですが、もし車輪が発明されていなかったとしたら、自転車もこんな形だったのかも知れません。

タイヤを使うことにより、人力だけでも相当な速さで移動できるようになるわけですから、人類にとって大きな発明だったことには異論のないところでしょう。しかし、考えようによっては、こんな「足」による自転車、言ってみれば「自転足」も面白いかも知れません。

砂浜動物まるで生き物のように動く

階段が登り降り出来たり、ぬかるみや深雪でも進めそうです。浅瀬なら川や池でも渡れるでしょう。砂浜動物も砂浜に強い形だと言います。速度は出ないでしょうけど、タイヤでは走行しにくい場所に適した自転車が出来るかも知れません。必要な場所に来たら、タイヤと交換して自転足にするなんて使い方が出来たら痛快です。

発電量が一定しないために、あまり向いているとは言えない風力も、最近は発電に利用されるようになって来ました。乗り物の駆動装置としては向いているとは言えない「足」も、利用されるようにならないとは限りません。自転車にとって予想外の方向への進化ですが、実現したらちょっと面白そうです。

砂浜の芸術作品作られた生き物?

もちろん、スピードが出るからこそ自転車は役に立ち、走って気持ちがいいのは確かでしょう。エネルギー効率から言えば、自然に存在する動物と比較しても優れています。でもテオさんの砂浜動物を見ていると、たまにはこんなのんびりとした「歩み」で自転車に乗るのも悪くないかなと思えてきます。

風力発電の風車は、当然のことながら風が吹いている時しか回りません。テオ・ヤンセンさんの砂浜動物もそうです。風が凪いでいれば長い時間全く動かず、良い風が吹いてきて初めて動き出すという気長な動物達です。自転車に乗っている時も、気長にいい風を待つくらいの気持ちの余裕があってもいいのかも知れません。



北京では熱戦が続いています。素晴らしい成績を収めた選手には大いに拍手を送りたいですが、残念ながら実力を発揮出来ずに敗退していく選手の無念も察するにあまりありますね。4年間も頑張ってきたのに..。奮闘する選手たちに、いい風が吹いてほしいものです。

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