September 22, 2008

日本のカタチを考えるべき時

21日はカーフリーデーでした。


各地で、クルマの通らない街やクルマを使わないくらしを体感し、人や環境にやさしいまちづくりについて考えるイベントなどが行われました。カーフリーデー、もしくはノーカーデーと言うと、列車やバスなど公共交通と共にスポットが当たるのが自転車です。各地で自転車が関係する催しも多かったようです。

今までクルマは、モータリゼーションの主役であり、文明の象徴でした。国の基幹産業として雇用を生み、生活の質を向上させ、景気をけん引し、娯楽やレジャーもクルマと共に広がって来ました。それが最近では、世界的に環境に対する意識が高まり、化石燃料に過度に依存した生活を見直す動きが出てきています。

すでに自転車先進国と言われるヨーロッパの国々では、クルマをなるべく使わないためにも自転車を見直し、その活用を図ろうとする動きが盛んです。日本でもようやく最近、そうした考え方が市民にも理解されるようになり、都市での移動に自転車の活用を模索する動きも報じられるようになってきました。

カーフリーデー高松で都心で

日本でも自治体単位では、徐々にインフラを整備したりすることで自転車の活用を推進し、その取り組みを支援する動きも増えつつあります。でも、まだごく一部にとどまっており、とても広く浸透しているとは言えません。人々の認知度も低く、相変わらず事故や迷惑駐輪、モラルやマナーが問題となっています。

自転車をメインの交通手段にせよと言うつもりはありませんが、クルマや他の交通機関と使い分けるためにも、もっと活用の場が広がるように走行空間を整備すべきです。それは環境だけでなく、渋滞や大気汚染、事故防止、省エネなどにも有効で、人々の健康にも貢献します。

ただ、自治体レベルではなかなか政策が進まないのも確かです。少なくとも日本の場合は、やはり国レベルで推進する必要があるでしょう。地方分権が叫ばれていますが、まだまだ政策を決定し財源を握る国が旗を振り、道筋を示すことが求められます。国民レベルでのコンセンサスという意味でも重要でしょう。

杭州でも上海でも


その意味では、道路特定財源の使い道をめぐる議論も注目されます。地方自治体は、もっと道路が必要だと言います。確かに必要な道路もあるでしょう。しかし、まず道路ありきという考え方、まず整備する総延長が議論になるような考え方は時代に合っているとは思えません。

つまり、道路が必要と言うより道路という土木工事が必要という形です。人口が減っていくわけですから、道路の需要も減っていくのは間違いありません。すでに若者を中心にクルマ離れがすすみ、整備計画の交通量予測を大きく下回っています。狭い国土とは言え、自然を破壊してまで隅々にまで道路を通す必要があるのでしょうか。

既にクマか鹿しか通らないような道路も造られ続けています。地元の人だって通りませんし、疑問に感じているはずです。むしろ最近はコンパクトシティーなどの考え方が脚光を浴びています。人々の住む場所全てに道路を整備するのは非効率であり、人が中心市街に集まって住むほうがいいとする考え方です。

モビリティウィーク道路だけでなく、行政サービス全てにおいて効率が良くなり、自治体の財政再建に大きく寄与します。また、住環境を向上させるためにも、街の中心部にはクルマを侵入させないような都市デザインも注目されています。道路特定財源を使うにも、新しいランドスケープ、新しい国土デザインの元に使うべきではないでしょうか。

本来ならこの秋には、こうした議論が活発に交わされるはずでした。しかし、福田首相の二代連続での政権放り出しによって、全く状況が変わってしまいました。せっかく改造した内閣も、新しい麻生総裁の下で、また入れ替わることになるでしょう。

個人的には、国土交通大臣に就任したのが谷垣禎一氏だったので期待がありました。彼はサイクリストです。必ずしも政治家としての谷垣氏を支持するものではありませんが、熱心なサイクリストというだけで、親近感があります。国会議員り中では数少ない本当の意味で自転車を理解している一人と言えるでしょう。

もちろん自民党の政治家ですから、必要な道路は時間がかかっても造っていくという立場です。合併しましたが派閥の領袖クラスでしたし、そうスタンドプレイに走るわけにもいかないでしょう。また、国交省の政策課題もたくさんありますし、当然、自転車関連の政策より優先度の高いものも多々あります。

しかし、メディアのインタビューなどでは、国交相就任に際し力を入れたい政策は何かと聞かれて、コンパクトシティーの推進と、都市交通の中に自転車を取り入れることを挙げています。歩行者との接触事故を減らすためにも自転車の走れる空間を整備する必要があると明言しています。

それが地方での中心市街地の活性化にもつながるなども発言しています。道路特定財源の使途に絡んで、道路予算の地方への配分に配慮が必要といった政治的な背景もあるのだろうと想像しますが、国土交通政策としての位置づけ、プライオリティーは決して低くありません。

東京で東京シティサイクリング

こうした発言に目をとめた人は少なかったかもしれませんが、個人的には注目すると共に、期待感を持っていたわけです。少なくとも、現状を打破するきっかけになる可能性はあります。しかし、それもこれも、自民党の都合で「お流れ」になってしまいそうです。

麻生政権、あるいは総選挙後の新政権において、国土交通行政がどのように進んでいくかは予断を許しません。もちろん、多くの重要な政策課題が優先される中で、自転車の活用などごく枝葉の話に過ぎません。しかし、日本の将来の国土を考える中でのキーポイントの一つにはなるはずです。

人口もクルマの台数も減少し、地方自治体の財政がひっ迫する中、構造的にも中心部に都市機能を集めるコンパクトシティーを目指さざるを得ません。少子高齢化をにらんで、運転の出来ない高齢者でも快適に暮らせる都市デザインは重要になっていくはずです。温暖化や原油高などを考えてもそうです。

カーフリー、クルマになるべく依存しない生活が、より人々の支持を集めていくことになるでしょう。日本ではあまり重要視されませんが、自転車を都市交通に取り入れることを最重要の交通行政課題とする国も増えています。時代のトレンドや世界の趨勢をも正しく理解し、古い土木行政の因習に囚われない政策を期待したいものです。



自民党総裁選は5人も出て一見華やかなようで、お互い本気で切り込むでもなし、勝者の決まった消化試合のようで盛り上がりませんでしたね。さて、このことがどう影響しますか。

関連記事

政治家と自転車のアピール度
谷垣禎一氏は、知る人ぞ知る政界きってのサイクリストである。

まずは百台のロードバイクで
実は国会議員で組織する「自転車活用推進議員連盟」がある。

少しずつでも前進することで
谷垣氏とは別に、国交省でも自転車政策に目を向けつつある。



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