October 10, 2008

一人ひとりの都合に合わせる

一人のレスラーが話題になっています。


障害者プロレスの団体「ドッグレッグス」で活躍するレスラー、永野明さんです。脳性マヒによる障害がある永野さんですが、ハンドサイクルを使って東京から故郷の福岡まで、なんと1,200kmの走破に挑戦しています。それも僅か10日間での完走を目指していると言うから驚きます。


手こぎ自転車で東京→福岡 1200キロ走破 障害者が挑戦 プロレス団体代表 福岡出身永野さん 19日到着予定、  

ハンドサイクルで1200キロバリアフリーも点検 「心と体健常者と同じ」

「こつこつ続ければ必ず達成できる」。福岡の障害者プロレス団体「FORCE」代表、永野明さん(33)=東京都北区在住=が、福岡まで1200キロを10日間かけ手こぎ自転車(ハンドサイクル)で走破しようと10日朝、東京・日本橋を出発した。障害者の自立をアピールし、沿線途上で街や道路のバリアフリーの実態を点検するのが狙いだ。

福岡市出身の永野さんは1歳で脳性まひになり、自力で歩くことはできるが4肢に障害がある。19歳で上京、印刷会社に勤めながら障害者プロレス団体「ドッグレッグス」に参加。2000年には故郷で「FORCE」を設立し、両団体で年間約8試合に出場する。

3年前、ハンドサイクルで100キロ走った障害者をテレビで見て「自分ならもっと走れる」と、プロレス仕込みの腕力で故郷を目指そうと決めた。通勤時や休日に練習を重ね、計5500キロを走破。腕は2リットル入りペットボトルほどの太さになり、「おかげでプロレスでも負けなくなった」と笑う。

この日、友人ら約50人に見送られた永野さんは「プロレスは瞬発力だが、今回は持久力と精神力が必要。肉体的にも精神的にも健常者と変わらない、強い障害者がいることを伝えたい」と話した。名古屋、大阪、広島を経て19日夕、福岡市のヤフードームに到着予定。全行程をインターネットで中継する。(2008/10/10付 西日本新聞)


ハンドサイクルで故郷を目指す障害がなくても10日間で1,200kmは簡単なことではありません。途中に山もあれば、風も吹き、雨も降るでしょう。段差もあれば、転倒や事故の危険もつきまといます。プロレスラーならではの腕力にも自信があるのでしょうけど、そのチャレンジスピリットは凄いと思います。

ご本人は、障害を持っていると社会的弱者だと見られてしまうが、弱者ではなくて、いたって普通だと言いたいと述べられています。もちろん障害者として特別に見るべきではないのでしょうけど、同じような障害を持つ人にとっても、大きな励みになるのではないでしょうか。

ハンドサイクルにもいろいろなタイプがありますが(文末の関連記事参照)、車いすに取り付けられる汎用のものを使用するそうです。レース用の車いすがあることを知っている人は少なくありませんが、ハンドサイクルの知名度は高くありません。この挑戦によって、ハンドサイクルの存在を初めて知る人も出ることでしょう。

日本では、まだまだバリアフリー化が充分とは言えません。どうしても車椅子では外出しにくいのは間違いないでしょう。車椅子でも自転車に乗れる事実を知らない人も多いと思いますが、こうした機会に、もっとハンドサイクルのことが知られるようになり、街にハンドサイクルで繰り出す人が増えたら素敵なことだと思います。

ハンドサイクルで東京―福岡趣味のサイクリストでも、ハンドサイクルの実物を見たことがある人は少ないと思いますが、もっと一般的になってもいいように思います。永野さんも、障害者と健常者との間にある見えない壁を取り払いたいという強い思いがあると言いますが、きっとそれにも貢献するでしょう。

ペダルをこぐのに、ロードバイクのように前傾姿勢だろうが、リカンベントのように仰向けだろうが、足だろうが、手だろうが、自分の力で進む自転車には変わりありません。そんなふうに誰もが感じ、自転車もハンドサイクルも共に街を行き交うようになれば、心の中のバリアも取り払われていくでしょう。

ところで、ふだん私たちは、ごく当たり前のように自転車に乗っています。でも考えてみると、何か身体に障害を負ったら、途端に自転車に乗るのが困難になる可能性があります。例えば、片手の握力が落ちただけでも、安全にブレーキが使えず、結果自転車に乗れなくなるかも知れません。

いつもは無意識に左右の手でブレーキをかけ、止まったり減速したりしていますが、とぢらかの手だけ、特に前だけ強くブレーキをかけると、簡単に前方へ回転して転倒してしまいます。いざという時に、安全に停止したり、減速したりできなければ、危険なことは言うまでもありません。

Brake Director


Brake Director

そんな場合に役立つのが、この“Brake Director”です。この装置は、片手でしかプレーキング出来なくても、制動力が両方の車輪に伝わって、安全に止まれるようにするものです。片手の力でも両方の車輪に充分な制動力が出るように設計されています。

障害のある人向けだけでなく、警察用の自転車などにも一部で採用されています。障害はなくても、片手でブレーキをかけながら、片手で笛を吹いたり、合図を送ったり出来るので便利なのでしょう。もちろん、歳をとって握力が衰えた人にも力強い味方となるはずです。

まことに地味な部品ですが、場合によっては大きな意義を持つパーツです。交通事故など以外にも、脳梗塞や、心筋梗塞などで一時的に脳に酸素が供給されずにダメージを受けるなどして、半身に障害が残る例は少なからずあります。そうした障害で自転車に乗れなくなった人には朗報になるかも知れません。

かるがもグランドそもそも自転車は、一人ひとりの身体に合わせ、場合によってはパーツを交換するなどして、フィットさせて乗る乗り物です。サドルやペダルなどパーツを交換したり、自分が乗りやすいようにアジャストさせたりするのが当たり前です。そう考えると、“Brake Director”もそうしたパーツの一つに過ぎません。

日本でも、高齢化の進展に伴って、高齢者向けの自転車が発売されたり、高齢者を対象とした安全教室が開かれたりしています。これからは、自転車に乗るために何らかのサポートを必要とする人口も増えていくのでしょう。“Brake Director”のようなパーツは、もっと求められるようになっていく可能性があります。

よりパワーが必要な人は、電動アシスト装置などでパワーをプラスし、身体的なハンデをカバーしたい人は、それに特化したパーツを加えたり交換したりする。考えてみれば普通のことですが、必要とされているのに実現されていないパーツは、まだまだ少なくないのかも知れません。



世界の株式市場が大変なことになっていますね。今後の動向、また日本でも実体経済への影響が懸念されます。なんとか軟着陸してもらいところですが..。

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