October 16, 2008

例えに自転車が使われる理由

アメリカ大統領選まで3週間をきりました。


15日に行われた最終のテレビ討論でも、オバマ氏が優勢だったと伝えられています。一時期、副大統領候補にペイリン・アラスカ州知事が選ばれたことで共和党陣営の勢いが増しましたが、現状では各種の世論調査でもマケイン氏に対してオバマ氏が優位に立っているようです。

オバマ氏は、今回の大統領選で、民主党の予備選の段階からヒラリー・クリントン氏との歴史的接戦が高い注目を集めました。激しいデッドヒートを繰り広げた結果、民主党支持者の間にも確執が残る事態となり、本選でのマケイン候補との戦いに不安を残す論調もありましたが、意外に本選挙ではあっさり決まるのかも知れません。

大統領選討論会しかし、この世論調査での優勢は鵜呑みに出来ない点を指摘する声があり、予断は許さないと見る向きもあるようです。つまり、オバマ氏が黒人候補であることにより、いわゆる「ブラッドリー効果」が起きる可能性があると言われています。

投票前にはオバマ氏支持を表明していた白人有権者が、いざ投票の段になると黒人であるオバマ氏への投票に躊躇し、マケイン氏に投票する可能性があると言います。一部の白人有権者の中には、黒人に対する偏見を持っているにも関わらず、それを知られたくないためオバマ氏支持を装っている可能性があると言うのです。

事前に優勢が伝えられていた黒人候補ブラッドリー氏が、実際には白人候補に敗北したカリフォルニア州知事選での事例から、「ブラッドリー効果」と名付けられている現象です。この現象は、今回の民主党のニューハンプシャー予備選でも起きています。

オバマ氏は直前の世論調査でヒラリー・クリントン上院議員に10ポイント近く差をつけていたにも関わらず、実際にはクリントン氏が勝利しました。人種差別については単なる知識として知っているに過ぎない日本人にとっては、なかなか分かりにくいところですが、人種問題には複雑で深い部分があるようです。

ところで、このアメリカ大統領選、その選挙運動にも興味深いものがあります。熱狂的な支持者やマスコミを駆使して繰り広げられる選挙キャンペーン、演説会などの盛り上がりも含めて日本とはかなり異なっています。国を二分して争う、まさに4年に1度のお祭り騒ぎの観もあります。

オバマ氏優位かインターネット上での選挙運動や各種の現象も日本とは違っている部分です。比較的支持層が若いと言われるオバマ候補は、特にネットを通じた有権者への浸透が大きな戦力となっているのは間違いないでしょう。陣営とは直接関係ない、支持者のサイトが注目を集めることもあります。

多々ありますが、“barackobamaisyournewbicycle.com”もその一つです。文章をそのまま使った、ずいぶん長いドメインですが、きちんと区切ると“ Barack Obama Is Your New Bicycle ”です。「バラック・オバマは、あなたの新しい自転車です」というサイトなのです。

このサイトを見てみると、全て大文字で簡単な文章が出てきます。「バラックオバマは、あなたの歩道の雪かきをしました。」「バラックオバマは、あなたの姉妹の結婚式で、あなたのお母さんと踊りました。」「あなたが怯えていた時、バラックオバマはあなたの手を握りました。」「バラックオバマは、あなたの誕生日を覚えていました。」

どれも他愛のない文章です。「バラックオバマは、あなたのお父さんにEメールを送って、あなたが如何に優秀か話しました。」「バラックオバマは、あなたのブログにコメントを残しました。」「バラックオバマは、あなたのベッドメイクをしました。」「バラックオバマは、あなたのサイトをブックマークに入れました。」

「バラックオバマは、あなたのベッドの下に怪物が潜んでいないかチェックしました。」「バラックオバマは、あなたのために、あなたのクルマを暖めました。」「あなたのボーカリストの一人が気管支炎菌にやられた時、バラックオバマは、あなたのバンドでバックコーラスとして歌いました。」なんて長い文章もあります。

Barack Obama Is Your New Bicycle文章をクリックするたびに、これらの文章がランダムに表示されるだけのサイトです。ただ、オバマ氏のイメージを悪くするような文章はありません。どれもちょっとしたことですが、どちらかと言えば、オバマ氏の好感度が高まるような文章です。

ずいぶんシンプルですが、何の意味があるのか首をひねる人も多いでしょう。ところが、このサイトは大ヒットし、多くの人が閲覧する有名サイトになりました。その意表を突くスタイルや、意味のなさそうなところが、逆に面白く思われたということもあるのでしょう。

今年のバレンタインデーにオープンしたというこの、“ Barack Obama Is Your New Bicycle ”ですが、あっという間に広がり、“Hillary Clinton is Your New Bicycle”“Michelle Obama is Your New Bicycle”“John McCain Is Your New Bicycle”といった、そのパロディのサイトも多数出来ました。

ヒラリークリントン氏のそれは、彼女にとってネガティブにな文章が出てくるものだったりしましたが、今は内容がかわっているようです。いずれにせよ、一大ムーブメントが広がるきっかけとなったサイトなのです。このままの名前の本まで出版されるに至っています。
Barack Obama Is Your New Bicycle: 366 Ways He Really Cares
Barack Obama Is Your New Bicycle: 366 Ways He Really Cares(本の内容はオバマ氏の経歴などを紹介するものです。)

オバマ氏支援このサイトを作った、Mathew Honanさんにも思いもよらないヒットだったようです。当初20個ほどだった文章も、今は366個にも増えています。大統領選の年は「うるう年」ですが、1日1個というわけでしょう。もちろん、その中に、このサイトの題名にもなった“ Barack Obama Is Your New Bicycle ”も出てきます。

バラックオバマが新しい「スポーツカー」でなくて「自転車」というところもイメージアップに貢献しているのかも知れません。昔だっだら、新しい「ピックアップトラック」だったかも知れませんが、人々が環境への関心を高める中、今では自転車のほうがよっぽどいいイメージを与えるでしょう。

私は最初、サイトに出てくる文章の代表として、シンボル的に“ Barack Obama Is Your New Bicycle ”を選び、サイト名にもしたのだと思っていました。ところが、注意して見てみると、この“ Barack Obama Is Your New Bicycle ”だけがBe動詞の文章なのに気付きます。

他の文章は、ほとんどが過去形ですが、すべてバラックオバマが何かをした、あるいはしているという文章です。すなわち動作を表す動詞が使われており、バラックオバマは何々だという文章、Be動詞が使われているのは、どうやらこの“ Barack Obama Is Your New Bicycle ”だけのようです。

ふとそれに気がついたので調べてみると、このサイト名になったいきさつが分かりました。実は、このサイトを作ったMathew Honanさんの奥さんが、熱心なサイクリストだったのです。自転車やサイクリングのことなどについて話すのが大好きな人だと言います。

オバマ氏支援ところが、最近彼の奥さんは、オバマ氏の熱烈な支持者として、オバマ氏の選挙キャンペーンに夢中になるようになったのです。もちろん、そうした人はたくさんいるわけですが、Mathew Honanさんにしてみれば、自転車に関して熱心だった奥さんが、突然オパマ氏に熱中し始めたと感じたわけです。

つまり、オバマ氏は君の新しい自転車のようだねと奥さんをからかったフレーズだったわけです。奥さんを夢中にさせる、次の新しい自転車がオパマ氏だったということになります。なるほど、それなら“ Barack Obama Is Your New Bicycle ”という文章も納得します。

Mathew Honanさんは、オバマ氏の熱烈な支持者たちをからかうような気持ちで、この文章をドメインにしたのでしょう。ましてや、このサイトでオバマ氏を支援する気はありませんでした。それが結果として大きな話題となり、オパマ氏への関心を高めることにつながったのですから面白いものです。

大統領選の投票は11月の4日です。もちろん、オバマ氏が選ばれるかどうかはわかりません。仮に選ばれたとしても、どんな大統領になるのかは未知数です。人々の期待が高かった分、期待を裏切ることにならないとも限りません。新しい自転車が手に入っても、その乗り心地は乗ってみるまでわからない、というところでしょうか。



実は、このサイト、もっと前に取り上げようと思っていて忘れていました。選挙が終わればなくなってしまうかも知れませんので、なんとか間に合いました(笑)。

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