December 09, 2008

太陽の恵みをもっと利用する

さすがに師走に入って、ずいぶん気温が下がってきました。


ここのところ関東地方でも寒い日が続き、天気がくずれる日も多いので、荒天の合間の冬の日差しが余計にありがたく感じます。夏の間は暑くて、ときに恨めしい太陽ですが、この時期になるとお日さまが恋しくなります。やはり少しでも日があると寒さも和らぎます。

ちなみに地球と太陽の間の距離は1億5千万kmです。実感のわかない距離ですが、時速300キロの新幹線に乗って24時間ノンストップで走り続けても57年かかるという途方もない遠さです。冬の間、日本からは頼りなげに見える太陽ですが、そんなに離れているのに地球を温めるほどのエネルギーを照射しているわけです。

考えてみれば、前後左右上下、3次元的に全ての方向に向かって放射しているわけですから、凄まじいエネルギー量です。1億5000万kmを経て地球に降り注ぐそのエネルギーはそのほんの一部ですが、1時間におよそ128兆kwhと言います。これは、全世界が1年間で消費するエネルギーの約100兆kwhを超えます。

メガソーラー発電計画全世界の年間消費エネルギーをわずか47分で照射してしまうということは、言いかえれば、地球に降り注ぐ太陽エネルギーのわずか10万分の9を利用することが出来れば、人類の使うエネルギーは全てまかなえてしまう計算になります。こんなに豊富に降り注いでいるエネルギーを使わない手はありません。

確かに今は化石燃料のほうがコストが安いわけですが、いつかは枯渇することになります。枯渇まで行かないまでも、だんだん採掘が困難になり、コスト競争力を失っていくのは間違いないでしょう。一方太陽エネルギーは、少なくともあと45億年くらいはなくなる心配はありません。事実上、無尽蔵です。

太古の昔から、人類は太陽の恵みをさまざまな形で利用してきました。もし、そのまま太陽由来の自然エネルギーだけを利用し、化石燃料に手を出さなければ、これほど急激に地球環境を破壊し、温暖化を加速させることはなかったはずです。今さら言っても遅いですが、このへんで自然エネルギーに回帰すべき時が来ている気がします。

石油を本格的に利用し始めて、まだ100年あまりしか経っていませんが、この100年余りで現代文明は急激な進歩を遂げた反面、環境への負荷を急激に高めることになってしまいました。今では当たり前のように使っている化石燃料も、人類の歴史からみれば、ごく一時的なことに過ぎません。

今さらエネルギーを使わない時代に戻ることは出来ないとしても、いったん、この太陽エネルギーを上手く使う体制を確立してしまえば、化石燃料に頼らなくて済むようになります。クリーンな太陽エネルギーを活用すれば、地球環境への負荷を大きく減らせるのは間違いありません。

大規模太陽光発電所いま、砂漠に大規模な太陽光発電所を建設し、国境を越えて周辺各国に電力を供給しようという壮大な地球規模の構想が、IEA(国際エネルギー機関)の作業部会で詳細な計画になりつつあります。電力ロスの少ない特殊な送電線も実用化されています。技術的には決して不可能な計画ではありません。

計算上では、ゴビ砂漠の半分に太陽電池パネルを敷きつめれば、地球全体の年間エネルギー需要をすべて賄えることになります。太陽電池の発電効率を15%と想定していますが、これを上回る電池も製品化されています。もちろん、更に広いサハラ砂漠をはじめ、太陽光発電に適した日照時間の長い砂漠は世界各地にあります。

資金調達や国際間の政治的な問題はありますが、十分に実現可能であり、深刻化する地球温暖化問題や近頃の原油価格の高騰によって、大規模な構想も現実味が増してきています。実際に、砂漠をまるごと発電所にするのは、まだ計画段階ですが、メガソーラー、大規模太陽光発電所は既に世界各地に相次いで建設されています。

日本は、高温でも高効率の太陽電池や高温超電導線材によるロスの少ない送電など、世界の太陽光発電のさらに先を行く技術を持っているにもかかわらず、太陽光発電による発電量は、ドイツやスペインなどに次々と抜かれています。法律で電力の買取価格を保証することで太陽光発電を促進する国が増加しているのです。

オイルショック以降、日本では太陽光発電の技術開発や家庭などへの普及促進も図られてきましたが、今や大規模な太陽光発電所を建設し始めている世界のすう勢に遅れをとりつつあります。日本でも電力会社10社による計画が30か所、140メガワット程度の建設計画がありますが、欧州の伸びに比べると見劣りするレベルです。

日本のエネルギー効率は世界に冠たる水準にありますが、実はまだ電力の半分以上は化石燃料を燃やす火力発電に頼っています。原子力発電も燃料の安定供給や安全面などに不安があります。地球温暖化対策や、エネルギーの自給率を上げるためにも、今こそもっと太陽光発電を促進すべきではないでしょうか。

太陽光発電最近は金融危機の影響もあって原油価格が大幅に下がりましたが、長期的には需給がタイトになると言われています。目先の原油価格の動きに安堵することなく長期的視野で取り組むべきです。一人ひとりに家庭での省エネを呼びかけるのも大切ですが、全体からすれば僅かな量です。火力発電を減らし、膨大な温暖化ガスを削減すべきです。

ただ太陽光発電は、基本的に昼間しか発電出来ません。国境をまたぐような大規模送電網を構築するか、蓄電でもしない限り、夜間の電力を賄えません。でも、太陽エネルギーの利用は太陽電池だけではありません。太陽光のエネルギーを熱として利用する方法もあります。

特殊な油や高温で液体となるナトリウムを含んだ溶解塩を太陽の熱で温め、その熱で水を蒸発させ、タービンを回して発電するのです。太陽熱を蓄熱しておけば夜間でも発電可能です。場所によっては、太陽光発電より低コストで発電出来る可能性もあります。

実は1981年に世界初の太陽熱発電を成功させたのは日本です。当時は経済性から実用に至りませんでしたが、昨今のエネルギー資源高騰によって採算が合うようになり、欧米では次々と実用化されています。日本でも、太陽の方向を追尾する鏡や集光技術などが研究され、更なる低コスト化が期待されています。

太陽光発電でも太陽熱発電でもない、さらに新しい発電技術の開発も進んでいます。レンズや反射鏡で集めた太陽光を特殊な半導体に当ててレーザーを発振させ、このレーザーをマグネシウム化合物に当てて精錬し、純度の高いマグネシウムを取り出すという方法です。

マグネシウムは、水と反応して水素を発生させるので、太陽エネルギーから燃料電池用の水素を作り出せることになります。これにより、水素と空気中の酸素を反応させて電気分解と逆の反応で電気を発生させる、燃料電池で発電するわけです。この方式もマグネシウムをストックすることで夜間にも発電出来ます。

従来、燃料電池に使う水素は、コスト的に原油や天然ガスから取り出して使うのが現実的と考えられていました。しかし、水素の貯蔵や運搬も難しく、温暖化ガスは排出しないものの、化石燃料への依存から脱却できないなどの問題がありました。この方式によれば、それらの問題も解決できます。

太陽熱発電マグネシウム化合物は地球に豊富に存在しています。マグネシウムは摂氏600度以上にならないと反応しないため、燃料として運搬しやすいのも利点です。発電用だけでなく、燃料電池車に搭載して、水素の発生源として使える可能性もあります。

つまり、太陽エネルギーで動く新世代のクルマとして、太陽光発電した電気をバッテリーに蓄えた電気自動車以外にも、太陽エネルギーを使った燃料電池車の開発が視野に入ってきます。水素そのものを運搬したり、タンクに貯蔵するよりもずっと安全で車両製造コストも低くなるはずです。

マグネシウムは、燃料電池で使うために水と反応させて、水素と酸化マグネシウムに変わりますが、再びその酸化マグネシウムを精錬すればマグネシウムを取り出せます。マグネシウムはリサイクルできるわけです。太陽エネルギーから生み出す全く新しい燃料、しかも温暖化ガスを出さない燃料になる可能性があるのです。

太陽光発電は、いったん建設してしまえば無料の太陽光線で発電出来るわけですが、そのソーラーパネルの部品の寿命と総発電量で計算すると、今のところ従来より2〜3倍割高と言われています。しかし、建設が増え、量産が進めば部品の値段も下がり、コストも下がっていくはずです。

価格競争力なら、太陽熱発電は、場所にもよりますが、最初から太陽光発電の半分程度になる可能性があります。つまり、従来の発電方式とほぼ変わらないレベルです。マグネシウム精錬方式を含め、うまく使い分けていけば、日本のエネルギーを十分に担える存在になっていくのではないでしょうか。

中東湾岸の産油国は、日照時間が長いという利点もあるので、こうした太陽を利用したエネルギーに高い関心を寄せています。石油が大量に産出される中東産油国ですら、太陽エネルギーの利用を真剣に模索している中、日本は欧州のような電力の買取制度も整備せず、遅々として利用が進まない状態でいいのでしょうか。

グリーン電力で政府は今、二兆円もの予算を給付金として国民に支給しようとしています。しかし、いったん税金として集めたお金を、またコストをかけてばらまくという世紀の愚策を実行するくらいなら、こうした新技術の開発や、太陽エネルギーの普及促進に努めたほうが、よっぽどマシだと思います。

給付金と言っても、元々それは自分たちの支払った税金であり、こうしたバラマキは将来、増税となって戻ってくるのも国民はわかっています。結局貯金されて消費に回らず、景気対策にならない給付金よりも、太陽光発電所を建設したり、将来のエネルギー開発に向けた投資をしたほうが有意義でしょう。

地球温暖化という世界の持続可能性を疑わせるような問題に、人々は未来へ漠然とした不安を感じています。未来に明るい展望を持てなければ、なかなか経済も上向いていかないでしょう。その意味でも、エネルギーの自給率を高め、地球温暖化を克服する具体的な道筋を示すことは大きな意義を持つはずです。

日本も、もっと政治のイニシアチブで太陽エネルギーの利用へ転換すべき時に来ていると思います。我々国民としても、原油価格が下がっているからいいと言うのではなく、将来的なエネルギーの安定供給を見据え、今やるべき本当の温暖化対策は何かを考え、政策の実行を求めていくべきではないでしょうか。



派遣契約打ち切りに、内定取り消し、正社員まで削減と雇用情勢は厳しくなっています。金融危機と景気後退で、地球温暖化対策は一時ほど話題にならなくなりました。でも、こういう時こそ将来に投資すべきなような気がします。

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この記事へのコメント
太陽光を有効利用して,自分が吸う酸素と栄養分を作り出している植物を人間も見習うべきですね。
宇宙空間で働く人工衛星の電力も,ソーラーパネルからの電力を蓄電池に充電してまかなわれています。衛星は放射線を強力に浴び続ける悪環境下でも10年くらい寿命が持つものもあるので,太陽光発電パネルも耐久性がかなり高くなってきました。
大型太陽光電力プラントの保守メンテもきっと可能になるでしょう。


給付金は細かく分割すればスケールメリットは何も無くなってしまいますから,経済対策としては無駄なのですが,選挙対策としては効き目があるやもしれません。
ばら撒きはポピュリストの典型的手口の一つですから。

地球温暖化対策はやっぱり自転車ですが,肉を食べるのを減らすというのも重要だそうです。畜産によるCO2排出量は,自動車の排気ガスに匹敵する量であり,肉を野菜にシフトしていくことにより,少なくともCO2排出量に関しては,自動車半減と同じ効果があるとのことでした。

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Posted by nekki5149 at December 10, 2008 23:53
nekki5149さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
人間は光合成出来ないまでも、森林を伐採し、地球規模では熱帯雨林をはじめ緑地を減少させる一途ですからね。そのあたりも含めて、考えるべきなんでしょうね。
大気圏外の太陽光発電衛星で発電する宇宙太陽光発電というのもありますね。発電効率も上がっていますし、より安価な材料、構造の太陽電池も開発されています。今後も技術的な改善や低価格化は進んでいきそうです。
そもそもは公明党が強く主張した定額減税が、すぐに実現できないので給付金になったのでしょうが、ここまで来ると、まさに選挙対策、バラマキということでしょうね。
CO2換算の排出量の統計数字にはいろいろあるようですが、牛の排出するメタンは二酸化炭素の23倍もの温暖化効果を持つといいますし、確かにその影響は小さくありません。
仮想水として見た場合の水資源の問題もありますし、世界的な穀物需給の逼迫の観点からも食の嗜好は考える余地があると思います。
応援ありがとうございます。
Posted by cycleroad at December 11, 2008 23:15
 
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