February 19, 2009

不況の今こそ投資すべきもの

ニュースは連日景気の悪化を伝えています。


雇用不安も広がっていますし、個人消費も大幅に減退、世界同時不況下で当面輸出の回復も期待できません。政治も相変わらず混迷を続けていますし、こうした報道にまた消費マインドも冷え込みます。経済や政治面は暗いニュースばかりですが、少し目を転じて、全国各地の最近の自転車関連の記事を拾ってみました。


飯田線で3月22日、「輪行列車」初運行

輪行列車飯田市などの自転車愛好家でつくるグループとJR東海が3月22日、同市から愛知、静岡県方面へJR飯田線沿線をサイクリングし、自転車ごと専用臨時列車に乗って帰るイベントを初めて企画している。自転車を車両に載せて運ぶ「輪行」専用列車の運行は、同社では初めて。主催するグループは「飯田線の新たな魅力を見いだしたい」としている。

当日は午前7時すぎに川路駅(飯田市)を自転車で出発。主に県道飯田富山佐久間線を南下する。復路用の飯田方面行き臨時列車は午前11時13分に豊橋駅(愛知県豊橋市)を出て、途中の中部天竜(川路から自転車で約80キロ)、平岡(同45キロ)など5駅に止まり、参加者を乗せる。

参加者は各自、体力に応じた駅まで自転車で走り、臨時列車を待つ仕組み。自転車は、車輪を外したり折り畳んで輪行袋に入れ、計3両の車両に積み込む。車中ではコンサートや抽せん会で楽しみ、飯田に午後3時17分に着く。

自動車に比べ環境に優しい鉄道と自転車を組み合わせた観光イベントは、近年各地で活発化。東京都心から自転車ごと列車で埼玉県秩父市まで行き、サイクリングを楽しむ「秩父サイクルトレイン」など私鉄を中心に広がっているという。県内でも2007年、小諸市観光協会が同市から長野市までサイクリングし、しなの鉄道の貸し切り列車で戻る「風林火山戦国サイクリング」を実施した。

飯田下伊那地方でも自転車愛好家ら15人ほどが昨年10月、飯田市−下伊那郡天龍村間をサイクリングし、通常の列車に自転車を積んで戻るイベントを実施。今回はJR側が「もっと大きな企画にし、食や温泉、景色以外の飯田線の楽しみ方を広げたい」と、専用列車運行に踏み切った。(以下略)(2月17日 信濃毎日新聞)



ワンコインで黒部の魅力再発見 富山地鉄、市内1日500円で乗降自由に

自転車との併用を推進富山地鉄の黒部市内区間が五百円で一日乗降自由となる「黒部ワンコイン・フリーきっぷ『楽駅停車の旅』」(富山新聞社など後援)が三月二十日から五月十日までの土日祝日にあたる二十一日間、実施される。期間中はまち歩きやサイクリングの行事が相次いで企画され、地鉄の利用者増と沿線の活性化につなげる。

楽駅停車の旅は黒部まちづくり協議会(松野均会長)と富山地鉄が共同で企画し、今回が五回目となる。大人五百円の専用切符を購入すれば、電鉄石田−宇奈月温泉間で一日中、乗り降りが自由となる。切符購入者には黒部ブランド商品や地場産品の割引サービスなども予定している。電車内に自転車を持ち込むことも可能で、同協議会では沿線の観光マップ作りやサイクリングコースの設定、沿線地区でのまち歩き、桜めぐり事業を計画し、徒歩や自転車との併用を推進する。(以下略)(2月19日 北國新聞)


新幹線ですら乗客数が大幅に減っていると報道されています。企業は出張を控え、個人も旅行を控えています。ただでさえ経営的に安定しているとは言えないローカル線の場合、なおさら厳しい状況も予想されます。こうした試みは、新たな利用客を掘り起こす可能性があります。

もちろん、サイクルトレインは一つの試みに過ぎませんが、今まであまり行われてきませんでした。人々が出費を抑える中で、ガソリン代のいらない自転車は注目を集めています。輪行やサイクルトレインはまだ一般的とは言えませんが、こうした企画が、自転車の新しい使い方、可能性を人々に気づかせるかも知れません。


銀の国・新百景:自転車で巡る銀山地区 日だまりのエコ観光 /島根

石見銀山(前略)石見銀山遺跡の町並み通り(大田市大森町)から、坑道跡や遺構の見所が数多くある銀山地区までは、市が観光車両の進入を規制する「歩くゾーン」。2キロ離れた銀山地区へ足を伸ばす観光客の便宜を図ろうと、市は貸し自転車の充実に力を入れる。

4月からは92台になり、電動アシスト付き自転車は28台に増える。車椅子利用者には、電動車椅子3台が用意される。若者たちが運行する自転車タクシーも既に町の風景に溶け込み、増車を計画中。ほかのどこにもない究極のエコ観光目指して、一つの方向性が定まりつつある。


石見銀山に限らず、観光地でレンタサイクルを充実させたり、自転車での周遊コースの整備、自転車マップの作製など、観光地で自転車の活用を図るところは増えています。自転車だと徒歩より広範囲に、短時間で周遊できることから、選択肢が増え、観光地の魅力をアップさせます。

さしてコストをかけなくても、観光客の誘致につながる場合もあります。観光タクシーなどより安く、自然に優しく、しかも健康にいいとアピールできます。節約志向の観光客向けの対策ということでなくても、新たな観光資源となりえます。観光地では利用しない手はないでしょう。


三洋電機,徳島県庁に電動ハイブリッド自転車を充電する「ソーラー駐輪場」を設置

ソーラー駐輪場三洋電機は,太陽電池や充電池活用のための実証実験として,2009年3月をメドに徳島県庁に「ソーラー駐輪場」を設置すると発表した(発表資料)。ソーラー駐輪場は,徳島県庁内の既存の駐輪場の一部に,三洋電機が開発・製造する「HIT(heterojunction with intrinsic thin layer)」構造の太陽電池パネルやLiイオン蓄電システムなどを設置し,電動ハイブリッド自転車に充電するシステム。太陽電池と蓄電システムを組み合わせることで,夜や雨の日でも商用の電源を使うことなく,電動ハイブリッド自転車を充電できるという。Liイオン蓄電システムはACコンセントを搭載するため,緊急時には非常用電源としても利用できる。

210Wの電力を生成するHIT太陽電池パネルを3枚と,Liイオン蓄電システムを1台設置する。年間発電量は約690kWh。電動ハイブリッド自転車として,三洋電機の「eneloop bike」を3台採用する。この電動ハイブリッド自転車は,県庁の公用車として出張などに利用するという。(以下略)(2009/02/10 日経BPnet)


アメリカのオバマ政権は、経済対策としてグリーンエネルギーへの投資を打ち出しています。金融危機で原油価格は下落しましたが、環境対策から言っても次世代のエネルギーの開発は日本でも大きな課題なのは間違いありません。太陽光発電も当然その中の一つとして注目を集めています。

電気自動車の開発も急ピッチと聞きますが、高性能の充電池が必要で、その価格がまだ高いことや、航続距離が短いこと、充電にどうしても時間がかかることなどが克服すべき課題のようです。それに日本の電力の6割近くは、依然として石油や石炭、天然ガスといった化石燃料による火力発電が占めています。

その点、太陽光発電ならクリーンです。もちろん全ての移動のエネルギーをまかなうには、まだ高いハードルがありますが、その入口として、電動アシスト自転車は手軽に導入できるので、うってつけと言えるでしょう。個人的には電動でなくてもいいと思いますが、人々が自転車の潜在能力をあらためて知る機会になるかも知れません。


「自転車+バス」通勤促す 国交省、松山で実験

国土交通省松山河川国道事務所は13日、松山市内で、自家用車からバスへの交通手段の転換を目指した社会実験を始めた。マイカー通勤などに代え、自転車とバスの利用を促し、渋滞緩和や二酸化炭素(CO2)の排出削減に効果があるか検証する。公共交通機関であるバス利用の環境整備に役立てたい考え。

今回の「サイクル&バスライド社会実験」では、松山市内の国道33号沿いのバス停近くに無料で利用できる自転車駐輪場を2カ所設置する。国交省が設ける既存の駐輪場とあわせ、自転車やバスの利用がどの程度あるか調査し、渋滞緩和やCO2などの温暖化ガスの排出抑制にどの程度つながるかを検証する。 (以下略)(2月14日 日経新聞)



バス利便性向上へ 駐輪場設置 関東自動車、将来「県内20か所に」

乗り換え用駐輪場バスの利用拡大の切り札は自転車――。県内でバス停の近くに駐輪場を設置する「サイクル&バスライド」の取り組みが相次いでいる。バス最大手の関東自動車は12日に宇都宮市内の車庫などのバス停3か所に駐輪場を新設し、将来は20か所まで増やす。宇都宮市も3月末に開設する予定で、官民共同で自転車とバスの乗り継ぎを便利にすることで、乗用車のドライバーにバスへの乗り換えを促す狙いがある。(中略)

関東自動車などによると、既設の駐輪場は高校生を中心に利用が定着し、平日はほぼ満杯で、バス停付近の放置自転車がなくなる効果もあるという。宇都宮市内にバス通勤する男性は、「家からバス停が遠く、駐輪場のおかげで自転車が使えるようになり便利になった」と喜ぶ。

県交通政策課は3月末までに、バス停近くの駐輪場新設に関する運用指針をまとめる予定だ。バスの便数や路線が減ると、高齢者や学生など車を運転できない人の生活に影響が出るため、サービス向上で利用拡大を促す考えだ。2006年度のバス利用者は約5万5000人で、ピークだった1969年度の約40万人と比べて15%に激減し、バス路線も縮小している。

ただ、駐輪場が設置された場所や計画地はすべて、バス会社や自治体の所有地で、「土地を取得して設置すると採算が合わず、難しい」(関東自動車)という。「サイクル&バスライド」の普及はドライバーの意識改革とともに、設置場所の確保も課題になりそうだ。(2009年2月13日 読売新聞)


クルマ、特に自家用車が他の交通手段に比べて環境への負荷が大きいことは間違いありません。その抑制をはかる意味で、公共交通の利用促進は当然の帰結です。ただ、公共交通へのアクセスが問題となる地域も少なくないでしょう。公共交通と補完することで、自転車の機動力だけではカバーできない距離にもアプローチできます。

自転車の活用をうたう自治体は増えていますが、その為のインフラとしても駐輪場はもっと整備されるべきでしょう。特定の駅前に放置自転車を集中させない意味でも、各所に整備するのは有効かもしれません。一方で、こうした取り組みが、存続の危機にある路線バスの経営にも寄与する可能性があるでしょう。


歩行者と自転車を分離 宇都宮の歩道で実験へ

歩道での自転車と歩行者の接触・衝突事故を防ぐため、国土交通省関東地方整備局宇都宮国道事務所は、宇都宮市元今泉の国道4号の歩道を、歩行者専用帯と自転車専用帯に分離する県内初の社会実験を、23日から3月13日まで実施する。

実験は歩道200メートルの区間で行い、幅約6メートルの歩道のうち車道寄りの2・5メートルを自転車専用帯に、外寄りを歩行者専用帯にする。両専用帯の間に高さ65センチと110センチの柵を設けた場合と、設けない場合で、通行のしやすさなどを比較する。

同区間は通勤通学の利用者が多いが、歩行者と自転車が混在し、事故の危険性が指摘されている。実験は毎日午前7時〜午後5時で、複数のビデオカメラで通行の様子を記録し、人や自転車の動きを検証するとともに、現場で実際に利用した人たちから聞き取り調査なども行う。

同事務所では新年度、実際に管内の歩道で自転車と歩行者の分離を本格実施する計画で、今回の社会実験の結果を事業に反映させるとしている。(2009年2月17日 読売新聞)


車道の一部を自転車専用道に 高松で22日まで社会実験

車道に自転車専用レーン香川県高松市は2日、大学や高校、役所などの公共施設が集中した市中心部の市道で、車道の一部を自転車専用道にする社会実験を始めた。実験は22日まで終日行い、車の渋滞状況などを調査した上で、導入の可否を検討する。

実施区間は、高松高校北東交差点(同市番町)―香川大北東交差点(同市幸町)の約540メートル。上下とも二車線の車道のうち歩道側の一車線を自転車道とする。沿線は自転車利用者が多く、歩行者との接触事故の恐れもあるため、通行分離の可能性を探ることにした。

朝夕の渋滞状況の調査のほか、ドライバーや自転車利用者、歩行者へのアンケートを踏まえ、四国地方整備局や県、県警などと実験の成果を検証する。この日は、市職員ら約15人が「自転車道をご通行ください」と書かれたプレートを手に、自転車を専用道に誘導した。(以下略)(山陽新聞 2009年2月3日)


この手の記事は今に始まったことではなく、相変わらず全国各地で報道されています。高松のように、車道をつぶして自転車レーンを設置するという評価に値するものもありますが、ほとんどが、宇都宮の事例のように歩道を色分けするだけでお茶を濁すものです。

そして、相変わらずどこも「実験」と銘打っています。もちろん、今までの道路の構造を見直すわけですから、まずは実験ということになるのでしょう。しかし、いつまでたっても実験ばかりです。しかも、実験の場はわずか数百メートルという場合も少なくありません。

わずかな距離、一か所だけ分離実験をおこなって、果たしてどんな結果が得られるのか疑問も残ります。市民に周知徹底されるわけでもないので、必ずしも顕著な効果は認められないでしょう。結局はお蔵入りとなって、その後の整備につながらない場合も多いに違いありません。

歩道に色を塗っただけでは、歩行者にも守られることなく、注目すらされずに無駄になる事例は、これまでもたくさんありました。少し調べればわかるはずなのに、同じ実験を繰り返すのも能がありません。自治体ごとに独自にやらなければ気が済まないのでしょうが、いかにも無駄です。

地方分権ということもあるのでしょうが、いい加減同じような過ちを繰り返すのは止め、国土交通省あたりが検証結果や、あるべき整備の姿を提示し、規格を統一してはどうなのでしょう。諸外国の例を見ても、例外はあるとしても自転車レーンは車道に設置するのが当たり前です。

歩道を色分けして、そのまま歩道走行させた場合の危険性も明らかになっています。歩道に色を塗って、自転車マークをつけて分離しようとしたところが、駐輪スペースと勘違いされて、放置自転車を誘発している例も少なくないでしょう。今さら実験しなくても、大方予測はつくはずです。

わずかな距離を使って、ポーズだけにしか見えない実験をするより、いかに整備を進めていくかが重要です。事故を防ぐために分離すべきなのは明らかですし、そもそも歩道上に自転車と歩行者が混在しているのが間違いなのです。色で区切ったところで効果は低いのも今さら指摘するまでもありません。

車道を狭くするか、歩道を削るかして、自転車の走行空間を車道面に確保し、自転車を歩道からおろして歩行者と分離すべきです。これまでも各地で盛んに行われてきた実験を、いたずらに繰り返すことなく、いかに車道面に自転車レーンを確保するか、その方策を模索すべきではないでしょうか。

自治体も予算が限られる中で、なかなか車道や歩道を改良して自転車レーンを整備するのは難しいと思います。しかし、不況や環境への配慮などから、クルマの利用が減る方向にある今こそ取り組むチャンスとも言えます。都市部の渋滞を緩和するためにも、中心部への流入を抑制して、そのぶん自転車通行帯に充てる手もあります。

もちろん、自転車レーンの整備がそのまま経済対策として有効とは言えませんが、省エネルギー型の移動手段による都市交通網を構築することは、将来への投資でもあります。不況を逆手にとって、今こそ出来ること、やるべきこともあるのではないでしょうか。



小泉元首相の欠席発言で、定額給付金にまたスポットが当たっています。しかし、あらためて2兆円もあれば、いろいろ出来るのにと思わざるを得ませんね。人々に貯金させるより、よっぽど景気浮揚になる使い方はいくらでもあると思うのですが..。

関連記事

忙しくても巻き込まれぬよう
色分けしても自転車が歩道を走るとクルマとの事故の危険がある。

今こそ雇用慣行を見直すべき
不況の時に取り組むべきことは、交通以外にもいろいろあるだろう。

こんな少しでは評価できない
国交省の音頭で、各地で自転車レーンの整備は進みつつあるが。


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