May 05, 2009

自転車について考えるべき時

今日は子供の日ですが、実は自転車の日でもあります。


あまり知られていませんが、「自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律」という長い名前の法律、通称、自転車基本法が1981年の5月に施行されたのを記念して、5月は自転車月間に制定されています。その期間中の祝日である5月5日を、自転車月間推進協議会が自転車の日に定めたものだそうです。

今日が自転車の日と知る人は少ないと思われますが、この季節は自転車に乗るにも絶好の陽気です。多くの人が各地で自転車に乗ったことでしょう。自転車ブームもあって、趣味やスポーツとして自転車も拡大の一途です。ただ、同時に事故や問題となることも増えています。

レール自転車試乗会前々回は、マスメディアに自転車が取り上げられることが増えていると書きました。前回は、環境の為に自転車を活用する動きを報じた例について書きました。良い点ばかり書くのは片手落ちなので、今日は自転車に対して厳しい意見を取り上げてみたいと思います。

最近、新聞などのコラムや社説に、自転車の利用の仕方への批判や苦言が呈される場合があります。人々の関心の低い事柄について、社説に取り上げることは少ないでしょうから、ある意味、自転車ブームの裏返しと言うことも出来るかも知れません。しかし、厳しい意見が述べられるだけの理由があるのも事実です。


自転車の逆走 /長野

春の交通安全週間は終わったけれども、乗用車を運転している時にうんざりする光景を見た。前に子供を座らせた主婦らしき女性が同じ車線で向かって走ってきた。自転車は道路交通法上は軽車両。車と同じ左側通行が義務付けられており、明らかに違法だ。軽くクラクションを鳴らすと、けげんな顔をされた。

道交法の改正で幼児を乗せた3人乗りが可能になる。現状のままでは事故は増加するのではないか。飯田市などは環境対策で自転車のまちづくりを進めている。マナーの徹底や安全に乗れるための総合的な交通政策もぜひ検討してほしい。(毎日新聞 2009年5月1日)


この逆走、つまり車道の右側通行については、私も非常に危険な行為だと思います。逆走する人は以前からいましたが、最近増えている気もします。単純に自転車を利用する人が増えているからかも知れませんが、左側通行を守らない人が多いため、自分も守る必要がないと考える人が増えているのだとしたら悪循環です。

私個人としては車道を右側通行すると、強烈に違和感を感じます。ですから、逆走する人の感覚が不思議で仕方ありません。私は海外でも自転車に乗ることがありますが、右側通行の国の場合、注意していないと左側を走ってしまいそうになります。左側通行が感覚として身に染みているからなのでしょう。

逆走の原因は、歩道走行だと思います。自転車は歩道を走行するものと思っている人も相当数いるはずです。歩道を走る時には、左右どちらであっても、あまり意識しないで通ると思います。その延長線で、歩道が混んでいたり、狭かったり、そして車道の端に余裕があると見るや、そのまま車道に降りて通行してしまうのでしょう。

自転車利用者への啓発活動自転車は徒歩の延長に過ぎず、軽車両として車道を走行すべき存在とは意識していないと思われます。自動車免許の取得率から考えて、ほとんどの人は道路交通法を知っているはずですし、逆走するのは本人の罪であることは間違いありません。しかし、歩道走行を認めてきた道路行政が、この現状を招いた面も否定できません。

正しく走行しているサイクリストにとっては、車道の左端の狭い部分で交差する羽目になります。非常に迷惑で危険です。逆走する人が非難されるのは当然としても、自転車を歩道に上げた警察行政の誤りによって、結果として自転車を中途半端な立場に置き、野放図になるのを許した道路行政も見直すべきなのではないでしょうか。

車道と歩道の区別がないような道路でも、道路の右側を通行していると非常に危険です。例えば、道がカーブしている場所で、塀などによって見通しが悪かったとしたら、自転車同士で出会いがしらに衝突する危険があります。実際に、私も危うく衝突しそうになった経験があります。

こちらは、正しく走行しているのに、相手は右側通行の上、よそ見をしていたりします。危ういところで回避したことも少なくないですが、実に腹立たしい行為です。右側通行が平気な人、習慣になっている人は、交通ルール云々の前に、思わぬ事故に遭う危険性が大きいことに留意すべきです。


社説:視点 自転車3人乗り 街づくり見直す契機に

「歩道をわが物顔で走る」「ルール無視、マナー欠落」といった自転車への悪口を聞くことが増えてきた。こうした中、6歳未満の幼児2人を乗せる自転車の3人乗りが7月、警察庁の方針転換で合法化される。2人乗りがだめなのに、「さらに危険になる」と危惧(きぐ)する声も強い。

確かに日本の都市は3人乗り自転車がゆったりと走れる状況ではない。交通事故の危険はつきまとうし、自ら転倒したり歩行者を傷つける恐れもある。だが、それは3人乗りだけに問題があるのではなく、道路の形状や車線の設定、ドライバーや自転車の乗り手の意識とマナーといった構造にも課題が多い。そもそも普及率が80%を超え、排ガスも出さず場所もとらないのに、自転車を交通体系の中で、まともに扱ってこなかったことが大問題なのだ。

この際、3人乗りの合法化をきっかけに、自転車を交通体系に明確に位置づけ、幼児を2人抱えた母親であっても移動しやすく安全な、つまり多くの人にとって住みやすい街づくりを進めてはどうだろう。

まず、3人乗りを普及させるため、自治体は支援策に踏み出してほしい。強度を高め、転倒しにくくした新製品は1台6万〜8万円と高価なうえ、使用年数は限定されている。前橋市(上限4万円)のような購入補助制度や、自治体主導の貸出制度などが必要だ。その見返りとして、制度を利用する親子に交通法規やマナーを学び、ヘルメット着用など安全対策を心がける講習などを定期的に催す。子供の目を意識して大人はエリを正すし、幼児は自転車利用者としての基本を身につけることができるだろう。

自動車のドライバーに3人乗りをはじめ自転車への安全配慮を徹底させ、自転車の乗り手には歩行者優先の意識やマナーの向上を図ることも忘れてはならない。その先には、仕方なく自転車に歩道を走らせてきた政策を転換し、自転車は車道を安全にスムーズに走り、歩道は歩行者が安心して歩ける空間にする未来像を描きたい。中心街を徒歩と自転車主体にした「歩くまち」を掲げる京都市のような取り組みが広がってほしい。

3歳と1歳の子供を持つ母親からメールが届いた。今は怖くて自転車に乗れないが、「3人乗っても安定する自転車の発売を心待ちにしている」という。世の中には2種類の考えがある。「危ないからやめておけ」と「危ないから何とかしよう」。前者は正論だが、現状がおかしいと思うならば、みんなで何とかすることを選びたい。(毎日新聞 2009年4月27日 東京朝刊)


自転車、苦情急増「歩道をわが物顔で走る」「ルール無視、マナー欠落」、このあたりは、自転車に乗る人、一人ひとりが反省し、自戒しなければならない点でしょう。悪気はなくても、ついスピードを出して歩道を走行している人もいるに違いありません。自転車に乗っていると気づきませんが、歩行者の視点からだと脅威と映っているかも知れません。

もちろん、十分自覚している人も多いと思います。私も偉そうなことを書いている手前、余計に気をつけているつもりです。歩道を通ることは少ないですが、もし通る場合は歩行者の邪魔にならないよう配慮しています。もちろんスピードを出して、「どけ、どけ。」と言わんばかりの走行など論外です。

ルールゃマナーを守って乗っている人にとって、「自転車」と、ひと括りにされると辛いものがありますが、悪質な人がいるのも確かです。一部の悪質な者が、自転車利用者全体のイメージを悪くしている面もあります。しかし、一部の悪質な行為だけであれば、これほど俎上に載ることもないと思います。

やはり、歩道上も自由に走れるぶん、交通ルールもルーズになっている部分は否めないでしょう。無灯火、二人乗り、並走、一時不停止、中には酒気を帯びて乗っている人もいます。傘をさしながら、ケータイを操作しながら乗っている人も少なくありません。クルマのような反則金制度がないので、違法行為に歯止もかからないのでしょう。

「そもそも普及率が80%を超え、排ガスも出さず場所もとらないのに、自転車を交通体系の中で、まともに扱ってこなかったことが大問題なのだ。」という部分は同感です。交通法規違反に弁解の余地はありません。しかし、曖昧に扱われてきたぶん、無法行為が野放図に拡大してしまってという側面も確かにあると思います。

自転車ブームその意味で、いかにルールやマナーを守らせ、秩序を構築するにはどうしたらいいか、改めて考えるべき時期に来ている気がします。クルマのように免許制にすれば莫大なコストがかかりますし、現実的ではありません。しかし、このまま放置しておけば、利用者自身を含めた社会の損失につながります。

交通ルールを徹底し、守らせるための方法、教育や周知する方法も見直さなければなりません。そのためには、自転車走行空間の整備を含め、道路利用の見直しや都市交通のあり方を考え直す必要もあるでしょう。温暖化対策や事故防止などの観点も合わせ、一度トータルに再検討、再構築すべきなのかも知れません。


自転車駐輪場ニーズ拡大 放置自転車が社会問題化、自治体の民間委託進展

健康志向に節約や環境のキーワードも加わり、自転車が注目されている――というのは今まで折に触れて紹介されてきたテーマ。その一方、社会問題も浮上している。深刻化する放置自転車だ。また、駐車場事業者などを中心に、駐輪場不足の都市部で自転車の通勤・通学需要を取り込む動きが加速しており、自治体駐輪場の民間委託の進展も商機を拡大させる。ニーズが拡大している自転車駐輪場をピックアップしてみた。

東京都が2007年に実施した調査によると、駅前放置自転車の総数は8万5000台で、年間91万7000台の放置自転車などが撤去されているとのこと。東京都の人口が1290万人強(3月1日現在の推計)ということを考えると、無視できない水準にまで膨れているのが現状だ。(中略)

今後も注目される駐輪場業界だが、市場規模についてまとまった統計がまだない。ただ、NCDが放置自転車や自治体駐輪場の動向などから推測したところによると、年間に約1200億円が駐輪場関連に使われているという。まだまだ拡大余地は大きい。(日本証券新聞 4月27日)


これは、ビジネスの視点から見た記事ですが、放置自転車対策は、自転車基本法制定の元になった問題でもあり、長年の課題です。自転車の低価格化もあって、使い捨て感覚で自転車を放置、放棄する人もいます。撤去と放置のいたちごっこでもあり、その費用は税金として自らが払わなければならない悪循環です。

自転車月間日本は鉄道網が発達していることもあって、構造的に駅前に自転車が集まります。一方、駅前は地価も高く、駐輪場設置のコストは低くありません。利用者のモラルが問われる事態ですが、一方で、自転車利用の拡大を想定してこなかった都市計画の不備も指摘されています。

無料で放置する人がいる一方で、料金を支払って遠い有料駐輪場に停めろというのも無理があります。解決は容易ではないものの、自転車を利用する上で駐輪は不可欠です。温暖化対策を進めるため、自転車利用の拡大を目指すならば、クルマを制限し、その分を駐輪場に回すなど、都市の土地利用の見直しが必要でしょう。

毎年5月を自転車月間と定めた目的は、「自転車の安全運転、対歩行者事故の防止等を目的とし、自転車利用者の交通ルール遵守及び交通マナーの向上を図ること」です。自転車月間自体、あまり知られていませんが、5月と言わず、自転車の利用する上での問題や都市との関係について、考えるべき時に来ていると言えそうです。



道路はどこも大渋滞だったようです。GWを狙ったかのような新型インフルエンザも心配です。後半は天気が崩れたところも多く、風が強かったりして、自転車に乗る予定が狂ってしまった人も多いかもしれません。なかなかうまくいかないものですね。

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秩序と安全を取り戻すために
マナーも大切だが、危険であることをもっと知るせるべきだと思う。

たまには借りて使うのもいい
マスメディアに自転車の情報が取り上げられる機会は増えている。

自転車活用のためのポイント
環境の為に、もっと自転車を活用しようという動きも報じられている。


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この記事へのコメント
逆走その他の違法行為に関しては違反してる本人を責めるだけでは解決しないと思います。

元の原因は安全に走る方法を教わるタイミングがないことです
対処方法は小学校の安全運転講習で逆走・無灯火などが車からどういう風に見えるかを実際に撮影して子供に見せることです。(口で理屈を説明してもわかるものではありません)


駐輪場所がないのは大変ですが車を停める場所を作るよりはお金はかからないと思います

Posted by 職人気取り at May 06, 2009 21:12
職人気取りさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに教育は大切でしょうね。小学校などでは交通安全について力を入れているところも多いので、全く教わる機会がないことはないと思いますが、実際にどれだけ真面目に学んでいるかというと疑問があるのは確かでしょう。その効果が問題ですね。
子供に危険を具体的に見せて説明したとしても、どれだけの子供が、それを本当に理解し、切実に感じるかという面はあると思います。
教わっても、実際に乗って慣れてくれば、どうしてもルーズになってくるのは、今の子供に限ったことではないでしょうし、まわりの大人も守っていないとしたら、ルールを守れというのが無理かも知れません。やはり何か守らせる仕組みが必要なのでしょうね。
Posted by cycleroad at May 07, 2009 23:25
 
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