May 14, 2009

少しずつでも広がっていけば

先日、少し気になる光景を見かけました。


道路の端で自転車に乗った人が2人、止まって言い争いをしていたのです。私はその脇を自転車で通り過ぎたわけですが、近づくまでは、それと気づかず、何か言い争っていたようだとわかった時には、既に2人の横を通り過ぎて遠ざかっていたので、何があったのか詳細は全くわかりません。

自転車マナー向上へ独自標示ただ、通過時に聞こえた口調では、何か言い合いをしていたようでした。もしかしたら、つかみ合いのケンカに発展しかねない状態だったのかも知れませんが、わざわざ戻るには、もう距離が離れすぎてしまっていたので、そのまま通り過ぎました。落語のように、そこで仲裁に入って..という話ではありません(笑)。

それで、何をモメていたんだろうと少し気になったわけです。最近、自転車と歩行者の事故が急増していると言います。中には事故にならないまでも、トラブルになることもあるでしょう。そうしたトラブルが傷害事件にまで発展した例も、たまに報道されます。

おそらく全国では、ニュースにならないようなトラブルも相当数発生しているのでしょう。もちろん、自転車同士でトラブルになっていも不思議ではありません。自転車に乗る人の中にも、知ってか知らずか交通ルールを無視する人がいますし、マナーの悪い人はたくさんいます。

アトムで自転車マナーアップ結果として、歩行者だけでなく他の自転車乗りを危険にしている人もいます。歩道を暴走する人、車道を逆走する人、並走や無灯火、ケータイを使いながら走る人など、その傍若無人ぶりに腹が立つこともあるでしょう。危うく事故になりそうになって注意したら、逆ギレされることもあるかも知れません。

不愉快なばかりでなく、他のサイクリストの安全にも関わるわけで、同じ自転車に乗る身としても腹立たしい話です。自転車全体を批判するような論調にもつながり、甚だ迷惑でもあります。しかし、そんな自分勝手な人が増えているのも否めない事実でしょう。特に昨今の路上でのモラル低下は目を覆うばかりです。

ただ、そんな中にも、たまに救われる場面があります。例えば、狭い場所で行きあった時に道を譲られたり、待ってくれたりなど、見知らぬ人の好意に触れることもあります。逆にこちらが待ってあげて感謝されることもあります。当然のこととして歩行者を優先させているのに、歩行者に丁寧にお礼を言われたりすることもあります。

どれも些細なことですが、その後もしばらく気分良く過ごせたりします。気分が良くなって、今度は自分が道を譲ろうと、何か気持ちに余裕が出たりすることもあるのではないでしょうか。人の善意を受けて、いやな気分になる人はいません。その善意をお返ししたくなるのも人情でしょう。

自転車のマナー向上訴えまた、相手の不注意で危ない場面があったとしても、すぐに謝られれば許す気にもなります。どちらが悪いわけでもない場合は、こちらこそ、という気持ちになります。言い争いになることもないでしょうし、トラブルも未然に防げるはずです。ちょっとした気持ちの持ちようで、同じ場面でも結果が違ってくると思います。

最近は廃れて、あまり聞かれなくなってしまった言葉ですが、「ご恩送り(恩送り)」という言葉があります。誰かから受けた好意を、その人以外に返すことを言います。親切にしてくれた人へ親切を返す方法がない場合などに、恩返しを別の人へ「送る」わけです。

英語にも、“Pay it forward”という似た言葉があります。「ペイ・フォワード、可能の王国」という映画をご覧になった方もあるでしょう。世界を変える方法を問われた少年が、自分が受けた善意を、その相手ではなく別の3人に渡すことを思いつく話です。その3人がまだ3人に渡せば、いい連鎖がどんどん広がっていくことになります。

ペイ・フォワード [DVD]ペイ・フォワード (角川文庫)ご恩送りは、親切にしてくれた人へ親切を返す方法がない場合に、別の人へ返すわけですが、路上で道を譲られた場合など、まさにこれに当てはまります。親切に道を譲ってくれた見知らぬ人とは、おそらくその場限りで別れてしまうでしょうから、その人にお返しで道を譲ることは、まず不可能です。

そこで、路上で何か親切を受けたとしたら、そのぶん誰か別の人に親切にするわけです。ペイフォワードの物語のように、3倍にして3人に返せば、なおいいでしょう。多くの人が、この考え方を実践し、親切を連鎖させていったら、きっと事故やトラブルも減り、マナーも見違えるほど良くなり、気持ちの良い社会になるはずです。

理想論だということは分かっています。ご恩送りなんて言葉を知っている人も、おそらく多くはないと思います。マナーの悪い人に親切にしたからと言って、そのマナーが改まるものでもないでしょう。少しでも良くなればいいな、とは思いますが、こんなことで公共のマナーが向上すると言うつもりはありません。

急増する自転車の違反運転傍若無人な振る舞いに遭遇することの多い現状では、腹が立ったり、不愉快な気分になりがちです。楽しいサイクリングも不愉快になってしまいますし、悪い連鎖が広がるかも知れません。傍若無人な振る舞いは不愉快ですが、こちらの気持ちまで不愉快にされるのが、もっと不愉快です。精神衛生上も良くありません。

せめて、こちらの気分まで害されない為にも、ご恩送りを心がけてみてはどうでしょうか。人に親切にされるのも嬉しいですが、人に親切にするのも、とても気分がいいことを改めて実感出来るでしょう。親切を送って気分が良ければ、不愉快な気分になることも防げるかも知れません。それがどれだけ広がるかは別の話です。

誰でも親切にされれば悪い気はしません。気分が良くなって自然と別の人に親切を送れる場合が増えるかも知れません。そんな風に伝搬するかもと考えるだけで楽しくなります。誰でも今日から出来ます。公共のマナーの向上云々は別として、自分の精神衛生上よろしいという理由だけでも、やってみる価値はあるのではないでしょうか。



別の日ですが、このあいだ白髪のご婦人がスポーツバイクに乗っているのとすれ違いました。白髪の方は見ますが、ご婦人というのはあまりありません。相応のご年齢だと思いますが、単独で、乗りなれた感じで颯爽としていました。すれ違っただけですが、何となく、さわやかな気分でした。

関連記事

ケータイ使いながら運転撲滅
ケータイを使いながらの走行は、物理的に不可能にしてはどうか。

自転車乗ってハワイへ行こう
自転車のマナーを向上させる方法は、いろいろあるかも知れない。

秩序と安全を取り戻すために
自転車の走行実態に合わせて、安全のルールも変わりつつある。



このエントリーをはてなブックマークに追加




Amazonの自転車関連グッズ
Amazonで自転車関連のグッズを見たり注文することが出来ます。

にほんブログ村自転車ブログへ
 自転車・サイクリングの人気ブログが見られます。













この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/cycleroad/51496503
この記事へのコメント
ちょっと前の日経新聞のインタビュー領空侵犯というコラムで吉村作治さんが、「自転車にも運転免許を」と書かれていました。最近は自転車ブームで、自転車屋さんの店頭から高級自転車が飛ぶように売れているそうですが、どうも見てると危なっかしい自転車乗りが多すぎるように思えます。
モラルを守ることはとても大事ですが、社会問題化すると、自転車に対する取り締まり強化や、免許制度が現実味を帯びてきます。
自動車を運転することも、自転車に乗ることも「車両を運転する」ことですから、自動車を運転するのと同じ心構えで私は自転車に乗っています。
Posted by ワタリガラス at May 15, 2009 12:47
たまに歩いていると自転車が危険運転していて「イラッ」と来ることはありますが、
そういう時は「自分も気づかないうちに歩行者に嫌な思いをさせてるかもしれないからお互い様かもしれない」と自分に言い聞かせて怒りを鎮めてます。
Posted by 職人気取り at May 16, 2009 18:11
はじめてコメントさせていただきます。
新参ものです。
「ご恩送り」という言葉は初めて知りました。
素敵な言葉ですね。
私はトラックドライバーをしておりますが、職場の先輩からある時「さっき道を譲ってもらったのだから、機会があれば次は誰かに道をゆずろうね」とアドバイスをしてもらったことがあります。
以来、それを実践しています。
私が乗っているのは4トントラックなので大型ほどの大きさはありませんが、それでも路線バスくらいの大きさはあります。
なので狭い道路を走る時などはさぞかし迷惑だろうなと気がひけます。でかい上に周りの視界を遮ってしまいますからね。
そして大きくて不自由な分、道を譲ってもらったときの有り難さはひとしおです。
トラックというと運転が荒く危険なイメージがありますが、そうだからこそより安全に、周りへの負担へらしたい、環境負荷をへらしたいという思いで運転しています。

自転車とトラック。
交通社会では対照的な存在ですが、他者への気遣いや思いやりという点では同じなのだと思います。
これは乗り物に限ったことではなく、「人として」といくことなのでしょうね。
イエスの言葉に「自分にしてほしいように、人にもしてあげなさい」という黄金律があったと思います。
私はキリスト教徒ではないのですが、みんながそんな心で生きていけたならどんなに素晴らしいかと思います。
歩行者と自転車の諍いから、国家どうしの争いまでが消え去り、お互いを思いあう世の中が広がればいいなと思います。
それは私たち一人ひとりの足元での実践から始まると信じています。

Posted by 芝本 祐造 at May 17, 2009 23:22
ワタリガラスさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね、このまま問題が顕在化していけば、自転車の免許制とか、もっと課税しろといった意見も増えていくでしょう。
自転車ブームで、自転車に乗る人が急増していますが、おっしゃるように交通ルールの知識やマナーの面が追い付いていないのは否めないと思います。
いろいろな規制が課せられ、せっかくの自転車のいい面を阻害し、自転車乗りが自らの首を絞めるような結果にならないことを望みたいものです。
Posted by cycleroad at May 17, 2009 23:35
職人気取りさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
おっしゃるように、たまに歩行者として自転車を眺めてみると、歩行者からどう見えているかがよくわかりますね。
歩行者からの見え方を知ることは、自転車に乗る上で、安全のためにも無用なトラブルを避けるためにも大いに役立ちそうです。
Posted by cycleroad at May 17, 2009 23:42
芝本 祐造さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
おっしゃるように、クルマの運転でも皆がこうした気持ちを持つようになれば、事故も減り、もっと穏やかな気分で運転できるようになるでしょうね。
芝本さんのように気を使って運転してらっしゃる方には気の毒な面だと思いますが、確かに、トラックに運転が荒いというイメージを持っている人は少なくないでしょう。でも、道路上で、プロのドライバーが率先して譲り合いを広げていけば、もう少し安全で、気分良く運転できる社会が実現していくかも知れませんね。
交通に限らず、人としての他者への気遣いや思いやりという見方はおっしゃる通りだと思います。「ご恩送り」の精神で、それを積極的に広げていく行為が広がれば、ペイフォワードではありませんが、社会が変わっていくこともあるのかも知れませんね。
初めてコメントいただく方も多いです。新参者などとおっしゃらず、よろしければ、またどうぞ遠慮なくコメントしてください。
Posted by cycleroad at May 17, 2009 23:53
はじめまして。

ブログランキングから来ました。

御恩送り

素晴らしい言葉です。

ワンダフル!

違うか

朝から、いい話聞きました。

じゃなくて読みました。

今日は仕事行くのでこれまで

また、寄ります。

応援ぽち!
Posted by あさっち at May 18, 2009 08:19
こんにちは。

私は、歩道を走る機会が多いのですが、自転車同士や歩行者とのすれ違いではいつも気を遣います。

ぶつかって大事な自転車が傷つくのがイヤだというのもありますが、無用なトラブルは避けたいですからね。ですから、私はすれ違いでぶつかりそうな場合は、一旦停まって相手をやり過ごしています。
車速が合わなくて追い抜く場合も、信号待ちで停まってからのスタートで追い抜きます。高校生なんかは抜かれるのがイヤなのか、凄まじいスピードで追い越し返していきますが(笑)
Posted by Mr.ポテトヘッド at May 19, 2009 20:17
あさっちさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
江戸時代くらいまではあった言葉だそうです。当時は「傘かしげ」とか「うかつあやまり」、「こぶし腰浮かせ」といった「江戸しぐさ」と呼ばれるマナーも健在でした。
当時世界最大の人口を擁する都市だった江戸の人々の知恵という部分もあったのでしょうね。
朝のお忙しいところ、わざわざコメント、応援をありがとうございます。
Posted by cycleroad at May 19, 2009 23:42
Mr.ポテトヘッドさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね、ちょっと急いだばかりにトラブルや事故になってもつまらないですし、そうなった時のわずらわしさ、手間や時間を考えれば、むしろ賢いと言える場面も多いでしょう。
確かに、中高生など変に対抗意識(?)をむき出しにする人に会うこともありますね(笑)。子供を相手にしても仕方ないですけど、向こうは抜かれるのがイヤなんでしょう。
いずれにせよ、心もスピードも余裕を持っておくべき、ということでしょうかね。
Posted by cycleroad at May 20, 2009 00:13
 
※全角800字を越える場合は2回以上に分けて下さい。(書込ボタンを押す前に念のためコピーを)