June 25, 2009

満員の通勤電車から解放する

自転車通勤という言葉を見聞きする機会が増えてきました。


最近、マスコミなどでも取り上げられることが多くなり、その認知度は上がっています。実際に、平日の朝夕に街を自転車で駆け抜けるビジネスマンを見ることも増えました。このところの自転車ブームもあって、自転車通勤する人が増えているのは間違いないようです。

自転車通勤、快適に自転車通勤をどう定義するかの問題ですが、自宅の最寄り駅まで自転車を利用する人も含めるならば、かなりの数になると思います。しかし、自宅から勤務先まで「自転車だけで」通勤する人の数は、当たり前のことながら、まだまだ全体からすれば僅かな数に過ぎません。

国が行う国勢調査では、通勤する人の利用交通手段を1回おき、つまり10年ごとに調べています。直近のデータは2000年ですが、それによると東京23区内で、自転車のみで通勤する人の数は49万6千人です。しかし、これは職住が接近した、自宅から徒歩圏内の勤務先へ通うような人の数も含まれています。

ここで言う自転車通勤、すなわち都心へ電車で通勤しているような人が、電車のかわりに自転車を使う自転車通勤は、まだまだごく一部に限られるのが実情でしょう。いくら自転車姿が目立ってきたと言っても、朝の都心の駅で、満員電車から膨大なビジネスマンが降りてくるのと比べれば、圧倒的にボリュームに差があります。

それでも拡大しているのは事実です。普通に電車で通勤している人なら、今まで自転車で会社まで行けるなんて、思いもよらなかった人も多いに違いありません。しかし、自転車ブームでスポーツバイクに乗る人も増え、自転車本来のポテンシャルを知って、片道10〜20キロなら充分自転車通勤可能だと実感した人も多いはずです。

通勤や通学用マスコミなどで取り上げられ、下手をすると自転車通勤が電車通勤より速かったりする事実も広く知られて来つつあります。地図を見て、会社までの距離が思ったより短かいのに気づいたりします。電車を乗りついで1時間かかっていた人が、自転車ならそれより早く着くなんて例もあります。

雨天時や汗の問題などはありますが、自転車で通えるなら、毎日ギュウギュウ詰めの満員電車に乗るよりずっと快適で便利、あるいは爽快で楽しいと感じる人も多いと思います。試しに、自転車通勤を始めてみようと思う人も少なくないでしょう。でもこの時、問題となる可能性があるのが、会社の対応です。

自転車通勤に理解のある上司ばかりとは限りません。「事故にあったらどうするんだ?」「仕事の前に疲れてしまうじゃないか。」「出勤前に趣味の自転車とは何事だ。」「皆と同じように普通に電車で通勤しろ。」などと、いい顔をしない上司も少なくないのではないでしょうか。

エコで健康調べてみますと、労働法によれば通勤手段の選択は基本的に個人の自由です。ただし、長距離や長時間の自転車通勤で疲労が大きいとか、交通量が多く事故の危険が高いなど、業務に支障をきたす恐れがあると判断すれば、会社は規則を設け、従業員の通勤手段を制限することが出来ます。

つまり、就業規則などで自転車通勤禁止が明文化されている場合には、従業員はそれに従う必要があります。違反すれば処分の対象になります。ただ、そこまで規定しているケースは多くないでしょう。規定で禁止されていなければ、原則として会社の許可がなくても自転車通勤することに問題はありません。

法的には、上司の自粛要請にも強制力はないため、理屈からいえば上司の言うことに従わなくてもいいわけです。でも、なかなか実際には上司の反対を押し切るわけにはいかないでしょう。就業規則違反とはならなくても、上司に逆らって、いろいろ不利になるリスクを背負ってまで自転車通勤しようとは思わない人が多いはずです。

通勤時の自転車利用促進では、黙って自転車通勤してしまえば、との考えも浮かびますが、通勤手当の問題などもあります。電車の定期代などの通勤手当は返還する必要が出てきます。使わなくても見なし費用とする場合もあるようですが、仮に、黙って定期代を払い戻すなどしてしまうと、最悪、詐欺罪とか横領罪などに問われてしまう可能性もあります。

定期はそのままにして自転車で通うという方法も考えられますが、出来れば会社に届けたほうがいいでしょう。ちなみに、万一事故が起きた場合、会社に届けてある通勤経路、すなわち電車通勤でないと労災がおりないのではないかとの心配がありますが、それは別の話です。

会社が自転車通勤を知らず、例え就業規則で禁止されていたとしても、自転車通勤が合理的な経路、方法と認められれば、通勤災害として労災保険を受け取ることは出来るそうです。例えば、電車通勤と自転車通勤の所要時間がかわらない場合などです。もちろん寄り道などをしていた場合は労災と認められない場合もあります。

エコ通勤最近でこそ、自転車通勤を奨励する会社や、自治体などでも自転車での通勤手当をマイカー通勤より高くするところなどがマスコミで紹介されたりします。でも、まだまだ少数派なのは間違いありません。ある調査によれば、自転車通勤手当がある事業所は、全体の1割にも満たないと言います。

なかには、自転車通勤なら定期代もガソリン代もかからないのだから手当は不要と考える会社もあるかも知れませんが、雨天時、切符を買って電車を使う必要がある場合もありますし、いろいろ出費もあります。距離ごとにマイカー通勤と同じ金額は非課税、つまり経費として落とせるので、ぜひ自転車通勤手当は設けてほしいものです。

実際問題として、多くの場合、会社に自転車通勤についての定めがなく、事実上、上司の裁量任せだったりします。まだまだ自転車通勤は普通のこととは思われていないため、上司の理解を得るのが難しい人もあるのではないでしょうか。このあたりが、自転車通勤の普及へのネックになっているケースも多いような気がします。

エコ通勤国土交通省は「エコ通勤」を奨励する制度を設けていますが、「エコ通勤優良事業所」と認定されても、ロゴマークが使えて、企業イメージの向上が図れるなど、そのインセンティブは僅かです。特に環境整備への支援があるわけでもなく、あまり効果は期待できません。

前回、地下鉄のストまでも自転車通勤普及へのテコにしようとするロンドンの例を挙げました。そこまで臨機応変で素早く、抜け目のない対応は期待出来ないまでも、自転車通勤は絶好の温暖化対策でもあります。政府や自治体が、せっかくの自転車通勤ブームを放っておくのは、いかにも無策との誹りを免れません。

政府や自治体に、企業へ自転車通勤を増やすよう圧力をかけろ、と言うのではありません。また、企業に向かって、自転車通勤へのシフトに取り組めと声高に主張するつもりもありません。ただ、もし社員がその気になった時、いつでも心おきなく自転車通勤出来るようにしてほしいと思います。

地球に優しい通勤企業は自転車通勤の扱いを明文化したり手当を設けるなど、その環境を整え、行政にはそれを企業に促してもらいたいと思うのです。個人的な好みや偏見で自転車通勤を自粛させたり、不当な扱いをさせるべきでないのは言うまでもありません。仮に禁止するなら、その理由を明らかにし、条件をつけるならば内容を周知すべきでしょう。

今、自転車通勤は世界的にも注目されています。しかし日本では、まだまだ満員電車で通勤するのが当たり前という固定観念にとらわれている人、企業が少なくありません。低炭素社会を目指す上で、自転車通勤を一時のブームで終わらせないためにも、ぜひ自転車通勤に対する意識を変えてもらう必要があります。

インフラ、すなわち自転車走行空間の整備や充実も求められるところですが、会社が就業規則を変えたり、定期代を自転車通勤手当に転換可能にするくらいなら、大した費用もかかりません。自転車通勤の普及を促進しないまでも、せめて抑制するようなことのないような社会にしていくべきではないでしょうか。









総選挙を控えて、政治の世界もあわただしくなってきています。ワイドショーが興味本位で取り上げるような話題ばかりというのもどうかと思いますが、政治に無関心な層にも興味を抱かせるという意味ではいいことかも知れませんね。

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この記事へのコメント
こんにちは。
記事で取り上げられているように、自転車通勤という言葉や特集が徐々に増えてきて嬉しい限りです。少し前、日経系の某番組でも自転車が取り上げられていましたが、自転車通勤は導入部分のみで、後はビジネスの話だったのでガッカリしました(経済番組なので仕方ありませんけど)。

私も自転車通勤歴9年目になりますが、会社前のガードレールにくくりつけてトラックにひき逃げされた経験から、今では強引に社内に停めてあります。自転車通勤自体が禁止なのですが、以前上司がオートバイで来ていたのを知っている為、上司には何も言われず、職場全体でも「あそこまで(完全装備でレーシーな服装)やればしょうがない」という暗黙の了解化しております(笑)それでも保険は無制限でかけておりますし、それなりの準備というか覚悟はしているのですが、早く会社のトップが推奨してくれる日が来ないかと期待している毎日です。
Posted by nori at June 28, 2009 17:40
僕自身も自転車通勤をマイブームで終わらせることのないよう、継続していきたいと思います。自転車通勤をすると、爽快でいいことばかりです。
Posted by じてんしゃ操太郎 at June 29, 2009 00:17
noriさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
少し前までは、かなり認知度が低かった気がしますが、随分脚光を浴びるようになったのは間違いないでしょうね。
あの番組ですね。確かに残念な部分はあったと思いますが、逆に言うと経済番組にまで取り上げられるほど注目を浴びているということでもあると思います。
会社の禁止を押し切って通う「ツワモノ」ですね(笑)。暗黙の了解ということは、それなりの理解があるのは間違いないのでしょう。そのうち、社内でも一定の市民権を得るようになるのではないでしょうか。
一般的に言っても、徐々に世間にも浸透してきた気がします。少なくとも、そういう選択肢があるんだという認識は広がってきているのではないでしょうか。
Posted by cycleroad at June 29, 2009 23:17
じてんしゃ操太郎さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
自転車通勤を始めて、その楽しさや爽快さに魅せられる人は少なくないようです。確かに、一時のマイブームにせず、無理をしないことが継続のコツかも知れませんね。
Posted by cycleroad at June 29, 2009 23:40
 
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