December 19, 2009

世界一の国に見習うべきこと

COP15が大詰めを迎えています。


国連気候変動枠組み条約の第15回締約国会議(COP15)での合意の行方には、世界中が注目しています。デンマークのコペンハーゲンで開かれているこの会議には世界各国の首脳も顔を揃え、日本でも多くのメディアがその様子を伝えています。

ところで、このCOP15を取材するために、世界中から多くのマスコミが現地入りしていることもあってか、最近デンマークという国、あるいはコペンハーゲンという街にも注目が集まっています。マスメディアが、同国を環境先進国として、その取り組みなどを紹介することも増えているようです。

cop15実際、コペンハーゲンはCOP15が開かれるに相応しい場所と言えるでしょう。デンマークでは風力発電の割合が全体の2割にまで伸びており、2020年までに、これを5割にまで引き上げることを目標にしています。風力発電用の機器を、世界で一番生産している国でもあります。

個人レベルでもさまざまな取り組みが進められており、市民の意識にも高いものがあります。例えば、マイボトルを持ち歩いて水道水を飲むよう呼びかけるなどもしています。コペンハーゲンの水道水は美味しいので、わざわざペットボトル入りの水を買う必要はないというわけです。

考えてみれば、以前はお金を出して単なる水を買うなんて普通はありませんでした。それが今では、水資源の乏しい国、水道が未整備の国ならいざ知らず、日本のような水の豊富な国でも同じ量のガソリンより高いお金を出して買っています。いつのまにかフランスあたりの会社の戦略に、まんまと乗せられた気がしないでもありません。

ペットボトルの容器の生産や充填、物流にもエネルギーが必要です。途上国と違って、整備された水道があるのに、わざわざペットボトルの水を買うのは、環境にも大きな負荷をかけることになるわけです。ゴミとして回収して処理するまでも含め、全体としては大きな負荷、不要な負荷をかけていることになるはずです。

ほかにも環境先進国としてのさまざまな取り組みには見るべきものがありますが、デンマークと言ったら、やはり自転車の活用を外すことは出来ません。私も、これまでも何度か取り上げましたが、デンマークの環境政策を語る上で必ず入ってくるのが、自転車でしょう。



コペンハーゲンに住む人の36%が自転車で通勤または通学し、45%は日常的な交通手段として自転車を使っています。特筆すべきは、ほとんど全ての大通りには自転車専用レーンが整備され、その総延長は3千キロにも及ぶことです。人口112万(都市圏としては190万人)の都市に3千キロですから、かなりの充実度です。

国際自転車競技連合からも、世界初の自転車シティとして認定されているほど自転車環境が整備されている都市です。自転車は生活の一部であり、市民はほとんど誰もが自転車を所有しています。クルマに対する税金が高いということもあって、多くの人が自転車を当たり前のように「交通手段」として使っているのです。



確かに、国土は平坦で自転車に乗るには持って来いです。しかし、街中にも小型の風力発電機が設置されているくらいですから風は弱くありません。もちろん雨だって降ります。しかし、デンマークでは、驚くことに1970年代からクルマを減らし、自転車の利用を促す政策をとってきたのです。

雨天の時には、当然のように雨合羽を着て自転車に乗ります。日本人が雨の中、徒歩で出かけるのに傘をさすのと同じです。北欧ですから雪も少なくありません。雪が積っても、除雪された自転車レーンを通って、当たり前のように自転車で通勤します。晴れた時だけ乗るのではなく、あくまで交通手段なのです。



コペンハーゲンでは、70年代からの交通政策により、クルマの利用が何かと不便にされて来たのも背景にあります。市内の大半の大通りでは、自転車レーンが段階的に整備され、半分近くを占めるくらいにまでなっています。道路の補修を行うたびに、自転車レーンや駐輪スペースの確保を優先させてきたのです。

日本では、莫大な金額を支払って幹線道路沿いの土地を買収し、車道を拡幅してきました。クルマ優先が当たり前の考え方です。しかし、渋滞を解消すべく道路を拡幅していますが、開通した途端に交通量が増えて、さらに渋滞が激しくなることも少なくありません。いくら道路を広げても、結局別の場所がネックとなって渋滞します。



ロンドンなど他の欧州の都市でも見直されつつありますが、都市の中心部へはクルマの流入を絞るほうが、いろいろな面でメリットが多いのです。デンマーク人は、都市部においてクルマは渋滞をひき起こし、遅くて効率的でなく、人々がきれいな空気を吸うためにも、道路を広げるべきではないと、とっくにわかっていたわけです。

そこでクルマの税金を上げ、車線を減らし、何かと不便にすることで、人々に自転車を利用するよう促してきました。本当に中心部に用事のあるクルマ以外は迂回しますし、都市部では自転車のほうが場所をとらず、渋滞するクルマより速く効率的という、考えてみれば当たり前の結論です。温暖化ガス排出も削減出来ます。

クルマのほうが一時停止copenhagenize.com”などを見ると同市の自転車環境がわかります。クルマは不便ですが、自転車は優遇されています。例えばグリーンパスと呼ばれる自転車専用道路では、交差する道路のクルマが一時停止します。自転車が止まるのではなく、クルマが自転車の通行を妨げないよう一時停止するのです。自転車道のほうが優先です。

デンマーク全土に自転車専用道は伸びていますし、自転車を電車に乗せることも出来ます。別に自転車用のチケットを購入する必要がありますが、中が駐輪場のようになっている専用車両も備えられています。通勤ラッシュの時間帯以外なら、当然のように駅構内へ自転車を持ち込み、電車に乗り込んでいます。

シティバイクと呼ばれるレンタル自転車も、市内110か所に2千台無料で用意されています。ほとんどのホテルなどにもレンタサイクルは準備されていますので、観光客などでも自転車を利用できます。市内は駐輪場も充実していますので、日本のように放置自転車が歩道をふさぎ、歩行者の通行を妨げるようなことはありません。

Bike Counterそして現在でも、さらなる自転車の利用促進を進めています。自転車レーン脇に立つ、写真のタワー型の機械は自転車カウンターです。通った自転車を一台ずつカウントしているのです。数字がリアルタイムにカウントアップされるので、通過する人は、1日の合計や累計などを見て、多くの人が自転車利用していることを実感できます。

センサーは3ルートルほど手前にあって、通る時にカウントされるのがわかります。通ることで数字が増えるので、ちょっと楽しくなるかも知れません。都市の自転車活用のバロメーターというわけです。単純な仕組みですが、これによって、市民に自転車利用の意識を更に高めてもらおうとしています。

もちろん、交通量や時間帯などのデータは、今後の自転車関連設備の整備にも生かされます。無料で使える自転車用のポンプ、タイヤの空気入れを備えている機械もあります。50万人目など記念の通過者には、市から新しい自転車がプレゼントされたりもすると言います。ちなみに、間近になると写真判定が用意されるのだそうです。

Bicyclists Count in Copenhagen一方、無灯火や飲酒運転などの交通違反を防止するため、警察は抜き打ちの取り締まりを行い、違反者には高額の罰金を科すなどの対策も行っています。デンマーク人の気質や規律を尊重する文化、一貫した交通政策とその積み重ねもあるのでしょう、交通法規は遵守され、路上での秩序もよく保たれています。

こうしたヨーロッパの自転車先進都市を見ていると、道路に自転車レーンがあるのは、実に当たり前に見えてきます。道路は車道と歩道の2つに分けるのではなく、その性質の違いから自転車レーンを含めた3つに分けるのが自然であり、日本には8千5百万台も自転車があるのに、自転車レーンがないのが、むしろ不思議な気すらしてきます。

コペンハーゲンから見れば、歩道上で歩行者をぬって自転車が暴走するなんて、信じられないような野蛮さでしょう。一般的に日本人は親切で礼儀正しいということになっていますが、日本へ来てそんな光景をみれば驚くはずです。少しでも車道を広くとろうとしたり、歩道を広げて自転車を通すのではなく、自転車レーンが必要なのです。

自転車利用への意識を高めるデンマークは、世界一幸福な国と言われています。医療費や学費は完全に無料で、失業給付は4年間も保証されています。国民は年金制度を信頼しているので、基本的に老後の不安もありません。もちろん税金が高いということはありますが、こうした高福祉政策への国民の満足度が高いところから来ているのでしょう。

移動には自転車を使うことで、環境への負荷を減らすばかりでなく、結果として日常的に運動することとなって、人々の健康に貢献しているのも間違いありません。自転車がどれほど健康に貢献しているか、またそれが幸福と感じることにどれだけ影響するかは、人によっても違うとは思いますが、一つの要素かも知れません。

日本でも多くの自転車が利用されているものの、走行環境が貧弱で利用距離は短く、多くは、せいぜい最寄り駅までの利用にとどまり、十分に活用されているとは言えません。温暖化ガスの削減や福祉政策についての議論は別にしても、世界一幸福と言われる国の自転車政策について、学ぶべきことは少なくないような気がします。


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日本海側は大雪のようですね。太平洋側も寒いですし、つい先日まで、暖冬でスキー場が困っていたのがウソのようです。

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この記事へのコメント
自転車がたくさん走ってる姿はまさに圧巻!ですね
日本だと自転車で車道左端を走るより歩道を歩くほうが危険を感じるくらい歩道自転車は無茶だからうらやましいです

民主党さんは削減25%は排出権を買ったり外国の削減に協力することで達成すると言ってますが「日本国内でどうするか?」という話はあまり聞かないのでこういう国を参考にしてみるのもいいかもしれません
Posted by 職人気取り at December 21, 2009 08:48
職人気取りさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
朝のラッシュ時で、しかも場所によっては、跳ね上げ橋などがあって足止めされる関係で、自転車の通行量が偏ることもあるみたいですね。撮影したタイミングによって、かなりの通行量に見える場合もあるようです。
日本では、ママチャリのイメージが強いからか、自転車をクルマの代わりにするとか、都市交通として考えるという発想が、なかなか受け入れられない人も多いですね。こうした実例を見るのは有効だと思います。
Posted by cycleroad at December 23, 2009 00:09
 
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