January 12, 2010

都市が変化していくきっかけ

2010年が始まって10日あまり経ちました。


まだ年初から数えて日が浅いのに、今年は例年にも増して自転車に関連する報道が目立っている気がします。個人的には、かねてから自転車についての報道に注目してきました。今年、あるいは今後の自転車環境を展望しながら、自転車関連のニュースをピックアップしてみようと思います。

(早晩リンク切れになる記事も出ると思われるので、それぞれ引用しておきます。)


自転車用のスパイクタイヤスパイク自転車「加速」

健康、節約、エコ意識

自転車用のスパイクタイヤの利用が札幌市内で広がっている。冬場も自転車に乗りたいという愛好者が増えているためで、背景には健康志向や経済性に加えて最近のエコ意識の高まりもあるという。「環境への関心は高まっており、今後も需要は見込める」と業界の関係者は期待している。

愛好者「冬も乗りたい」

自転車用のスパイクタイヤが道内に出回り始めたのは十数年前から。ちょうどマウンテンバイクのブームと重なり、多くがアウトドアスポーツとして楽しむ愛好者で占められていた。その流れに、ここ数年で変化が出てきた。道自転車軽自動車商業協同組合(札幌市)の岡部敏夫・副理事長(78)は、「マウンテンバイクをレジャーにとどまらず、健康づくりや通勤のために購入する人が増え、一年中使いたいというユーザーが多くなってきた」と話す。

拍車をかけたのが、昨シーズンの原油価格の高騰だった。ガソリン価格の値上げがマイカー通勤の家計を圧迫。少しでも家計の助けになればと、車から自転車に乗り換える人も出てきたという。岡部さんが経営する「岡部自転車商会」(札幌市中央区)では例年、10件前後だったスパイクタイヤの購入客が昨シーズンは約30件に増えた。今シーズンは昨年11月ごろから予約や問い合わせが寄せられ、すでに昨シーズン並みを販売したという。

一方、エコ意識の高まりを指摘するのが「サイクルプロショップ・ウルフロード」(同市北区)の山本邦博さん(56)。国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)の開催国のデンマークで、通勤に自転車を使う光景が何度も紹介された。山本さんは「これが自転車の購買意欲を刺激し、スパイクタイヤの新たな需要につながったのでは」とも話す。

自転車用のスパイクタイヤは、ドイツやフィンランドなどからの輸入品が主流。「メンテナンスをきちんとして保管すれば5年はもつ」と山本さん。価格は1本6千円から1万5千円程度。ピンは鋼鉄製で凍結路面ほど効果がある。自動車と違って軽量なので、アスファルト路面を削ることによる粉じん問題もない。「冬場の一般の自転車利用は、比較的平坦(へいたん)で除雪が行われている地域に限定されるが、スパイクタイヤの普及でさらに広がる可能性は高い」と岡部さんはみている。(2010年01月09日 朝日新聞)


今年は、日本海側や北日本を中心に積雪が多くなっているようですが、積雪があっても自転車を使おうという動きが広がっているようです。記事にもありますが、日本でもデンマークばりに雪の中でも自転車で通勤する人が増えてくるのかも知れません。


自転車交通安全クイズ自転車事故防止へ交通安全クイズ

幼稚園や小中学校に配布

自転車事故の防止に向け、京都府警は、正しい知識やマナーを紹介するチラシ「自転車交通安全クイズ」を作り、幼稚園や小中学校などに配布している。

クイズは、自転車は歩道を通行できるか▽運転中にしてはいけない行為は?▽自転車同乗中に事故に遭った幼児が、最も多くけがをした体の部分は?−など6問を選択式で答える。道交法や条例の説明や対策を載せた。

A4判で、各警察署で増刷りして配っている。府警交通企画課は「自転車は車の仲間だと知って、ルールをしっかり守ってほしい」としている。(1/8 京都新聞)


地味な取組みですが、自転車マナーが低下する中、こうした地道な活動が将来の交通秩序の向上に寄与することを期待したいところです。本文にあるように、自転車は徒歩の延長でなくクルマの仲間で、深刻なケガをしたり、させたりする可能性があることを早くから知り、それを回避する為のルールの大切さを理解してほしいものです。


「アースライド」6月27日に 富良野・美瑛地方を自転車で満喫

富良野・美瑛地方の自然や人と触れ合いながら、自転車で125キロを走る「北海道アースライド2010」が6月27日に開かれる。全国から50人が参加した昨年9月のプレ大会が好評で、今年は500人規模の参加を目指す。

スポーツ大会や選手のマネジメントを行う「マルチスポーツ・インターナショナル」(東京)を中心とした実行委の主催。アースライドはタイムを競わず、交通法規を守って一般道を走るのが特徴で、沖縄県石垣島でも同様の大会が催されている。

道内開催にあたり、起伏に富んだ雄大な自然を味わえる富良野・美瑛地方に白羽の矢が立った。最長85キロで開かれたプレ大会では、参加者の8割が「また参加したい」と答えた。

本番のコースは55キロ、85キロ、125キロの3種類。いずれも富良野市の朝日ケ丘公園をスタートとゴール地点とし、中富良野町の「とみたメロンハウス」、上富良野町の日の出公園、美瑛町の拓真館、市内の鳥沼公園、市内東麓郷の「五郎の石の家」などを経由する。

開催に合わせた2〜4泊のツアーも企画されている。石田博市経済部長は「サイクリストは新しい客層なので、リピーターの獲得につながれば」と期待している。(01/04 北海道新聞)


観光客の誘致に自転車を活用する動きは、今年も広がっていきそうです。特定のサイクリングコースでなくても、こうしたイベントによって現地でのサイクリング経験を促し、観光客の誘致につなげていく手もあると思います。イベント参加をきっかけに、ますます自転車にハマる人も増えるに違いありません。


ECO通ステーション京都でエコ通勤ブーム 街中にも自転車のステーション

長引く不況の中、環境にも体にも優しい「エコ通勤」が見直されつつある。CO2の排出量を減らそうと、全国各地で自転車通勤を支援するイベントが開催される一方、京都では、昨年11月にエコ通勤者用に汗を流すシャワー施設などを備えた「ステーション」がオープン。このブーム、京都だけでなく全国で広がりそうだ。

昨年9月、東京や神戸など全国7都市であった自転車通勤を支援するイベント。自転車店などの有志が朝の通勤時間帯に、駅や役所前などに設けられた給水ポイントで水を配った。

イベントを企画したNPO法人「バイシクルエコロジージャパン」の山田浩幹事(57)は「今、自転車通勤は確実に増えている」と話す。同NPOでは、東京・原宿で午前8時半〜10時半の自転車の通行量の調査を定期的に行っている。平成19年は1日あたり800〜千台だったが、21年には1200〜1300台に増加。山田さんはその背景として、経済的理由を指摘する。「今は若者たちに仕事がないから、自転車で少しでも節約しようという人が多いのでは。しかも、都心部は自転車のほうが逆に早く目的地に着ける場合もある。エコはどちらかというと後付けですね」

一方、京都市内のオフィス街には、自転車やランニングでのエコ通勤の増加を見越し、荷物を置くロッカーやシャワー室などを備えた「ECO通(つう)ステーション」が登場。賃貸物件の遊休資産などを社会的活動へ転用することで再生させるNPO法人「フリーダム」(中京区)が企画し、和食料理屋だった4階建てのテナントビルを手作りで改装した。

京都は街の中心部に商業地が集積しており、市内在住者ならほとんどが、自転車やランニングでの通勤圏内。中心地に拠点があれば、自転車やランニングで汗を流しても、そこでシャワーを浴びてスーツに着替えて出勤することもできる。

フリーダムの今居英和理事長(41)は、高校時代に自転車競技に打ち込んでいたが、就職してからはなかなか自転車に乗る機会がなかった。だが、数年前に受けた健康診断の結果が思わしくなく、再び自転車に乗るように。改めて自転車の気持ち良さを実感し、ステーションの設立を思いついたという。

今居さんは「自転車やランニング通勤のすがすがしさを味わってほしい。そして、結果として気負わずにエコの輪が広がれば」と話している。ステーションは、駐輪場代(シューズロッカー代込み)が1カ月1万500円。(2010.1.4 産経新聞)


自転車通勤、すなわち自宅から会社まで直接自転車で通勤する人は、今年も増えていきそうです。またそれをサポートする自転車通勤ステーションも徐々に整備されていくことでしょう。ただ、話題にはなっていますが、全体からみれば小さな割合なわけで、今後、自転車通勤がどのような伸びを示すのか興味深いところです。


サイクルシェアリング自転車シェア、都心で広がる 高層マンション追い風

首都圏のマンションでサイクルシェアリング(自転車の共同利用)が広がり始めた。東京都心を中心に100棟を上回る。きっかけはタワーマンションの急増。世帯数に比べて敷地が狭く、十分な駐輪スペースが取れない。その解決策として導入された。住民にも好評だ。環境に優しいといわれながら、なかなか定着しない「共同利用」というスタイル。必要は普及の母、なのかもしれない。

東京都港区芝浦4丁目にある48階建ての賃貸マンション「エアタワー」。世帯数871に対し、駐輪場は714台分。不足分を補うのが20台のレンタル自転車だ。 電動と一般があり、登録制で月額1050円。1回6時間以内の制約はあるが基本的に使い放題だ。無人の宅配用ロッカーにカードキーをかざし、中から電動自転車のカギとバッテリーを取り出す仕組み。返却もカギとバッテリーをロッカーに戻すだけ。自動で充電される。コンピューター管理されており、住人は携帯電話のサイトで空き具合を確認できる。管理側も借りた人を把握でき、返却漏れなどを防ぎやすい。

週末に母親(64)と外出するため自転車を借りに来た住人の女性(36)は「買えば10万円以上する電動自転車が、低額で使える。整備も万全で、便利」と話した。このマンションは賃貸のため、管理会社が所有・管理しているが、分譲マンションでは住民による管理組合が所有・管理する文字通りの「シェア」方式で運営されている。

街単位のサイクルシェアリングはパリで2万台が稼働するなど欧州では普及が進んでいるというが、国内では本格的な運用はまだ。昨年は東京・丸の内や大阪府の彩都ニュータウン、名古屋市など都市部で実施例があったが、今のところ期間限定の実証実験が大半。今月16日から東京都千代田区が区内の主要駅など8カ所に40台を置くが、これも2月中旬までの週末限定だ。

一方で都心のマンションでは導入が進むのは、都心特有の弱点があるからだ。マンション開発業者によると、地価の高いエリアの物件では駐輪スペースが1世帯あたり1〜2台に抑えられている。このため、共用部分の外廊下に自転車を何台も置く世帯もあり、住民の間でいさかいや不満の種になることが多い。

ロッカーの中に、鍵とバッテリーその解決策として注目されたサイクルシェアだが、ネックは「貸し出し管理が煩雑なこと」(開発業者)。常駐の管理人がいなければ貸し出しができず、いても他の業務が多忙で対応が難しいこともある。道を開いたのが宅配用ロッカーの応用だった。

マンション側の悩みを耳にした宅配用ロッカー大手のフルタイムシステム(千代田区)が2003年に三井不動産(中央区)などと協力して自動管理システムを開発、販売した。07年には充電も自動化するなど改良を重ねた。システムの設置個所は年々増え、今年度末までにマンション93棟で約700台が稼働する。その9割以上は首都圏にあり、「湾岸地域の豊洲、芝浦では、分譲タワーマンションのほとんどに導入されています」(同社広報)。1台あたりの初期費用は約25万円だという。

同じ仕組みを使ってカーシェアリングに手を広げたマンションもある。不動産調査会社の東京カンテイは「売り主にとって、都心のマンションで駐輪場を増やすのは土地代を考えると非効率。不足分はレンタルの自転車で確保するという考え方がある」と説明。「住民側が環境意識への高まりからモノを共有することに抵抗がなくなってきていることも、普及の追い風になっている」と話している。(1/6 朝日新聞)


こちらのように、マンション単位など、狭い範囲での自転車のシェアリングを目指す動きが時々話題になります。マンション内の駐輪スペースの不足解消を図るものです。自転車の利用が拡大するにつれて駐輪場の需要も増え、既存のマンションなどでの駐輪場の不足も顕在化していくのかも知れません。


自転車道の社会実験岐阜市中心部に自転車道 社会実験スタート

岐阜市の中心部で8日、自転車道を設ける社会実験がスタートした。自転車と歩行者、自動車の通行帯を分けて安全に通行できるようにする試み。市中心部の目抜き通りなど計約2キロには、仮設の自転車道などが設置された。期間は25日までの毎日午前7時〜午後7時。自転車走行環境整備のための社会実験は県内初という。

金華橋通り(金町5丁目〜8丁目)は片側4車線のうち、1車線が仮設自転車道となっている。長住町線(金町8丁目〜神田町9丁目)では車道北側に自転車レーンを設けている。御鮨(おすし)街道など(長住町2丁目〜金園町2丁目)には、車道左端を水色に塗った幅1メートルの「ブルーレーン」を設置。長良橋通りなど(神田町5丁目〜同9丁目、同9丁目〜長住町2丁目)では、誘導サインを表示して歩道内での分離走行を呼び掛けている。

市は社会実験により、車線削減による自動車の渋滞状況や自転車の通行量の変化などを検証。2010(平成22)年度前半には、自転車走行環境整備計画をまとめる考え。

この日は、朝からコーンなどで仮設の自転車道が整備され、「自転車社会実験」と書かれたのぼりや看板などが掲げられた。自転車に乗った通勤者や通学者らは誘導員の指示で自転車レーンを走行。初の試みに、戸惑う通行人の姿も見られた。 (2010年01月08日 岐阜新聞)



専用レーン岐阜市中心部に自転車専用レーン 社会実験始まる

金華橋通りなど岐阜市中心市街地の車道に自転車専用レーンを設置し、歩行者や自転車利用者の安全性を調べる社会実験が8日、始まった。実験は25日まで。春ごろまでに調査結果をまとめ、交通量の変化や交通安全への効果が確かめられれば、市や学識経験者らでつくる「市総合交通協議会」でレーンの本格設置に向け具体策を練る。

商店アーケードが発達した長良橋通りに集中しがちな自転車利用者を、近くの金華橋通りなどに迂回(うかい)・分散させ、歩行者の安全や自転車利用者のスムーズな走行を確保するのが狙い。レーンを設定するのは金華橋通り、長住町線、御鮨街道の3カ所。実験は毎日午前7時から午後7時まで行う。

片側4車線の金華橋通りでは、歩道寄りの車道1車線をコーン標識で分けて自転車専用レーンに。全長530メートルにわたり両側に設定した。金華橋通りと長良橋通りを結ぶ一方通行の長住町線では、車道北側の一部(幅2メートル)をコーン標識などで分け、220メートルのレーンを確保。片側1車線の御鮨街道でも、車道の一部(幅1メートル)を青色に舗装し、550メートルのレーンを両側に設けた。

長良橋通りでは実験期間中、市から委託された指導員が、自転車利用者らに交通安全のマナー向上を呼び掛けながら、レーン設定に伴う交通量の変化をチェックするほか、利用者らに安全意識を聞き取り調査する。この日は指導員約40人が街頭に立ち、実験開始をPR。金華橋通りを散歩していた同市長住町、無職男性(70)は「自転車と分けてもらえるので安心して歩ける。もっと広い範囲でレーンを設定してほしい」。

自転車で買い物帰りの主婦(60)は「歩行者と接触する心配がなくていいが、車道を走るのは怖い。自転車レーンかどうか分かりにくいので、もっと啓発してほしい」と話した。(2010年1月9日 中日新聞)



自転車レーン効果検証自転車レーン効果検証 12日から国交省など

健康志向や環境への配慮から自転車のニーズが高まる中、歩行者との接触事故を防ぎ、安全で快適な通行空間の確保を目指す「自転車専用レーン」の社会実験が12日から松山市本町3丁目付近の国道196号で行われる。国土交通省松山河川国道事務所や県警、地元住民代表らでつくる「国道196号自転車走行空間社会実験協議会」が実施。同市の札ノ辻交差点―本町3丁目交差点の南北約250メートル区間の東側路肩に自転車専用レーンを仮設整備し、効果を検証する。期間は2月21日まで。

実験区間は、幅約2・5メートルあった路肩の一部を緑色にカラー舗装し幅1・75メートルの自転車専用レーンを設置。南進の一方通行で、自転車は終点の一部を除き原則レーン走行となる。北進の自転車は今まで通り自転車歩行者道を徐行運転する。(1/8 愛媛新聞)


岐阜や松山などでは新年早々、自転車道を設置する社会実験がスタートしたようです。最近、全国にこうした動きが広がり、一種の流行のようになっています。自転車の走行空間を整備すべきではないかという考え方も普通になってきました。数年前までを思えば、ずいぶん様変わりしたものです。

しかし、この2件はどちらも、今月や来月までの期間限定です。まだ寒い時期なので、自転車の利用も低調に推移しそうです。いつも乗っている人でも、冬場はさすがに寒いと自転車の利用を控える人もあるでしょうから、果たして社会実験の結果が正しく得られるのか疑問も残ります。

わずか1ヶ月や2ヶ月の社会実験です。自転車レーンも仮設のものであり、既存の構造物や障害物などはそのままに、利用動向を探ろうとするものです。しかし下の青森の例では、バス停車帯を閉鎖しただけで利用者が2倍です。当たり前ですが、通行しやすさが少し変わるだけで、結果は大きく変わってくるはずです。


青森・新町通りバス停車帯閉鎖へ

青森市新町通りで自転車道を分断する配置になっているバス停車帯を閉鎖する実験で、自転車道が真っすぐ通れるようになった期間の自転車乗りが、実験前の2倍に増えたことが分かった。この結果を受け、国や県は新町通りに6カ所あるバス停車帯を2010年度中に自転車道として整備することになり、歩行者と自転車の接触事故に頭を悩ませていた商店街関係者を喜ばせている。 (東奥日報 2010年1月12日)


その意味では、こうした短期間の社会実験に、果たしてどれだけ意味があるのか、ますます疑問です。ましてや実験区間は短く限られています。1区間や2区間、自転車レーンが設けられたからと言っても、前後や周辺の環境によっては大きく結果が変わってくることも十分考えられます。

市民のコンセンサスを得るためにも、社会実験による効果の検証が必要なのでしょう。しかし、各自治体ごとに小さな実験をして、あまり意味があるとは思えません。どうしても必要なら、どこかの都市に実験を集約し、街全体に自転車レーンを整備して、その効果を探ったほうがいいのは明らかです。

各自治体は予算の制約から、大規模な実験は不可能だと思います。かと言って、全国でバラバラに細かい実験をしても、本当の意味では実験にならず、無駄になるばかりです。国土交通省や警察庁、あるいは環境省などのイニシアチブが求められているのではないでしょうか。


山形中心部歩道走る自転車4割減

専用道設置で車道渋滞指摘も

山形市中心部のほっとなる通り(国道112号)に11月5日に設置された自転車道について、国土交通省山形河川国道事務所などは、実験開始前後の交通実態調査結果を発表した。歩道を走る自転車が平日、休日共に約4割減るなどの改善が見られた一方、自動車道が狭くなったために渋滞を招いているとの声もあり、同事務所などは今後、走行速度調査なども行い、実態の全容把握に努める。

調査は、同事務所が県警、地元商店街と連携し、実験前後の平日と休日、計4日間行った。調査の結果、いずれも平日では、自転車の歩道走行率が70%から29%に減り、改善した。また、歩道を通る自転車のうち、手押しで通行する割合は3%から17%に増え、自転車利用者の歩行者への配慮がうかがえる。自動車交通量は平日で最大9%減少し、休日は最大7%増加した。

市民の声は様々で、近くの塾に自転車で通う同市七日町の男子中学生(14)は「車と衝突する危険がなくなり、怖さがなくなった」と話し、同市荒楯町の無職女性(70)も「実験前と比べると、歩いていて自転車と衝突する危険が減った」と話す。

一方、客待ちをしていたタクシー運転手男性(65)は「通りを通過するのにかかる時間が2倍になり、周囲の道路も連鎖的に渋滞が起きている」と指摘。また、勤務先が近いという女性銀行員(49)は「進行方向右側でタクシーの乗降車ができなくなった。車いすに乗った人がタクシーに乗るために苦労している姿を見た」と話した。同事務所は「今後も多角的に調査を行い、社会実験の中で浮上した課題について解決策を検討していきたい」と話している。(2010年1月7日 読売新聞)


山形では先々月に行われた実験の結果が報告されています。当然と言えば当然ですが、自転車の歩道走行率が大幅に減っています。歩行者や自転車は、その通行を分離する効果について実感していますが、クルマのドライバーにとっては、渋滞が増加するなどのデメリットが指摘されています。

こうした社会実験の報道を見ていますと、まだまだクルマ中心の考え方が背景にあることが透けて見えます。自転車レーンの整備は、自転車と歩行者が混在することによる事故を減らすのが主目的であり、その結果、クルマの渋滞がが増えてしまうのは困ったものだというわけです。


ドイツ 交通キャンペーンの実施に5自治体が選ばれる

ドイツ連邦環境省は、12月30日、交通キャンペーン「思考を変えて:エンジンを止めて」の勝者を発表した。選ばれたのは、ベルリン市、ブランシュヴァイク市、フライブルク市、ヘルズオゲナウラッハ市、キール市の5自治体であり、これらの自治体では、2010年、国家気候イニシアティブから合わせて100万ユーロの助成を受け、交通分野での温暖化対策の実施を市民に呼び掛けるためのキャンペーン活動が、巨大ポスター、広告、映画館やラジオの広告などを通じて行われる。すでにこのキャンペーンは、2009年、バンベルク、ドルトムント、ハレ、カールスルーエで実施され、成功を納めている。

ドイツの交通部門は、年間1億6000万tのCO2を排出しており、これは、全排出量の約20%に達している。自動車による移動の半分が6km以下の移動であり、このような短距離移動に対し、徒歩や自転車での移動への転換が重要な対策となっている。徒歩と自転車移動が倍増することにより、ドイツ国内のCO2排出量は、中期的に年間500万tから600万t減少する。(ドイツ連邦環境省 EICネット)


こちらのドイツの報道と比べると、そのベースにある考え方の違いが見える気がします。つまり、温暖化ガス削減の観点から、まず短距離のクルマの利用を減らすべきだというコンセンサスがあり、そのために自転車を活用しようという方向性がはっきりしています。

それに比べ日本の場合は、事故やマナー低下への対策として自転車レーンの設置があり、副次的に温暖化ガスも減らせるなら一石二鳥というスタンスです。でも、クルマが渋滞したり不便になるのは困るというのが本音でしょう。そのために、社会実験で自転車のレーン設置の影響を見極めたいわけです。

どちらも同じように見えますが、ドイツの場合は、クルマによる移動を減らすために、自転車の活用を図るのが大前提です。すらわち、クルマが不便になるのは困るどころか、クルマを不便にすることで、その利用者を減らそうとしているわけです。この違いは小さくないでしょう。

欧米の国々では、自転車の走行環境を充実させるため、クルマが流入を制限されるなど、都市部の近距離移動において不便になるのは当たり前です。渋滞がひどくなって困るという議論にはなりません。歩道に自転車レーン設置というのは、元々ナンセンスですし、クルマのレーンを減らして自転車レーンを整備するのも普通です。

排気ガスを排出するクルマを減らして、きれいな空気を取り戻し、交通事故を減らし、人間がクルマに怯えながら歩くという本末転倒な状態を是正するのも当然です。日本のようにクルマ中心ではなく、人間を中心に考えるなら、社会実験などするまでもありません。

どのような自転車レーンを設置するのが利用しやすいか、より人間にやさしいか、自転車と歩行者の事故が起きにくいか、といった点を解明するために社会実験をするならわかります。自転車レーンが必要かどうかの実験など、既に自明のことだと思います。いつまで続けたら気が済むのでしょうか。


自転車で千代田の休日 貸し出しや専用レーン

休日の都心を自転車で楽しもう−。環境にやさしい交通をめざす社会実験が16日から千代田区で行われる。車道に自転車レーン、駅周辺に貸自転車置き場を設ける。実施は2月14日までの土日曜。自転車を借りる人(モニター)の登録を受け付けている。

実験を主催するのは大丸有(大手町・丸の内・有楽町)地区・周辺地区環境交通推進協議会。神田警察通りで、美土代町交差点−神田駅北口交差点間の約五百八十メートルにわたり、北側車道一車線をコーンで区切り、自転車レーンにする。もともと神田駅方向への一方通行路なので、自転車も一方通行となる。

東京、神田、秋葉原、九段下など区内の駅周辺八カ所に自転車の貸し出し・返却場所を設置。一カ所に電動自転車を含め五台を配置する。無料で、どの自転車置き場に返してもいい。協議会では「自転車は二酸化炭素を削減し、周遊性を高めて地域活性化を図れる利点がある」とする。千代田区は環境モデル都市に選定されており、協議会は昨秋にも同区で電気自動車を使う社会実験をした。今回は、自転車レーン設置による車両交通への影響や、貸自転車の使い勝手などを、モニターやレーン付近の通行人に調査する。(後略・1/7 東京新聞)


こちらは、都心でのレンタル自転車の社会実験です。自転車を都心部の活性化に活用しようという視点も加わっています。パリで成功して世界的にも注目を集めたヴェリブのような、都市部でのレンタル自転車、コミュニティサイクルの導入の是非を探る動きが日本でも出始めています。


「名チャリ」有料で本格実施へ 今秋に低コスト実験

名古屋市は、市中心部で自転車を貸し出すコミュニティーサイクル「名チャリ」を2012年にも、有料で本格的に実施する方針を固めた。10月に開かれる生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に合わせて事業化に向けた実験を行い、安くて手軽に使える「名古屋モデル」を確立する。

昨年10〜12月に実施した社会実験では利用料を無料にして市が費用を負担したが、自転車を貸し出す係員の人件費などで1回の貸し出しに1000円掛かった計算になった。「本格実施となれば受益者に負担を求めるのが基本」と市幹部は話し、利用者へのアンケートでも「1回100円程度なら使う」との声が多かった。

今秋の実験では、低コストでの運営方法を探る。無人で貸し出しや返却を受け付ける機器を設置するほか、会員情報を管理する電算システムに既存のシステムの転用を検討。運営の民間委託を視野に入れ、実験には企業にも加わってもらう。

先行するパリは、イメージ戦略を兼ねて1台約20万円の自転車を走らせるが、名チャリは放置自転車を活用してきた。安く手軽に使える実用性が利用者ニーズにかなうとみて本格導入後も放置自転車が使えないか検討する。社会実験では名駅−栄地区だけだったが、要望の多い大須や金山などへとエリア拡大の可能性も探る。(2010年1月4日 中日新聞)


名古屋では、コミュニティサイクルの社会実験を経て、本格実施を目指しています。この名古屋での実験では、クルマの代わりに自転車を利用した人が、わずか1%程度だったことが明らかになっています。ほとんどは、地下鉄などの料金を節約したり、歩くより速いからと貸し自転車を利用したことが報告されていました。

市民にも、温暖化防止という観点は、あまりないようです。そのこと自体を責めるつもりはありませんが、市民も、今までの固定観念を取り払う必要があるかも知れません。つまり、クルマ中心の考え方を改めることです。それにより、人間に優しい都市の本来のあり方が見えてくるでしょう。


ビワイチ自転車通し人と自然共存

「ビワイチ」で環境再発見

琵琶湖岸を走る「自転車にやさしいまちづくりグループ」のメンバー。「ビワイチ」に参加したことのあるメンバーも多い(大津市で)  「ビワイチ」――。一周約200キロの琵琶湖を自転車に乗って回ることを意味する言葉だ。近年は、自転車で巡ることに対する「エコイメージ」もあって注目を集めている。

「車から自転車中心の社会を作り、人間と環境が共存する地域にしたい」。1978年春、県交通対策課職員だった伊吹惠鐘(けいしょう)さん(61)=現・県バイコロジーをすすめる会代表=に、当時の武村正義知事が発した一言が、「ビワイチ」が生まれるきっかけとなった。

職員らと先進地の欧州視察などを続け、民間団体が大きな役割を果たしていることを学んだ結果、「行政主導では県民に根付かない」と、83年に同会を設立。「自転車の利用を勧めるだけでは誰も共感しない。琵琶湖を巡って地域による水質の違いなどをじっくりと観察し、環境の大切さを身近に考える機会にしてほしい」と琵琶湖一周を計画した。

翌年、初めて「琵琶湖一周サイクリング」を開催。30人が参加し、3日間かけて完走した。参加者からは「北と南の湖水の色が全然違う」「琵琶湖や鳥のさえずり、草木のにおいなど、素晴らしい自然を満喫することができた」など喜びの声が上がった。「いける」。伊吹さんは手応えを感じた。

「何十年も続けてきた努力がようやく実を結んだような気がする」。伊吹さんは顔をほころばせる。「ビワイチ」を愛する県民は、徐々にではあるが、確実に広まっている。

「琵琶湖一周に参加して人生が変わった」。大津市日吉台、山田栄さん(97)は、73歳で初めて同大会に参加した際、奥琵琶湖の神秘的なたたずまいや心地良い風に触れ、サイクリングに魅力を感じた。以来、毎年欠かさず大会に出場している。「車と違って排ガスも出ない。自然の大切さを教えてくれた」とほほえむ。

参加経験が豊富な草津市新浜町、中島秀茂さん(69)は「今ではどこに行くにも自転車ですよ」とにっこり。大津市の市民グループ「自転車にやさしいまちづくりグループ」代表の梅宮信行さん(67)も「琵琶湖沿いを走りながら湖水の様子を見てもらうことで、環境の大切さに気付ける」と「一石二鳥」の効果をアピールする。

県道路課によると、2001年頃から「ビワイチ」を楽しむイベントが増加。自転車の安全点検や服装、各地域の観光名所などが記された「びわ湖周遊サイクリングマップ」を掲載したホームページへのアクセス数は、09年4〜11月で3万件近くにのぼり、08年度1年間の2万件を大幅に上回った。マップ自体も品切れで、09年11月に増刷したほどだ。

市内のNPO団体らでつくり、同年10月に発足した「輪の国びわ湖推進協議会」は、「サイクリングブーム」の盛り上げに一役買おうと、琵琶湖一周の達成者に認定証を発行する活動を始めた。後押しする取り組みも着々と広がりつつある。今、県民が一帯となって「自転車中心の環境に優しい街」をつくりあげようとしている。(2010年1月6日 読売新聞)


琵琶湖サイクリングが、そのまま都市での自転車レーンの設置につながり、記者が言うように、琵琶湖の周回コースだけで自転車中心の環境に優しい街になるとは思いません。しかし、市民がこうしたサイクリング経験をすることで、自転車本来のポテンシャルに気づき、自転車に対する考え方を変えるきっかけにはなっていくでしょう。

自治体が、無条件で自転車レーンの設置推進を決められず、社会実験を繰り返すのも、市民レベルでのコンセンサスが得られていないことが背景にあると思われます。つまり、日本では都市をクルマ優先ではなく、人間中心に代えていこうという考え方が、まだスタンダードとまでは言えません。

しかし、このまま自転車ブームともあいまって、市民の自転車への再認識が拡大していけば、その考え方も変わってくるに違いありません。少なくとも都市部では、渋滞するだけの自家用車の利用にメリットは少ないはずです。クルマの流入を制限し、その代わりとして公共交通と自転車を使って行こうというのが世界の趨勢です。

もちろんクルマが全く不要とは言いませんが、そうなれば、排気ガスを吸わされ、信号待ちをさせられ、道路の端を歩かされるなど、クルマ優先に出来ている都市が本末転倒であることにも気づくことになるでしょう。そのことが広く認識されるようになれば、自転車走行環境の整備が本格的に始まるのも、そう遠くない気がします。


    
    


魁皇関、新記録の808勝ですか。怪我を抱えながら、ここまで勝ち星を積み重ねてきた陰には大変な努力や精進があったのでしょうね。

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そろそろ有無ではなく内容を
自転車レーンの社会実験だけ繰り返すのではなく、次へ進みたい。

活用するも悪用するも人次第
名チャリでは、クルマからの乗り換えが僅か1%と報告されている。


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この記事へのコメント
郊外の新しく整備する公園道路は自転車の対応がすすんで
いて、休日のレジャーとしての自転車環境は
けっこう快適なところが多くなってきた感が
あります。
しかし、できれば都市の日常の生活シーンでの
環境がもっと整備できていければ
もっとエコにもつながると思います。


Posted by じん at January 13, 2010 21:12
こんばんは。
クルマ中心の道路環境。本当に辟易しています。
私が住む浜松は完全なクルマ社会。
公共交通機関が発達していない田舎ではどこもそうだろうと思いますが、通学路にも関わらず、その通りには幼稚園や中学校があるにも関わらず歩道すらない道もたくさんあります。
なぜ思い切った対策ができないのか。
原因は書かれている通り「クルマが不便になる」という考えが、頭のどこかに根を張っているからなんでしょうね。
Posted by maechan at January 13, 2010 23:42
最近うちの近所のトンネルで「狭くて危ないので自転車は迂回してください」という看板が設置されました
迂回路とは反対側に住んでる人はひどく遠回りになります
そんな町もあるので期間限定とはいえレーンが設置されるところがうらやましいです


学校の先生に「自転車で学校行く時は車道を走ってる」と言ったら帰るときにその先生に会うたび「気をつけてね」と言われるようになったんですが、危ない運転をしてるように思われたんでしょうか・・・
ちゃんと左側通行とか守ってるんですけどね
Posted by 職人気取り at January 14, 2010 18:35

ブームをきっかけに自転車への理解と環境整備が徐々に増しているようですね。
ドイツの諺に『薬を買う前に自転車に乗れ』というのがあるそうですが
付帯効果として国の医療負担が少しでも軽減できるなら一石二鳥なのではと

あざとい自動車メーカーはその内に特別仕様専用バイシクルなんて小技で
大々的に売り出す日が来るのかもしれませんね(実際一部車種にはあるそうですが
Posted by ホリゾン樽 at January 15, 2010 01:31
じんさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
さすがに新しくつくる道路では、少しずつ、自転車走行環境も向上しているということのようですね。
ただ、おっしゃるように、一部の新しい道路だけだったり、コマ切れの整備では、本当の意味での自転車レーンの機能を発揮しません。ネットワークとして使えて、はじめて自転車レーンの機能が発揮できると思います。
Posted by cycleroad at January 15, 2010 22:09
maechanさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
私も、人間の安全を第一に出来ない道路行政には、大いに疑問を感じます。
思い切った対策がとれないのには、高度成長期に、多少の犠牲にに目をつぶってでも、経済成長を優先してきたスタイルが、頭から抜けないためもあると思います。
結果、交通戦争と呼ばれる状況や公害病など、大きな負の面が広がったわけですが、それでも、クルマ優先は変わりません。
一方で、道路の構造などを規定する法律があって、抜本的な対策をとって安全を確保しようとすると、道路の拡幅が必要となり、沿線住民が立ち退く必要が出てしまうこともあります。全国一律の規制を強制する従来型行政の典型でもあります。
このあたりから、根本的に発想を変えていかないと、なかなか日本の道路は変わっていかないのだろうと思いますね。
Posted by cycleroad at January 15, 2010 22:22
職人気取りさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
自転車は迂回ですか。自転車は降りて通れとか、自転車は通行禁止とか、規制の理由はわからないでもないですが、自転車の都合を全く無視している規制は、全国津々浦々多いのではないかと思います。
クルマは迂回しても、さほど苦はない場合でも、クルマを迂回させるという発想はないのでしょう。
車道を走る、イコール危ないというのは、短絡的な発想だと思いますね。
歩道を通ったほうが、クルマから見えずに交差点で事故になりやすい場合もありますし、歩行者との事故のリスクだって高まります。先生に教えてあげて下さい(笑)。
Posted by cycleroad at January 15, 2010 22:29
ホリゾン樽さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ドイツの「トラックいっぱいの薬より、自転車」という諺は聞いたことがあります。
国民の自転車での総移動距離が増えることによって、その健康が増進し、医療費が抑制されるのは紛れもない事実だと報告されています。
実際、小さいようで、その効果は馬鹿に出来ないと考えている欧米の国は少なくありません。渋滞解消や、事故の抑制より、その点から力を入れている国もありますね。
Posted by cycleroad at January 15, 2010 22:37
 
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