March 04, 2010

自分の人生だと胸を張れるか

先週くらいから、だいぶ気温も上がってきました。


陽気がよくなってくると、そろそろ自転車に乗ってツーリングに出かけたくなってくる人も多いのではないでしょうか。通勤電車に揺られていても、天気がいいと、ふらりと旅に出たくなることもあるかも知れません。日常から離れ、旅行に行くのは楽しいものです。春に向けて旅行を計画している人もあるでしょう。

ただ旅行と言っても、普通は週末を利用して1泊とか2泊というのが多いと思います。ゴールデンウィークやお盆、正月などに多少長い休みをとれたとしても、せいぜい10日前後でしょうか。日本人の労働時間は長く、欧米のようにバケーションで何週間も旅行に出かける人は少ないと思います。

たまには長い休みをとって、のんびり自転車旅行でもしてみたいなぁと考えたことのある人は多いと思います。仮に休みがいくらでもとれるとしたら、どこへ、どのくらいの期間出かけるでしょうか。四国八十八カ所巡りに1ヶ月とか、日本一周に半年、なんて答えが出てくるかも知れません。

Photo by Anthony Atkielski,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.世の中には常識をはるかに超える人がいます。ドイツ人のハインツ・シュトゥッケ(Heinz Stucke)さんは、なんと1962年に22歳で自転車旅行に出発して以来、いまだに自転車で旅行し続けているという人です。現在まで48年間旅行中、しかも最初の39年の間は一度も帰国しなかったというケタ外れの旅行者です。

2006年の時点で走行距離53万9千キロ、地球13周以上です。訪問した国や地域の数193、史上最長距離自転車旅行者としてギネスブックにも登録されているワールドトラベラーです。おん年70歳、旅行している年数の方が長いという、まさに筋金入りのツーリスト、超人のようなサイクリストでもあります。

最初に旅立った時の自転車に、44年間以上乗っていたというのもすごい話です。現在は、バイクフライデーを使っていると言います。ギネスには“Most Travelled Man in History”とあるそうですが、世界一だけでなく、歴史上、最も旅をした男、人類史上で一番ということですから、すごい称号です。

そのハインツ・シュトゥッケさんが、先ごろ4回目の来日をされたそうです。産経のサイトに記事が載っていました。


39年間ウチに帰らず旅し続け…超人旅行者ひょっこり来日

39年間も家に帰らず、自転車で旅行を続けたギネス記録を持つドイツ人、ハインツ・シュトゥッケさん(70)が先ごろ、日本の離島巡りのため来日した。全世界の独立国(約200カ国)を回り終え、今度は離島訪問の世界記録樹立を目指すといい、「まだまだ、2012年までは走る」と力強く語った。

“世界最長”の旅行者・ハインツさんは旧東ドイツ出身。「20歳くらいからドイツのあちこちをサイクリングし、その魅力に取りつかれた」のが旅行のきっかけ。「お金がなかったので必然的に自転車となった」といい、1962年から本格的に旅を始めた。以来39年間、実家には戻らなかった。

ハインツさん道中、アフリカのザンビアで兵士に足の指を銃撃されたのをはじめ、数々の紛争や動乱に遭遇。過去6回、自転車を盗まれ、自動車事故にも4回巻き込まれるなど、苦難の連続だったという。途中、ドイツの両親が亡くなったが、ペダルから足を離すことはなかった。

95年に「世界最長旅行者」としてギネス認定。さらに記録を伸ばしていたが、2001年に母国のテレビ局から声がかかり、出演のため39年ぶりに帰国した。

現在もパリを拠点に旅を続け、日本には今月6日に到着して9日間滞在した。「日本は4回目。小笠原諸島の父島、母島の自然のすばらしさに魅了された」。今後は南太平洋などの島々に渡り、島巡りの世界最多記録を狙っているようだ。

それにしても40年以上もの間、どうやって旅費を都合したのか。

ハインツさんは「以前、日本に来た時、冊子がとても多く売れたので、その後3年間は何もせずに南米の旅を続けられた。世界中で日本が一番売れる。神戸・三宮の商店街で1日で12万円も売った記録がある」と明かす。これまでの旅行記をまとめた冊子(500円)を路上で売るのが最大の収入源で、自転車はメーカーから提供を受け、撮りためた約8万枚の写真の使用料も入ってくるという。

「ハインツさんはインターネットやメールをしないし、携帯電話も持っていない。本人から連絡がない限り、会うことはできない人です」というのは、約12年半かけてトヨタ・カリーナで地球一周の旅を達成した兵庫県尼崎市の山崎達矢さん(47)。ハインツさんとはパリの安宿で出会ったといい、今回、10年ぶりの再会を果たした。

山崎さんは「長い旅は楽しそうだが、実際には毎日のように困難が待ち構えている。1人でいかに解決するかが仕事のようなもので、健康を維持すること以上に気力が必要。彼の強靱な精神力には敬服します」と話す。

ハインツさんは「いつも姉に『おまえの人生はバケーションだな』といわれるが、『そう、これこそが私の人生だ』と胸を張って答える。旅を始めて50年の2012年までは走り、以降は欧州に定住を考えている。撮りためた写真や資料を整理して、写真をインターネットで紹介し、使用料で生計をたてたい」と将来を語っている。(2010.01.26 産経新聞)


世界中で日本が一番売れると語ってらっしゃいますが、そりゃ買うでしょう。いや、カンパしたいくらいです。無条件に応援したくなります。サイクリストとしても敬服しますし、70歳にして48年間も自転車に乗り続けられているというだけで、お守りにしてもいいくらいです。

image Bike China Adventures, bikechina.com.
image Bike China Adventures, bikechina.com.

1日に80キロから120キロ程度走行し、年間2万キロ程度、毎年走行していると言います。それも、舗装された走りやすい道路ばかりではありません。昨年のうち半年はブラジルからコロンビアまでの約8千キロ、アマゾンを旅行していたと言います。その健脚ぶりは驚異的です。

しかし、すごい人がいるものです。旅行と言っても、これだけ長くなると、いろいろな面でつらいこともあるはずです。普通の旅行ですらそうだと思いますが、ハインツさんは自転車ですし、しかも自炊したりテントに泊まったりしながらの旅です。いろいろな不便もあるでしょう。



外国へ行っても、1か所に滞在し続けるなら環境にも慣れますが、毎日のように新しい環境になるわけで、常に旅の空にあるというのは、ストレスも相当なものがあると思います。まして1人旅です。疲れも溜まるでしょうし、それを何十年間も連続して続けるなんて、誰にでも出来ることではありません。

まさに旅こそ人生ですが、普通、旅行は帰ってくるから旅行なのであって、39年も旅をしっばなしと言うのは、もはや旅行の範疇を越えています。途中、帰りたくならないのでしょうか。世界中、どこにいても自分の庭くらいの図太い神経の持ち主なのか、ちょっと常人の想像を超える部分があります。



普通の人が、毎日同じ場所を行き来し、毎日同じことを繰り返して生きているのに比べ、なんと言う人生でしょうか。人生はバケーションだなんて、胸を張って言える人が、世界にどれだけいるでしょう。人生の目的とか、楽しみとか、何か、ものの考え方や人生観といったものが揺さぶられる気がします。

毎日遅くまで働いて、わずかな休みに忙しく旅行をする日本人と、毎日楽しく旅行して、そのための費用が調達できればいいという生き方。どちらが正しいという話ではありませんが、毎日、いったい何のために働いているのだろうという疑問が、頭をもたげてくる人もあるのではないでしょうか。

image Bike China Adventures, bikechina.com.image Bike Friday, www.bikefriday.com

毎日勤勉に働くことを否定するわけではありません。ただ、周りの人も皆働いているからというだけで、ただ漫然と、あまり考えもなく過ごしていると、時々ふと働く目的を見失って、心身に失調をきたしたりする人があるようです。世の中には多様な価値観があることを知るのも、悪くはないはずです。

旅は、古から多くの人を惹きつけてきました。それだけの魅力があるのは間違いないでしょう。もちろん、旅の長さが価値を決めるわけではありません。ただハインツさんの生き方を知ると、もっと旅に出て、もっと多くの景色を見て、もっと多くの人に会って、もっと人生を楽しむべきと言われているような気がしてきます。


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春は出かけるのにいい季節ですが、花粉症が..、という人も増えていますね。花粉症でない人も、いつ発症してもおかしくないそうですから用心したいものです。

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この記事へのコメント
ベロシティーの簡単な計画案作りました。
ご感想をお聞かせ下さい。

ツイッターでVelo-city Global2010 が盛り上がっています。日本でベロシティ盛り上げたいものです。

ttp://velo-city.betoku.jp/
Posted by TMO at March 04, 2010 10:56
しみじみといい話ですねぇ。
何より管理者さんの捉えかたに共感いたしました。
Posted by ほのぼの at March 05, 2010 11:42
おはようございます。

まさに仙人のような方ですね。人生は夢のように過ぎ去るとも言いますが、この方はずっと夢の中で生きておられるようです。100万人に一人くらいはこういう方もいらっしゃらないと、世界は面白くありませんね。私を含めた一般の自転車乗りは、週に1〜2回の非日常の時間で満足していますね。
Posted by kincyan at March 06, 2010 12:09
TMOさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
まずはベロシティのコンセプトを広く知ってもらい、多くの人に理解され、コンセンサスが得られるようにする必要があると思います。現状で、特に自転車に興味のない一般の人にとっては、ただ突飛で空想上の産物としか見てもらえない部分があると思います。
ヨーロッパなどの国と違って、日本では大多数の人が、自転車が都市交通の手段たり得ること、それだけのポテンシャルが自転車にあることすら、理解していない部分があると思います。まず、そのあたりが必要になってくるのではないでしょうか。
Posted by cycleroad at March 06, 2010 22:40
ほのぼのさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
誰もが出来る生き方ではありませんが、自由で素敵なスタイルですよね。
共感いただけたようで光栄です。
Posted by cycleroad at March 06, 2010 22:46
kincyanさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに現代の仙人なのかも知れませんね。普通の人には想像するしかありませんが、おっしゃるように、まさに夢のような生き方なのかも知れません。
こうした方の存在、あるいはその生き方を知った人に、何らかの影響を与える可能性があるという意味でも、ユニークで面白い存在と言えるのでしょう。
Posted by cycleroad at March 06, 2010 23:05
このように世界中を自転車で旅が出来るのも
平和だからこそ(依然危険ですが)

安心して世界中を旅が出来る環境を作っていくのが
自分達、次の世代への使命ですね


自転車は世界を平和に変えていけるような気がします
Posted by LOADBIKE初心者 at April 30, 2013 23:40
LOADBIKE初心者さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
おっしゃる通りだと思います。誰でも、休みさえとれれば、世界中を気軽に、自由に自転車旅行出来るようになれば最高ですね。
世界平和がもたらされるかは、わかりませんが、少なくとも自転車によってクルマ優先で事故や渋滞が多く、環境負荷やストレスの多い状況は変わっていくでしょう。
Posted by cycleroad at May 01, 2013 22:23
 
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