March 25, 2010

街の安全を守るのは誰なのか

今日もすれ違う人たちがいます。


ケータイを使いながら、あるいはイヤホンで音楽を聴きながら自転車に乗る人たちです。どちらも一昨年から法律で明確に禁止されている行為にもかかわらず、相変わらず後を絶ちません。警察が取り締まりに力を入れているはず、と思えばこのザマです。読売新聞の記事から引用します。


自転車違反警告水増し、埼玉県警巡査2人処分

埼玉県警大宮西署の20歳代の男性巡査2人が、自転車の交通違反者に渡すカードの交付実績を水増しするため、盗難照会で入手した無関係な個人の情報を悪用していたことが、県警への取材で分かった。部署で決められた“ノルマ”を達成するためだったという。県警は3日付で2人を本部長注意処分とした。

県警監察官室などによると、水増ししていたのは、信号無視や無灯火、2人乗りなどの道交法違反行為を発見した場合に、「安全教育の一環」(県警幹部)として違反者に交付する「自転車警告カード」の件数。

2人は昨年12月29日朝から30日朝にかけ、駐輪中の自転車の登録番号を使って行う盗難照会で聞いていた所有者の氏名と住所を、警告カードの控えの違反者欄に記入。30日朝の業務報告で、それぞれ二十数件ずつ水増しして報告した。件数が急に増えたことを不審に思った上司の地域課長が問いただし、発覚した。

2人は課内で「月内50件以上」のカード交付を目標として言い渡されていた。29日の勤務開始時に「目標を達成するように」と念押しされ、2人で「このままだと目標数に届かない」「照会で得た情報をカードに書き込むこともできる」などと話し合ったという。

2人は2008年採用。調べに「多くの実績を報告し、上司に褒められたかった」「打ち合わせはしていないが、相手も照会情報で水増しするだろうと思っていた」などと話しているという。県警は、名前が悪用された人に行政上の不利益がないことや、公文書性はあるものの、報告はメモ程度にとどまるなどとして、文書偽造容疑での立件は見送った。悪用された人への謝罪や報告はしていない。(2010年3月24日 読売新聞)


勝手な憶測を書くことは戒めなくてはなりませんが、この種の出来事は氷山の一角であり、他の多くの都道府県でも同じことが行われている可能性は小さくないでしょう。少なくとも、これまでにそうした例はたくさんありました。今回だけは違うと考えるほうが、むしろ不自然です。

あちこちの警察で裏金が作られたり、不正経理なども報道されています。法律違反を取り締まるべき警察が、法律を犯したことがニュースになる例は、そのほかにも枚挙にいとまがありません。もっと重大な事例がたくさんありますから、警告カードの水増しくらいでは、もはや誰も驚かないのも確かです。

もちろん、だからと言って、この種の不正が許されるわけではありません。文書偽造容疑での立件が見送られ、悪用された人への謝罪や報告もなく、処分が軽いことについても疑問です。何より市民の警察への信頼を裏切る行為であり、こうした不正の積み重ねが信頼を失わせていくことを、警察は忘れるべきではありません。

ただ、警察への信頼はともかくとしても、ケータイを使いながら、イヤホンで音楽を聴きながら自転車に乗る人たちは、あまりにも多いのが実態です。警察の取り締まりだけで、こうした行為が撲滅されることは期待出来ません。明確に道交法違反ですが、警察が「安全教育の一環」と位置付けるように、本来は教育の部分もあります。

教育機関でも、指導に力を入れ始めているようです。


携帯かけながら自転車 カップめん食べ歩き… 「常識」指導も大学の仕事?

携帯かけながら自転車通学態度からゴミの分別、法令順守――。各地の大学で、新入生らに社会生活のマナーやモラルを指導する試みが次々と始まっている。常識的な内容なのだが、大学関係者からは「最近の学生のモラル低下を考えれば仕方ない」との嘆息も漏れる。

携帯電話をかけながら自転車に乗ったり、カップめんを食べながら歩いたり……。新入生を迎えるこの4月、通学路でそんな行為に目を光らせるのは、東京都国立市の東京女子体育大・同短大だ。JR西国立駅からキャンパスまで800メートル区間の10地点に、腕章を付けた女子学生が1週間、交代で立ち、「通学マナー」を指導する予定だ。

近隣住民から苦情が相次いだため、大学側の提案で、1年ほど前から年度初めなどに行っており、2年の三川沙紀さん(20)は「同じ学生の声は身に染みて、効果的です」と話す。(中略)

知らない学生は就職でつまずく

中央教育審議会委員を務める金子元久・東京大教授(高等教育論)の話「学生を人間的に成長させるためにどんな取り組みが望ましいか、模索中の大学が多い。マナーやモラル教育に力を入れる背景には、深刻な就職事情もある。常識のない学生は就職でつまずく可能性があるからだ」(2010年3月3日 読売新聞)


マナー違反、常識の問題でもありますが、実際に歩行者との事故が増えています。全てがケータイや音楽プレーヤーのせいとは言いませんが、事故を起こして人に怪我をさせ、多額の賠償責任を負う事例もあります。小さな事故はいちいち報道されませんし、そうしたリスクがあることに、多くの若者が気づいていない面もあります。

中学や高校でも、単に校則違反として生徒に注意するだけでなく、自分にとってのリスクでもあることを十分に教えてほしいものです。未成年であっても多額の賠償責任を負い、成人後に自ら返済の義務を負うことも含め、なんでもないことのように見えても、大きなリスクを負う、割に合わない行為であることを理解させるべきでしょう。

こうした製品を販売する企業も、当然安全な使用への注意喚起は行っていると思いますが、なかなか守られないのが実態ということなのでしょう。単に安全な利用を呼び掛けるだけでは、大きな効果が期待出来ないのが残念ながら現実です。むしろ、商品開発によって事態の打開は図れないでしょうか。

Tunebug

例えば、こちらはヘルメットがスピーカーになるという製品です。これならば、イヤホンで耳をふさがないぶん、より安全性は増すと思われます。仮に、こうした製品がクールということでブレイクし、自転車に乗って音楽を聴くのに、イヤホンなんてカッコ悪いということになれば、イヤホン使用は減るかも知れません。





振動によって、なんでも身近なものをスピーカーに出来るという製品は既に日本でも発売されています。自転車のヘルメットに装着するタイプは、この春以降発売の予定だと言います。ヘルメットが一般的でない日本で普及するのは望み薄ですが、海外でのスタイルがマネされ、ヘルメットも同時に流行する可能性も無いではありません。


こちら、Tunebug Vibeは既に日本で買える。



もちろん、ハンドル等に取り付けるようなタイプの自転車用モバイルスピーカーも次々と発売されています。通行人の多い場所では、自転車に乗る時に音楽を聴かないほうがベストですが、こうした機器が普及すれば、少なくとも多少は安全に貢献するはずです。

ReCycle,Image I New Idea, www.inewidea.comこちらは、まだアイディアの段階ですが、自転車のシートポストに取り付け、自転車走行時の振動によって充電し、その電気をモバイル機器に使おうというものです。他に、走行時に受ける風力や、ハブダイナモのような車輪の回転、太陽光など、さまざまな形で発電するアイテムも既に存在しています。

発電した電力を蓄電池のカートリッジに貯めるというアイディアですが、例えば携帯電話のバッテリーに直接つないで充電するならば、余分なバッテリーは不要になります。つまり、自転車走行時は、ケータイを自転車につないで乗るスタイルにしたらどうでしょうか。使いながらではなく、充電しながら乗るわけです。

ケータイをつながないと走行出来ない自転車が普及すればベストですが、それはナンセンスというものでしょう。でも、「走行中はケータイをつないで充電しない手はない。」となるだけでも違います。自転車に乗りながらケータイを使うより、使えないけど充電しといたほうがトクということになれば、ケータイ利用は減るかも知れません。

ReCycle,Image I New Idea, www.inewidea.comReCycle,Image I New Idea, www.inewidea.com

夜間充電しておくでしょうから、朝一の利用は期待できませんが、会話だけでなくメールやネットの閲覧、ゲームなどケータイの利用頻度が増しています。バッテリーも消耗しがちなので、自転車に乗る間くらい、充電しておかないと一日持たない、なんてことになれば、あるいは有効かも知れません。

もちろん、もっと他にもいろいろと有効な製品は考えられるはずです。企業は社会の公器として、市民の安全を守る製品を開発してほしいものです。ちなみに、このご時世ですから、心ある企業に「ケータイを使いながら自転車に乗るような学生は採用しません。」くらいのことを言ってもらうと、案外効果が高いかも知れません。

ケータイを使いながら、あるいはイヤホンで音楽を聴きながら自転車に乗る人たちについて、常識のある人から見ればマナー違反も甚だしい危険な行為です。苦々しく見ているでしょうし、何より法律違反です。ただ、あまりに日常的に見るので、気にならなくなっている人も多いのではないでしょうか。

しかし、いったん被害に遭ったり、危ない思いをしたりすれば、いかに危険な行為が放置されているか、改めて身にしみることになるでしょう。実際、死亡事故などの悲劇も増えています。このまま普通に見られる光景にしておけば、子供たちもマネするでしょうし、違反する人は後を絶たず、歯止めが効かなくなる恐れがあります。

警察の取り締まりにしても、教育機関のよる指導にしても、企業の商品開発にしても、どれも決定打にはなりそうにありませんが、こうした機関や企業に期待するだけでなく、我々一人ひとりが出来ることを少しずつでも努力していくしかありません。ちょっとしたはずみが大きな不幸を招かない、安全な社会を目指したいものです。


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桜も開花したのに、ここのところかなり寒くなってますね。このままだと、東京の花見は来週末くらいでしょうか。

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この記事へのコメント
違反自転車なんてそこら中にいるのに水増しするってことはよほど仕事を怠けていたって事でしょうか・・・?

学生へのマナー教育は良いですね
年を取ると人の言うことを聞かなくなりますから

僕はサイクリングロードで逆走してたのを通りすがりのロード乗りに注意されてから左側通行するようになったんですが、
僕が車道の左を走ってたときに逆走してきたママチャリのおじさんは「なんで同じ方向によけるんだ」「俺はすぐそこを曲がるんだ」と言ってきて、僕が「右側を走ると危ない」と指摘しても全然聞いてくれませんでした
Posted by 職人気取り at March 27, 2010 19:03
職人気取りさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
水増しするくらいですから、やはり怠けていたんでしょうね。やる気がしなかったのか、いずれにせよ酌量の余地はなさそうです。
確かに教育はいいことだと思いますが、学生と言っても大学生と言うところが問題ですね。嘆かわしいと言うか、ニュースになるわけです。
右側通行が違法だと知っていて、後ろめたさがある人なら、指摘されて反論出来ないと思いますが、そもそも知らない人もいると思います。
知らないというのは強いですね。
Posted by cycleroad at March 28, 2010 20:43
こんにちは。
大変興味深く拝読させていただいております。

本記事につきましては、小生にとり、非常に悩ましい内容でございました。

加齢とともに、5年ほど前からロードレーサーからクロスバイクに乗り換えました。
クロスバイクに乗り換えたため、現在は軽帯電話のミュージックプレイヤー機能を利用し、イヤホンで音楽を聴きながら乗っています。もちろん、車道走行中は、片側のイヤホンは外しております。今月19日の走行中に茨城県内での震度5弱の緊急地震速報を受信し、直ちに自転車を停め自宅へ電話を入れました。このようなことがイヤホンを付けている理由だと申し上げるつもりは全くありませんが、ある意味では重宝いたしております。

自転車用ヘルメットについても、お叱りを受けますが、ロードバイク時は着用していましたが、現在は野球帽です。

自信過剰ではありませんが、我が身は自分自身で守ることを心情としております。とは申しましても、IT機器に囲まれて育ってきた世代の方も多く、着用した方が安全であることは間違いありません。

ヘルメットに付けるスピーカー、充電器は知りませんでしたが、このような商品は大いにPRし、時代の変化に合った安全確保のためのアイテムとして利用してもらいものですね。

また、自転車事故については、最近TVで取り上げられ、少しづつ効果も上がってきているところだとは思いますが、もう一歩踏み込んだ損害賠償の実態などのドキュメンタリー的な取材の必要性も感じます。

お叱りを受けそうなコメントばかりで申し訳ございませんが、小生の自転車生活の実態を正直にコメントさせていただきましたので、ご理解下さるようお願いいたします。
Posted by panag at February 26, 2012 08:35
panagさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
最近は地震が多いですから、ラジオなどでリアルタイムの情報を確認しながら走りたいという需要もあるでしょうね。
周りの音が聞きもらすリスクを勘案しての片方だけイヤホンをつけての走行など、個人の判断について、どうこう言うつもりはありません。
ヘルメットの着用についても、法律で決められているわけではないですし、個人の判断だと思っています。
ヘルメットの記事もいろいろ書いていますが、それを読んだ方が個人で判断されることですし、押し付けるつもりは全くありません。
自分でかぶったほうがいいと思ったり、かぶりたくなればかぶるでしょうし、私はヘルメットをかぶりましょう、などと言うつもりはありません。
自転車の損害保険への加入も同じだと思います。
おっしゃるように、自分の安全や加害者になるリスクなど、最終的には自己責任であって、法律違反を除けば強制されるものではないと思います。
残念ながら、何か失敗をするまでは、なかなかその重要性に気づかないのも人間でしょう。私もそうですが、なかなか自分で気づけないことも多いと思います。
叱るなんてとんでもないです。ただ、もし拙文を読んで、リスクの存在に気づくとか、考え直してスタイルを変えるきっかけになるとか、新しいアイテムの存在を知るなど、何かの参考になれば幸いと思うだけです。
Posted by cycleroad at February 26, 2012 08:45
ご丁寧なコメントをありがとうございます。
幸い小生の住む田舎の街では、市条例での自転車でのイヤホン使用の禁止は未だ制定されておりません。制定されれば、遵守することは申し上げるまでもございません。
また、週に2、3度は40キロほどのコースを走行しておりますが、その大半が今では余り使われることもなくなったサイクリングロードと堤防上の舗装された道路です。
公園内では、散歩・ジョギング用と自転車道が区分けされており、速度も落としながら人の動きに注意しながら、走行しております。

個人的な意見としては、特に公園内などではヘルメットをかぶることにより、周りの人に対する威圧感を与えてしまう気がいたしております。車種についても同様で、シティ車であればだれも注視することは、ありませんが、ロードで乗り入れたとき、小さい子供連れのおかあさんがどうしてこんなところへ来るのと言わんばかりの表情に耐えられず、クロスバイクに乗り換えた経緯もございます。

最後に、真摯に自転車の安全に関わる事柄に取り組んでおられるご苦労に感謝し、本サイトのますますのご発展を願っております。
Posted by panag at February 29, 2012 06:57
panagさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
各都道府県警察ごとの管轄になりますから、市町村ではなく、都道府県ごとに定められているはずだと思います。
それも、議会によって決められる都道府県条例ではなく、知事の定める道路交通規則や道路交通法施行細則で決められている場合がほとんどだと思います。
実際にイヤホンの禁止については、都道府県によって扱いがバラバラなのが現状のようですね。
もちろん禁止されていない地区では違反ではありませんから、当然ながら批難するつもりもありません。
ただ、つい音楽等に気をとられて、目からの情報に散漫になることが知られています。だから、禁止するところもあるわけで、結局は本人がリスクをどう考えるかだと思います。

確かにヘルメットは一般的でないですから、おっしゃるような部分はあるかも知れませんね。ロードバイクに対する誤解があるのも残念なところです。
いえいえ、自転車好きが勝手なことを書いているだけです。応援ありがとうございます。
Posted by cycleroad at February 29, 2012 23:01
いつも大変興味深く拝読させて頂いておりありがとうございます。
 コメントではないのですが、フランスでは女性に人気のあるヘルメットがあるという話を聞きました。
 普通は、襟首に巻き付けて置くような感じのもので、緊急時にはエアバックではありませんが、頭部を覆うもので、現地では5万円ほどするものだそうです。
 私も調べましたが、分かりませんでした。最近TVでも放映されたとのことです。
 ご存知でしたら、ご教示頂ければ幸いです。
Posted by panag at July 17, 2013 08:52
panagさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
以前、エアバッグ式のヘルメットについては、記事でとりあげたことがあります。
スウェーデンの会社がつくったものですが、おそらく、お探しのヘルメットは、こちらのことではないでしょうか。
右下の cycleroad にリンクしておきましたのでクリックしてご参照ください。
Posted by cycleroad at July 18, 2013 23:24
 
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