May 15, 2010

日本生まれの次世代のホープ

電動アシスト自転車が売れています。


その好調な販売を受けて、最近特に電動アシスト自転車が脚光を浴びることが多くなっています。さまざまなメディアでも、特集などとして取り上げられる場面をよく目にします。一昨年12月の規制緩和でアシスト力が2倍に増強されて以降、さらに人気が加速した感があります。一例として、東京新聞の記事を引用します。


電動自転車好調  エコ・健康追い風に

電動自転車好調電気モーターの助けを借りて坂道も楽に上ることができる「電動アシスト自転車」の売れ行きが好調だ。二〇〇八年に原付きバイクの出荷台数を追い抜き、〇九年は約三十六万五千台が売れた。自転車の国内市場は年間約一千万台といわれているが、メーカー側は近い将来に一割に当たる百万台の市場規模に成長すると予想している。

電動アシスト自転車は、一九九三年にヤマハ発動機がトップを切って発売した。当初はお年寄りがメーンターゲットだったが、その後は買い物や子どもの送り迎えをする女性、通勤・通学のサラリーマンや学生、商品配達や営業向けなど用途が拡大してきた。

人気の理由は、ペダルをこぐ人間の力の二倍の力で、モーターがアシストしてくれること。坂道のほか、向かい風や重い荷物を積んだときも楽々だ。バッテリーの性能向上で一回の充電で最長四十キロ程度の連続走行ができて、充電も二時間で終わる。

また、原付きバイクと違い免許やヘルメットも必要ない。安全適合機種ならば二人まで幼児を乗せることができる。充電にかかる電気代も一回当たり約十円で、ガソリンと比べて格安だ。環境意識、健康志向の高まりも追い風になっている。

エコ・健康追い風に課題としては、平均十万円程度と自転車に比べて価格が高いことだ。また、バッテリーは二〜三年で交換が必要で、そのたびに二万〜四万円が追加で必要となる。

バッテリー性能向上

初期の機種のバッテリーには重い鉛電池が使われ、走行距離は20キロ程度、充電は10時間もかかった。その後はニッカド、ニッケル水素、リチウムイオン電池と性能が上がり、走行距離が伸びて充電時間も約2時間まで短縮した。現在は走行中のブレーキ時にモーターを発電機に切り替えて充電する「回生充電」ができる機種もある。中国などアジアではペダルをこがなくても前に進む電動自転車が普及しているが、日本の法律ではバイクになってしまうため自走はできない。(2010年5月11日 東京新聞)


電動アシスト自転車の出荷台数は37万台ですが、単価が高いので、金額ベースでは既に国内自転車市場1千70億円の14%、約150億円が電動アシスト自転車だと言います。今後もママチャリの需要を置き換える形で、確実に伸びていくことが予想されています。

ヤマハ電動サイクル「PAS」この電動アシスト自転車、実は日本生まれの自転車です。ヤマハが1993年11月に、世界で初めて電動アシスト自転車、“PAS”を発売して17年、もはや自転車の一ジャンルとして認知され、その存在感も増しています。それどころか、一部では日本発の自転車文化とも言うべき状況になってきています。

山がちな日本の地形に合うという特性もあると思います。スポーツバイクから乗り換える人は必ずしも多くないと思いますが、日本ではスポーツバイクに乗る人の割合はごく僅かです。出荷台数の圧倒的多数をママチャリが占めるという独特の自転車市場が背景にあったことが、乗り換えが進みつつある一因でしょう。

徐々に価格も下がって来ました。温暖化ガスの削減や健康志向、駐車違反取締りの強化、原油高騰も追い風となっています。宅配便が都市部でのトラック代わりに導入したり、企業が営業などの出先回りに利用したり、役所が公用車を減らすのに使うなど、利用が広範にわたってきているのもシェアの拡大に寄与していると思われます。

周遊自転車貸し出し観光地でも、通常の自転車から電動アシストへ切り替える動きが出始めています。例えば首都圏なら、鎌倉などは道が狭いのでクルマでは不便ですし、三方を山に囲まれて坂が多い地形なので、普通のレンタサイクルで巡るのにも向きません。まさに電動アシスト自転車がうってつけで、観光客に喜ばれていると言います。

これまで鎌倉周辺を移動するだけだった観光客が、葉山や江ノ島まで足を延ばすようになったという効果も報告されています。山梨県の河口湖では、電動アシスト自転車をレンタサイクルに導入したことで、富士五湖全体を周遊するような観光客の動線が生まれ、地元の観光産業の活性化に貢献しているそうです。

最近は、不況や人口の減少でスーパーが撤退し、食料品が近くで調達できなくなる、いわゆる買い物難民が話題になります。クルマが使えない高齢者が、遠くまで買い物に出かけざるを得なくなった場合、荷物を乗せてもラクに走れる電動アシスト自転車は強い味方となる可能性があります。

赤ちゃん家庭訪問に電動アシスト子供を2人乗せる3人乗り自転車も解禁となりましたが、前後に子供を乗せて走行するのは、なかなか大変です。電動アシスト自転車なら、漕ぎ出しもフラつかずに安定します。まだ3人乗り電動アシストは価格が高いのがネックですが、自治体の補助なども増えているので、子育て世帯にとっても大きな力となるでしょう。

近頃は、従来のママチャリ型だけでなく、男性を意識したスポーティなデザインのものも増えてきました。若い世代でも電動アシストへの関心が高まっているようです。一昨年、出荷台数で原付バイクを逆転しましたし、シティユースでの電動アシストの人気も見逃せません。ベロタクシーにも既に電動アシストが採用されています。

こうしてみると、さまざまな場面で電動アシスト自転車の存在感が増しています。もはや社会現象に近い状態と言えるかも知れません。今後は、さらに新たなバリエーションが発売されることも期待されます。例えば、ピザの配達用原付バイクのような屋根のついた自転車も考えられるでしょう。

電動自転車、CO2の削減で職員に貸し出し多少の雨でも乗れるようになり、自転車の弱点を補って傘さし運転の危険を減らします。車体は重くなるでしょうが、電動アシストを使えば、実用的なものも実現可能に違いありません。ほかに、多くの荷物を運搬出来る自転車なども考えられます。電動アシスト無しでも可能ですが、軽く漕げれば、普及にも弾みがつきそうです。

これまで敬遠していた層にも自転車の利用が拡大していく可能性があります。クルマの代替としての自転車が現実的な選択肢となり、世の中にもさらに認知度が高まっていくことでしょう。相対的に自転車の活用が進めば、インフラとしての自転車走行空間の整備を促し、もっと自転車で走りやすい街になっていくことも期待出来ます。

スポーツタイプ電動アシスト自転車もちろん、すんなりと自転車で走りやすい街は実現しないでしょう。駐輪場の不足や交通マナー、歩行者との事故など、今の課題がますます深刻化することも考えられます。しかし、アシストのあるなしに関わらず、自転車のポテンシャルが理解され、その活用が進むことは、全体として見ればマイナスではないはずです。

スポーツバイクに乗っている人は、電動アシストにあまり興味がないという人も多いと思います。スポーツ用として乗るには航続距離も短すぎます。せいぜい数十キロも走ればバッテリーが切れてしまい、ただの重い自転車となってしまうのでは、まだまだ使えません。

ただ、自分で乗るかどうかは別として、電動アシスト自転車は圧倒的多数のボリュームゾーン、つまりママチャリの一部を置き換える形で今後も増加していき、日本の自転車事情にも大きな影響を与える存在となりつつあるのは明らかです。今後、電動アシスト自転車がどのような広がりを見せていくか、要注目と言えそうです。


    
    


ちょっとツーリングに出かけていたのですが、プログの予約投稿に失敗し、更新が反映されていない状態だったようです。失礼いたしました。

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この記事へのコメント
はじめまして。

最近、レンタサイクルが本当に増えてきて、アクセスのよさをみんなが実感して生きているのでしょうね。電動つき自転車は坂道が多いと本当に楽ですものね。たしかに移動エリア拡大に寄与しますよね。経済効果があるのは発見でした。

教えてくださり、感謝。
Posted by Supple at May 18, 2010 06:58
でたらめ自転車環境の日本で唯一誇れるのが電動自転車ですね
乗ったことが無いので一度乗ってみてどんなものか体感したいです

ちょっと気になるのがスピードの出しすぎです
出力が上がったせいか歩道で時速20〜23キロくらいで走ってたアシスト自転車がいました
乗ってる人は一生懸命に漕いでるわけではなかったので意外に電動パワーって大きいかもしれません
Posted by 職人気取 at May 18, 2010 20:40
私は電動アシストではなく、自転車にエンジンを取り付けて乗っています。
エンジンの始動と発進、上り坂ではペダルを漕いで人間がアシストするバイクです。エコで健康的な乗り物として、より改善していきたいと思っています。
昨年11月のこちらのブログ「祖先と子孫が融合するカタチ」にもずいぶん刺激されました。
電動アシストサイクルや電動スクーターもエコな乗り物として評価できますが、リッター100km走るガソリンエンジンの乗り物ができれば、ライフサイクルアセスメントでは十分にエコだと思うのです。
もちろん自転車も好きなので、また時々寄らせてもらいます。

Posted by くりぞう at May 18, 2010 20:56
Suppleさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
電動アシスト自転車は、一度乗ると元に戻れないという人も多いようですね。レンタサイクルで体験して、その快適さに驚いて購入する人も多いと思います。
あらためて自転車の便利さ、楽しさを再確認する人を増やすという意味でも、電動アシスト自転車は貢献しているかも知れませんね。
Posted by cycleroad at May 18, 2010 23:15
職人気取さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
是非、一度体験してみることをお勧めします。サイクルモードなどのイベントにも出品されています。
サイクルモードでは、スポーツバイクの試乗に、どうしても人気が集まるわけですが、そのぶん空いていて、すぐ乗れると思います。もちろん、レンタサイクルならいつでも体験出来ますね。
電動アシスト自転車は、スピードが出るとアシスト力が減らされていき、24キロ以上になるとアシスト力は0になって、きかなくなります。一応、歯止めがかけられているわけですね。
Posted by cycleroad at May 18, 2010 23:21
くりぞうさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
自分で改造してらっしゃるんですか。それはスゴイですね。過去の記事をご覧いただいて、何かの参考になったのであれば嬉しいです。
電動自転車の航続距離が短く、実用的でない以上、まだまだガソリンエンジンは現実的な選択肢ですね。
もちろん燃費性能ということで言えば、クルマなどに比べて大いにエコですし、通勤などでクルマに一人で乗る人が多いことを思えば、乗り換えを促せば確実にエコに貢献すると思います。
またどうぞお寄りください。
Posted by cycleroad at May 18, 2010 23:31
>私は電動アシストではなく、自転車にエンジンを取り付けて乗っています。
>エンジンの始動と発進、上り坂ではペダルを漕いで人間がアシストするバイクです。

ご自分で改造されるのは凄いですが、法規的にはどうなんでしょう?現在の現チャリのご先祖である昔の「バタバタ」、名前通りの「原動機つき自転車」そのものではありませんか?
だとすれば保安部品が必要なはずです。もちろんヘルメット(自転車用ではダメ)も。

自作だから必要ない、というような話ではないはずです。
Posted by zubelin at May 19, 2010 09:02
zubelinさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
私が答えるのも変なのですが(笑)、くりぞうさんのプログを拝見しますと、ちゃんとナンバーも取得されて、ウィンカー類なども装着されているようです。
法的な点をクリアした上で、エンジンを載せてらっしゃるようですね。
Posted by cycleroad at May 19, 2010 22:12
電動アシスト自転車は、日本発のオリジナリティの高い商品ですね。課題もまだまだ沢山あると思いますが、”改善”を重ねより良くなることを期待したいものです。

かつてホンダがママチャリではない普通の自転車にエンジンを積んだのがミニバイクの始まりであったように、モーターを積んで自転車として売り出そうとしたところ、外見は自転車ですが、原動機付自転車として売り出さざるを得なかったことがありました。今では、考えられないいい時代になりました。

子供2人を乗せる自転車は、西欧諸国では箱型が主流で、日本独特のもので、相当な安全試験結果の成果だと思いますが、素人目に不安感を払拭できないのはユーザーではないからでしょうか。
レンタル自転車でフロント部に孫を乗せたことがありますが、老齢化も手伝い安定感は得られませんでした。

個人的には、ドイツ人が手造りした時速80キロ走行可能な電動自転車を自動二輪代わりに使いたいものですね。
Posted by panag at February 29, 2012 09:36
panagさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
私も普通のママチャリ型の前や後ろ、あるいは両方に子供を乗せて走行するのは、かなり大変だと思います。
欧米の箱型、カーゴバイク型のほうが圧倒的に安定しますし、安全面でも優れていると思います。
日本の子供乗せ自転車は、やはり日本の事情に合わさざるを得ないことから生まれた商品でしょう。
メーカーも安定して走行できるよう工夫を重ねていると思いますが、やはり限界があると思います。
直線走行やスピードが出れば安定するにしても、実際に低速時や押し歩きの転回時、停まってスタンドを立てた状態で転倒がおこり、子供が怪我を負う事故が多く起きています。
それをきっかけに、子供にヘルメットをかぶせる努力義務も課せられました。
電動アシストによって、子供を乗せての走行に対し、脚力的には大いに助かると思いますが、おっしゃるように安定には問題が多いように思いますね。
ドイツの時速80キロは、航続距離がネックになりそうな気がします。
Posted by cycleroad at February 29, 2012 23:26
 
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