June 23, 2010

自転車大国の文化と多様性は

日本には、およそ8千6百万台もの自転車があると言われています。


人口との比率で言っても、世界有数の自転車大国であるのは間違いありません。確かに駅前の駐輪場などに行けば、たくさんの自転車が並んでいます。ただ、その種類は偏っており、明らかに圧倒的多数を占めているのがママチャリです。最近そのママチャリもバラエティに乏しくなり、きわめてよく似たものが並んでいるような気がします。

すなわち、シンプルな銀色の同じモデル、あるいはよく似たものがたくさん並んでいます。おそらく近所の同じ量販店で購入されたものなのでしょう。地域による差はあるかも知れませんが、近頃は自転車屋でなく、ホームセンターや大型スーパーなど量販店で、輸入の格安の自転車を買う人が増えていることが背景にあると思われます。

自転車なんてどれも同じ、値段が安ければいいと考え、安さを求めて量販店で買う人が増えた結果、街の自転車屋さんの数は減っています。購入先の選択肢が減ったことで、さらにその地域にある量販店に集中し、中でも売れ筋の自転車に集中するという状況があるのでしょう。

同じような自転車が日本の大手メーカーのママチャリであれば、もう少しバリエーションもあると思いますが、格安の輸入車は、コストを削減するために単一モデルで、色などを選択する余地は少なく、結果として同じ自転車が並ぶことになります。また格安自転車同士でもコスト削減を目指す結果、似てきてしまうのでしょう。

かくして駐輪場には、どれも同じような自転車が延々と続くことになります。スポーツバイクもブームですし、自転車にはいろいろな種類があるわけですが、それらの割合は大きくありません。日本ほど駐輪場に似たような自転車が並んでいる国は珍しいかも知れません。

ママチャリが悪いというわけではありません。用途によっては便利だと思いますし、日本のような交通環境ならば、自然とママチャリが多くなるのもわかります。自転車は「アシ」であり、道具に過ぎないのだから何でもいいんだと言われればそうでしょう。ただ、あまりに個性に乏しいと思うのは私だけでしょうか。

いくら実用品とは言っても、もう少し人との違いを求めてもいいような気がします。これでは、大きな駐輪場にとめたら、自分の自転車を探すのにも苦労しそうです。もし自転車が盗難に遭った時、盗まれた自転車が目の前を通り過ぎたとしても見分けがつかないに違いありません。

日本では市販品を買ったままの状態で乗っている人がほとんどなので、違いと言っても、せいぜい色が違うか、部品が違うか、それらの組み合わせが違うかくらいしかありません。でも最近は、身の回りの品や服などに細工を加え、自分だけの品にするのが流行っていますから、自転車にももっと手をくわえても良さそうなものです。

Dzine,www.dzinestudio.com海外では自分でハンドメイドで自転車を飾ったりする人が少なくありません。例えばアムステルダム辺りを歩くと、実に個性的な自転車が並んでいます。これまでにもいろいろユニークなカスタマイズする人を取り上げてきました。どちらかと言うと「手作り」という感じが多いですが、職人芸と呼ぶべき自転車を作る人もいます。

シカゴ在住のアーティスト、Dzine さんが作る自転車は、これぞまさに芸術と言うべき作品です。そう、まさしく作品であり、アートですので当たり前と言えば当たり前ですが、私たちの自転車に対する固定観念を打ち破る造形の美しさ、発想の奇抜さには驚かされます。

個人的には、無駄のないロードバイクのフォルムを芸術的と感じることがありますが、それは工業製品としてのデザインの見事さであり、芸術的、アートとはこういうものを言うのでしょう。もちろん自転車を専門に作品にしているわけではありませんが、毎年いろいろな自転車を製作しているようです。

彼は、大衆文化とバロック・ロマンチシズムを融合させ、サイケデリックな色とタッチを日用品から流用したりします。ポスト・コンセプチュアルな手法を駆使し、クラフトメイキングな技を用います。現代美術的であると同時に、独特の表現方法を確立したアーティストです。

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造形やペインティング、展示手法によって絶えず変化する作品は、オリジナルと流用を並置させることで独特の世界観を構成しています。人工造形物をシームレスに組み合わせたハイブリッドな作品は、創造的でありながら緻密、アグレッシブでありながら思慮深いものに仕上がっています。

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独特の素材とその組み合わせ、例えば金属や鏡、クリアコート、スワロフスキーのクリスタルやシルク、24金でメッキされた金属や純銀、クロムやエナメル、モーターや鋼、スエードやビロードなど、ありとあらゆる素材が用いられることで、独特な世界が表現されています。

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どれも良く見るとペダルがついているので、確かに自転車です。液晶モニターが取り付けられていたり、ラジカセが積んであったりしますが、実用上のものではなく、あくまで作品のモチーフとして用いられているようです。未来的な印象や、レトロな感じを醸し出す効果をあげています。

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プエルトリコ出身のDzine さんの、現代カリビアン美術と呼ぶべき作品は、シカゴやニューヨークに展示されており、一部東京でも見ることが出来るようです。自転車以外の作品もサイトには紹介されていますので、興味のある方は、リンク先のDzine さんのサイトをご覧ください。

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欧米ではロードレースが盛んで、自転車競技やその選手の人気はメジャーです。スポーツとして自転車に乗る人も多く、道路上では車両としてその立場が尊重され、環境面からも高く評価されて日本のように軽んじられることはありません。長い伝統と独自の自転車文化が熟成され、単なる実用品と見る日本とは大きく異なっています。

もちろん、自転車を芸術作品のモチーフにするのは特別ですが、日本でも自転車を単なる実用品としてだけでなく、もう少し趣味の領域から見る人が増えても良さそうな気がします。ただ台数が多いだけ、消費量の自転車大国ではなく、自転車文化という面での多様性が広がってくると面白いのではないかと思います。


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毎日熱戦が続く中、いよいよ日本のデンマーク戦も迫ってきました。この間合いがいいですが、金曜日はかなり早起きする必要がありますね。

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この記事へのコメント
典型的な (ホームセンターに並ぶ一万円を超えないような) ママチャリのバラエティは乏しくなっているかも知れませんが、比較的安価な自転車のなかで典型的でないものはバラエティが増えているような気がしますけど。スポーツバイクと実用/軽快車の境目に属するものが。
Posted by 横着サイクリスト at June 24, 2010 13:31
こんにちは。

最近の自転車ブームでホームセンターにはクロスバイクもどき(クロスバイクルック?)が出てきましたね。得意の「信頼のシマノ」とかをうたい文句にしてますが、シマノの最低ランク品であることが分かっている人は果たしてどれくらいいるのでしょうか?

「本来の自転車の性能を知らいない人がこういう類似品を買って性能を勘違いしてしまう」という点から考えると、これらは自転車文化の敵だと思います。(わかってて買うのなら問題ないのですが・・・)
ブームに乗って安い粗悪な自転車を作るメーカーには困ったものです。
Posted by さすらいのクラ吹き at June 24, 2010 21:20
駅前有料駐輪場でアップチャージを取られそう!

昨年、大阪の福祉機器展示会「バリアフリー2009」にCOLOURS IN MOTION(カラーズ ジャパン・扱)の車椅子で本記事の自転車みたいなキンキラキンの「SPAZZ」特別仕様が出展されていたのを思い出しました(HNをクリックすると私が撮ったヘボ画像に飛びます)。
Posted by alaris540 at June 24, 2010 23:44
値段は忘れたけど約3万円近くした、前かごが子乗せになった自転車はカラフルです。子どもが大きくなって子乗せ部分は通勤鞄と買い物した食料品で埋まっています。子乗せ自転車は新聞配達の実用車並みにごっついので便利です。同じママチャリでも格安と子乗せ自転車の乗り心地は違う感じがします。
Posted by ジャムおばさん at June 25, 2010 23:12
横着サイクリストさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに、そうかも知れません。安価でも少し目先を変えたり、差別化しようという製品はたくさん投入されているものの、やはりボリュームから言えば量販型が圧倒的なので、街で見かけるバラエティは少なくなっているように見える、という感じでしょうか。
Posted by cycleroad at June 25, 2010 23:31
さすらいのクラ吹きさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
あまり、じっくり見たことはないのですが、ホームセンターにクロスバイクもどき、確かにいろいろ売っているようですね。
おっしゃる通り、粗悪品が出回るのは困ったものです。何より危険が伴うことがありますし、知らずに、こうした自転車に乗ってしまうことで、自転車の楽しさを充分実感せずに、イヤになってしまう人が出てくるのは間違いありません。
自転車愛好者の増加に水をさすにも関わらず、目先の利益だけを追う業者が出るのは、何も自転車に限らず、市場の常なんでしょうが、それだけ自転車について、本当のことが知られていないのも確かなんでしょうね。
Posted by cycleroad at June 25, 2010 23:35
alaris540さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
一段高いところに設けられた、割増料金の特別駐輪機か何かがいりそうですね(笑)。
写真リンク、ありがとうございます。こんな特別仕様の車いすもあるとは知りませんでした。確かに雰囲気が似てますね。
Posted by cycleroad at June 25, 2010 23:38
ジャムおばさんさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに子供乗せ自転車は、使い勝手や安定性、デザインなど、各社競っているようですし、安さだけを追求している格安自転車市場とは違うでしょうね。
子供乗せ自転車の中でも、金額の違いは大きいと思いますが、安いだけの格安自転車と比べれば、頑丈さや乗り心地も違ってくると思います。
Posted by cycleroad at June 25, 2010 23:44
日本でも間もなくカスタム甲子園なるものが始まるそうです。エレクトラの主催なのでたぶんビーチクルーザーとかチョッパーが多いとは思いますが、上の写真みたいなのが日本でも出てくるかも知れませんね。

ママチャリでも1万円と3万円位のでは車体剛性とか全然違うので漕いでてラクですね。


安い自転車を選ぶ人は圧倒的に中高年の男性と大学生が多いです。
女性の方が自転車に対する要求は高いです。学生時代から子育て・お買い物と自転車歴の長さの違いでしょうか。
Posted by よっしー at June 26, 2010 01:12
よっしーさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
第一回、ビーチクルーザー・カスタム甲子園ってやつですね。ビーチクルーザーの本場アメリカあたりなら、応募する人も多いと思いますが、日本ではどうなんでしょう。ビーチクルーザーに乗っている人も多くないとは思いますが..。
もちろん、こうした試みによって、いろいろな自転車がブレイクすれば面白いと思います。
凝る人だったら、芸術の域にまでカスタマイズする人も出てくるかも知れませんね。
おっしゃるように、ママチャリの1万円と3万円の差は大きいと思います。女性で、子供の送迎や買い物など、日常的に自転車を使う人ならば、ちゃんとしたものを買った方が、結局はラクだし得になるとわかっているのでしょうね。
Posted by cycleroad at June 26, 2010 01:20
先日、前カゴをたくさんの造花で飾っているママチャリを見ました。
更にハンドルバーにはマスコットがいっぱいぶら下がってました。
この自転車のオーナーさんはどんな方か分かりませんが(駐輪されていたのを見ただけなので)、きっとこのママチャリをすごく大事にしていて、そして楽しんで乗ってあげてる方なんだろうな〜と思いました。
そして、こんなにデコられてる自転車なら、泥棒も「盗もう」なんて思わないだろうな、と思いました。
すんごい目立ちますから…

何だかんだ言って、私もママチャリは必需品です (^^;
買い物にはやっぱり前カゴが重宝します。
(ちなみにちょっと高価な、しっかりした設計のママチャリです)
私も自分のママチャリデコろうかな〜と思ってます。
Posted by youshookme at June 26, 2010 17:54
youshookmeさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
それは今どき珍しい自転車を目撃されましたね。昔は、自転車をオリジナルに飾っている人が、もっといたような気がしますが、近頃は自転車に何らかの手をくわえる人を見なくなった気がします。
確かに、盗まれる確率を減らす上では有効でしょう。乗ってて恥ずかしいくらい派手にすると、まず盗まれないと聞きますが、本当のようです。
遠くからも目立って、視認性が上がったり、駐輪場で探す手間も省けたりと、いろいろかえって実用的なのかも知れません。
確かにママチャリは便利ですね。ぜひ、派手にデコってみてください(笑)。
Posted by cycleroad at June 26, 2010 23:13
こんにちは。

インフラ整備が全くと言って良いくらい進んでいない日本において、自転車は歩行者よりも邪魔者である事に何ら変わりありません。日本の全国民が腰を上げない限り自転車は永遠に邪魔者です。この邪魔者が「車両の1つである」と日本国民の誰もが認識した時、自ずと個性的で様々な自転車が街中に溢れ返るでしょう。現に四輪車を見れば分かるはずです。
Posted by 通行人Ω at June 27, 2010 12:26
 こんにちは。

 へ〜〜、随分とユニークな自転車があるんですね〜。
製作意欲を刺激されます。(笑)

 昨年、ポンコツ自転車3台でリカンベントを作りましたが、
これなんかは完全に趣味の領域です。かなり楽しいですね。
「不正改造」で捕まる心配がないのも嬉しいです。(^^
Posted by ファーマー佐藤 at June 28, 2010 08:45
通行人Ωさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
クルマについても邪魔で厄いをもたらす存在だと思っている人は多いと思いますが、自転車が邪魔者扱いされているのは間違いないですね。インフラ整備が進んでいないことについても異論はありません。
個性的な自転車が溢れるかは別としても、もう少し自転車の置かれた立場が向上する必要があると思いますし、そのために国民の意識が変わる必要があるというのも、その通りでしょうね。
Posted by cycleroad at June 28, 2010 23:49
ファーマー佐藤さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
サイトを拝見しました。リカンベントを自作されるとは、器用でらっしゃいますね。
面白いと思う人は多いと思いますが、普通はなかなか自転車を作るなんてことは出来ないので、創作意欲が刺激されるという人は多くないのではないかと思います。
なるほど、車検があるわけではないので、整備不良で捕まることはないですね。
Posted by cycleroad at June 29, 2010 00:32
自転車が多くなると必ず問題になるのが駐輪スペースですが
最近大阪の南千里駅に 地下駐輪場なるものができたそうです
http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/100702/20100702037.html
防犯性も高く地上スペース確保の問題も無いんですが
混雑時には混むでしょうね

約300台分一つ作るのに1億二千万円か・・・
まあ縦に置くというのは悪くないかもしれませんね
Posted by toy at August 03, 2010 09:30
toyさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
大阪にも出来ましたか。実は、東京でも2008年頃から機械式の地下駐輪場が出来はじめています。9400台収容の大規模なものもあります。
残念ながら私は入庫したことはありませんが、わずか20秒ほどで出し入れ出来、入庫部は36基に分かれているので、混雑することもないそうです。動画もありますので、興味がおありでしたら、過去の記事をご覧ください。下のcycleroadにリンクしておきます。
情報ありがとうございます。
Posted by cycleroad at August 04, 2010 23:16
 
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