August 22, 2010

地域のつながりで出来ること

所在不明の高齢者の存在が問題となっています。


東京での高齢者の所在不明事件をきっかけに調査が進められ、全国で同様の事例が次々と明るみに出ています。個々の件にはいろいろな事情があって、全て一概には論じられないと思いますが、調査が進むにつれ、全国で確認がとれない人の数が増え続けています。こんな事態が隠れていたとは、まったく驚くばかりです。

今のところ、おもに100歳以上の高齢者にスポットが当たっていますが、今後対象年齢が100歳未満にも広がれば、さらに不明者が増える可能性もあるでしょう。海外では、世界一の長寿国と言われていた日本の化けの皮が剥がれたと言わんばかりに報じている国もあります。

平均寿命は?もともと平均余命の算出には、100歳以上の高齢者が計算に入っていないので、統計の数字には変わりがないと言います。続々と所在不明者が出ていると言っても、比率から言えば数字に影響するほどの割合ではありません。ただ、長寿大国日本のイメージが傷ついたのも確かです。

もちろん、親の死を隠し、年金などを不正受給していたような事例は、犯罪として裁かれるべきでしょう。それによって貧困に陥るような事情がある場合は生活保護が受けられるわけですし、親の遺体と長期間同居してでも不正受給しようとするのは、自らの利益の為に人道を踏み外した行為と言わざるを得ません。

一方、家族の関係が失われ、本当に親兄弟の行方を知らない人もいるものと思われます。いろいろと家庭の事情もあるのでしょう。行旅死亡人と呼ばれる、身元不明で引き取り手のない死亡者が毎年相当数出ているわけですから、戸籍などと照合出来ない死者も当然いるはずです。

戸惑う担当者それでも、行政は怠慢の誹りを免れないと思います。家族と同居とされている高齢者に関しては、家族の申告を疑ってまで調べるのは困難だというのはわかります。しかし、日本最高齢の方を上回る長寿者が住民登録されているのにそのままになっているなど、行政の管理のずさんさも浮き彫りになっています。

個人情報などの問題もあって、介護保険の利用状況などと突き合わせるのが難しいとか、訪問しても会ってもらえないとか、困難な状況があるのは認めます。しかし、問題が明らかになって調査してみれば、短い期間でこれだけ多くの事例が明らかになるのですから、今まで何をやっていたのかという話でしょう。

明らかに不審な事例でも形ばかりの処理をするだけで、確認がとれないのは自分の責任ではないという「お役所仕事」もあったに違いありません。おかしいと思いつつも、見て見ぬふりをしていた担当者もいたのではないでしょうか。そうでなくては、これだけの数が出てくるはずがありません。

自治体が謝罪年金の不正受給などを狙う人も悪いですが、その可能性があるのを薄々知りつつ、結果として、これだけの不明者を放置していたのだとしたら、行政の責任も問われます。行政のずさんな管理が、そうした犯罪を誘発した面はなかったのでしょうか。チェック体制などを見直す必要があると思われます。

もちろん、この問題の根底には高齢化社会の進行があります。高齢者の孤独死も問題となっています。家族との関係ばかりか、地域とのつながりも途絶え、同居しているはずの高齢者の姿が見えなくても誰も気づかないことが、こうした事件を助長している面もあるのでしょう。

特に都会では、地域のコミュニティが失われています。そもそも近所づきあいがなく、隣の世帯の家族構成からして知らないという人も多いに違いありません。高齢者だけの世帯が増え、隣近所の助けも期待出来なければ、普段の生活からして困難になる人が増えていくのは必至です。

こうした状況を受け、地域レベルではいろいろな動きもあります。例えば、東京の武蔵村山市にある都営村山団地では、地元商工会が「まいどー宅配センタ―」をオープンさせました。昨年の10月から稼働をはじめた、宅配と共に地域の見守りをする拠点です。


お年寄りの買い物サポート 武蔵村山商工会

配備されたサイクルカーゴ(左)と送迎用サイクル住民の高齢化が進む東京都武蔵村山市緑が丘の村山団地で、お年寄りの買い物などを地域ぐるみでサポートしようという宅配サービスがスタートした。

名付けて「まいど〜宅配センター」。武蔵村山商工会が同団地中央商店街の空き店舗を活用し、今月初旬に開設した。

宅配用の自転車付き台車と送迎用サイクルを1台ずつ配備。常駐する地域のサービス業者らが配達やお年寄りの送迎をするほか、出張相談や住宅リフォームなどにも対応する。

商工会は「高齢者世帯の安否確認にも役立てたい」としている。同団地は住民の約4割が65歳以上。(2009.10.13 産経新聞)


買い物が困難な高齢者のために、地元の商店から自転車で宅配をしようというわけです。同時に、送迎用の自転車で、歩行に難儀するお年寄りでも気軽に買い物に来られるよう支援しています。団地の住民のみ利用可能ですが、料金は無料です。この送迎用自転車、平日の午前10時から午後4時まで運行しています。

電話で頼めば迎えに来てくれ、帰りは荷物も載せて送ってくれます。運転手も地元の住人によるボランティアで、なかには70代の人もいますが、元気にペダルをこいでいます。団地に住む高齢者に商店街へ来てもらうためですが、運転手の健康増進にも貢献しています。ちなみに、どちらも電動アシスト付きです。

送迎用サイクル宅配用のサイクルカーゴ

運転手も同じ住民なので会話も増えるでしょうし、住民同士のコミュニケーションを促進する面もありそうです。スピードは決して速くありませんが、乗せてもらえば爽快で、出かけるのが楽しくなるはずと利用を勧めています。地域としての高齢者の安否確認の役目も果たし、治安を守るため、地域の見回りの役割も担っています。

住民を送迎するのに、クルマでなく自転車というのがポイントです。クルマだったら、初期費用も維持費もかかります。運転手もボランティアで誰でもいいというわけにはいきません。事故などの問題も出てきますし、ドライバーとして人を雇えば人件費もかかります。

宅配の方は、商店の店主や店員が荷物運搬用自転車で運ぶわけですが、近距離なので自転車で十分ですし、排気ガスも出さず環境に優しいところが評価されています。団地内にも車道があるものの、交通量が少ないので、こうした自転車の安全な運行に適していると言います。

補助電動アシスト付荷台付き三輪自転車補助電動アシスト付客席付き三輪自転車

団地の面積が約48ヘクタールと広く、商店街から遠い棟からは、1キロ近い距離を歩かなければならないこともあり、住民の間では好評と言います。今後台数を増やす計画もあるそうです。この事業をはじめた地元商工会では、似たような状況の他の団地にも、ぜひ導入を勧めたいと話しています。

場所によっては、お客の減少に悩む普通の商店街にも参考になりそうです。ボランティアが送迎用のベロタクシーを運行するような仕組みが構築できるならば、商店街にとっても、地元住民にとっても恩恵をもたらすはずです。特に高齢者にとっては大きな助けになります。地味ですが、意外に効果が期待出来るかも知れません。

今後も高齢化は進んでいきます。地域のつながりが失われていくのも必然なのでしょう。しかし、そうした社会の到来に対して、出来ることもあるはずです。高齢者が所在不明でも気にしない社会ではなく、高齢者に優しく、むしろ高齢者が存在感を増すような社会にするため、何が出来るのか考えていきたいものです。


NEC Direct(NECダイレクト)


熱中症で亡くなる高齢者も増えていますが、搬送される人には、若い人も意外に多いそうです。寝ている間なども要注意ですね。

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この記事へのコメント
広大な団地にこのサービスは、まさにぴったりですね。
高齢者だけでなく、買物の荷物が多い時とか、小さい子供を何人か連れての買い物でも助かりますね。有料でも利用者がいるのではと思います。
なぜ今までなかったのかなと思うくらいです。
僕みたいな定年退職者の活動の場にもなるし。
こうした取り組みは今後ますます増えていくと思います。
Posted by トンサン at August 23, 2010 08:35
以前、プローンの記事でコメントさせて頂いた者です。
最近、このような http://picasaweb.google.co.jp/capronissimo/MTM05#5474077316690771762 車輌を製作し、その利用方法を考えていたところだったので、とても参考になりました。 ありがとうございます。
Posted by 西宮 敦 at August 23, 2010 13:55
トンサンさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
そうですね、私もいいサービスだと思います。自転車による送迎なんてと、ピンと来ない人も多いと思いますが、実際、団地内の遠くて1キロ程度であれば、自転車で充分ですし、誰でも運転手を務められるなど、メリットは多いと思います。
のんびり自転車に乗って、住民同士で話がはずめば、それだけでも一人暮らしのお年寄りには嬉しいことだと思います。話し相手がおらず、毎日誰とも話をしない人もいるという話も聞きます。
運転手を務めている人も、40代から70代まで幅広いようですが、健康にもいいし、お年寄りにも喜ばれて、きっとやりがいのあるボランティアなのではないかと思いますね。
Posted by cycleroad at August 23, 2010 22:20
西宮 敦さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
プローンに乗ってらっしゃる方ですね。また、新しい車輛を製作されたんですか。
いえいえ、私は武蔵村山市商工会の方のアイディアを記事に書いただけですので、お礼を言われるような立場ではありません。
ただ、もし何か発想のヒントとなる仲立ちが出来たのであれば、私としても嬉しい限りです。いい自転車になるといいですね。
ところで、西宮 敦さんは、「次世代〜」の西宮 敦さんですよね。
Posted by cycleroad at August 23, 2010 22:47
>cycleroad様
はい、「次世代〜」の西宮です。
Posted by 西宮 敦 at August 24, 2010 07:47
やはり、そうでらっしゃいましたか。
コメント欄でやり取りするのも何なので、後ほど、別途メールをさせていただこうと思っています。
Posted by cycleroad at August 24, 2010 10:02
幼児が遺体で発見される時代ですから、高齢者だけの問題でも無い気がします。

ホームセンターが軽トラックを無料貸し出すみたいに、商店街が貸し出せば便利でしょう。ベビーシッター会社が会社規則で自転車での送迎を禁止しています。幼児同乗よりはずっと安全そうですが、自転車は危ない物との認識を取り外さないと普及は難しいでしょうか。

合法的送迎自転車、都心部のマンションにあれば、車が無いからと軽症で救急車呼ぶ事も少なくなりそうです。
Posted by ジャムおばさん at August 24, 2010 17:04
ジャムおばさんさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
確かに、幼児虐待のニュースも多いですね。そういう意味では命が粗末にされている時代ということなのでしょうか。
商店街が貸し出すのも手だと思いますが、ホームセンターのように大きな荷物ではなく、ふだんの買い物です。
やはり、宅配や送迎ということで、なかなか商店街まで来るのが困難な人が対象のサービスと言うことだと思います。
軽車両としては合法だと思いますよ。普通自転車ではありませんから。
救急車を非常識に利用するような人が、のんびり自転車で行くとは思えませんが..。
Posted by cycleroad at August 24, 2010 23:21
こんにちは、いつも楽しく拝見しています。
お爺さんの白骨をリュックに詰め込んで年金だけ受け取っていたというニュースには心が痛みました。


ところで、先日の新基準により「歩道走行における自転車 対 歩行者には過失相殺は認められない」
要するにもし自転車と歩行者で何かあったら、100%自転車が悪いという判断が出されましたが、才倉黄土さんはどうお考えでしょうか?

自転車乗り数千万全員が車道を走れば問題ありませんが、現状そこまでハードウェアが整ってるとは思えませんし。
全員が自転車保険(及び総合野外保険)に入れば大丈夫でしょうけど、そこまで認知がありません。
(実際、各社が自転車専用保険からは撤退しています)

もしよかったらご意見をお聞かせください。
Posted by never at August 25, 2010 01:35
neverさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
遺骨を隠して年金を不正受給するくらいなら、生活保護を申請すれば、少なくとも罪にならないのに、とも思いますが、何か、やむにやまれぬ事情があったのかも知れませんね。
自転車と歩行者の事故の判例の件、ニュースになっていますね。私もいろいろ考えていたところです。
この問題は、いろいろな論点があって、とてもこのコメントらんでは書ききれません。
私なりに、もう少し考えて、記事にしたいと思っています。少し先になるかも知れません。
自転車乗りにとっては気になる話ですよね。お尋ねいただき、ありがとうごさいます。
ですが、そういうことで、また改めてということにさせていただきます。悪しからずご了承ください。
Posted by cycleroad at August 25, 2010 23:58
 
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