October 27, 2010

用途と効果と使うタイミング

あまり頻繁には使わない自転車用品があります。


パンク修理の道具類とかインフレーターなど、いろいろあると思いますが、「ベル」もその一つでしょう。自転車には装着していても、ふだんあまり使わない人も多いのではないでしょうか。危険回避などのために使う機会は、必ずしも多いとは限りません。

しかし一方で、よく鳴らしている人も見ます。歩道では歩行者優先ということを知らないのか、歩行者に「どけ。」とばかり、平気で鳴らすような人もいます。当然、歩行者とトラブルになることもあり、過去にはベルを鳴らされたことをめぐって傷害事件にまで発展した例もあります。

本来、ベルは危険の回避のために鳴らすことが義務付けられており、むやみにに鳴らしてはいけないことになっています。標識等で鳴らすよう指定された場所を通る時や、危険を防止するため、やむを得ない時だけです。軽車両も、それ以外の時には警音器を鳴らしてはいけないと道路交通法にはっきり書かれています。

レトロなラッパ真鍮ベル

なかには、歩行者をどかせようとしているわけではなく、本当はいけないのですが、接近を知らせようとして鳴らす人もあるようです。歩行者が不意に動いて衝突したりすることのないよう、追い抜かすことを知らせるために鳴らすわけです。でも、ベルの鳴らし方の加減では、「どけどけ、道を開けろ。」と聞こえかねません。

自転車の接近を知らせるという用途で、あまり使わないどころか、頻繁に使う人もあるでしょう。いちいち鳴らすのも面倒なので、いっそのこと、ずっと鳴っていてくれたほうがいいくらいです。ただ、ベルの音ではトラブルにもなりかねません。そこで、「鈴」を自転車に取り付けようと考える人もいます。


自転車事故防ぐ「鈴」考案

高崎の樋口さん経験もとに

高崎市倉賀野町の医療機器製造会社顧問の樋口昭夫さん(73)が、自転車が近づいてきたことを鈴の音で歩行者に知らせる器具を考案した。泥よけに簡単に付けられ、走ると直径1・5センチ程の鈴がタイヤに軽く振れて、「ちりちり」と優しく鳴る。効果を知った前橋市は、年内に駅前などにあるレンタサイクルに導入する予定だ。

自転車事故防ぐ「鈴」樋口さんは情報機器メーカーの元開発者。定年退職後に移った医療機器業界で、再発防止をモットーに、医療事故の起きにくい麻酔針や、名刺に日付を印字できる名刺入れ「Dater」などを開発し、国際特許を取得した。

鈴の考案を始めたのは昨年3月。自宅近くの狭い歩道を歩いていて、脇へ動こうとしたら後ろから自転車がさっと通り過ぎ、危うくぶつかるところだったためだ。

妻の和子さん(65)の自転車の鍵に付く鈴にヒントを得て、まず鈴が入ったプラスチックの筒を自転車の車輪に取り付けた。しかし速度を増すと遠心力で鈴が上下せず、音がしなくなる。そこで、現在の形に。泥よけに取り付けるプラスチックの小板と、鈴を銅線でつないだ。走れば鈴はタイヤに触れて「ちりちり」鳴る。銅線が折れないよう巻きばねも足すなど、改良を施し完成した。

材料は近くのホームセンターで購入し樋口さんの手作り。1個の原価は120円程でこれまでに100個程作り、約50個は知人に配った。半年程前から使っている近くに住む大木隆明さん(68)は、「前方の歩行者が気になっても、ベルは威圧感があって嫌だった。大きすぎない奇麗な音で、振り返ってくれる」と話す。

泥よけに付ける約40個は、JR前橋駅前と赤城山のビジターセンターにあるレンタサイクル「マエチャリ」に付けてもらおうと、前橋市観光課に寄贈した。同課は、赤城山では「クマよけにも役立つ」と基本的に利用者全員に使ってもらう予定でいる。

無料で配布し続けるが、自転車メーカーが製造してくれたらうれしいとも語る樋口さんは、「鈴の音で、『自転車が来たな』と事故が避けられる社会にしたい」と夢を膨らませている。問い合わせは樋口さん(090・4001・5819)へ。(2010年10月25日 読売新聞)


この記事の方に限らず、鈴を取り付けている人とは、たまに行き会うことがあります。地域差もありそうですが、意外と鈴をつけている人はいるのかも知れません。その鳴り方とか、音量とか、取り付け方なども、それぞれ工夫しているのでしょう。

チェーンなどが錆びてキーキー音をさせている人は別として、きちんと整備された自転車、特にタイヤの幅の小さいロードバイクの走行音は小さく、その存在が気づかれない場合があります。歩行者に対してだけでなく、自転車同士であっても、接近に気づかないと危ない場面があると思います。

歩道を走行するような場合はともかく、車道を走行する人でも、歩道と車道の区別がないような細い道路を通ることもあるでしょう。見通しの悪い場所や、出会い頭ということもあります。音がしていれば、見えていなくても接近がわかります。そう考えると、音をさせることが事故防止の点で有効なのは確かです。

クルマの世界でも、ハイブリッドカーのモーター走行時に、その音が小さいことが問題視されています。わざわざ電気的に音を出す装置などを搭載することが検討され、世界的な規格を決める方向になっています。せっかく静かなのに、騒音を出さざるを得ないのも、接近に気づかないと危険だからです。

自転車も、事故防止の観点から考えれば、音をさせたほうがいいのかも知れません。ベルで代用して、歩行者に不愉快な思いをさせたり、気を使ったり、トラブルになるくらいであれば、何か別の音をさせるべきでしょう。鈴がいいかは別として、何か新しい道具が開発されてもいいのかも知れません。

こんな商品もあるが..。ずっと鳴り続けさせなくて済む

一方、乗車時に常に使っている自転車用品もあります。例えばヘルメットです。しかし、常に使っているようでいて、よく考えると滅多に使われていないとも言えます。ヘルメット本来の目的、頭部の保護は事故や落車の時などに発揮されるわけですから、滅多に使われません。もちろん頻繁にあっては困ります。

そこで、保護する必要がない時は、かぶらなくてよく、必要となった時だけ機能するヘルメットをスウェーデンの会社がつくりました。ちょうどクルマのエアバッグのように、瞬時に膨らむことで頭部を保護する仕組みです。ふだんはマフラーのような形状をしています。

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本当にうまく展開するのか、頭部の保護として有効なのか、最初からヘルメットをかぶっていれば済む話ではないかなど、いろいろな声があがりそうです。動画で見る限り適切に動作していますが、信頼性から言えば、まだヘルメットに軍配があがるように思えます。

しかし、ヘルメットの場合は、かぶらない人が大勢います。ヘアスタイルが崩れるとか、似合わない、スポーティーなデザインばかりで服装と合わない、鬱陶しい、持ち歩くのが面倒など、さまざまな理由でヘルメットをかぶりません。そうした人の中には、これなら身につけてもいいと考える人があるかも知れません。

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スウェーデンでも、年間3万人が自転車でケガをし、なかには死亡するケースもあります。ヘルメットは格好が悪いと、かぶらない人が多く、事故によるケガも頭部にダメージが及ぶと深刻な結果になる場合が少なくありません。それでも、なかなかヘルメットの着用は広がらないのが現状です。

同国では15歳未満の子供たちには、ヘルメットの着用が義務付けられていますが、大人は義務ではありません。事故による死亡や深刻なケガを防ぐために、大人にも義務付けるかどうかが議論となっています。そうした背景から、いろいろなファッションにも馴染み、必要時のみ展開するヘルメットが開発されたわけです。

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プロのスタントマンや衝突テスト装置などを使って、あらゆる事故の実験を行い、事故の時のサイクリストの動きを分析したと言います。いろいろな事故や転倒の仕方を分析し、エアバッグを起動させるセンサーと、その起動の最適なタイミングが研究されています。

「周りの人もかぶってないし、ヘルメットはかぶりたくない、でも事故や転倒時のことを考えると心配。」そんな人もいるはずです。必要な時だけ作動するヘルメットというコンセプトが受け入れられる可能性もありそうです。値段や使い勝手などにもよりますが、意外と普及するかも知れません。

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ベルもヘルメットも、ふだん何気なく使っている自転車用品です。しかし、その用途やタイミング、使う頻度とか、使う人の割合といった、さまざまな要素を考えれば、不便だったり、ユーザーに支持されていない部分は少なくありません。自転車用品にも、まだまだ改良や進化の余地は多いのかも知れません。


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北日本では雪になっています。夏が暑かった反動もあるのでしょうが、いきなり冬という感じです。秋はどこへ行ったのでしょうか..。

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万一事故に遭った時のために
事故の被害を軽減する目的には、エアバッグは優れた効果がある。

ベルとホーンとブザーと笛と
鈴の音が嫌いだという人には、トランプと洗濯バサミを使う手もある。

ヘルメットはクールで魅力的
安全の為に、ヘルメットをかぶるようにさせる手法にもいろいろある。

時と場所によって使い分ける
普通のファッションになじむようなヘルメットの開発も一つの方法だ。


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この記事へのコメント
鋭い音色のベルより柔らかく鳴る鈴の方が 相手に与える印象は良いでしょうね。
ただ サイクリングロードで二人三人と横に広がって通路幅を塞いでしまう人たち(しかもおしゃべりに夢中)や携帯音楽プレーヤーで両耳を塞いだままふらふら左右に蛇行してゆったり走る自転車などを追い越す際には ある程度強く鳴るベルでないと役に立たないことも経験上多いです。
相手に威圧感や不快感を与えることなく注意を喚起する...なかなか難しいことですね。
Posted by 隠居@川崎 at October 28, 2010 13:24
エアーバッグ式のヘルメットとは、世の中には、面白い発想する人があるものですね!
ビデオを見ると、改めて必要性が痛感されますが、僕は被っていてもあまり違和感はないので、必要ないです。
但し、持ち運びは邪魔なので、簡単に折り畳めたら良いですね?(勿論安全性と値段は左程変わらないで・・・)

ベルは普通に走っているときは、不要でしょう?
人が居たら、減速すれば良いし、道を塞いでいたら、声を掛ければ問題ないでしょう。
ベルは持っていますが、東京では使いません、北海道の熊除けです。
Posted by ヨッシー at October 28, 2010 13:41
鈴の優しい音色はいいですね。
ジリリリ!となるベルよりは良いと思います。
ただ、実際使うことはあまり無いですね。
ヨッシーさんの書いているように、減速したり声をかければ対処できます。
ただ、相手側がイヤホン・ヘッドホン等で耳を塞いでいた場合はいかんともしがたいです。
減速して様子を伺って、隙を見て追い越すことしか出来ませんね。
エアバッグも面白いアイディアですよね。
ただ、書かれているように動作の面で動かない可能性もありますのでヘルメットをかぶっている方が安心感はあります。
デザインもいいのですが、どう見ても冬服に合うように作られていますね。夏に使うと首回りがへんな感じに見えてしまうと思います。

北海道・東北は氷点下になったそうですね。
自分の地元の兵庫にある氷ノ山という山でも初冠雪が観測されたようです。

地球温暖化というより地球レベルでの天候不順ですね。
快適な春や秋の季節が少なくなり枕草子にかかれたような四季の変化は感じられにくくなりました。

温暖化の数年前は寒冷化が叫ばれていましたし、寒冷化を題材にしたデイアフタトゥモローという映画も作られていました。
地球レベルの天候不順はこれからの環境会議で話し合っていくことになると思います。地球温暖化は環境詐欺という見方が勢力的に強くなっているようですね。
Posted by ろい at October 28, 2010 23:06
気持ちのよい秋の季節が速足で駆け抜けてしまうなんて、とても残念ですね。
安全のため+不愉快さ回避のためのアイデアには、素直に興味が持てます。気が利いてるなとか、斬新だなというところに多くの関心を引いて、それが結果として全体の安全性向上の行動を引き出せればいいなと思いました。
実は私、出勤時のヘルメット着用にはちょっと消極的で中途半端だったのですが、今回の動画をまじまじと見て、本物のヘルメットをしっかり被ろうと思い直しました。
Posted by 七九爺 at October 29, 2010 00:17
隠居@川崎さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ベルを鳴らすという行為がトラブルとなる場合も多いですから、鳴らさなくても接近がわかることで、無用のトラブルが防げるといいのですけどね。
もっとも、サイクリングロードに、歩行者と自転車が混在していること自体が問題だとは思います。
前回も書きましたが、サイクリングロードが歩道の扱いになっていて、実際問題として、ベルを鳴らさなくては通れない状態なのは、自転車、歩行者共に不幸な状態と言えるでしょうね。
Posted by cycleroad at October 29, 2010 22:32
ヨッシーさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
自転車にもエアバッグがあったらと考える人はいるかも知れませんが、それをヘルメットの代わりに、というのは、ちょっと出来ない発想ですね。
普通だったら、ヘルメットの部分は、かぶればいいわけですし、わざわざエアバッグにしようとは思いません。
過去の記事でいくつか取り上げましたが、折りたたむことの出来るヘルメットは、すでにあるようです。
おっしゃるように、人をどかすという用途では、私もベルは不要だと思います。
ただ、見通しが悪いところとか、出会い頭もありますから、鳴らすのではなくて、接近がわかる音が出ていたら、安全性は高まるのではないでしょうか。
Posted by cycleroad at October 29, 2010 22:44
ろいさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
上にも書きましたが、おっしゃるように、人をどかすという用途では、私もベルは必要ないと思いますし、声をかけるなどすればいいことだと思います。
ただ、見通しが悪いところとか、出会い頭などもあるわけで、ベルを鳴らすのではなくて、接近がわかる音が出ていたら、安全性は高まるのかも知れないと感じたわけです。
確かにエアバッグ式ヘルメット、夏服には合わないかも知れませんね。
コストもかかるでしょうし、こんな回りくどい方法でヘルメットの代用をしなくてもいいと思うのは私も同じです。
ただ、ヘルメットをかぶりたくない人もいますし、実際かぶらない人が多いので、もしかしたら有効な方法になるかも知れません。
兵庫でも初冠雪ですか。寒いですね。
まあ、天候不順はままあることですし、すぐ温暖化云々と結びつけるのは、私も違うのではと思います。
昔からあったわけで、それが大飢饉となって、多くの人が飢え死にしたような時代でなくてよかったと言えますね。
Posted by cycleroad at October 29, 2010 23:01
七九爺さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
ほんと、自転車に乗るだけでなく、野外活動には秋はいい季節ですから、残念です。
釣りなどで使う救命胴衣、ライフジャケットにも、水中に落ちた時、ヒモか何かを引いて初めて膨らむものが増えてきているようです。それと似た発想と言えるのかも知れません。
水中に落ちる前から膨らんでいたら釣りに邪魔でしょうし、滅多に落ちることがないのに、邪魔なライフジャケットをつけたくないというのもあるでしょう。
そう考えると、必要な時だけにヘルメットとして機能するというのはリーズナブルです。ライフジャケットと同じように普及してもおかしくないような気もしてきます。
後ろから追突されたり、どこに危険が隠れているかわかりませんからね。やはり、転ばぬ先の杖ということでしょうね。
Posted by cycleroad at October 29, 2010 23:17
いきなりベルを鳴らすのではなくて基本は声掛けですよね。「すみませーん」って声掛けして悪い気持ちする人はあまりいません。
ヘルメットは私は違和感ないですけど、今のヘルメットで不安なのは耳から顎にかけてです。その点このエアバッグ型はいいですね。軽さはどうなんでしょうね?
Posted by moumou at October 31, 2010 10:15
moumouさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
もちろん、ベルでなく声を掛けるべきだと思います。
ただ、追い越し時とは別に、出会い頭とか、見通しの悪い場所では、不意に鉢合わせするような場合もありますから、こちらの存在がわかったほうが安全ということもあります。
その意味では、ずっと声をだしているわけにもいきませんから、何か音が出ておく手もありそうです。
軽さはわかりませんが、違和感ないくらいになれば、面白い存在になるかも知れませんね。
Posted by cycleroad at October 31, 2010 23:09
 
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