February 06, 2011

歴史や伝統を伝えるためにも

先日たまたま、ある神社の前を通りがかりました。


外から見ると、何か店が出ているようだったので、縁日か何かだろうと思い、休憩とエネルギー補給でもしようかと自転車をとめました。境内に入ると、縁日かと思ったのはそうではなく、青空市かフリーマーケットのような感じで店がたくさん出ており、どの店にも骨董品が並べられています。神社の境内を使った、青空骨董市でした。

あまり骨董には興味が無いので知りませんでしたが、こうした青空骨董市、特に珍しいことではないようです。後で調べてみると、神社や寺の境内を会場にした骨董市というのは、案外あちこちで開かれています。東京や近郊では、探せば毎週何カ所か、どこかで開かれている感じです。

とは言っても、骨董趣味の人でない限り、関東のどこかで開かれている骨董市に、なかなか偶然に行き会うものでもないでしょう。せっかくなので、ブラブラしながら店をのぞいてみることにしました。どちらかと言うと静かに品定めをしている年配の方が多く、騒がしい縁日や年齢層の比較的若いフリマともまた違った雰囲気です。

案外、人出は多く、静かな賑わいといった感じです。小さなコマゴマしたものから大きなタンスまで、何に使うのか見当もつかないようなものから、失礼ながらガラクタとしか思えないようなものまで、実に雑多なものが、たくさん並べられています。興味のない人でも、結構楽しめます。

骨董市のイメージ Photo by 完全処方マニュアル,licensed under the Creative Commons Attribution ShareAlike 3.0 Unported.陶磁器やガラス製品、茶道具や工芸品、掛け軸や書画、浮世絵や仏像など、普通の人がイメージする、いかにも骨董というものばかりではありません。古民具と言うのか、昔の家庭で使われていたような、なんでもない道具とか、ホーローで出来た看板とか、映画の演出にでも使うのかというようなものまであります。

古い着物とか、人形もあれば、西洋のアンティークな美術品があったりなど、年代も、洋の東西も問わない幅広さです。ブリキのおもちゃとか、こまごました雑貨など、見る人が見れば昔懐かしいのでしょうけど、言っては悪いですが、ゴミにしか見えないようなものもあります。

何か一つの分野に絞られていないぶん、見ていて飽きない感じがあります。ここでは雑多に並べられていますが、それぞれの蒐集家にとっては、きっとたまらない品物だったりするのでしょう。こうして雑然と並べられた中から、宝物、掘り出し物を見つける楽しさというのも、何となくわかる気がします。

ある人にとっては、単なる邪魔な廃棄物でしかないものでも、ある人にとっては、ずっと探し続けているもの、憧れの一品だったりもするのでしょう。私には、誰かの使い古しにしか見えませんが、その使いこまれた感じに、味があったり、年輪を感じたりするものなのかも知れません。

自分の趣味のものに関して、その歴史に興味が向くということも当然あると思います。自転車にしても、乗るばかりではなく、古い自転車を集めるのが趣味と言う人もいます。今回、自転車は見かけませんでしたが、収集家の間では、古いレトロな自転車が取引されたりすることもあるようです。

趣味のサイクリストの中には、複数台の自転車、あるいは複数の種類の自転車を所有している人も少なくありません。ロードバイクとマウンテンバイクなど、走る場所によって違う種類が必要ということもあります。新車を買っても、以前の自転車に愛着があって、なかなか捨てられないということもあるでしょう。

フラッシャー付き自転車自転車を何台も持っているのは珍しくないですが、乗るための自転車だけでなく、乗らない自転車を集めている人もいます。例えば、歌手の近藤真彦さんもその一人です。何かのテレビ番組で昭和の頃の子供用の、フラッシャーのついた自転車を集めているというのを聞いたことがあります。

当時流行った、少年用の派手なフラッシャーのついた自転車をご記憶の方もあると思いますが、それを確か10台近く持っていると話していました。もちろん今乗るわけではなく、自宅に並べて、それを見ながら酒を飲むのが楽しいと番組では話していました。

近藤真彦さん自身、トライアスロンなどにも出場する自転車好きだそうですが、古い自転車の収集家でもあるわけです。他人から見れば、単なる物好きですが、趣味のコレクターというのは、何の分野にもいます。古い昭和の頃の実用車など、レトロな自転車ばかりを収集するコレクターも少なからずいるようです。

ところで、古い自転車のコレクターがいるのは、当然日本だけではありません。日本だと、自転車が広く普及した年代の違いもあって、昭和の頃の自転車が対象になることが多いと思われますが、海外にはもっと古い自転車を収集している人もいます。

アメリカ・ニュージャージー州、フリーホールドという街に住む、David Metzさんもその一人です。蒐集した古い自転車を、“Metz Bicycle Museum”として展示もしています。毎日開館しているわけではありませんが、電話で予約すれば、自慢のコレクションを見せてくれるそうです。

そのサイトを見ると、実に古い自転車が並んでいます。19世紀のものもありますから、日本の年代の感覚で言えば、江戸時代の駕籠を収集するようなものでしょうか。昭和の頃のレトロな自転車というのとは時代が違います。自転車の歴史をひもとく感じです。

Antique Bicycle, www.metzbicyclemuseum.com



自転車の先祖、ドライジーネもあります。この頃は、まだ足で蹴って進むものでした。大きな前輪でお馴染みのオーティナリーもあります。どちらも、19世紀につくられていた自転車です。自転車の歴史で言うなら、化石のような自転車と言えるでしょう。

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今まで、あまり見たことのないような変わった形の自転車も少なくありません。前後2輪に加え、左右にも2輪の4輪があるものもあります。片側が2輪なのに、もう片側は大きな車輪1輪だけという、ちょっと他では見たことのない変わった自転車もあります。

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まだ黎明期だったので、逆に自由な発想で、いろいろ試行錯誤されていたのかも知れません。クルマのような4輪のスタイルもあれば、3輪のトライシクルでタンデムになっているものなどもあります。いろいろな形態が製造され、試されたのだと思いますが、あまり見たことがないということは、消えていったものも多いのでしょう。

Antique Bicycle, www.metzbicyclemuseum.com
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ボーンシェイカー型は世界に広まった、今の自転車の直接の祖先のような存在です。呼び名の通り、骨が揺さぶられるほど、乗り心地は酷いものだったに違いありません。右の女性用に開発された自転車は、スカートを考慮してフレームを低く、前輪が小さく作られています。今の日本の子供乗せ用自転車にも通じるデザインです。

Antique Bicycle, www.metzbicyclemuseum.com
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この頃の自転車は、オーディナリーのような危険は無くなったのでセーフティ型と呼ばれています。サドルを支えるシートポストの湾曲は、乗り心地のための工夫なのでしょう。右の一台、19世紀の技術で、すでにフレームの素材に木を使った自転車もつくられていたようです。

Antique Bicycle, www.metzbicyclemuseum.com

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前後の車輪ともハンドルで曲がることで、ステアリングするという変わった三輪もあります。クルマでも特殊な車両の中には、前輪だけでなく後輪も曲がって、回転半径を小さくするものがありますが、これも同じ発想なのでしょう。右の写真は、前が女性、後ろが男性のタンデムです。

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何とこの時代、既に氷上(雪上)自転車や、チェーンの無いダイレクトドライブの自転車が作られていたとは驚きます。以前に似た形の自転車を取り上げたことがあります。新しい発想で生み出された新型自転車だと思っていましたが、この時代にすでに存在していたわけです。

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上の2つは、最近も面白自転車として見た記憶がありますが、当時から存在し、サーカスなどで使われていたようです。左は後輪が靴で出来ており、右は後輪のハブが中心をずれているぶん、上下動する形になって、あたかも馬に乗っているような感じを出す工夫だったのでしょう。

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左は水に浮く自転車です。右は、現代でもアメリカなどで見る、いわゆるトールバイクです。今、これに乗っている人は、単に風変りな人ですが、当時はちゃんと目的があってつくられました。電灯のない時代、夕方になると1本1本、街灯を点火して回り、明け方には消して回るという職業の人がいました。

梯子をかついで歩き、いちいち街灯に立てかけて登って点灯するより、この自転車なら、乗ったまま直接点灯出来ます。大幅に時間短縮も出来たことでしょう。実に合理的な考え方です。当時は高所作業用の自転車だったというわけです。

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左は前後の席がシーソーになっており、そのシーソーを上下させる動きが推進力となって進むトロッコのような、ユニークで変わった自転車です。右は、良く見ると高い位置にクランクがついています。つまり、ハンドサイクルというわけです。古くからハンドサイクルもあったようです。

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左はハンディキャップのある人用の自転車、右は車輪の中に乗る形のモノ・サイクルです。北京五輪の開会式にも出て来ました。こうして見てくると、新しい発想やアイディアで、最近生まれた自転車だとばかり思っていたものが、実は古くから存在していたことがわかります。

故きを温ねて新しきを知ると言いますが、古い自転車を見ていても、現代の自転車に至る経緯がわかったり、アイディアが古くからあったことがわかったりして、実に興味深いものがあります。デイビッドメスさんのコレクションのおかげで、我々もいろいろなことを知ることが出来るわけです。

私たちは、ふだんどうしても新しいものに目が行きがちです。自転車の新しいモデルもそうですが、それ以外の身の回りのものでも、今までになかった新しい製品やアイテムがどんどん生まれ、すごい勢いで進歩していく時代です。でも、たまには骨董とか、古い時代のものに目を向けてみるのも、悪くないかも知れません。





立春を過ぎて、ようやく少し寒さの和らぐ日も出て来ました。今まで興味のなかった催しに、フラっと出かけてみるのもいいですね。

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